Sep 10, 2007

贈答の詩⑥ 白井明大詩集『くさまくら』への挨拶詩

docu0026

 この物語は詩集『心を縫う』(二〇〇四年)からはじまったように思えます。そして二〇〇七年の『くさまくら』に物語は続いているようです。ささやくような愛の物語、窓辺を流れるかすかな風のような哀しみ。そうして日々は続く。白井明大さんの詩集『くさまくら』にささやかな祝福の詩を。。。


  わたしの誕生を司った天使が言った
  喜びと笑みをもって形作られた小さな命よ
  行きて愛せ、地上にいかなる者の助けがなくとも。

   (ウイリアム・ブレイク・・・中野孝次訳)


ちいさなひと

二人で歩き出した時間のとなりで
いつのまにか
四分の一くらいの歩幅で
歩いているちいさなひとは誰?

太古からの時間を潜り抜けて
それから進化の時間を
生きているような
桃色の産毛のあるひとは誰?

あのうつくしいひとの
僕たちは序章なのかもしれない
ゆっくりと歩いてみよう
あのちいさなひとの歩幅くらいに

 *   *

あたたかな夜の闇のなかで
ふいに泣きだしたちいさなひとを
こわがらせるものはなんだろう?
僕たちがふと君の存在を忘れたのか
それとも闇の重さ
それとも窓辺の風の音

生きている。
汗をかいてミルクをのんでいるひと
生きていることはこわくないと
僕たちはちいさなひとにささやく
ささやきながら
僕たちはおそれる。
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