Jan 31, 2006

『中空前夜』・連載批評その5

 この詩集でも、まだ停滞していると正直に言おう。しかし、これまでと同じような書き方でも、題材やストーリー、細かい展開、一歩の歩幅のちがいで、「新しい詩」を書くこともできる。「ホームにて」がそうだ。須永紀子がこだわる「前」へ進むということには「生き方」が変わるということが含まれていて、とても困難な課題を自分に課している。

  1956年生まれのこのひとにとって、「前」に進むということはどういうことなんだろう。どうすればいいのだろう。しかし「方法」や「書き方」のみの変化で、新しさで、知識を吸収することだけで、「前」に進んだとしない須永紀子という詩人をぼくは、この時代の数少ない、詩の並行者だと思っているのだ。

                              (了)
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