雪がふる

雪がふる

高田昭子

時間はしずかに降っている
わたくしたちは
きっとどこかにたどり着けるだろう
地点でもなく 安息の場でもなく

空と地上のあいだを
雪が舞い
闇が少しづつ深くなって
地上はやがて空と了解する

雪の一夜に 
うつ伏せに眠るひとの
やさしい寝息が聴こえている
薄闇のなかにも時間は降りつもる

平明な言葉に
しずかにキー・ワードを降らせた夜更け
一しずくのメッセージが
解けてゆく夜明け

まぶしい朝の窓辺
あたたかいコーヒーを飲みながら
「叙情の断念」について語りながら
ひとはそれを手放なさないだろうと想う

時間は止まらない
たがいの今の時のなかで
過去や未来を
自在に行き交うことができるのだろうか

わたくしの時間は
朝ごとに 歩きはじめる
初雪に足跡を残して
古いニュース紙を取りにゆく