Dec 20, 2008

若き詩人への手紙

Xmas-card

 ライナァ・マリア・リルケ(1875~1926)はプラハ生まれのドイツの詩人。パリをはじめヨーロッパ各地を旅行、1903年~1908年の間にその旅先から、若き詩人「フランツ・カプス」にあてた手紙です。特に感想は書きません。心に留めておきたい部分だけをここに記します。愛と怒りをこめて。自分自身へのクリスマス・プレゼントとして。

 『新しい自己の発展の途上にある少女や婦人は、ただ一時的に男性の無作法や作法の模倣者となり、男性の職業の反復者となるだけです。そのような不安定な過渡期ののちに、女性たちがこのような(しばしば笑うべき)仮装のおびただしい量と変化の中を通過したことが、ただ歪曲を迫る異性の影響から彼女らの本質を、浄化しようとするためであったことがわかるでしょう。女性の中には生が一層直接に、一層生産的に、一層親密に宿り住むものですから、肉体の果実の重みによって生の水面下に引き込まれた経験を持たぬ軽薄な男性、うぬぼれが強く性急で、彼が愛していると考えているものを実は軽蔑している男性よりは、女性の方が根本においては遥かに成熟した人間、一層人間的な人間になっているはずです。苦痛と屈辱の中を耐え通した、こういう女性の人間性は、女性がその外的身分の変化と共に、単に女性的にすぎない因襲を脱ぎ捨てた暁に明らかにあらわれてくるでしょう。(中略)そしてこのより人間的な愛(それは結ぶにも離れるにも、すべて限りなく思いやり深く静かに、善意をもって曇りなく行われるものでしょう)は、私たちが骨おり苦しんで準備しているあの愛、つまり二つの孤独が互いに守り合い、限界を破らず、挨拶し合うことにおいて成り立つあの愛に似通うものでしょう。』

 今更このようなものを読みかえす自分とはなんだろうか?もうとうに若くはない。しかし人間というものは成長しているようで、どこも変わることはないのだと最近とみに思うようになった。「孤独」「矛盾」「理不尽」・・・・・・その他もろもろ、どこが変わったというのだろうか?これらは深みを増してゆくだけにすぎない。どこか見えない出発点に戻りたくて、この本を開いた。決して「リルケ」は古くはなかった。
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