Jul 14, 2006

ふるさとについて

 今日はカウンセリングに行ってきました。それから東京の友人から教えてもらった映画を見てきました。その前に本屋によって、鎌田慧「椎の若葉に光あれ」(岩波現代文庫)といしいひさいちのマンガ「現代思想の遭難者たち」(講談社)を買ってきました。
 カウンセリングのあとに、新しく出来たカフェみたいなところで昼食を食べました。いつもはこれも近鉄の永和の駅のそばなのですが「食楽三昧」というところで、食べます。今日はちょっと変化をつけてみました。仕事の次の日だったのですが思ったより体調がよく、カウンセリングでは、悩みごとが少なくなったのはなぜかという話をしていました。もちろん悩みがなくなったわけではありません。どちらかといえばこもる人だし、相変わらずくよくよしたり、というのはあります。
 自分の感覚のパターンみたいなものがあって、そのパターンというかモードはあまりふかく把握していないのですが、何でしょうか。自分の人との関わり方の根幹だと思います。ずーっとそれを恐れて生きてきた感があります。ある種のいたたまれない気分というのがあって、そういうパターンにはまらない余裕みたいなのが出てきたのでしょうか。はまってもある程度のところでとまって、痛手が少なくなるというか。彼女にそういったら、「暑いから余計な事考えへんねん」といわれてしまいました。だから、悪くなるときもあるかもしれませんけど。
 鎌田慧の本は私小説作家葛西善蔵の、今の言葉で言うと、「イタイ」生涯を追った伝記です。何を隠そうぼくは、大学の頃、笙野頼子さんにはまって(彼女は思えば引きこもり小説の先駆者ですが、80年代からそうやって生きてきたので、その当時は評価されませんでした)、私小説というものに目覚め戦後文学の裏街道をたどり、藤枝静男さんを読んだりしていたら、どんどんその筋にはまってしまいました。今考えたら、藤枝さんはとても真面目な生活者で、葛西善蔵も真面目すぎておかしいくらい真面目な人です。真面目をつきぬけると、こんな人になっちゃうんだというくらい小説に没頭しながらかけないかけないといっていたのが葛西です。
 私小説には、他のジャンルにはない、自分の資質つまり生きている感覚のふるさとでしょうか、そういうものに対する強いこだわりがあり、それがすぐれて突き抜けると不思議な幻想や、ユーモアをうみだします。ぼくはその距離感のない(いわゆる客観性のない)こだわりというものに自分を感じたのかもしれません。今はぼくは私小説から遠ざかっているけど、そして、私小説なるものは嫌われた時期もありましたし(それにはひつぜんもあったのですが)あまり読まれないけど、何か懐かしくなって、鎌田慧の本を手に取りました。書き出しを読んでみたけどすばらしいです。原本は94年発売で買った覚えがあります。でも内容を覚えていません。あらら。これで買って読んでない本がまた増えました。なんとかしなくては。いしいひさいちのマンガはさっと読めます。哲学者をネタに目いっぱい遊んでます。さすがです。これは現代思想の冒険者たちのおまけについていたんです。
 それで映画なのですが、「やわらかい生活」という映画です。動物園前のシネフェスタで見ました。フェスティバルゲートはジェットコースターもとまっていて、館内表示も塗りつぶされているところがあって、なんかさみしい感じです。この映画は自分の感覚のふるさとを追いかける映画だと思いました。さっきの「現代思想の遭難者たち」でも出てくるのですが蒲田という町がカラオケの発祥地ということを初めて知りました。だからカラオケの部分がノーカットで撮られています。寺島しのぶもいい味出しています。心の病(躁うつ病)と共に生きている感じがある種普遍的な感じで描かれています。やたら薬もリアルでした。町もいい感じです。ふるさとという感じです。ただ、豊川悦司演じるいとこが死んだことがなにか残念な気がしました。いとこが生きてどうなるか決着をつけることが主人公の生にもなんらかの意味を感じさせる結果になっただろうという思います。それくらい男は消えて女が残されるという映画なのです。原作はわかりませんが原作にはなんらかの意図があったのかもしれません。しかし、そうするにしても、なにかひっかかるものがありました。基本的に素敵な映画なので、余計にストーリーの決着のつけ方が気になりました。これはあくまでぼくのこだわりなのですが。
Posted at 00:41 in nikki | WriteBacks (0) | Edit
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