May 19, 2006

久々に「2001年宇宙の旅」なぞ

DVDにて鑑賞。
この映画、最初に見たときは、何がなんだかよくわからなかったですね。
長いし、これといったアクションシーンもないし、ラストなんて意味わかんない。
しかし何回も繰り返して見るうち、段々とその凄さがわかってきました。
内容的なことやラストの意味は、小説を読めばちゃんとわかって、
それはそれで感心するんですが、
実は映画的な部分も凄いってことがわかってくると、何度見ても飽きないですね。

この映画、最初の20分ぐらいは、
人類の祖先となる猿人たちのセリフのないシーンが延々続きます。
動物の骨を道具として使うことを学び、それで動物を倒して肉を食うことを学び、
そして他集団との殺し合いまでをも学び、
あとあの有名なモノリスのシーンなんかもあるんですが、
猿人たちの動きがもの凄く計算されて出来ていることに、
何回も見てから漸く気付かされます。
セリフが一切ないのに、ちゃんと彼らの中でなにが進行しているのかがわかる。
特にモノリスのシーンで、最初に板に触れていく猿人の動きは見事です。
ある種のバレエを見ているようですらあります。
最初の頃は本当に退屈なだけのシーンでしたが、
これだけ見ても、やっぱりキューブリックって凄かったんですね。

そして猿人が骨を宙に放り投げて、それが宇宙船になって、
2001年の宇宙のシーンへと繋がるわけですが、
流れてくるのは、J・シュトラウスの「青く美しきドナウ」。
この映画を子供の頃に体験した人は、
みんなこの曲は宇宙船のテーマになっちゃってるんじゃないでしょうか。
私もそうです。
ちなみにこの映画ではカラヤン盤が使われているようですが、
私の愛聴盤はベーム盤。
優雅さがカラヤン盤より一枚上手で、いかにも宇宙に浮遊している気分になれます。
そういえばオープニングで流れる、
R・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」なんて、
この映画のために作られた曲だと思っていた人も多いのではないでしょうか。
私もそうです。

しかし21世紀になって随分経ちますが、世間の眺めはちっとも変わりませんね。
もっと劇的に変わるものだと思っていましたが、
ここは本当に、あの頃の未来なのでしょうか。
鉄腕アトムなんか見てもそうですが、
宇宙旅行とかロボットとかの原型は出始めてはいるものの、
実用になるのはずっと先でしょうし、エアカーなんてのも見当たりません。
ただ携帯電話とかパソコンとかは、
予想していたよりずっと発展しているのではないでしょうか。
まあ、まだ勝手に考えたり喋ったりはしませんけど。

この映画に、21世紀的なものの価値観を植えつけられたような気がします。
コンピューターの声は飽くまで無機質でなくちゃいけないし、
部屋は可能な限り真っ白の方が未来っぽい。
しかしファッションはさすがに古くなりましたね。
スチュワーデスの宇宙服なんて、
寧ろ60年代のファッションに近い気がします。
未来は、いつまで経っても未来なのでしょうか。

ということで、私はこの映画をパソコンで、
秋刀魚の塩焼きと豆腐を肴にして、
日本酒の熱燗を飲みながら一人でぼんやり見たのでした。
淋しい…。
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