Jun 02, 2010

ろくがつ

六月の夕方はあかるい 
六時に仕事を終えて外にでる

この古い自転車にはライトがつかないから
さっさとかえればあかるいうちに
猫の待つところに戻れる

もうわたしとしては
じゅうぶんに生きたつもりなので
死への誘惑がアタマからはなれない


おかしなこどもだったけれど
ちやほやされて青春をすごした
結婚して懸命に家庭をまもった
できるだけのことはちからをつくした

愛することを知り
愛されることを知った

そしてもう
いくべきところがみつからない
ただあの猫がまっていてくれるから
猫とわたしのベッドがあるから

六月のあかるい夕方
風をきって自転車をこいでいく

死にたいと思っているのに
ぜったい言ってはいけないと知っている
知っていることをほめられて
どこまでもどこまでも風が気持ちよい
Posted at 22:28 in poem | WriteBacks (0) | Edit
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