Dec 01, 2005

十一月の二十五日は、

三島由紀夫の命日でしたね。
憂国忌というんでしたか。

そういえば私が一番好きな三島作品も「憂国」です。
私は右でも左でもありませんし、
特に三島に傾倒していたわけでもありませんが、
この作品は時々無性に読み返したくなります。

有名な短篇小説なので、内容は周知であるとは思いますが、
2.26事件に参加しそびれた青年将校が、
自分が同僚たちを討つ役になることを憂慮し、
腹を切って嫁と心中する話です。

しかしこの作品は、最初から最後までパワーが漲っていますね。
三島が好きなことだけを思う存分書いたからでしょう。
なにしろここに書かれていることは、
軍人、男の友情、清潔な夫婦関係、まぐわい、そして切腹と、
三島が大好きなことばかりです。
読んでいても、一字一句を嬉々として書いている三島の姿が目に浮かぶようです。
楽しかっただろうなあ、これを書いているときは。
特に切腹のシーンなんか。

傑作が生まれる条件とはたくさんあると思いますが、
そのひとつは、好きなことを好きなだけ書くということだと思います。
そうしたから傑作になるわけではありませんが、
条件の一つであるとは思います。

三島があのような最後を遂げたのも、
結局は、軍服姿で割腹自殺してみたかったんだと思います。
三島が本気でクーデターを起こせると考えていたとは思えませんし。
だからあれは三島にとって、とても幸福な最後だったのでしょう。
周りはえらい迷惑したでしょうが。

私もせめて詩に関しては、
好きなことを好きなだけ書いていくつもりです。
好きなことばかりを書いても下手なのですから、
嫌いなことを書いたってうまくいくはずがありません。
そうしていけばそのうちに、自分でも「これは」と思えるものが、
一生のうちにひとつぐらいは書けるかもしれません。
三島も好き勝手書いた「憂国」は大のお気に入りだったようで、
後に自ら主演して映画まで作ってしまっています。
その作品を天才三島が書いたのが、ちょうど今の私の年齢。
さて、凡才私にとっての「憂国」が出来上がるのは、一体いつになることやら。
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