May 25, 2007

「日本映画300」

 古本屋で買った佐藤忠男の「日本映画300」が面白い。

 1910年の「目玉の松ちゃん」こと尾上松之助主演・牧野省三監督の「忠臣蔵」から始まって、今、1975年の小林正樹監督の「化石」まで読みすすめているところだが、すべての映画評が文庫本サイズの見開き2ページに収められ、テンポよく読める。

 1930年生まれの佐藤忠男は戦争中、少年飛行兵に入隊している。戦争、敗戦、敗戦後の社会を体験してきたわけで、ずっと読んでいると、佐藤忠男の戦後史についてのエッセイを読んでいるような気持ちになる。

 佐藤忠男という映画評論家の名前はかなり前から知っていたが、こんなに気持ちを乗せた、いい映画評論を書く人だとは知らなかった。日本映画の生き字引のような人で、今井正にシンパシィを感じていること、黒木和雄の「竜馬暗殺」はあんまり好きじゃないんだなと分かったりするが、これは貴重なすぐれた映画についての一冊だと思う。

 日本映画のなかから300本の映画を選んでいるが、この300本はフィルム、ビデオで観ることができるものから選んでいると、「はじめに」で説明している。佐藤忠男が「とにかくこれらの映画を見てほしい」と思うからで、その映画への思いがつたわってくる映画評集だ。1995年朝日文庫から出版されている。  
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