管――畳み重なるご無礼の数々

管――畳み重なるご無礼の数々

三井喬子

今日び
積年のヘドロの所為で 管というものは詰まりがち

もうブラシでは落ちない うっ
落ちない過去の罪悪 ううっ!

こうなれば…
と鉄ベラでこそげるが
薬の方がましでやんしょう
と 囁かれ
強力洗剤に漂白剤 熱と衝撃
でも何とかなる筈もなく 笑劇である
積年の怠慢に慙愧耐え難く
伏してお詫びを
と 頑なに言いつつ
管を叩いたのでありました

うっ、
赤黒い決壊!
来るべきものが来た 北枕
行くものが行った 南へ 船で
帆を張り 面舵いっぱい!
取舵 後悔いっぱい!
残るしかないヘドロの塊
死火の劫末 畳み重なるご無礼の数々
座り込んで
じっくり味わう生の残滓
おお、
わたしたちが わたしたちの形を持っていた日々のために
一言遺言のようなものを
と 頭を揺らす
ゆらゆら揺れる滞留水分
の あっし

ありゃ、
…あっしゃまだ生きている!

ここから先は 行ってはいけない
青竹真一文字の結界の
先の
晒された日々
結界は時に揺らめくが
ヘドロは重たい
四苦は疾駆して 
榜示は既にして茫々の山野にある

無理難題を
ふっかけ続けた報いでござる 頭が高い
神よ仏よ
白花の束に髪を重ねて
千人の子を抱き
火を焚き
入らずの森に入りたし今宵