Feb 26, 2005

哲学者としての玉虫(1997.7.22)


上空に玉虫が飛んでいる
雲の端にたしかに認めた

メガネのレンズの反射を
彼は見て
廃園を見下ろし
やはり
と思ったかもしれない
訪ねてくる人は
ぜんぶアブラだ
アブラ


でも空の見えない角を
なんて直角に
風に応じて虫は曲がるんだ
哲学者の意思は
すっかり生活までも
瑠璃色に染めてしまう

上空の哲学者
玉虫

さて僕は
木造建築の要素を
古い水になる窓を
染めてしまおう

刈り取られた雑草の間に
ぎらりと光った
凹レンズの明るい矢が
たぶん
絵日記のように
その
キチン質の
ミクロの
穴に
入り込む
経度緯度が
この夏の印影だ

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