2 出版社による出版

2 出版社による出版



わたしも、イギリスにどんな詩の出版社があるのか熟知しているわけではないので、イギリスの詩の出版情報を載せているポエトリー・ライブラリー(Poetry Library)のウェブサイトを覗いてみた。ここには詩集を発行している出版社のリストが載っている。メジャーな出版社は19社、マイナーな出版社は69社挙げられているが、ざっと見た印象では、書店や朗読会で見かける詩集の出版社は、ほぼこのメジャー19社の中に含まれている。

イギリスの詩の出版社でいちばん有名なのはおそらく、Faber & Faber(フェイバー&フェイバー)という、かつて詩人のT. S. エリオットがエディターを勤めていた会社である。日本でも知られているペンギンブックス(Penguine Books)も詩集を出版している。ただ、ペンギンブックスは、古典的な詩人の作品や、現代詩の場合は他社の出版で既に名声を得ている詩人の作品を「選集」のような形で扱うことがほとんどだ。フェイバー&フェイバーは、古典だけではなく現代詩の詩人の最新作品詩集も出版するが、他社で既に何冊か詩集を出版している詩人の作品が主という気がする。それ以外の出版社はもう少し敷居が低く、第一詩集でもエディターが興味を持てば採用してくれることもある。

全ての出版社について知り尽くしているわけではないので断言はためらわれるが、このリスト、少なくともメジャーな出版社に掲載されている出版社の詩集は、出版社が費用を全額負担して出版されていると思う。

出版社から詩集を出したいときは、出版社宛に自分の原稿を送るのが一般的なやり方だ。ただしそのとき忘れてはいけないのが、自分の作品がどこそこの詩誌で掲載された、どこそこのコンペティションで入賞した、詩集出版経験があればその旨を書いた経歴書を添付することだ。言い換えれば、詩誌に投稿作品が掲載された経歴がない詩人は、出版社に原稿を送っても読んではくれないということだ(その一方、掲載歴があっても、エディターが読んで気に入らなければ不採用になってしまうのだが)。詩の出版社は、ペンギンブックスやランダムハウスのように他のジャンルの書籍で儲けている大手出版社と違って、薄利で予算が少ないので、たくさんの本を出版することができない。装丁については、ハードカバーの詩集はごく限られていて、ほとんどがペーパーバック、本文の紙が小説の紙よりは多少良質という程度である。

と同時に、薄利とは言え一応経営が成り立っているという事実は、日本と比べてずいぶん恵まれているようにも思える。自費出版以外の方法で詩の出版が可能になる理由のひとつに、アーツカウンシルからの金銭援助が挙げられる。