Nov 26, 2025
みすずたちの会話

みすずたちが話している。

ディアナたち滝を見に行ったらしいけど、
二人だけで大丈夫かしら。
ディアナが一緒なら大丈夫よ。
このあたりの森は庭みたいなものだから。

二人は無事に戻ってきた。
お帰りなさい。
みなさん、居間にいらっしゃいますよ。
とヤッピーが言っている。

綺麗な滝だったわ。
何か思い出せた?
それがさっぱり。

でも、シモーヌが
フミコみたいに滝に向かって、
挨拶の呪文を唱えたら、
風が吹いて滝の上に綺麗な虹がかかったの。
とディアナが言った。
それは偶然じゃないわね。
とフミコが言った。

挨拶の呪文って知らないなあ。
とアイスが言った。
すぐ覚えられるわ。
挨拶したい相手に向かって、
挨拶の呪文を唱えて、
あとは心に思い浮かぶ言葉を唱えればいいのよ。
決まった言い方があるわけじゃないの。
呪文を唱えて、
行きたい場所の記憶の情景を思い浮かべれば、
鏡の扉が現れるのと同じ。
それで、ここに戻る途中で
色々考えてみたんだけれど。

私の想像なんだけど、
この夢の世界がいつまでも消えずに残っているのは、
魔法がかかっているからでしょう。
私は魔法をかけた覚えはないし、
夢そのものを忘れてしまっているの。
誰かが消えかかる夢に魔法をかけたとしたら、
夢の中に一人取り残されたディアナしか考えられない。
でももちろんディアナは魔法を使えないし、
自分がなぜここにいるのかも知らなかった。
魔力を持つ夢食いが侵入したことも考えられるけれど、
魔族のみる夢に夢食いが入り込むのは稀だし、
タイミングが良すぎる。
私やディアナのことを知っていて、
そんなことができるのは。
あなたのお婆さまね。
とアイスが言った。

そうなのよ。
この世界の夢を見ていたのが、祖母だと考えれば、
辻褄が合う。祖母は孫の私と私が大事にしていた
鹿のフィギアの精霊が森の中で遊ぶ夢を見ていた。
もしくは、私がディアナと遊んでいる私の夢の中に
入り込んでそれを見ていた。
夢は私が目覚めれば消えてしまう。
でも祖母は、その夢がいつまでも続くように魔法をかけたの。
どうしてそんなことを。
ずっとその夢を見ていたかったんじゃないかしら。
祖母は亡くなる前に、何日もの間昏睡状態だったのよ。

そう言われればわかる気もするけど、
私がこの世界に来た時、
最初に滝のほとりでディアナと出会ったのも
お婆さまの魔力のせいなのかしら。
とみすずが言った。
わからないけど、それはディアナが一人で
暮らし始めて随分経ってからのことでしょう。
祖母はその時にはもう亡くなくなっていたかもしれない。
でも一人きりのディアナの友達になってくれそうな
夢食いを引き寄せたのかもしれないわね。
亡くなった後でもそんなことができるなんて。
北の孤島に水晶玉が残されてたことも、
お婆さまが使っていたものだとすればわかるけど、
恐竜が沢山いるのは何故なのかしら。
この世界は恐竜たちの楽園でもあるんでしょう。
とアイスが言った。
子供の頃、祖母が大昔の恐竜やその絶滅のことを
話してくれたのはかすかに覚えているわ。
でも私はあまり関心がなかった。
祖母は恐竜が絶滅せずに生きている世界も
夢見ていたのかもしれない。
お婆さまは異世界を作る魔法を知っていて、
あなたみたいな呪力を持っていたの?
とフミコが尋ねた。
私に異世界を作る魔法を教えてくれたのは、
祖母だったからね。
解説)
続きます。
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