京都、西山の国道沿いにて
 



力は静かであれば良い

生まれ、開いた
新緑の葉々が夏風に波打つ
初夏の一日
大地のくぼみの底で
国道沿いで自動車は泳ぎ
大きめな魚、色取り取りのバスが行き交う

この一日(ヒトヒ)の温(ヌル)い水流が頬を乾かし
喉元を汗で濡らしていく
思う事どもは心配であったり、
予定表に結びつけられているはずなのだか
通りを歩けば分断される
関心はもっぱら水の流れにまかせて
意識は運動に集中する
ぬれそぼる身体(シンタイ)は魚へと
変心していく

炎天の苦しみを予感に縁取られ
体調はまだ冬からも適応していない
私は長い間、春に気づかず
夏を忘れていたのだ

この海はいつ津波に襲われる?

夏はいつかは秋に落下する
その日まで、このミズから
飛び立つ
昆虫の「春」がやってくる
すなわち夏
滅び行く日々を知りつつ
生きる生命体の日常

それは思考ではない
それは予定も知らずに過ぎていく
だろう

初夏の国道沿い
この路は拡がるものらしく
上昇する気温のなか

この世のなかを
不安の巨大な海流が流れて行く


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詩作品「風の宿り」Haizara net(top page)Shimirin's HomePageUrokocitySiteMap