アーカイブ: 2008年4月

2008/04/30

Permalink 21:22:13, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 689 Japanese (JP)

詩の歳時記ー148


 (Photo by KIRI)

関守へ抜け道細し韮の花     熊本ふみ

ここには関守石が一つあります
ここから先はわたくしは行けません
あなたが一人で抜ける細道です
白い花の咲く関所
通行手形は一枚です。

2008/04/29

Permalink 16:17:25, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 633 Japanese (JP)

詩の歳時記ー147


  (Photo by KIRI)

行者みちと杣みちは別著莪の花     杉岡せん城

ここからは道がわかれています
あなたは行者みちへ
わたくしは杣みちを歩いてゆきます
もう一度会える時の標として
この花に別れの言葉を告げましょう

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2008/04/28

Permalink 14:08:39, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 650 Japanese (JP)

詩の歳時記ー146

百年後の見知らぬ男わが田打つ      齊藤美規

胸のうちにひろがる田園は
一面の白詰草が拡がっている
摘み草の少女が時折あらわれて
女王の冠を置いてゆく
繰り返された百年の時間の祈り

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2008/04/27

Permalink 02:18:10, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 857 Japanese (JP)

詩の歳時記ー145


 (Photo by Kitami)

万緑の中や吾子の歯生えそむる     中村草田男

木々の若葉が揺れ
ひかりのなかで日ごとに空に拡がる
やわらかな歯茎がむずがゆい
微熱が真新しい歯を押しあげる
春 はじまる 

2008/04/24

Permalink 13:27:35, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 598 Japanese (JP)

詩の歳時記ー144

《蝶来タレリ!》韃靼ノ兵ドヨメキヌ      辻征夫

銃口の先端に蝶が翅を休めている
ソノ光景ヲ想像シテミタマエ
キミハソレデモ銃ヲカマエラレルカ?
韃靼ノ兵スラドヨメイタ
ソノ光景ヲ永遠ニ記憶シタマエ

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2008/04/22

Permalink 22:08:05, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 734 Japanese (JP)

詩の歳時記ー143

   

風船切れる少年無重力になる    上甲平谷

風船消ゆ空の渚にこゑのこし     石原八束

幼い手から逃れた風船を
追いかけていった少年は
空の渚を永遠に泳いでいる
戻ってこない子供を待ちながら
母はちいさな井戸になる

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2008/04/20

Permalink 16:19:25, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 594 Japanese (JP)

詩の歳時記ー142


   (Photo by KIRI)

径に出し筍二つ如何にせん     高浜虚子

筍の親竹遠くはえにけり      村上鬼城

地の闇は深く広く
根は屋敷裏に休むことなく拡がる
やわらかな土を押し上げて
やがて幼い児が地上にあらわれる
竹取の翁の多忙な春

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2008/04/19

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詩の歳時記ー141


   (Photo by Kitami)

竹落葉神仏習合うまゐして    高田昭子

やすらかな笑み
かわいた竹落葉の音に抱かれ
その眠りのなかに入りたい
わたくしたちは孤独に慣れすぎた
取り戻すものがあったのではないか

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2008/04/18

Permalink 15:15:55, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 624 Japanese (JP)

詩の歳時記ー140

燦々と日裏日表風若葉      原コウ子

あたたかい春のひかりが
大欅の若葉の眠りを覚ます
目覚めてから知った葉裏の影
老いた樹はつぶやく
「美しいあの影にも耐えておくれ」

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2008/04/17

Permalink 16:47:42, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 630 Japanese (JP)

詩の歳時記ー139

木瓜咲くや漱石拙を守るべく    夏目漱石

ちいさな花に託された言葉
「稚拙なままであれ。」と。
生きることに慣れることはできない
言葉への道のりはあまりにも遠い
死者との対話が続く

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2008/04/16

Permalink 15:10:17, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 634 Japanese (JP)

詩の歳時記ー138

女身仏に春剥落のつづきをり     細見綾子

晩春の縁側に端座する
うつくしい祖母よ
あなたは静かに春を脱ぎ
夏も秋も身のうちから送り出して
無傷の冬になろうとしておられます

*「女身仏」=「にょしんぶつ」

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2008/04/14

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詩の歳時記ー137


   (Photo by Kitami)

菜の花に招かれ小さく小さくなる    伊豆三郷

春の道草
いつまでも帰らないひとは
晴れた空に包囲されてしまった
あるいは菜の花の蔭で
ちいさなひとになったのだろうか

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2008/04/12

Permalink 19:36:09, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 612 Japanese (JP)

詩の歳時記ー136

春の闇幼きおそれふと復る     中村草田男

ひかりのなかで遊び疲れた児は
深い眠りのなかに揺れていた
夜更け 一つの窓が開いて
小さな風が吹くと
ひっそりと闇のなかに目覚める児がいる

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2008/04/11

Permalink 16:17:28, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 574 Japanese (JP)

詩の歳時記ー135

胎内の闇隠しをりチューリップ      高田昭子

視界がふいに明るくなる
地平線までを埋め尽くす花よ
あなたの頽れる姿は見ずに去ろう
花びらにかこまれた小宇宙の
そのあたたかさを想いながら

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2008/04/10

Permalink 17:44:15, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 626 Japanese (JP)

詩の歳時記ー134

菫程な小さき人に生れたし     夏目漱石

花を踏まずに歩けるか
試されながら野を歩く
ガリバーの哀しみが
胸のなかで滝になる
花たちよ わたくしを捕えて

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2008/04/09

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詩の歳時記ー133

   

たんぽぽをぽんたたといふ童いて      高田昭子

「おじいちゃん かたちゅむり」
童の言葉に翁は腰を落す
おおきな肩の上にひろがる春の空
「ぽんたた いっぱい」
翁は野花を踏まないように歩いてゆく

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2008/04/08

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詩の歳時記ー132


   (Photo by K.T)

赤ん坊のどこもやわらか花辛夷    滝沢文枝

生れ生れ
あやういちさきいのちよ
五本の指の握力
乳を吸う強い唇
白い花の祝福

2008/04/07

Permalink 20:52:07, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 575 Japanese (JP)

詩の歳時記ー131


   (Photo by KIRI)

浮雲の影あまた過ぎ木瓜ひらく    水原秋桜子

雲が風にうながされ
姿を変えながら流れてゆく
地上に描かれた影も
時のようにめぐり
開花の季節を伝えてゆく

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2008/04/05

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詩の歳時記ー130


  (Photo by Garakutabako)

遅れ咲きいまの落花に加はらず     山口誓子

花の時間は同じではなく
ひとの時間も同じにはなれない
時の微細なぶれのなか 
すべてがやさしく
風の時間になってゆく

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2008/04/04

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詩の歳時記ー129


  (Photo by Denden)

妹よ来よこゝの土筆は摘まで置く     高浜虚子

妹よ 北の国に春がめぐってきた
母のような土筆が
輝いている故郷だ
誰も摘み取ることのできない
無名の生を寡黙に生きている母だ

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2008/04/03

Permalink 18:47:28, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 631 Japanese (JP)

詩の歳時記ー128


   (Photo by K.T)

菫かな白寿の母を生みたるは     上野まさい

春の野辺にたたずむと
母のからだは透きとおるようだ
その足元から影がひっそりとのびてきて
わたくしの足元に届いている
そこに咲いていた菫

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2008/04/01

Permalink 22:50:15, カテゴリ: 詩の歳時記, views: 664 Japanese (JP)

詩の歳時記ー127


    (Photo by KIRI)

まなぶたのいくたび冷えて桜守    神尾久美子

花冷えの夜
桜守は樹の根方でまぶたを閉じる
夢のなかでは花散らしの風雨はなく
しずかな時がめぐっている
冷えたまぶたにはひとひらの花びら

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