Jul 27, 2006
「夏が過ぎるまで」
愛敬浩一の詩集「夏が過ぎるまで」(砂子屋書房)を読む。一度読み、もう一度読んでみた。
基本的に日常のスケッチを書こうという態度をとる。日々の出来事、自分の行動を切り取って書き進める。
簡潔でくっきりとした、よく削られている言葉。日常のひとコマが切り取られると心も一緒に浮かび上がってくる。よく削られているが字間のあいだが急いでいない詩の言葉。
「いつもの四つ角」「鹿の声」「断片 2」がお勧めです。
そのなかのひとつで、よく削られている言葉というこの詩集の特徴とは少しちがってくるが、散文形の「いつもの四つ角」を全行引用で紹介してみたい。佳作です。
いつもの四つ角 愛敬浩一
詩なんていつでもいくらでも書いてみせるすべては通勤の朝の道疲れ果てた帰
り道に転がっているそこから拾ってくるだけのことだただできれば昼間の最も
集中できる時間帯の二時間がほしい静かな部屋やや大きめの机があり禁煙では
なく飲み物付きで椅子はもちろん固めでできれば学校でよく使われている木製
のものがいい飛行機なんか飛んでいる様子が見えたりしたらなおいい大きな窓
じゃなけりゃいけないもっともあまりまぶしい席はいやだ暑い日はだめだな雪
をみながら書くのもいいかもしれないいやいややっぱり秋がいい過去の日のあ
れこれが思い出されて記憶が落ち葉のように窓の外を舞っているそこには詩が
あるはずだだが時間がない今日もいつもの四つ角の信号でつかまり左側の歩道
にはいつもの長身の中年男が歩いてくる彼と私はほぼ毎日すれ違うのだがつい
に出会うことはない
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