8 フォーワード・プライズ(Forward Prize)

8 フォーワード・プライズ(Forward Prize)



フォーワード・プライズ(Forward Prize)賞のことに言い及んだので、フォーワード・プライズ(Forward Prize)について触れておく。この賞はコンペティションと違い、既刊の詩集や発表済みの詩に対して与えられる賞である。したがって入賞者は名前の確立した詩人が多い。

フォーワード・プライズには、Bestcollection (最優秀詩集)、Best first collection(最優秀第一詩集)、Bestsingle poem(最優秀詩作品)の3部門がある。詩集の部門も詩の部門も、個人では応募できないようで、出版社と詩誌のみに応募資格があるらしい。このため、出版社から詩集を出している詩人でも、自分では応募できないので、出版社が応募してくれるのを期待するしかない。しかしどこの出版社も授賞詩人を出して名前を上げたいから、自費出版以外のほとんどの詩集が応募対象になっていると考えていい。ちなみに2009年のフォーワード・プライズへの応募は、詩集109冊、第一詩集57冊であったという(第一詩集がどちらの部門にも応募できるかは不明)。ある詩誌のブログで、この冊数は出版社から出版された2008年詩集の数とほぼ等しいのではないかと書かれていた(2009年の賞は2008年に発行された詩集が対象になる)。

このように、詩集の場合はひとつの出版社が何冊でも応募してかまわないようだが、最優秀詩作品部門については応募数に限りがあるようで、出版社や詩誌のエディターが自社の詩集や詩誌から作品を選出してから、フォーワード・プライズに提出するようである。詩集と詩を比べると当然詩作品のほうが数が多くなるから、仕方のない措置なのだろう。

この賞への入賞はたいへん難しいが、コンペティション同様アンソロジーを毎年発行するので、賞に漏れてもアンソロジーに掲載されるチャンスもあり、それだけでもとても名誉がある。

日本では詩集に対する賞はあるが、詩集や同人誌で発表された詩作品から選ぶ賞はないような気がするので、こういうのがあったらおもしろいんじゃないかと思う。