Aug 11, 2007

まどのそとの そのまたむこう モーリス・センダック

sendak

 これはアメリカの絵本作家モーリス・センダック(作&絵)のものを、「わきあきこ」が翻訳したものです。前日に、大江健三郎の小説「取り替え子 チェンジリング」について書きましたが、そのなかで「古義人」の妻「千樫」が、示唆を受けた絵本として取り上げられているのは、多分この絵本でしょう。

 父親は船に乗って遠くへ行っている。空ろな眼をした母親。赤ちゃんのおもりをする長女アイダ。ゴブリンに氷の赤ちゃんとすりかえられて、連れていかれてしまった赤ちゃんを、知恵と勇気をもって取り返すのもアイダだった。この無力な空ろな母親とアイダに「千樫」はあまりにも深いものを感じとってしまったのだと、痛ましい思いになる。

 (一九八三年初版・二〇〇二年第九刷・福音館書店刊)
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