Aug 29, 2007

事故

娘が交通事故に遭った。

日曜の午後、のんびり買い物していたわたしは、
娘の携帯から電話を受けた。
仲良く暮らすために引越し途中のはずの娘の恋人からだった。

「すみません、交通事故をおこしました。」
彼は娘が搬送された病院名を告げ「意識はあります」と言った。

「意識はあります・・・?」

それが何を意味するのか、不安と焦りに駆られて病院へ急ぎ、
ひたすら待った。
娘は大きな手術を二度もして、入退院を繰り返してきた。
ようやく幸せを手にしたところだったのだ。

救急車で運ばれた患者の家族が待機する場所は、
プライバシーのために仕切られてはいたが、
薄い壁や通路には緊張感が張り詰めていた。

そこは不幸を比較しあう場所ではない。
だが、看護師の小声、緊迫感、嗚咽、立ち上がって通路に出た家族の
足取りの不確かさ、、、。
さまざまな思いが胸をよぎる。

警察に行っていた恋人は軽症で別の病院で手当を受けて、
戻ってきてうなだれていた。

やっと医者の説明が聞けた。

事故の大きさのわりにはダメージはひどくない。
記憶障害や手や足の切断など、
最悪の事態を覚悟しなければいけないのだろうかという不安は、
とりあえず免れた。
内臓も、脳も、今は大丈夫らしい。
これは「不幸中の幸い」なのか!?
わからない。


数年前、「まさか」と思っていたことが目前に出現したとき、
再入院した娘を置いて、帰り道に入った深夜のファミレスには、
陽気に騒ぐ若者たちがいた。

若いひとたちはこんなにいるのに、
なぜうちの娘ばかりが何度もつらいめにあうんだろう・・・と、
思った。
同じように理不尽を感じる親は無数にいるだろう。
比較してはいけない。
けれどもやはり、今回も「なぜ・・・?」という思いから
逃れられずに苦しい。

渡された『所持品』には切り裂かれた血だらけの衣類がある。
彼女が大切に持ち歩いていたバッグの中では鏡が割れている。
わたしはなかなか正視できない。
Posted at 14:33 in nikki | WriteBacks (2) | Edit
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