瓶の森 / そらみみひろば
 

  瓶の森

ゆるい界隈がはぐくんでいた
あかるさ まやかし ぼうきゃくのそよぐ
路地うらたちのかおりをもたげ
いない感情をさしだして
うそをつきましたね
ええ ちっともわすれたくて

くだけたしたたりが
おんなをふうじこめるそうですよ
こうすいのいろをさがしていました
あれた呼気がおとこをつぶやき
やさしいから
きはつのなかで あなた
つげましょうか
さむいほどにがらくたです

ああ ちっともおぼえました
ゆきかうせつながくびをふりふり
だまるしずくにひめいをあげた
街はとてもいりますから
いくえにもかんけいをといたくて
まだかぎますか
いっぽんみちもふるえていたから
ますます息 うばいたくなる

にぎったしへいをかすめるあいだ
のこりがをわすれた界隈でした
もくしたひめいがよふけをまつので
やぶきたい やめてください
ぶんりをたばねたらきっととおる
ではねがいのなかでふきだまる
あの関係はおもいだすだろう
かしら
みあげたつきがかさをほどき
うそのかたえにさしだすおとこだ

ひとどおりはどんどんじゃまです
うれないそぶりをあびたつき
きっとまぶしい くるしいから
かたむくおもいにかわきたかった
ひとごこち しろい息 なれのひそむ
つけますか
いえ おどるようにかおるつき
まちたかっただけなんです
しぼんだおんなももうすぐふくれる

界隈のとぎれにみつけました
へんしょくのどんどんぬれ
やどしたかたちのよすがにあせた
ちりをはこんだすじのするどい
ときにあきびん いってきの
いいえ ちっともべつじんです
きおくにはいつにもまして
においがない

すりへるえきたいはわらうようです
はかりうり かたむけて
ぶれた回数がつりせんになる
どうかそのこうすいをうめてください
にじんだかさはむせそうですから
がらくた ほんとう かつてにさわる
いまではきっとこそばゆい
とおのいて
あせばむおとこのかるいよる
呼吸はびんをいつしかしめった




  そらみみひろば


袋のさらなるとじこめ、しらずにすめばよかったえがお、わたしはだれ
をもしゃべらない。つまり、くずれた音階によせたかたまりだったのだ
ろうか。おとなたちははいごをうずき、きれいな膜に、そのみがかれた
つぶやきに、おそらくすべての、口にやどさなかった赤裸々や、むくろ
をかすめるおうごんたちを、
みしらぬひろばに、つみあげていったのでしょうね。

ねじれた袋をかじっている、はきだして。ざわめきににて、と、まさぐ
る指もたわんでいたのだろう。穴のようなおきてのかたすみで、かなで
るまもなく、かれの接吻がらせんをえがき、さかしまのコトバをむすん
でいるのがわかりたかった、とほうにくれた。たばねた文様がわすれた
さきでうずくとしても、こだまだったかになすすべがない。ふきだまっ
て、うっけつして、
じゃあ、ひろばはくるしくならないのかしら。
こたえをほふった袋については、おとこたちを感謝がぬっていたという。
コトバをたばね、あいさつをあたらしくまといながら、おんなたちは食
むようにして、きぬずれのせつなをよぎっていた。そうではなかったか
もしれない。いにしえのしょうもん、かさねたけっそん、ひらかれた穴
は、けっして、だれをもいわなかった、
こがねにはどろがまじってゆくのですから。
袋たちはすこしのつちくれをおりこみ、はんすうし、そらの、からのき
しみにふるえていたのかもしれなかった。のどのうねり、べつの口びる
のふきだまった、おえつにすらならないかんかくがもたげてくるので、
わたしたちは、けっきょくだまるしか、ますますのつちに、きらめくさ
いごがねじれている、
たかれた火の、あおぐそらはまぶしいですか。
袋をもれる風をわななきでふさいでいた、あれはだれのかがやきだった
か。しぐさを表情でたわめ、おとなたちはいみありげに、つまりなにも
なさないことでどろをかたくしていたのだった。どんなよこがおもふい
ですか。砂金めいたさそい、ほのおのまつえい、ていちゃくはつめこむ
無言にみえたか、きっとかくれてわななくだろう。なぞった舌先をきこ
えない。だからどうか、はじめてのようにつみあげてくださいね、
ひろったそらみみであついほどのひろばです。


初出:『すぴんくす』vol.3 2007.4


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