Mar 27, 2008

考察メモ①の補足と反省

 昨晩の考察①について。朝ちょっと考えていた。まず、なんで考察①を書いたかというと、多分次の問題が気になっていた。よく現代詩を定義する時に大まかに言われることとして、「手垢にまみれた言葉を避ける。吟味する。」というのがある。それに対する疑問。
 まず「手垢にまみれた」とはどういうことか。それは「古い」とか「ダサい」ということなのかな。しかし何をもってダサいとか古いとかありきたりと云いうるのか。多分そう主張する人の中にも、いろんな価値観があって、古いとかダサいとかありきたりという風に「ある種の言葉の使い方・展開・描写・イメージ・作品内世界観」を感じて批判している。
 わからないのは、どういう対象=言葉の使い方に対して、なされているかということ。これも大問題なのであるが置く。もうひとつは、ある価値観がある作品を「ダサい・古い・ありきたり」というのだとしする。では一体価値観とは何なのかということ。



*ドウルーズと表現について考えるその前段階ーいかなる価値観が物を見る際の色眼鏡となっているのか。

 ドウルーズに対する昨日の反駁は非常に稚拙だったので反省している。けれど、ドウルーズもあれもダサい・これも古いということで色んなものを切り捨てているのではないか。現代詩のある種の傾向と似ている。もちろんドウルーズは17世紀の哲学者(ライプニッツ・スピノザ)に多くをおうている。ドウルーズは新しい光源の中に彼らを置いているのは知っている。
 ドウルーズの発想の源にはニーチェがいて、「生成の無垢」という。これは「あるがまま」みたいなととどうちがうのかな。色んなものやことが変化するその様子を「ありのまま」に肯定する。まず、それは可能なのか。可能だとしても、その「ありのまま」の追求の動機は何か。それは手放しでいい傾向だといえるのか。
 また、彼らの流儀で「ありのまま」を肯定することは、果たして「ありのまま」の必要・充分な肯定足りえているのか。とりあえずドウルーズの発想の一例が見られる「スピノザー実践の哲学」が手元にあるので、この本の第4章「エチカ主要概念集」の"いいーわるい"あたりを見てみよう。平凡社ライブラリー鈴木雅大訳の80ページ辺り。また後日できたら書いてみたいなあ。できないかも。メモ的な感じにしようかな。おそらく「ありのまま」を肯定し記述するために戦術的にそれを邪魔するものを外すという感じ。しかし、誰しも価値観からは逃れられない。だとすると「ありのまま」に接するどういう態度や語り方が僕はすきなのか。
ありのままは「生まれたて」とか「純粋」とか「実在」とか「物自体」とかおそろしく色んなニュアンスがある。私の挙げた言葉も恣意的な選択によるが「物自体」はカントの言葉で、私たちは自然や物質などをいったん感覚器官(目皮膚耳その他諸々」を通して表象(音・言葉・光線など)の形でしか知ることができないという。だったら「ありのまま」なんてないのかもしれない。しかし、ドウルーズだったらどういう感覚や受容の仕方が「ありのまま」の素晴らしさをより多く素晴らしく感じられるかという風に答えるかもしれない。それが「よい」の意味だろう。だとしたら、そんなに悪くない。けれど、そこで「よい」とされている捉え方や反応の対にある「わるい」は一体何なのだろうか。詳しくは先の『スピノザー実践の哲学』の該当部分にヒントがあるのだけど。しかし、善ー悪に対してそれに汚染されない「よいーわるい」の立て方は『道徳の系譜』のニーチェと同じである。でもニーチェの方がやばいものも取り込んでいるかもしれない。本家だから。ニーチェの「わるい」に相当するものは原罪とか怨恨である。人間はもともと罪があるとか、しかし罪を感じられるから幸いだとか。ニーチェはこれを卑屈というのだが、ニーチェは個人的に「うじうじ」しているのが嫌いで、それはニーチェ自身が「うじうじしていたから」かもしれない。現代詩に対してもより戯画化された形で感じるのだけれど、ニーチェのように「ダサいという自分も実はちがう意味でダサいのだ・ダサいにこだわっているのだ」という内省がどこまであるのか。これだと悪口みたいだが、僕自身人のことはどれだけでも言えてしまうので、これは自分に言っているのだ。そして、さっきはそれが悪いことのように書いた。けれど、繰り返すが何がどんな価値観が「ダサい」と感じさせるのが重要で、哲学の議論を参照するのは無益ではない。

※ちょっとすっきりした。ついでに言うと昨晩の「考察メモ①」はレヴィナスの記述もかなり反省している。何しろ言葉遣いがグダグダ。これでは失礼である。このブログには2年前に「レヴィナス入門」について書いたものがあって、その後「全体と無限」を読んだのだが、2年まえの「レヴィナス入門」はわからないながら、ポイントを粗くではあるが書いている。http://www.haizara.net/~shimirin/blog/ishikawa/blosxom.cgi/nikki/20061017160732.htm
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