Feb 26, 2005

車両の視界(2000.10.17)


窓からの風景のない
地下鉄車両に乗っていると
単純なその箱に
いろいろな動きを
組み立てたくもなるけれど
砂嵐のようなものから
人の顔を作りはじめると
駅の明かりがそれを砕く

寝入りばな
はっきりと数人の覚えのない顔が
浮かぶことは頻繁にある
壊れた顔ではなく
微細な絵を描くこともできる

横に流れて行く壁の向こう側には
地下室があって
川も流れている
遺構もあるかもしれない

だから
花の中心に人の顔を
描くのは
隣に座った女性のかすかなにおいのように
跳躍ではない
エクリン腺からの汗のにおいが
流れの中に徐々に
血液を意識させはじめる

Posted at 09:39 in poem | WriteBacks (0) | Edit
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