Aug 11, 2005

ジャン=ミッシェル・モルポワ著

「青の物語」(有働薫訳)を、最近は机の前の棚に置いて時折パラパラと捲っています。
先日の東京ポエケットの時に、訳者である有働薫さんから直接頂いたものです。
タイトル通り、全編が「青」についての短い詩によって編まれており、どこから読んでも気持ちのよい本です。
実は最初に少し目を通したときには、これはなんだか難しい本だなと思っていたのですが、やがて語感の流れが体に馴染んでくると、文章が意味深くあるのはもちろん、その前に快楽があり、読解するよりむしろ身を委ねるのが私には良いようでした。
それでちょっと取り出しては5,6ページ捲って棚に戻し、また何かの拍子に気になって取り出し、といった具合にこの詩集と接しています。
すると何しろ飽きない詩集です。
私はフランス語のことはまったくわかりませんが、有働さんによって訳されている日本語は、とても気持ちのいい音をもった言葉ばかりで、あたかも無人のプールを誰にも気兼ねすることなくのんびり泳ぐように、言葉の中を流れていくことができます。
詩を読むことは快楽でないといけないと思います。
そして何よりもまず読むことの快楽を与えてくれる詩が、良い詩なのだと私は思っています。
「青の物語」は私が久しぶりに出会えた、読むことが純粋に快楽であり得る詩集であり、これから長く親しんでいけると確信できる詩集です。
残念ながらまだ私はこの詩集の本意を完全に理解するには至っていません。
しかしこの青の中を気まぐれにまたのんびりと泳いでいるうち、きっとそれを理解する瞬間がくるに違いないと思います。
それまで慌てずにこの詩集を手繰り、快楽に身を委ねていたいと思います。
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