恋唄

恋唄

南原充士

気分次第を許してよ
あたしがスターでいられるなら
大目に見てよ
お愛想のひとつぐらいは口をついて出るから
さよならのときはにこやかさをとりもどせる
だれとも特別の関係になりたくなんかない
と思う心のうらでは甘えたいのに
うまくわたしを引き出してはくれない だれも
白い家から出かけるのが好き
むりに夢見る強がりも
かわいいと思われていると思えばこそ続けられる
うたやおどりにアンニュイを和らげ
いっそうわたしを反抗的にする見えない血筋
わたしが必要なときにはきっとかなえられた
どんなにすなおであろうとしても
きらいになるとどうしようもなくきらいになる
時がめまいをくりかえし 悔いが胸をつまらせる
新しいものが古くなり 古いものがわたしを
古くすると感じさせないように
必要でないときは見ないでいたいから
わたしから離れていてほしい
失う痛みが刻々と感じられるほどの
年月の歩みの中で 身を投げ出したい気持ちに
バネを与えないですませているのはなぜか
くやしいからだと思うわ きっと
美人で気が強く生まれたから
いやなものをいやだと言っても
わたしを好くひとびとがわたしを囲み包んでくれるのだろう
このガラス質の心の取り扱いには注意してください
いいとも そのような飼育方法説明書付きなら
過去形の多い話し言葉の流れに乗せて
どこまでも胸に迫らせてやろうと
言って下さい