アーカイブ: 2009年8月

2009/08/27

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詩の歳時記ー315 「蓮の実」


   (Photo by rinzou)

蓮の実の飛びし音など母の家      佐伯尚子

古い家にはさまざまな音がする
床のきしむ音 雨樋を流れる水音
病む母のかすかな寝息
ガラス窓カタカタと鳴って
蓮池では蓮の実の飛ぶ音して

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2009/08/24

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詩の歳時記ー314 「秋暑し」

秋暑し喰わず嫌いの聖書かな      高田昭子

地表の熱さが残る駅前ロータリー
夜風が異臭を運んでくる
その正体は不明である
付きまとわないでね
自己評価のみ高い聖書売りさん

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2009/08/22

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詩の歳時記ー313「鰯雲」

鰯雲「馬鹿」も畑の餉に居たり         飯田龍太

この句は、清水哲男さんが主宰されている「増殖する俳句歳時記」8月21日に今井聖さんが解説されたものです。すばらしい解釈ですので、このまま↓にコピーしました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 今でいう知的障害の人を地域がごく自然なあり方で支え共に生きていく。長い間、田舎で暮らした僕には思い当たる風景はいくつもある。畑の餉は昼餉のことだろう。老いも若きも赤ん坊も誰も彼もみんな大地の上で昼餉をとっている。ここにも飯田龍太という俳人のあるがままの肯定すなわち無名の肯定が生きている。馬鹿という言葉はすぐ喩えにとぶ。そうならぬように作者はかぎ括弧でくくった。言葉のイメージが広がって独り歩きせぬように意味を閉じ込めたのだ。(今井 聖)

  『百戸の谿』(1954年)所収。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 知的障害者と言われる人は、わたくしの記憶の風景のなかに、確かに存在していた方々でした。それは特別な風景ではなくて、さまざまな人間の知的差異をすべて飲み込んだ世界があったように思います。こうした方々がすべてにおいて「劣性」であるのか?というと、そういうことではない。映画「レインマン」に見られるような卓越した記憶力や集中力がある人、あるいは桁外れの怪力であったり、とさまざまです。

 山村育ちの知人の話では、村の唯一の交通手段である「バス」の時刻表は、すべてその村の知的障害者の若者が覚えていて、村人は彼に聞いていたそうです。勿論悪餓鬼の悪戯の的になることもありましたが、村中で彼を守っていたそうです。しかし女性の知的障害者は、ある程度隔離されながら生きていましたが、これはその女性を性的侮辱から守るためだったそうです。

雲を追ってどこまで行くのか?
この駄馬を引いてくれ
おまえの魔法の力で土を生き返らせてくれ
陽影の長さが短くなったときには
この野良で共に昼餉を食べよう

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2009/08/18

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詩の歳時記ー312 「秋たつ」

そよりともせいで秋たつ事かいの      上島鬼貫

幾たりかの夜は次第に時間をのばし
音もなく昼の時間を削り
眼がさめたら
空には魚の名前の雲が泳ぐ
けものの名前の雲は見えない

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2009/08/16

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詩の歳時記ー311 「盆」

古き名の女優ありしや盆カレー       田代田

「盆」ではなく仏語の「bon」?
無粋なことを言うではない。
盆のカレーなのである。
ブリキの看板 女優なつかしや
盆も過ぎてしまったが・・・

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2009/08/14

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詩の歳時記ー310 「敗戦日」

敗戦日父は父となる夫となる          高田昭子

愛することは帰ること
その日 父は部隊を離脱した
異国となった大陸を彷徨い
死と隣り合わせの一生で一番長い旅をして
妻と子のもとへ帰ってきた

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2009/08/12

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詩の歳時記ー309 「風船かづら」

あをあをと風船かづらともりけり        平井照敏 

光あふれる公園の柵に
若緑色の集光器が点々と吊られている
ふくらんだまろみのなかに
どのくらいの光を孕むのか?
夜に残光を見ることはありますか?

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2009/08/09

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詩の歳時記ー308 「長崎忌」

珊瑚樹の赤い実房や長崎忌          齋藤朗笛

熱い季節 熱過ぎる記憶
死者は眠れない
生きる者の悲嘆は消えない
わたくしたちはどこへ行くのか?
父母の記憶を抱きしめながら

  *   *   *

①原爆忌腕鈴なりの電車過ぐ        隅治人

②原爆忌市電無数の手を吊りて      今井勲

②はすでに「詩の歳時記ー306」に取り上げた句ですが、①を見つけて動揺しました。これは一体誰の腕であり手なのか?死者の幻の腕や手に重なる生きる者のそれではないか?記憶に留めよ。全身で。

2009/08/08

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詩の歳時記ー307 「終の蝉」

終の蝉声を限りに鳴きなさい      高田昭子

秋立ちぬ とはいえ 
樹々のなかでは
蝉しぐれ 蝉しぐれ 蝉しぐれ
わたくしの耳のなか
たくさんの樹が立っている

2009/08/06

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詩の歳時記ー306 「原爆忌」

原爆忌市電無数の手を吊りて         今井勲

熱い朝
市電の吊り革にもたれているのは死者の手か
あるいは生きる者たちの疲れた手か
いつまでも抜け出せない闇のなかから
一日分の朝を走る 

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2009/08/04

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詩の歳時記ー305 「夕端居」

生も死もたかだか一字夕端居       宮澤映子

鳥たちが集まる
夏の塒に帰るため
秋には離散する鳥たち
生も死も一羽に一つ
そしてわたくしにも

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