春の喪
かけがえのない人生の恩師のような方が亡くなったという知らせは、予期していてもよかったのに、まったく不意におとずれた。
わたしは散々泣いてから、庭仕事にこころをむけようとしていたが、喪にふくすように風邪を引いた。
こころが弱くなったのかもしれない。
熱の中で何度も眠りながら、起きると失ったものを思い出し悲しかった。
長いつきあいだった。
語るべき言葉もないのだ。
この記憶がほどけていくには時間がかかると、諦め泣き続けることにした。
それから数日して、ご近所で親しくしていたおばあさんが亡くなったという知らせを聞いた。
心臓だから、母が話をしたのはつい最近であるという。
はらはらと切ない日々である。