Oct 24, 2006

道ならぬ恋

 今日、買い物に行ったついでに、すごく久しぶりに、文芸誌を手に取りました。一時期、図書館などで、読んでいたことはあるのですが、大変疲れるのでやめていました。ひとつの論考(加藤典洋「太宰と井伏」)とエッセイを読んだだけです。論考のほうは、何か、この人にしては、調べものがちゃんとしていないなと思いました。もちろん批評家は考証史家ではないのですが、種本が猪瀬直樹にほとんど限られているというのはいただけません。でも、加藤には、独特の倫理的主題があって、思う人は、「ああ、まだ戦前と戦後の対比やってんの」という感じかもしれませんが、太宰がなぜ、死んだのか、ということに、今までにない取り組みをしている点では興味深い。最初に離婚した女性や、戦争の死者に対して心痛めて彼が自殺したのではないかというのは、事実との整合性は別にして、新たな視点だと思った。少し、加藤の倫理のためにされている点はあるのだけど。そこがいつもひっかかるけれど。
 あとびっくりしたのは車谷長吉のエッセイで、エッセイなのに「上述の愛人と「道ならぬ恋」をするようになったのだった」と書かれており、それが最後の行で、太宰の話の後だったので、びっくり。エッセイで、こんな終わり方はすごいなあ。連載なのだろうか?
Posted at 23:21 in nikki | WriteBacks (0) | Edit
WriteBacks
TrackBack ping me at
http://www.haizara.net/~shimirin/blog/ishikawa/blosxom.cgi/nikki/20061024230307.trackback
Post a comment

writeback message: Ready to post a comment.













Captcha:
To prevent comment spam, please retype the characters in this image:

Enter the text here: