アーカイブ: 2008年3月

2008/03/31

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詩の歳時記ー126


   (Photo by KIRI)

少年の髪白みゆく櫻狩    齋藤慎爾

さくらの森へ行ったまま
少年は帰ってこなかった
髪に霜をいただいた男が
折れた弓矢を抱えて
しずかに森の出口に腰を下ろしている

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2008/03/30

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詩の歳時記ー125


(Photo by K.T)

野遊びの傷舐めて血の甘かりし      中村苑子

思い出を摘みに行ったまま
あのひとはまだ戻らない
過去形の棘に刺されて
指先から甘い血を流しながら
どこまで行ったのでしょうか

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2008/03/29

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詩の歳時記ー124


  (Photo by Garakutabako)

見えかくれ居て花こぼす目白かな     茨木和生

こぼれてくるのは花びらではない
あれは小さな一輪です
隠れているのね めじろ
花の蜜を吸って
花を首から落して 飛び去るのね

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2008/03/28

Permalink 11:22:11, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 1180 Japanese (JP)

詩の歳時記ー123 「桜」

桜咲く前より紅気立ちこめて    山口誓子

春のしずかな序章
温みはじめた大地から
裸樹が紅色の樹液をしずかに吸い上げる
まもなく咲く
むずがゆい大気が大きく息をした

2008/03/27

Permalink 22:12:12, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 610 Japanese (JP)

詩の歳時記ー122

朧夜や不在が座する椅子二つ      高田昭子

待つことに倦む
愛することに傷を負う
朧の夜に 空席二つ
花を置く 
まぼろしの少女が絵本を開く

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2008/03/26

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詩の歳時記ー121


 (Photo by Garakutabako)

落椿まぬがれ難く影添いぬ    田島隆

われらはどこから来てどこへゆくのか?
光りはいのちを育み
時間はいのちを食む
花の血がしたたる時 
そこにちいさな影が生まれる

2008/03/24

Permalink 22:37:01, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 542 Japanese (JP)

詩の歳時記ー120

春の午後素直な水車まわるまわる    高田昭子

雪解けの水が流れを急がせて
川面はうすい湯気をたてている
山里の小屋は誰もいない
水車がまわる
水は空をちいさくめぐる

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2008/03/20

Permalink 17:16:38, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 716 Japanese (JP)

詩の歳時記ー119


 (Photo by Garakutabako)

臘梅や地軸ゆっくりきしむ音     田島隆

地上の時間を告げるものは
開花だろうか
地軸のめぐりか
花が咲くたびに
地軸はかすかに急ぐようだった

2008/03/18

Permalink 15:37:53, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 851 Japanese (JP)

詩の歳時記ー118


 (Photo by Tetsuo Shimizu)

はくれんのとどく二階の子のうまゐ    小原俊一

春のひかりのなか
二階の窓辺の高さまで
父の植えた白木蓮が育ちました
幼子のうまゐを
見守る樹となりました。

2008/03/16

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詩の歳時記ー117


  (Photo by KIRI)

馬酔木咲き歳月戻す雨の中      古館曹人

馬酔木の花が今年も咲きました
した した した 雨が降る
はた はた ゆら ゆら はたた 花が揺れる
「死者の書」のページが開かれる
二上山の麓 当麻寺の伝説がよみがえるとき

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2008/03/15

Permalink 13:37:00, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 581 Japanese (JP)

詩の歳時記ー116


   (Photo by KIRI)

沈丁の香をのせて風素直なる      嶋田一歩

風はひとをかをりの在り処に誘う
ひとはあたたかな風に
素直に身をまかせる
季節は約束を違えずに訪れる
生きていることへの祈りに似て

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2008/03/13

Permalink 20:53:38, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 842 Japanese (JP)

詩の歳時記ー115

ちちははを送りしのちの春の児よ      高田昭子 

いのちは引き継がれました
わたくしたちはその紲のどこにいるのか?
春のあけぼの 産声が聴こえる
ちいさなもののかがやき
ちちははよ これは地上のできごとです。

2008/03/11

Permalink 12:44:34, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 575 Japanese (JP)

詩の歳時記ー114

野に出でよ仮想家族に花筵    高田昭子

ひとはやさし
花はうつくし
草は萌える
一枚の写真
春の一日

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2008/03/09

Permalink 22:58:42, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 646 Japanese (JP)

詩の歳時記ー113

花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ   杉田久女

花疲れのからだから
帯を解く 紐を解く
こころは解けない
華やいでいた真昼の花野
いまは夜

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2008/03/08

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詩の歳時記ー112

月朧湖心に龍を釣りに行く   つぶやく堂やんま

釣り上げた龍は
湖心から空の裏側へ
愛したひとは神かくし
名残の裏にかくれているのですか
朧は深くなるばかり

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2008/03/07

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詩の歳時記ー111

鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし     三橋鷹女

鞦韆は空に吸い込まれてゆく
そして空を脱いで戻ってくる
ひとの想いの振り幅は定めがたく
すでに愛は漕ぎだされました
ただ 奪うために・・・・・・

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2008/03/06

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詩の歳時記ー110

糸電話ほどの小さな春を待つ    佐藤鬼房

今日の午後に吹く風は
電話の糸をふるわせています
くぐもる声は誰ですか?
ちいさな花のなかの
もっとちいさな蕊の質問

2008/03/05

Permalink 16:34:58, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 622 Japanese (JP)

詩の歳時記ー109

野遊びや少女はいつも母の役       高田昭子

「ごはんの時間ですよ」
母の口調そっくりに少女は少年を呼ぶ
少年は捕虫網を担いで 茣蓙に戻る
葉っぱの上には花びらのごはん
少女の膝に 食むことのない人形が・・・・・・

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2008/03/03

Permalink 02:30:07, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 599 Japanese (JP)

詩の歳時記ー108


  (Photo by Tetsuo?)

草の戸も住み替はる代ぞ雛の家    芭蕉

春の小家には幼い少女が似合う
やがてそこは雛の家になる
小さな手に余る雛道具
母が一つづつ並べてゆく
やがて草の枢が温い息をはく

 *枢=とぼそ

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2008/03/02

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詩の歳時記ー107

行く春や鳥啼き魚の目は涙     芭蕉

旅立ったのちのこの草の戸は
やがては雛の家ともなろうか
歳月は過客
人も鳥も魚も 涙して送る
旅人は川を渡り 行く秋までの旅へ

 *  *  *

歳時記によって、「なみだ」は「涙」または「泪」の表記に分かれています。
またこの句は「奥の細道」の最終部にある「蛤のふたみに別れ行く秋ぞ」と対応しているのではないか?とも思われます。

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