Dec 27, 2023

時の流れのままに そのさん

a1

探偵事務所では
エリスが酒器をテーブルに揃えていた。


a2

2年ぶりの忘年会ね。
アルと飲むのは久しぶりだなあ。


a3

ドロレスは出かけたの?
シェリー博士の研究所に行くって言ってたよ。


a4

研究所で、
ドロレスはミューたちに、
ピエールと迷いの森に言ったことを
報告していた。

泉から夢見の水を運んでくるんですけど、
これからは、
優先的にこっちに回してくれるって言ってました。
それは嬉しいわね。
夢見の水はロボットに不可欠だから。


a5

だけど驚いたわ。
話には聞いていたけど、
未来に娘が生まれて、
その子がCGになっているなんて。
血は争えないというか。


a6

最終戦争が起きて、
CGの唯一の生き残りになるんです。
それはナディアさんって
最強なんですよ。

あの二人大丈夫かなあ。
とシェリー博士は思っている。


a7

師走の広場に
ナディアとツナがやってきた。
レイチェルが引率している。


a8

おお。もうお正月の準備ですか。
倉庫にクリスマスの飾りを
片付けたついでに出してきたんだ。
思いついた時にセットしないと
作業シーンが省略されちゃうからね。

あれ。あの子。
とルビーが呟いている。


a9

随分賑やかな広場だね。
最終戦争の前は
こんなに平和だったんだなあ。


a91

お母さん流石に驚いてたわね。
娘だって実感湧かないんじゃない。
子供の頃に母から聞いていた、
おいしい肉まんのお店って
どこかしら。


a92

ねえマヤ。
あなたヘアカラー変えたの?
と近づいてきたルビーが声をかけた。
そうなのよルビー。私が勧めたの。
とすかさずレイチェルがフォローしている。


a93

そうか。
あなたがルビーなのね。
私は夏木ツナ。
レイチェルとナディア、
じゃなかったマヤの友人で
町を見物にきたの。
どうぞよろしくね。



解説)
今回も時が流れていきます。
Posted at 20:34 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 27, 2023

秋のマラソン そのさん

a1

一行は郊外のアルのビストロ前の
折り返し地点を過ぎて、
レースは後半にさしかかっていた。




a2

サクサクサクサク。
キャサリンは息が上がって
遅れ始めた。


a3

そろそろ、ラストスパート。


a4

広場には郊外に住むジャンとナタリーが
登録に来ていた。


a5

ジャンさん。
またナタリーとお揃いで
「レオン」のコスプレなのね。
よく似合ってるわよ。
とたまきが言った。
冬物コートって、
これしか持ってないんだよ。


a6

サングラス、これと交換しましょうか。
とモモコが言った。


a7

もうそろそろね。


a8

途中でリタイヤして、
近道をして先に戻ってきたキャサリンが
へたり込んでいる。

どうしたの?
途中でくたびれちゃって。


a9

私もともと人形の精霊だから、
こういうの慣れてないのよ。
この服走りにくいし。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 27, 2023

盗まれた転送装置 そのよん

a1

ウェルズはミラたちの家にある
秘密の地下通路を通って管理局に戻り、
ペンギン前のスペースでは
ルビーとアリスが話していた。


a2

そもそも管理局って、なんなんですか。
政府の組織ですか。それとも国連やCGみたいな
国際組織ですか?


a3

この地球上の組織じゃなくて、
異世界間を横断した組織らしいけど、
本部はなぜか迷いの森の中にあるらしいの。
まあローカルな都市伝説のような扱いで、
軍やCGでは、まともな調査も論議もされていないけどね。


a4

本を読みながら、
それとなく話を聞いていたミラが言った。

アリスさん。あなたも毎日違う夢を見るでしょう。
あなたたちの住むこの世界も、
そんな夢の一つだと考えてみて。
異なる夢の間を行き来するものたちがいて、
そのせいで起きるさまざまな問題について、
当事者にアドバイスするのが私たちの役目。

そんな組織があるなんて、
信じがたい話ですね。


a5

そこに台車を押しながら、
ウェルズが戻ってきた。

あ、それって、
転送装置じゃないですか。


a6

これはレプリカなんだけど、
盗まれたものとそっくりに作られています。
転送装置は、まだ皆さんの科学技術では、
操作できないでしょうから、
このレプリカで代用できるでしょう。
これを研究所に持ち帰ってほしい。


a7

それが管理局の意向ですか。
とルビーが尋ねた。

はい。彼が捕まれば時間管理部の存在が知られてしまい、
この世界に影響を与えてしまうことになりかねない。
盗難事件そのものを無かったことにしたいということなんです。
盗まれたと思われた転送装置が見つかったということで、
ブラウンの捜索は中止してもらえませんか。

ルビーは、しばらく考えていたが

了解しました。
さっそく博士や将軍に伝えます。
元々ロボット研究所に保管されていた
転送装置の存在は国家機密ですし、
彼らも不祥事が公になるのを避けられて喜びますよ。
と言った。


a8

なんだか釈然としないなあ。
結局、本物の転送装置や盗んだ犯人は野放しなんですか。


a9

その点については、
特別に許可をもらって、私が担当することになりました。
必ず見つけ出して逮捕します。


a91

ルビーとアリスは、
ことは急を要するということで、
さっそくレプリカの転送装置を運んで行った。


a92

レプリカを提供して、盗難事件そのものを揉み消すなんて、
管理局にしては、随分思い切った決定をしたものね。

これ以上この世界の住人を巻き込むわけにいかないからね。

ブラウンは、転送装置を改造して、
どこか別の世界に逃げちゃうんでしょ。
捕まえられるの?

改造にはミューが作った仮想現実体験装置の構造を
応用するに違いなから、行き先はわかっているんだ。
あの装置では、特定の未来の時空にしか行けない。

ブラウンはあなたの分身なんでしょう。
そもそも、どうして出奔したのかしら。

見つけたら本人に聞いてみたいね。
時間管理部のパトロールって、
何度も繰り返していると心身にダメージがあるし、
仕事を投げ出してどこかに定住したくなる気持ちもわかる気はする。
タイムマシンを使って歴史を書き換えたりしない限り、
管理部では元職員の行動に関してはそれほど気にしていないんだ。
一応私が担当して逮捕することになっているけど、
局長に相談したら、最終的にどうするかは私に任せるって。

あの局長らしいわね。



解説)
とりあえず盗難事件の騒動は
おさまったようです。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 27, 2023

夕食どき

a1

ベーカリー前で、ルビーたちが話している。

日がだんだん短くなるね。
そろそろ夕食どき。


a2

ドルフィンから
リタがたまきに声をかけた。


a3

こういうズボンが倉庫に入荷したんだけど、
使わない?
あ、それいいわね。


a4

ジェニーたちの部屋の外には、
ガスボンベが運ばれて、
テーブルにミニガスコンロが設置されていた。


a5

今日はおでんなのね。
美味しそう。


a6

そこにたまきが帰ってきた。
いいもの貰っちゃった。
と言っている。


a7

これ、ズボンじゃなくて、どう見ても
パンツでしょ。


a8

サラたちの部屋では
夕食が始まっていた。


a9

カレーは久しぶりだね。
今日は秋刀魚にするつもりだったんだけど、
見つからなくて。


a91

4人分も作るの大変じゃない?


a92

パックのライスと市販のルーを使うし、
そうでもないのよ。
と言っている。



解説)
今回は特に何も起きない
フィギアたちの日常シーンです。

ストライブズボンは、
セリアで購入しました。
1/6サイズのフィギアのパンツとして
使えそうかなと思いましたが、
撮影後に試着させてみたところ、
オビツボディやバービーも含め、
大腿部の太さが問題で、
ほとんどの素体では無理でした。
結局、子供用の素体の半ズボンに。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 27, 2023

帰ってきた二人

c1

探偵事務所では
相変わらずミューたちが、
仮想現実体験装置のバグ探しに
取り組んでいた。


c2

その管理局のウェルズっていう人は、
ミュー自身の人工知能と装置との関係が
重要だって言ってたんだけど。
確かこのシステムを開発するときに、
ミューの人工知能をベースにしてたでしょう。

特定の部分はね。そのせいで、
システムが人格を持っちゃって、
二人を覚醒させる機能をロックしてると考えると、
たしかに辻褄は合うんだけど。


c3

あ、装置のライトが点灯してるよ。
と探偵が言った。


c4

間仕切りのカーテンを開けると、
レイチェルとドロレスが
目覚めたところだった。


c5

二人は仮想世界で体験した
アメージングな出来事を報告している。


c6

ミューたちにとっては、
その世界でシステムが記録装置と呼ばれていて、
アンという人格のようなものが存在している、
というのは想像していた通りだったが、
時空の歪みが生じて、
怪物が侵入してきたというのは驚きだった。


c7

仮想現実体験装置の開発は、元々ドロレスが、
ロボットである自分も人間みたいに
夢が見たいって言ったことから、
それを叶えたいっていう発想で始まったの。
だから装置につながることで、
体験者の夢や願望が投影される仕組みになっている。
でもその度合いや、背景となる世界設定は、
システムがネットから収集した
様々なデータから作られる。

その収集された様々なデータからすると、
実際に近未来に最終戦争が起こるって
システムが判断したってこと?

その確率が相当高かったんでしょうね。
でもあくまでも仮想世界だから。


ところが時空の歪みが生じたっていうことは、
そういうこととは別なの。
一つの仮説だけど、
世界というのは無数にあるとも言われている。
つまり実際に未来に最終戦争が起こる世界と、
起こらない世界もある。
その起こる方の世界に
時間の流れが変わった可能性がある。


c8

仮説やら確率やら可能性やらで、
よくわからない話ね。
このコーヒーすごく美味しい。
人間に戻ったのを実感するわ。


c9

私はコーラの味が今ひとつ
リアルに感じられなくなっちゃった。
でも全身打撲の痛みから解放された。
寝たり起きたりお腹が空いたり、
体は水の入った袋みたいだし、
人間っていうのは、大変だなあって、
つくづく思わされました。
とドロレスは言った。



解説)
製作者にも
よくわからない話でした。
Posted at 21:03 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 27, 2023

仮想世界で そのさん

a1

ナーガラは通気孔を目指している。
レイチェルは腰のホルスターから
リボルバーを素早く引き抜くと、
即座に射撃した。


a2

一発で頭を吹き飛ばされたナーガラは、
その場で動かなくなった。

レイチェルさんすごい早打ち。
ナーガラは生体の体温や
二酸化炭素を感知します。
たぶんツナを狙ってきたのでしょう。

通気孔の中からツナの声がする。
急に変なもの落とさないでよ。


a3

やがてシェルターの探索を終えたツナは、
通気孔から顔を出して、
椅子をかざしてレイチェルに手渡した。

ここはすっかりブラッキーの巣になってた。
他にも使えそうな家具を運び出すから
手伝って。


a4

これで最後よ。
それは何?


a5

カプセル入りの脳髄。
この脳、まだ生きている。
でも、このままじゃ
早晩装置のエネルギー切れで
ただの標本状態になるところだった。


a6

ツナが言ってた信号って、
その脳が送ってきたのかな。
とコーダが言った。

その可能性はありそうね。
このタイプのカプセルは
サイボーグの体にも装着可能なの。
でもシェルターにボディは見つからなかったから、
ブラッキーがどこか別の場所で、
動けなくなったサイボーグから
カプセルだけ外して巣に運んで
食料として貯蔵してたのかもしれない。


a7

食料って言ったら、私お腹すいちゃった。
そろそろバーボンハウスに戻りましょう。

というツナの声がはっきり聞こえたが、
レイチェルにとっては
視界がまた一瞬静止したようだった。


a8

ねえツナ。
このテーブルセット必要なの?
まだ使えるでしょ。
資材も食料もなかったし、せめてものお土産よ。


a9

このシェルターは、
岩盤を利用して作った洞窟の、
上部を特殊なコンクリートで遮蔽した
作りかけのものだった。
ブラッキーの巣になってたけど、
通気孔にきっちり蓋をしといたから、
何かの時には使えるかもね。
貯蔵庫とか?
牢屋とか。



解説)
捨てずにとってあった
発泡スチロールの緩衝材がまた活躍しました。
以前トーチカにも利用したことがあります。
2021年7月11日「捜索」。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jun 27, 2023

ドロレスの体験

a1

じゃあいってらっしゃい。
と言って、シェリー博士は装置のスイッチを入れた。


a2

前とちょっと違う感じがする。


a3

しかし到着して目にしたのは、
前と同じスクラップの廃棄場のような
風景だった。


a4

見渡す限りゴミの山。
まるで「日本アパッチ族」の世界ね。
あの蛇まだいるのかしら。


a5

ドロレスが少し歩いていくと、
ピポピポという警報を鳴らしながら、
ソーダに乗ったバンクがやってきた。

こんにちはドロレスさん。
井戸から落ちて大丈夫でしたか。


a6

ええ見ての通りよ。ああ、会えてよかった。
あ、あなたたち、私が再度現れても
驚いていないようね。

底なし井戸の暗闇は地の果ての時空の歪みと
同じだとツナが言っていました。
あなたは多分過去から来た人で、
また現れるだろうって。
ソーダが「そうだ、そーだ」と言った。

ツナって前にも言ってた人ね。
ぜひお会いしてみたいわ。


a7

ツナは今ミトラの修理に出かけていますが、
夕方には戻るはずです。
バーボンハウスに帰って待ちましょう。
「そーだそーだ」。
この辺りのナーガラは、
ヒゾッコが駆除してくれましたので、
道中は凸凹ですが安全です。

ドロレスは、また視界がモノトーンになって、
世界の動きが止まったような気がしたが、
言葉はよく聞き取れたので、
バンクたちの提案にに従うことした。


a8

ドロレスが、バンクたちに案内されて歩いていくと、
途中でリヤカーに大きなスクラップを載せて、
曳いていくドーダに出会った。

ああしてスクラップから、
まだ使えそうな部品や私たちのエネルギー源となる、
燃料を回収しているのです。

ドーダは一行に気がつくと、
「やあドロレス。これはどーだ。大物だろう」
と嬉しそうに言った。


a9

やがて一行は建物のある場所に到着した。
これがバーボンハウスなのね。
そうです。この井戸は飲料水用ですので、
飛び込めませんよ。
とバンクが言った。
飛び込んじゃだめだよ。
とソーダとドーダが言った。
シャレを言わない時もあるのね。


a91

ドロレスはバラックのような建物を眺めた。
ドアの横に立っている柱の上に
機械が設置されていて、
その上の照明が点灯してこちらを向いている。
監視カメラ付きなのかしら。
とドロレスは思った。


解説)
仮想世界の話がまた始まりました。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 27, 2023

春風に吹かれて そのさん

a1

広場はぼちぼち賑わっていた。


a2

この先の予定は?
特に決めてないんだ。


a3

来月初めには発表があって、
参加賞のチョコレートがもらえるんだろう。
それまでしばらく厄介になろうかな。

うん。
コンテストの審査が終わったら、
またツーリングでも行こうよ。
郊外のいい場所を知ってる。
それは楽しみだね。


a4

すみません。
どこかタバコが喫える場所知りませんか。
ああそれなら。


a5

高台に見晴のいい休憩所があるわよ。
その奥の道を右手に折れて。


a6

うたは早速高台まで出かけて行った。


a7

ルルと江本友恵が話し込んでいる。

これフェイクグリーンじゃないのね。
プリザーブフラワーのあじさい。
それってドライフラワーとどう違うの?
植物の水分を抜いて乾燥させるのは同じだけど、
これは保湿成分や色素を加えた液体に浸して作るの。
作るの大変そう。セリアで売ってたのよ。


a8

これ可愛いい缶バッジですね。
と粉川和歌子が言った。

ああそれね。
この前の文学フリマでもらったの。
フリマ行ったんですか。
隣に住んでるたまきやナオミも行きましたよ。
世の中って割と狭いから。


a9

ここ春風が気持ちいいわね。
とうたが言った。
タバコも美味しいし。
と江本友恵が言った。



解説)
何事も起きないような
平穏な日の続きです。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Apr 27, 2023

メルティの夢の部屋 そのきゅう

a1

部屋の隅に戻った一行は、
あれこれと話し合っている。


a2

私のような夢食いは、
夢を見た当人が目覚めた後も
心の中に固定観念のようにとどまって、
イメージを送り続けることができるのですが、
先ほどはそれどころではなかった。


a3

メルティのこの夢の世界は、
かなり特別なのだよ。
とシュレディンガーが言った。

彼女は子供の頃からの病気で
ずっと眠り続けていて、
ずっとこの夢の中の部屋の世界にいるんだ。
けれど高い壁に囲まれたこの部屋から、
いつか外に出たいと願っていて、
魔術師ハリーとの出会いによって、
その願いが叶った。


a4

今ではね。
ハリーさんたちの住む世界と、
魔法の扉を通して、
行き来できるようになってるの。
でも、その世界から
私が絵画を持ち込んじゃったために、
芸術家の夢に宿る夢食いである、
あなたを招き寄せちゃったのね。


a5

ふむ。
お嬢さんのパワーには驚ろかされたが、
別の世界とも繋がっていたとは、
それでは私にコントロールできるわけがないな。
私のような夢魔にとっては、何より、
夢見るものが孤独であることが肝心なんだ。

それに魔術師ハリーの名は聞いたことがある。
魔術劇場の主宰者だろう。
彼なら魔法の扉を作ることもできるだろうな。
あそこを飛んでいるのは、
悪魔のしもべと言われるコウモリのようだが、
もしかして、その異世界から?


a6

そうそう。
ひそこは、派遣コウモリだよ。

なんと、その世界には
魔族の他に、悪魔もいるのか。

悪魔だけじゃない。
すぐ近くに迷いの森があって、
管理局にも隣接している。
とシュレディンガーが言った。

私はメルティが子供の頃に
飼っていた子猫の精霊に導かれて、
この夢の世界にやってきたんだが、
早々に管理局の局長に
見つかってしまったんだ。


a7

悪魔の他にあの天使もいるのか。
それはさぞかしシュールな世界だろうなあ。


a8

そうでもなくて、見かけは、
ごく普通の人たちが暮らす普通の世界よ。
でも夢食いのドラゴンがすでに住んでいるし、
奇妙なところも随分あるから、楽しいの。

私、この絵画を、
あちらの世界に返すことにする。
このままだと、またあなたみたいな
夢食いを招き寄せるかもしれないから。


a9

お嬢さん。それは賢明なアイデアですな。
管理局の注意勧告ではないが、
美術品の異世界への持ち込みは、
とかく誤解を生じます。

私も固まっているところを助けていただいた感謝と、
先住者である百猫の王シュレディンガーに
敬意を評して、退散することにしましょう。

これからどうするの?
とりあえず、その世界を訪問して、
芸術の才能のありそうな人を探すことにします。
さらに迷いの森までたどりつければ、そこから、
さまざまな異世界に移動することもできますから。



解説)
メルティの夢の部屋でのハプニングも
どうやら一段落したようです。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Mar 27, 2023

局長の休暇 そのさん

a1

これがバグの言ってた肉まんね。
ジューシーでとても美味しいわ。
そうでしょう♪


a2

そこにヴィヴィアンが
階段を降りてやってきた。

こんにちわ。
あなた管理局のトップだったのね。
派遣コウモリが教えてくれたわ。
あの子私になついちゃって、
あなたに怒られるんじゃないかって、
怯えてるの。

それなら、気にしなくていいって伝えておいて。
悪魔に派遣コウモリがなつくのはよくあること。
でもね、たぶんあなたに何かあったら、
管理局に駆け込んでくるから。そういう役目なの。
あ、お仕事の話はやめましょう。
今日は遊びに来ただけだから。


a3

こんにちわ。
とハリーが声をかけた。
お目にかかるのは、
ジルさんの別荘以来ですね。

ああ。ハリーさんね。
どうもこんにちわ。

お忍びで休暇でいらしたとか。
これも何かの縁ですな。よろしければ、
魔術劇場にいらっしゃいませんか。
肉まん取り寄せますから。


a4

広場では局長の友人たちが
旅芸人の歌に聞き入っていた。
あの人の歌声に迫る、
胸を打つ歌唱力ね。と言っている。


a5

あれ。
局長、魔術劇場に入っていくよ。
どうする?
この町に来たら予想はできたこと。
今日はプライヴェートだし、
随行しなくてもいいんじゃない?


a6

魔術劇場の応接間では、
さっそく隣のマンゴー亭から
肉まんが取り寄せられていた。


a7

肉はあまり食べないんだけど、
これは美味しいわね。
ふだん何食べてるんですか。
朝はABCでスムージーね。


a8

それにしても猫多いわね。

ご存じだと思いますが、
メルティっていう人の見ている
夢の世界から出入りしてるんです。
この扉の向こうから。


a9

メルティの世界のことは、
どの程度?

派遣コウモリが誰かさんに
とり込まれちゃって、
全然報告がなかったから、知らない、
って言いたいところだけど、
さっき、地下通路でこちらに向かう途中に、
ミラからあらましを聞いて、
増えている猫の由来も、広場にくる途中で
サラから聞いたわ。
でも今日はそういう異世界がらみのことを
忘れるためにきたのよ。

シュレディンガーがいるらしいんですよ。
あ、そうそう、その名前、
さっき思い出せなくて。
とサラが言った。


解説)
応接間での会話はまだ続くようです。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Feb 27, 2023

メルティの世界 そのご

a1

話し合いの結果、
シュレディンガーと猫たちは
メルティの夢の部屋で暮らすことになった。


a2

私もここにいてもいい?
世界のサイズがぴったりで快適なの。
とピノコが言うと、
それは嬉しいわ。
とメルティが言った。


a3

サラやマリアは元の町に戻ることになり、
メルティも魔術劇場のハリーたちに
ここで起きた出来事を話に行くことにした。
また後でね。
と言っている。


a4

さっそく扉を抜けて
3人が魔術劇場の応接間に行くと、
ヴィヴィアンとハリーが肉まんを食べていた。

おや、お帰りなさい。
と言われている。


a5

ヴィヴィアンは、
とりあえず大きくならないとね。
と言って呪文を唱えた。


a6

するとメルティの抱えていた
子猫のクロも変身してしまったのだった。


a7

この姿は?
とクロは戸惑っている。

この人は魔法使いで、
人の大きさを変えられるのよ。
私、人間じゃないのに。
こういうこともあるのよ。


a8

メルティは、
ハリーとヴィヴィアンに、
夢の世界で起きた出来事のあらましを話している。

百猫を率いるという人面のライオン、
シュレディンガーの噂は聞いたことがある。
とハリーが言った。
私はそんな思いつきの創作童話みたいな話、
聞いたことがなかったわ。
とヴィヴィアンは言った。

サラはジョンから借りた拳銃を
返し忘れたことに気がついて眺めている。
拳銃のサイズも大きくなっているようだ。


a9

私たちの世界へようこそ。
私が案内してあげる。

ありがとう。嬉しいけど私猫の顔のままだし。
大丈夫。あなたのような人もいるから。
そうそう、私たちの犬猫同盟に参加すればいいのよ。
歓迎するわ。
とマリアは言った。



解説)
クロのヘッドも
以前のトラ猫のヘッドと同じく、
カプセルトイの猫バッジを使用しています。

カプセルエースネコバッジ(全五種)
2019年2月発売、同年12月再販。
Posted at 20:20 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jan 27, 2023

時期遅れの書き初めなど

c1

ジェニーたちの部屋では
またみんなで双六をしていた。


c2

今度は宇宙大冒険すごろくのようだ。
次はたまきの番だよ。
と言っている。


c3

今いく。
たまきは随分時期が遅れたが
書き初めをしていた。


c4

この言葉、前にも書いたことなかった?
最初あいこちゃんが書いたんだよ。
名言だからね。


c5

たまきがサイコロを振ろうと
ちゃぶ台に近づくと
帰ってきた黒猫が飛び乗ってきたので、
盤面が乱れてしまった。
あー。
だめよクロ。
私月にいたはずよ。
などと言っている。


c6

黒猫のマリアは寒い寒いと言いながら
膝掛け用の毛布に潜り込んでる。


c7

その頃、探偵事務所には春節なので
郊外でビストロを経営している
アルが遊びにきていた。


c8

回文遊びをした去年の暮れ以来だね。
この事務所、この一年で随分賑やかになったみたいじゃないか。
ああ。探偵助手の見習いのドロレスと、
その手伝いのミューが、同居しているんだよ。
それにエリスの友人のメアリー・シェリー博士も
遊びに来ているし。


c9

そこにレプティリアンが現れた。
アルは初めて見るので、
すごいコスプレの被り物ですね。
と言っている。



解説)
たまきの半紙の書き初めは
随分前に掲載したものの再利用です。

2006年の元旦に初出。
言葉は戦前のかるたの句からとられていて、
最初はジェニーフレンドのあいこちゃんが
書いたことになっていました。
2013年の元旦にも使い回しています。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
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