1 自費出版

1 自費出版



表記その他について
  • editorには日本語に「編集者」という言い方がありますが、こちらの詩誌についてはそのままカタカナにしたほうがしっくりくるような気がしたので、「エディター」と記します。
  • イギリスでは詩の「コンテスト」や「コンクール」のことをpoetry competitionと呼ぶので、以下カタカナでコンペティションと記します。
  • 英ポンドの換算については、このところ極端なポンド安が続き、一時は1ポンド=190円〜200円ほどだったのが現在(2010年3月時点)では135円まで落ちています。お金の価値についての判断に迷うところがあるので、換算せずポンドのままで記しておきます。

イギリスでの詩集の主な出版形態には、出版社が費用を負担する出版と自費出版とがある。自費出版の場合には、印刷屋に詩人がデータを持って行って依頼する場合がほとんどだ。デザインは、自分でアイデアがなければ印刷屋に依頼することもできるし、自分の絵や写真を使ってデザインしたいという希望があれば、印刷屋に自分のデザインを持っていく。ISBNも自分で取得する。A4の紙を半分に折って閉じるくらいの簡略な冊子でよければ、コピーを依頼して綴じてもらうと、さほど費用は掛からないようだ。

また最近では、ルル(lulu)というウェブサイト上のオンデマンド印刷が話題を呼んでおり、手順も簡単で価格もあまり高くないらしい。最近わたしの友人も、ルルを使って詩集を自費出版した。(ルルについては、日本語のウィキペディアに説明が載っている。)

自費出版の長所を挙げると、
  • 詩誌に作品が掲載された経歴がなくても出版できる。
  • 自分で好きなようにデザインできる。
宣伝については、多くの出版社は著者がデザインに関わるのを嫌がると聞いたことがある。なのでデザインにこだわりがある場合は、自費出版のほうがずっと自由が利く。

短所は、
  • 自分で印刷代を負担しなければならない。
  • 自分で宣伝をしなければいけない。
宣伝については、上記の友人の例のように、自分でamazon.co.ukなどのオンライン書店に載せることもできるから、昔よりは個人でできる宣伝の幅は広がっていると思う。このへんは日本とさほど変わらないと思う。また、イギリスでは詩集が最も売れるのが朗読会らしいので、書店だけをターゲットにする必要もない。