Feb 26, 2005

イワシの群れ(1996.10.29)


イワシが曲がってくる
街角から
群れをなして
こちらのビンの中に

眼鏡のガラスの縁に
細かい魚が通りすぎ
冬のにおいを嗅いだ
かすかな青魚の
はらわたの
におい
耳元のイヤホンでは
デスペレートでも
明るい音楽が鳴っている

あの人の苗字がちぢに
くだけて
しばらく思い出せないのが
茶色い駅に着くと
集合して
淡い氏名が
人々のなかをすっと通り抜け
改札口から地下に沈んでいった

ちぢに
名称はくだけ
はらわたのにおいをたなびかせ
地下駅に
沈んでいく

Posted at 09:39 in poem | WriteBacks (0) | Edit
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