Nov 19, 2007

天上草原

sougen

監督:麦麗絲(マイリース)
一九五六年生まれ。モンゴル族。内蒙古師範大学と北京電影学院の監督学科を卒業。現在、内蒙古電影制片廠に所属。

監督:塞夫(サイフ)
一九五四年生まれ。モンゴル族。吉林大学と北京電影学院を卒業。内蒙古電影制片廠の所長を務めている。麦麗絲の夫。

音楽:三宝(サンパオ)
一九六四年生まれ。内蒙古自治区の出身。モンゴル族。中央音楽学院の作曲学科を卒業。

脚本:陳坪(チェン・ピン)

 母親に捨てられ、失声症に陥ってしまった少年「フーズ」の父親は監獄にいる。先に出所する父親の友人であるモンゴル族の「シェリガン」に託された「フーズ」は草原にやって来た。自分が全く知らない草原での生活が始まった。「フーズ」をあたたかく迎えたのは、「シェリガン」が監獄に入った五年前に離婚した草原の女性「バルマ」とシェリガンの弟「テングリ」だった。町から来たフーズにとって広大な大地とゲルでの生活は戸惑いばかり。しかし、そんな彼を「シェリガン」は荒々しく育てようとする。「フーズ」は「テングリ」に心を開いていくが、「バルマ」に想いをよせる「テングリ」は、彼女の気持ちが兄から離れないことを知り、解放軍に入隊する。

 「シェリガン」と「バルマ」は再び結婚する。「フーズ」の心は次第にほどけてゆく。「テングリ」が少年に残してくれた馬もいて、草原の生活の中で「フーズ」は除々に回復の兆しを見せていた。そして、祭典の日。「フーズ」は騎馬に出場し、一位でゴールする。わきあがる歓声の中、彼はついに馬上で「テングリ!」と幾度も声を発したのだった。子供の心が開かれる瞬間というものはひかりのような時間だった。三人は家族になったのだった。

 その幸福も束の間、本当の父親の出所の知らせがくる。「バルマ」は「フーズ」を約束通り父親の元に返さなければならない。「モンゴルの男は約束を守るもの。」。また哀しい別れであったが、映画はそこで終わる。

 子供は心を病んではならない。病んだら癒えるまで見守る。それだけが大人が子供に与える幸福ではないだろうか?厳しい自然と、広大な草原は黙ってそれを教えてくれたのではないか?
 印象的な場面が二つある。羊を狼に殺された時に、「シェリガン」と「テングリ」は狼を追って森へ行く。殺すのかと思ったが、投げ縄で捕まえてから、少しの時間狼をこらしめただけで放してやる。狼は二度と羊を殺さないと彼等は信じたのだ。もう一つは、「バルマ」が草原の鳥の巣から卵を盗んできた「フーズ」を叱ることだ。そして卵を返しに行く。彼女は天に向かって鳥に謝罪の言葉を叫ぶのだった。ここではすべての命が守りあっていたのだった。
Posted at 00:21 in movie | WriteBacks (0) | Edit
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