記述蒼
2003.9.21

かけらの記述によって、夜をうつす。ぬけてゆくあおさがあり、な
じむことのないできごとがあった。彼はしんそこうずくまり、ぶれ
ることでもちこたえる。せすじのなめらかな余韻だった。ながれて
は後ろ髪でかきとって、というはじまりがあり、夜更けのなかに色
をおとす。たぶん、しずく。したたって、男のそよぎはうすれるだ
ろう。記述はいまのところまっすぐだ。
ねぶるようなかわきがある。反故のなかでねむっている、やわらか
な鼓動の彼女をまえに、うしろに。べつのあおさがもちこたえ、あ
なたの居場所をあたためている、と挿入したがる、わたしは記述を
なんどもうしなう。ほつれた箇所はうつくしくなんか決してない。
かかえるような夜更けだった。うつぶせの女が寝がえりをうち、に
じんだ想いがはぜてゆく。
夜道をめくるたびに、あざやかさが置き去りにされるから。色彩は
とても無尽蔵で、うけいれては身もだえし、られてはきっとすがり
たくなる。すきまにさしだすぬるんだ手。はじくように、彼ははい
でてきたのだろう。仕草のあおさがそそるのだ。ねばつく露が交互
にわたる。そそいでは、こぼれるのはわたしであったか。ふりほど
く、記述のあいまがいとしくなる。
えらんだことがもどらない。宵闇はめずらしいほど照らしながら、
三叉路付近を否定する。彼女は二股のてまえで熱くなり、つまずく
ようにひとつを忘れる。あなたの記述はとぎれては、帰れない場所
のようにやわらかだ。息をこらす寝息があり、女はきっとやましく
めざめる。あおさは安定では絶対にない。から、こそ、だきかかえ
て。ぬくもりのはてに波うつ影。ふれそうで、しずくよりも、かわ
いた汗がなつかしくなる。
かさなってははがれてゆく、逢ってゆく、一期の区切りに降りたつ
こと。波のような朝方が、けがすことさえしないのであれば、あお
さはどこでたちきれる? しずんだまなこをひきよせては、似たも
ののなかで洗ってやる。返答をそそぎ、みあげる男に、空耳のなか
で彼女は憩った。おおねむひとつの昨晩が、道よりもなおあかるく
なる。縦だったか、横だったか。首をふってはわたしはこらした。
すきまに記述がやってくる。


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