お百度詣   大塚楠緒子
           (1875〜1910・東京生まれ)

   ひとあし踏みて夫(つま)思ひ、
   ふたあし国を思へども、
   三足ふたゝび夫おもふ、
   女心に咎ありや。

   朝日に匂ふ日の本の    
   国は世界に唯一つ。
   妻と呼ばれて契りてし、
   人も此世に唯ひとり。

   かくて御国と我夫と(*)
   いづれ重しととはれれば
   たゞ答へずに泣かんのみ
   お百度まうであゝ咎ありや

――『太陽・第11巻第1号・1905年』収載――

大塚楠緒子(くすおこ)は、夏目漱石の友人で美学者「大塚保治」の妻である。1905年(明治38年)に、この作品は発表されました。しかし翌年、佐佐木信綱選によるアンソロジー『歌集・あけぼの』に掲載される時には(*)印の1行が削られていました。この歌集には、川田順、木下利玄、片山博子らの短歌と、大塚楠緒子、小花清泉の新体詩が収められているようです。

1993年、詩人吉原幸子、新川和江主宰の季刊詩誌「ラ・メール」は40号をもって終刊しました。その1号前の39号では「特集・20世紀女性詩選」に1冊の大半を費やし、約130名の女性詩人が紹介されました。その最初の詩人が大塚楠緒子でした。もちろん原詩のままでした。


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