擦れ合い
 

うなだれた気候がつづいた、めくるめく陽射しがぼくたちをまどわ
せ、といいさしてはたたまれた汗。だってあなたはひからびた熱帯
のようにわれているんですもの。どこまでもひびのはいった誤謬だ
った。毛細血管のように、と女はいいかげん願いたくなり、冬の光
をまちがえるだろう。雪はとてもまぶしいのですね。うんざりする
ほどはれたまぶたで、わたしたちは五月をかさねあわせ、暖かさに、
冷たさに、つまり中途な値に皮膚を想うのかもしれなかった。かな
でられた愛撫はいつもあたらしく、時間をつみあげ、ないまぜにし、
つまりたがいをくくれるくらいには、まちがいをみのがすことがで
きうるような気がしていたのだ。指さすことなく、よどんだ季節、
とだれががかたむき、その角度をもって湿度がかわった。つめたさ
が火傷になるように、ぬくもりが身体をうらがえすのを、わたしは
なんども、はじめてのように、いない男にたいするようにながめて
いる。だってあなたはくぐもる呼吸のように耳にさわるのですもの。
信じきれない駆け足だった、描かれた円はおおむね彼に着地しよう
としているのだが、もろいきっかけがさしさわりになるのだった、
ぼくたち、と声をひそめ、かきあつめては、生きいそぐような無駄
がある。かわいた石の亀裂がまぶしい。あれた肌理に何通りもの出
会いがあり、ぬるい気温を、もとめていた刹那をきざむのだった、
かたわらで、かたずをのんで。女はとうからわかたれていただろう、
いないはずの、ふりつもった雪のかたちが声をころした。男はいな
いことになじまぬまま、なれていっただろう、ありえたまばゆさが
汗をにじませ、したたる寸前で夏を仰いだ。まるで祈るように。わ
たしたちは相互に、くるまることで思い違いをあびせていたのだっ
た。信じたそよぎが首筋に、そうとはしらずにうなずいている。水
をぬうように祈ったか、描かれた肌の、色のない、感触だけがあた
まをもたげた。すっくと立っただれかがいとしい。


(「COAL SACK 51号」2005年3月より)


前ページ     次ページ


上海帰りの豹 目次に戻るHaizara net(top page)Shimirin's HomePageUrokocitySiteMap