Jun 14, 2006

負けちゃいましたねー、

サッカー。
凹んだ方も多いのでは。

では気を取り直してといった意味も含めまして、
今日は和やかな本でも紹介しますか。

長谷川摂子著「人形の旅立ち」(福音館書店)

この本は、対象年齢が小学校上級以上とされている、
所謂児童文学書というやつです。
本文もわりと大きな文字で、ふり仮名も多く振ってありますから、
一見大人が読む本ではないようですが、しかし馬鹿にするなかれ、
実は大人でも充分に楽しめる良書です。

この本は「ユリイカ」に連載されている竹西寛子さんのエセーに取り上げられていて、
それで買ってみたのでした。
著者の長谷川摂子さんのことを私は殆ど知りませんが、
確か児童文学専門の作家さんで、普段はそれこそ小学校低学年向けぐらいのものや、
童話などを書いている人、だと思います。
その人が、児童文学の形をとりながらも、
昔子供だった大人に語りかける作品を書いたという感じ。

話の舞台は数十年前の、日本海に近い田舎町。
そこで主人公の女の子が、様々な不思議な出来事に遭遇する、
寓話的な短編集です。
単純に泣かせたり楽しませたりの話でなく、
風に薫るようなノスタルジーと悲しみが満ちていて、
なんとも気持ちを動かされます。
病気の妹が出てくる話があるのですが、
大きな声ではいえませんが、
この話を読むと、いつも危うく泣きそうになります。

この本のもうひとつの大きな魅力は、版画家金井田英津子さんによる挿画です。
金井田さんには「猫町」「夢十夜」「冥土」などの作品を版画化した本もあり、
本屋さんではよく見かけるので、見覚えのある方も多いのではないでしょうか。
挿入された版画はどれも非常に美しく、それを見るだけでも、
この本を手に取る価値があると思います。
頁全体に渡って挿画がされているものもあり、本文と一体となって、
本を作り上げています。
文章と画が同時に存在している、幸福な例ではないでしょうか。

この本、なにかしらの賞を取ってはいるはずなので、
あるいは結構有名な本かもしれませんが、
なにしろ本屋で児童文学のコーナーなど覗くことがないもんで、
よくわかりません。
でもいい本ですよ。
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