Oct 20, 2005

涼しいと言って喜んでいたら、

あっという間に寒くなってしまいました。
油断していると風邪をひいてしまうような季候です。
気をつけなくては。

柴田千晶さんの詩集「空室」を有働薫さんからお借りしました。
早速読んでみると素晴らしい内容。

都会に働く女性の孤独が、魅惑的な言葉で数珠繋ぎのように語られていきます。
実在した女性や場所にこつこつとぶつかりながらくねくねと、小さな蛇の如くさ迷っていくその様子に、思わず最後まで読まされてしまいました。
詩集の一気読みなど、飽きっぽい私には珍しいことです。
出てくる女性の境遇は、男の私からすると随分と遠いのですが、それでも何故か「わかる」という感覚が多く見つけられました。
洗練された詩の言葉の所為でしょう。
私が触れたことのない経験もすんなりと受け渡され、またときに自分の胸のうちを切開して切り出してきたような言葉が現れて、思わず息をのまされたりします。

先日の渋谷クロコダイル朗読会で、柴田さんはこの詩集から「骨なら愛せる」を朗読されました。
そのとき私は拝聴したのですが、今回こうして同じ作品を活字で読むと、綴られている言葉の多くを自分が記憶していることに気付き、改めて柴田さんの朗読のうまさに驚かされました。

私もつたないながら男性の孤独を書きますが、女性のそれとは似て非なるもののようです。
「空室」の中では幾つかの孤独が、孤独を逃れようとして孤独同士ぶつかり合いますが、
密着していてすらもそれはあくまで背中合わせであり、相容れあわぬままに分かれていきます。
私の書く男性の孤独があるところは、恐らくこの詩集のページの裏側です。
それは決してページの表側に現れることはないのでしょう。
しかし二種類の孤独を、かすかにでも繋ぐものとして、この詩集はあるようにも思われました。
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