Mar 13, 2009
アジアとヨーロッパの肖像・その2
(これらはすべて「ペリー」です。)
この美術展はASEMUS(アジア・ヨーロッパ・ミュージアム・ネットワーク=アジア、ヨーロッパの18カ国の博物館・美術館が共同で作り上げた組織。)の第1回国際巡回展です。さらに、この美術展は「神奈川開港・開国150周年メモリアルイベント」ということで、「神奈川県立近代美術館・葉山」と「神奈川県立歴史博物館」の2箇所で開催されたものです。美術品が語りかけてくるものは「アジア」と「ヨーロッパ」の文化であり、日本の開国以前と以後とのおおきな歴史の変化と流れでした。
アジアとヨーロッパの人々は、自国の人間をどのようにとらえ、他国の人間をお互いにどのように想像し、出会い、受け入れてきたのか?ということを、巨匠たちの作品(多くの肖像画、彫刻、風俗画、写真、屏風、陶磁器、地図、映像、人形)のなかに、あるいは現代美術の作家たちの挑戦のなかに辿っていく展覧会でした。人と人との出会いの記憶と印象、違和感、差別感、誤解などなど、異国の人間同士のさまざまな視点と、その認識のうつりかわりなどを、約200点の作品の流れのなかに見つめてゆく展覧会でした。 展開は以下のように、代表的な作品を。
第1章:それぞれの肖像
・レンブラント・自画像
・東洲斎写楽・三代目佐野川市松の祇園町の白人おなよ(←この白人は江戸時代の私娼の異称)
第2章:接触以前―想像された他者
・寺島良安「和漢三才図会(巻4・外夷人物・部分)
(中国の書物にもとづいて描いた異人像です。)
第3章:接触以降―自己の手法で描く
・伊東マンショ肖像画・作者不詳
第4章:近代の目―他者の手法を取り入れる
・マンドリンを持つ少女・百武兼行(1879年)
第5章:現代における自己と他者(ここは県立近代美術館のみの展示です。)
・コスロウ・ハサンダデ・テロリスト・コスロウ
・ジュリアン・オピー・ファイルを持つヒロフミ
* * *
肌色の違い、髪の色の違い、鼻の高さ、背丈、言葉、風習、宗教、権力者の有り様などなど、海を越えた文化の出会いは、人間の永い歴史のなかで、徐々に侵蝕し、反発し、融合しながら、なお今も世界は決して理解しあえたわけではないでしょう。そんなことを思いながら、海の見える町を彷徨った一日でした。
WriteBacks
http://www.haizara.net/~shimirin/blog/akiko/blosxom.cgi/nikki/20090313024942.trackback
writeback message: Ready to post a comment.