May 24, 2009

ルーブル美術館展・美の宮殿の子どもたち

p41
(ジュシュア・レノルズ  マスター・ヘア)

 22日、快晴、やや強風。またまた大計画(?)をたてて、まずは乃木坂の「国立新美術館」に上記のタイトルの美術展に行きました。その後で上野の「国立西洋美術館」にて「ルーブル美術館展・17世紀ヨーロッパ絵画」を観るべく上野へ行きましたが、美術館入口は大行列で「40分待ち」ということでしたので、入場はあきらめて「図録」のみ購入してきました。この2つの企画は連携したものですが、何故このように混雑ぶりに差があるのか?不思議でした。しかし、より観たい方を観ましたのでこれでよしといたしませう。

 「国立新美術館」に入場してまもなく、赤ちゃんの声を聴きました。一瞬絵画か彫刻から聴こえる幻聴かと我が耳を疑いましたが、若いお母さんが1歳前の赤ちゃんを抱いて「美の宮殿の子どもたち」を観にきていらしたのでした。この企画にふさわしい光景に出会って、思わず微笑んでしまいました。その赤ちゃんはぐずることも、大声で泣いたり、騒いだりすることもなくおかあさんの腕のなかで落ち着いていました。この光景は絵画と同じほどの思いがするのでした。

 作品は200点、7章に分かれて展示されていました。

 「河から救われるモーセ」、「聖母と幼いキリスト」、「授乳するイシス女性」、「愛の天使・プットー、アモール」、「子供のサテュロス」、「両親と男児」などなど「子供」をテーマとした、古代エジプト、ローマ、ギリシャ、オリエントから、19世紀あたりまでの永い時間を辿る美術の旅でした。絵画、彫刻、素描、版画、工芸品、陶器、玩具、人形、タペストリー、置物、美しい装飾を凝らした子供の棺など大小さまざまなものが展示されていました。
 ルーヴル美術館唯一の《少女のミイラと棺》は日本初公開だそうです。このミイラは、19世紀にギメ美術館に入り、次いでルーヴル美術館に移管されたものです。古代から子どもたちは死と背中合わせでした。幼年期を女児の服装で育てられた男児の絵画もありましたが、これはおそらく女児のより強い生命力に願いを託したものだったのではないでしょうか?

moze
(ピエール・パテル父  ナイル川にモーセを遺棄するヨケベト)

 さらに個人的に気付いたこと。それは国立新美術館にあった「河から救われるモーセ」のタペストリーと、国立西洋美術館の図録にあった「ナイル川にモーセを遺棄するヨケベト」でした。これは「子供のいのち」という大きなテーマの1つではないでしょうか?最近「出エジプト記」に出会うことの多い日々でしたので、一層心に残るものでした。


《付記》
 美術館に行って、歴史のなかで永く保存されてきた美術品を観ていますと、どうしても心をかすめる思いは拭えません。それらの「名品」は、言い換えれば「戦利品」なのですね。侵略と権力に運命を翻弄されたものでもあったということです。
Posted at 02:26 in nikki | WriteBacks (0) | Edit
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