Aug 11, 2005
八月には。
七月に入ってから、一体どなたが、わたしの娘に薦めて下さったのかわかりませんが、家族の歴史や戦争の追体験をあれほど嫌っていた娘が、「藤原てい~流れる星は生きている・中公文庫・昭和24年刊」を読んだらしいのです。この小説は、藤原ていの旧満州における敗戦後から引揚までの手記に近い小説です。夫である新田次郎はシベリヤへ捕虜として連れていかれ、藤原ていはたった一人で三人の子供とともに生きた。新田次郎は満州体験を全く書いていないのだが、藤原ていは、引揚後三年という時間のなかで書き上げている。これには驚かされる。
その読了後に、娘はやっとわたしの両親の旧満州体験の手記を読んでくれた。文筆家ではない父母の手記は、藤原ていの作品とは比べ物にはならないし、その体験の過酷さにおいても藤原ていの方は圧倒的である。娘は父母の手記を読んで「うすっぺらね。」などとほざいていましたが、読んでくれただけで嬉しい。これらはすでにテキスト化して、わたしのホーム・ページの「声・非戦を読む」にも掲載している。娘には生原稿を読ませましたが、その原稿と一緒に保管しておいた「引揚証明書」や「引揚給付金」などの古い書類も久しぶりに見ました。かつては思いつくこともできなかった「スキャン」によって、これらの書類も追加掲載いたしました。
さらに娘は「満洲鉄道まぼろし旅行~川村湊・文藝春秋・1998年刊」を読み、「なかにし礼~赤い月・新潮社・2002年刊」も読んだようです。わたしはやっと子供に父母の戦争体験を手渡すことができました。
また、わたしとしては、この本についての感想を「声・非戦を読む」に追加いたしました。
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