駅 で 別 れ る



男と女になるべきか
分からずに
迷いつづけて
武蔵野台の駅まで一緒に歩いた
肩と腕がときどき触れた
ぼくの心はラセンを巻きながら
きみの別れのあいさつを
みつめている

乗換え駅の
分倍河原(ぶばいがわら)、人が波のようにつづいている
沿線の火事
電車が止まっているらしい
駅の、木のベンチに腰を深くかけてタバコを一本吸った
人たちは待ちつづけている
人たちは集まりつづける
のど飴をポケットから出し
ホームの外の黒く光る街をながめながら
口に入れる
ぼくは迷いつづけたことを
考えつづけている

八時に明日は仕事だからといった
八時半にきみの部屋を出た
坂道を駅まで送ってもらいながら
ぼくは自分の明日のことを必死に考えつづけた

電車はまだ動かない
沿線の火はまだ燃えているんだろうか
のど飴もタバコもなくなった



初出誌 「ADAMSITE」11号 2003年10月発行