Mar 03, 2006

現代詩手帖3月号を購入。

今年もはや2ヶ月が過ぎたというわけですね。

とりあえず詩作品をざっと読んでみると、
季節柄か雪を扱ったものが多いですね。
新連載の田中清光さんの詩も雪がモチーフです。
雪に覆われた世界を、人類世界に重ねて眺めながら、とつとつと歩いていく感じ、
社会性が垣間見えるのに美しさを保っている、とてもいい詩です。
私が惹かれたのは、オヤールス・ヴァーツィエティスという、
ラトヴィアの詩人の作品「リーガの吹雪」
ちょっと滑稽で、同時に染みる作品です。
篠原資明さんの短詩も楽しくていいですね。

入沢康夫さんの連載「偽記憶」を私は面白く読んでいるのですが、
これは以前からの入沢さんのファンの方はどのように読んでいるのでしょうか。
この連載の詩は散文的で難解さがなく、野暮な言い方をすれば、
「ものすごく大人の星新一」といった趣があって単純に楽しめるのですが、
物足りなさを感じる人も多いのかもなんて思います。

多和田葉子さんの詩は、
軽い言葉の響きを千切って並べて、人間の暗い欲情を描いているようです。
多和田葉子さんに関しては、10年ぐらい前に初めて読んだ
「光とゼラチンのライプチッヒ」という短篇がとても面白く、
その後、芥川賞を取った「犬婿入り」を始め、本が出るたびに読んでいました。
私はなんとジャンル分けしていいのかわからないような小説が好きで、
そんな好みに多和田さんの小説世界はぴったりあっていました。
「ゴットハルト鉄道」とか、面白かったですね。

最近単行本になって高見順賞をとった伊藤比呂美さんの「河原荒草」は、
多和田さんの小説世界に通ずるものがあって、手帖の連載時は面白く読みました。
個人的な好みですが、できれば「河原荒草」は詩ではなくて、
小説と銘打って出して欲しかったなあなんて思います。
そのほうが、反発が大きくてよかったんじゃないでしょうか。

詩誌月評には「ルピュール2号」から有働薫さんの詩が引用紹介されています。
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