Nov 18, 2006

レビューが続きましたので、

今日はちょっと雑談を。

私は何年か前、自分はどうやら物語の結末というものに興味がないようだと気がつきました。
小説や映画など物語と呼ばれるものに昔から多く接して来て、それは現在も続いていますが、
考えてみれば、どれを鑑賞している最中にも「どうしてもこの話の結末を知りたい」という欲求には、
本当のところ駆られたことは殆どなく、だからつまらなければ途中で鑑賞をやめることに、
それほど未練を感じません。
お金を払っていますから、一応映画なんかは最後まで観ますけど。

今は全くやりませんが、随分前にはテレビゲームなどをしていたこともあり、
「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」といったロールプレイングゲームなどもやって
みましたが、その中の幾つかのエンディングを私は見ていません。
クリアできなかったのではなく「この敵を倒したら間違いなくエンディング」という所まで到達すると、
急に興味を失って、ゲームを放り出してしまうのです。
結末を見たくないというより興味がもてず、その為に苦労して強い敵を倒す気になれなかったのです。
今から思えば、私がゲームの中で一生懸命敵を倒していたのは、ゲームの続きを見たいからであって、
結末にたどり着くためではなかったのでしょう。

どうやら私の興味は物語自体にはなく、物語の持つ雰囲気や世界観などにあるようです。
そういうものに浸りながら、流れを追っていくのが好きなんですね。
だから、そういうものさえ魅力的であれば、結末がどんなにしょぼかろうと、私には面白い作品です。
私の好きな映画や小説などを思い返してみると、その雰囲気や世界観に惹かれたものばかりですし、
中には正直どんな結末だったのか思い出せないものもあります。
好きな映画のビデオを引っ張り出して観てみたら、結末の直前でちょん切れていたとしても、
私はそれほどショックを受けないでしょう。

話の展開の面白さに惹かれることはあります。
まずなにが起こって、その次に何が起こって、それが連鎖してこんなことになって、のような事は、
そのスピード感や転がっていく方向などをディテールとして捉えられて楽しめます。
その延長線上に結末があるのであれば、それはディテールとしてどんな結末になるか楽しみです。
しかしそういう作品の場合、一度の鑑賞は楽しめても、雰囲気や世界観に強く惹かれていなければ、
もう一度その流れに身を任せたいとは思いません。
私がその作品に惹かれるかどうかの基準は、あくまで雰囲気や世界観によるものであって、
物語性によるものではないようです。

詩という形態には、ストーリー性や結末などは必ずしも必要とされません。
ある程度以上の展開を持たず、物語に義務付けられるような結末も持たない場合が多いです。
そういう作品は、大多数の人が読みにくいと感じるのではないでしょうか。
詩は物語の一種であるという意識が働いてしまっていると、
物語に必要な最低条件を満たしていない詩は未完成品であるように見えて、
つまらないもの、取るに足らないものと判断されてしまいます。

しかし詩の魅力というのは、当然のことながら物語の巧みさではなく、
その詩自体が持つ生の力であり、そこから噴出される雰囲気やディテールです。
それさえあれば、その詩はひとつの優れた「作品」として、まずは存在出来るはずです。
ただ難儀であるのは、物語の巧みさは、たくさん勉強すれば得られるものかもしれませんが、
優れた詩を書けるか否かは、ある程度の天性に寄ったり、偶然性が大きく関わっているということです。
だからこそ、魅力的な詩というものは、発表される詩全体の数に対して、非常に少ないのでしょう。
私のように物語性を求めないような者でも、惹き込まれる詩集にはなかなか出会えません。
一篇の優れた詩は、ある種の奇跡とすら言えそうです。

また、読む者を詩の魅力にまで引き連れてくるには、「詩は物語の一種ではない」ということを、
一瞬にして読むものに知らしめなくてはならず、その為には最初の数行で、
「これは物語とは全く別のものだ」と直感させるような凄い詩句が必要となります。
しかしそんな口で言うほど簡単に事が済めば、誰も苦労なんかしませんね。
と言うか考えれば考えるほど、やはり優れた詩は難しいというより奇跡以外の何ものでもないようで・・・。
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