Nov 18, 2007

「中村勘三郎楽屋ばなし」

 古本市で買った関容子の『中村勘三郎楽屋ばなし』、30円だったけど面白い。この中村勘三郎は今の勘三郎ではなく、先代の中村勘三郎。読んでいて非常に魅力的な気さくな人だなと思う。肌合いはちがうが兄の中村吉右衛門が小宮豊隆と対談しているときの面白さと似ているところがある。

 読んでいて思うのは、歌舞伎というのは芝居全体を受け取るというよりも役者が演じたある場面の演技をほめたり、けなしたりするのが劇評のようなもんなのだろうか。全体を観るのではなく、あそこはよかったとか悪かったとか、そんなふうに芝居を観ていたんだろうか。今の観客はそんなふうに歌舞伎を観ることができるのだろうか。今は全体を観てしまう、観ることのなかに批評するということが自然にふくまれているんじゃないかと思うが。

 ぼくが唯一観た歌舞伎というのはたしか日生劇場で『夢の仲蔵』という松本幸四郎と市川染五郎がでていた芝居だけで、第一部にくらべて第二部はなんか観客にサービスしているような芝居だなというのが強い印象で、あれはいま思うと第一部は「観る観客」のため、第二部が「楽しむ観客」のためというような対応の仕方をしていたんだろうか。ちょっと向きを変えるというふうに。いつか歌舞伎座で芝居を観てみたい。    
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