Dec 31, 2024

大晦日

c1

佳奈とはるなは、
郊外に向かう道を散歩して、
フェンスのそばの楓の元に辿り着いた。


c2

他の紅葉はほとんど散っちゃったのに、
この小さな木は見頃ね。
崖沿いにあって、まだ若いからかな。


c3

その頃、サラたちの部屋に、
ソローが石炭を届けにきていた。


c4

あ、ソローさん、
ちょうどよかった。
その空のカートに載せて、
彫像を広場まで運んでくれない?
お安いご用です。


c5

広場に、佳奈とはるなが散歩から
戻ってきた。

もうお正月モードなのね。
と言っている。


c6

ドラム缶には掃き集められた
落葉が入れられているようだ。

これは?
落葉炊きするんだよ。


c7

彫像を乗せたカートを押して、
ソローが広場に到着した。


c8

ドルフィンのマスターが、
彫像を台座の上に取り付けている。


c9

これ、軽かったけど材質はなんですか?
紙粘土のようだよ。
舌出してますね。


c91

今年もあれこれとあったけど、
煙のように過ぎたなあ。
火のないところに煙は立たずよ。
焼き芋食べて年越しですね。
などと話している。



解説)
続きます。
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Dec 30, 2024

師走の日々 そのよん

b1

探偵事務所では
アルたちの忘年会が続いていた。


b2

今年は天ぷらと刺身が
用意されているようだ。


b3

この前ね、市街地で「マネキネコ」っていう、
カラオケ店の看板を見ていて、
「キネマの招き」っていう言葉を思いついたんだ。

回文遊びはやめようよ。悪酔いするから。


b4

そうか。
あ、外からずっとブルースが聞こえてくるね。

あれはトムたちよ。
音楽イベント以来、音楽愛好者が集まって、
この部屋で演奏していたの。
ドラムセットがあるのはそのせいか。
私もベースで参加してたのよ。
と鷲尾翠が言った。
よっぽど好きなのね。今も外で演奏してる。


b5

あのギター、なかなかいい感じだなあ。


b6

その頃、ジェニーたちの部屋に、
モモコが戻ってきた。


b7

これお土産よ。
ジェーンがくれたの。

わーすごい。
ねー部屋の中では
パタパタ飛ぶのやめて。


b8

みんな、その格好は?
年末の忙しさを演出するための装いよ。
忙しそうに見えるでしょ。
確か去年も見た気が。


b9

この重箱ずいぶんあるね?
これからお節料理を作るんだけど、
サラにも頼まれたの。
自分で作るつもりだったらしいけど、
急に仕事を頼まれたからって。


b91

その頃、
アルは事務所を出て、
ローレンスたちに話しかけていた。

君たち、いい演奏してるね。
ちょっと頼みたい話があるんだけど。
あ、僕は郊外でビストロを経営してる
アルっていうんだ。


b92

アルはビストロで演奏しないかという話を、
ローレンスたちに持ちかけていた。
みんな喜んで承諾したが、
私はちょっと無理ね。
と鷲尾翠が言った。

ここで探偵助手の仕事があるし。

ベースがいないとまずいなあ。
あ、ちょうどビストロでバイトしてる
シオンがいるでしょ。
そうか。彼女はバービーガールズで、
ベースをやってたね。
キサラはシンセサイザー弾けるし。


b93

話はまとまって、トムたちのバンドが、
来年からビストロで演奏することが決まったのだった。

じゃあ乾杯しよう。
トムは、お銚子を叩くのはやめて。
と言われている。



解説)
続きます。
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Dec 29, 2024

師走の日々 そのさん

a1

師走の広場は大掃除が
終わりかけていた。


a2

アイスと舞は
通りかかったソローと話している。

その石炭どこに運ぶの?


a3

ああこれはサラさんたちの家に。
ストーブの燃料の補給なんですよ。


a4

ルビーは佳奈に声をかけている。
掃除も終わったし、
またデジャでCGの忘年会やろうって話があるけど、
境界警備隊の連中が飲み会したいだけだから、
出席は自由よ。佳奈の予定は?


a5

昨日、去年の今頃のこと思い出してたんですけど、
年末には、はるなもバイト休めるんで、
今年も二人でまた散歩でもしようかなって。


a6

はるながバイトしている喫茶ペンギン前では。


a7

お正月用の飾り付けが終わったところだった。
これで準備万端ね。


a8

そこに佳奈がやってきた。

あったかそうなの着てるわね。
飾り付けが終わったから、
今年のバイトは終わり。
私も今コート取ってくる。


a9

どこに行く?
郊外に行く途中に
紅葉が見られる場所があるのよ。
紅葉はもう終わりじゃない?
そこのもみじは散るのが遅いの。
じゃあ行ってみよう。



解説)
続きます。
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Dec 28, 2024

師走の日々 そのに

a1

師走はあっという間に日が暮れる。


a2

相変わらず寒そうな格好してるわね。
今日はもう暗くなってきたから、
お掃除の続きは明日にしましょう。
と佳奈はルビーに言われている。


a3

佳奈はマンゴー亭で休憩することにした。

佳奈、まだ寒そうな格好してるのね。
人のこと言えないけど。
とレイに言われている。


a4

マンゴー亭でアルバイトしている
アンナとレイは、
佳奈の高校時代の陸上部の先輩。

忙中閑ありね。
忙中寒ありよ。


a6

でもクリスマスが終わったから
一息ついたところ。
あとは予約注文のお節料理の仕込みかな。
とアンナが言って椅子に座った。

いよいよ年の瀬ね。
今年はどんな年だった?


a7

そうですねえ。
いろんなことがありすぎて。
と佳奈は一年を振り返っている。


a8

去年の今頃、
まだ高校生だった佳奈は、
親友のはるなに会いに
初めてこの町に来たのだった。


a9

町に来た理由は、
学校の自由研究で
この近辺の住民の名前の由来を
聞き取り調査するためでもあった。
あちこちの家を回って、
住民たちと知り合い、
この町に住みたいと思うようになった。


a91

4月に無事高校を卒業した佳奈は、
自由研究や縄跳びの身体能力を評価され、
国際秘密組織CGにスカウトされて就職し、
この町で暮らせることになった。
5月には新人研修でアフリカに派遣されて
砂漠をバイクで疾走していた。

その後、今年の後半には、
アフリカでの遺跡調査の探検隊に参加したり、
鳥探しの探検隊に参加したりと、
ファンタジックな冒険の連続だった。

私にとって今年は激動の一年だったわ。
と佳奈は思い返していた。


a92

その頃、サラたちの部屋では、
サラが蛇の彫像のペイントをほぼ
仕上げていた。

あとは目を入れれば。
画竜点睛ね。龍じゃないけど。


a93

ダリオの置いていった大蛇が、
興味深そうに見つめている。

ねえ、干支ってどんな意味があるの?
とフミコが質問している。



解説)
続きます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 27, 2024

師走の日々

a1

年の瀬も押し迫ってきた広場。


a2

ドルフィンではお正月の準備作業が
続いている。


a3

去年の使い回しなのね。
年々歳々花相似たりだよ。
前にも同じセリフ聞いたことが。
口癖なんだ。
でも意味がちょっと違う気がする。


a4

ドルフィンスタッフのリタも、
今年の干支の龍の彫像の交換作業をしている。
ドラゴンイヤーもあっという間に終わりね。


a5

サラとジェットは、
年末年始の食品の買い出しに来ていた。


a6

お節料理、家で作るの?
そのつもりらしいんだ。


a7

市街地のスーパーに行かないと、
こんにゃくはありませんよ。
じゃあ牛蒡をください。


a8

あ、サラ。
ちょうどよかったわ。
緊急で頼みがあるの。
来年の巳年の干支の彫像がないのよ。
来年に間に合うように彫像を作ってくれない?
いいわよ。
材料は?
ドルフィンの倉庫に粘土があったはず。


a9

ドルフィンの倉庫から粘土を運んでもらって、
サラはさっそく蛇の彫像の製作にとりかかっている。


a91

この粘土、乾燥し始めてたから、
処理が難しかったわ。
ひびが入ってるのも趣があるよ。
あとは色を塗れば完成ね。


a92

メアリー=ケイトは、鏡餅を飾っていた。

年初めのお正月のお供えなのね。
その由来は?
と興味を持ったフミコに訊かれている。

大昔の鏡は青銅製で丸かったんですって。
お餅の形がその鏡に似ているので、
鏡餅って呼ばれるようになったの。
この風習は室町時代に始まり、
鏡はもともと神様の御神体だったから、
年神様をお迎えする、お供物や依代だという話よ。
2段の丸餅は、太陽と月を表し、
福が重なる、という意味もあるみたい。
ネットによると。

ふーん。年末のクリスマスで
お誕生を祝う神様との関係は?
どうなのかな。
でもとにかく
どちらもおめでたいのよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 26, 2024

アルの訪問など

a1

クリスマスの翌日の広場。


a2

軒を飾っていた装飾を片付けたリタは、
脚立の上で肉まんを食べて休憩している。

見晴らしいいですか。
向こうの景色はよく見えないのよね。


a3

ドルフィンのマスターは、
早くも門松の準備をしているようだ。

今年は早いですね。
年末はドタバタするからねー。


a4

広場にはアルを乗せた人力車が
到着していた。


a5

今年も探偵事務所で忘年会?
そうなんだ。
クリスマスが終わって
ビストロもやっと暇になったからね。
しかし人力車で郊外と行き来できるなんて、
なかなか風情があるなあ。
ますます観光地化が進むわね。


a6

アルは大道芸人たちの歌に
聞き入っている。

うちの店でもアトラクションに
バンド演奏入れようかなあ。
ますます観光地化が進むわよ。


a7

アルはマンゴー亭に立ち寄った。
あらアルさん。
肉まんを10個ほど持ち帰りで。
と言っている。


a8

アルは探偵事務所に向かう途中にある
高台の休憩所の前を通り過ぎている。
休憩所では、
ヴァイオリンの調べにのった
友恵の歌声が聞こえていた。


a9

アルは二階に探偵事務所のある、
喫茶ペンギンの前にたどり着いた。
ここでもローレンスがギターを奏でている。


a91

音楽イベント以来、
この界隈では音楽ブームが続いているんですよ。
二階の探偵事務所でも、昨日まで、
バンド演奏していたんです。


a92

アルは、探偵事務所のドアを開けた。
やあアル。
外は寒かったでしょう。
今熱燗の準備していたところよ。
と言われている。



解説)
続きます。

探偵とアルは旧友で、
年末には探偵事務所で
よく忘年会をしています。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 25, 2024

クリスマスの広場など

a1

華やかなイブがすぎて、
クリスマス当日は割と静かだった。
大道芸人たちは厳かに歌っている。

き~いよ~し こ~の夜~🎵


a2

子供たちはクリスマスプレゼントを
見せ合っている。


a3

靴下をベッドにぶら下げるの忘れてたら、
お菓子セットの入った靴が置いてあったの。


a4

僕の靴下には、
欲しかったクレヨンセットが
入っていたよ。


a5

今年もおかげで、
早めに町に来て視察できて、
事前にいろんな情報が得られた。
これは君たちにプレゼントだ。


a6

何ですかそれ。
それは巨大なチョコだった。


a7

マヤもクリスマスプレゼントをもらったようだ。


a8

開けるの楽しみですね。
どなたから?
それはね。


a9

クリスマスケーキは完売しました。
とフローラがアイスに報告している。


a91

ブッシュ・ド・ノエルを買った一人は、
メアリー=ケイトだった。


a92

今年のクリスマスイブは
あちこちで音楽ブームだったわね。
私も昨日は夜遅くまで、
広場で歌って楽しかった。
手のポーズがまだ歌ってる感じだね。



a93

サラはクリスマスのことを
フミコに説明している。

ふーん。その人馬小屋で生まれたのね。
それでツリーを飾る理由は?

古代ゲルマン民族の、常緑樹を
永遠の象徴とする土着信仰と、
キリスト教が融合した結果だと言われてるの。

七面鳥を食べるわけは?

大航海時代にイギリスから
アメリカに移住したキリスト教徒たちが
飢えに苦しんでいた時、
先住民から分けてもらったのがきっかけだったそうよ。
ネットに載ってたわ。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 24, 2024

ジェーンのいる世界 そのなな

b1

ちょっと、寒くなってきたわね。と言って、
ジェーンは食器棚の扉を開けている。


b2

ランプを灯すつもりのようだ。


b3

これしばらく使っていなかったから、
オイルも補給しといたわ。


b4

このランプは外でしか使えないのよ。
扉を閉めて食器棚の中で使うと、
酸欠で死んじゃうかも。


b5

あ、これもついでに出してきたから、
一緒に食べましょ。
それは、大きなチョコのパッケージだった。


b6

ジェーンはまた何やら探している。

今度はなんなのかしら。


b7

この本もこの間、
本棚で見つけたの。
面白そうだから読んでみない?
「雑草物語」か。
大島弓子っていう人のコミックなのね。


b8

二人が最初のページを開くと、
「クリスマスの奇跡」という絵物語が載っていた。
わーかわいいイラスト。
そういえば今日はクリスマスイブ。
偶然とはいえ、ぴったりじゃない?

二人は夢中になって読み始めた。


b9

4ページだけの絵物語なので、
すぐに読み終わった。

何の予定もなかったクリスマスイブを、
一人ぼっちで寂しく過ごしていた女の子が、
真夜中に今年一年間に優しくしてくれた人たちに、
プレゼントを配りまくることを思いついて、
実行して幸せな気分で眠る、っていうお話だったね。


b91

私たちは二人でイブを過ごしてるから、
寂しくないわね。
とモモコが言った。
そうね。
今晩泊まって行ってもいいかな。


b92

夜になり、
二人はそれぞれ手袋の中に潜り込んでいる。

あのチョコお酒が入ってた?
ラムレーズン入りでアルコール度3.7%。
きっとよく眠れるわよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 23, 2024

ジェーンのいる世界 そのろく

a1

ジェーンは何やら作業中だった。
モモコは預かってもらっていたポシェットを
身につけた。

これってお茶漬けセットの缶ね。
そうなの、テーブルがわりに使うの。
ちょっと手伝っってくれる?


a2

二人は本棚から一冊の本を
引っ張り出して運んでいる。


a3

缶の上に本を載せると、
ジェーンは用意してあった
紙ナプキンをその上に広げている。


a4

これってイタリアンね。


a5

ジェーンは手早く貝殻や
ボトルキャップの食器類や
食べ物を運んできた。

さあ、いただきましょう。


a6

これは、大きなイワシの
燻製なの?
大きな人たちにとっては、
おつまみ用の小魚なのよ。


a7

食後には新鮮なオレンジを。


a8

食卓の皿にはアジの燻製や
ナッツやクラッカーもある。


a91

ささやかな食事と会話が進み、
ジェーンは、そうそう、
と言いながら立ち上がって、
奥の棚をゴソゴソして、
1冊の豆本を取り出してきた。

この画集最近見つけたの。
私の生活に似てて面白いのよ。


a92

この本、見覚えがある。
とモモコが言った。


a93

それはアニメ映画「借りぐらしのアリエッティ」の
美術監督による映画の美術ボード画集だった。

モモコは思い出した。
もう14年も前の9月。そのアニメ映画を見て、
アリエッティの暮らす世界にすっかり魅入られたモモコは、
この画集を見て眠り、不思議な夢を見た。
その夢の中で初めてジェーンと出会ったのだった。


解説)
続きます。

モモコが夢の中でジェーンと初めて出会ったのは、
2010年9月2日「モモコの夢 そのいち」です。
その回の最初の画像のベッドの上に、
今回登場した豆本画集が写っています。

すっかり忘れていたのですが、
この2010年9月2日からの「モモコの夢」シリーズの中で、
モモコがジェーンの以前の住処を訪問してました。
そのことを踏まえて、
12月19日の「ジェーンのいる世界 そのに」
12月20日の「ジェーンのいる世界 そのさん」の、
セリフを少しだけ変更しました。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 22, 2024

ジェーンのいる世界 そのご

a1

向こうが表通りね。


a2

モモコが様子を見に行こうとすると、
道を横切る通行人の姿が見えた。

危ない危ない。
気をつけてって言われてたんだっけ。


a3

モモコは引き返して
家の裏手の方に回ってみることにした。


a4

家の裏手は崖になってるって、
いつかジェーンから聞いたことがある。


a5

このあたりはちょうど居間のガラス戸の
正面ね。


a6

崖下を覗き込んでみる。
低い常緑の灌木に覆われているが、
モモコには、
この前にアイスと行ったアフリカの
ジャングルのように思えた。


a7

フェンスに沿って飛んでいくと
竹藪があった。


a8

これは南天の実かしら。
大きすぎてよくわからないわ。


a9

そろそろ戻らないと、
ジェーンが心配する。


a91

モモコは結局
家のぐるりを一周して
天窓のある場所まで辿り着いた。


a92

ただいまーと
叫んでいる。



解説)
続きます。
Posted at 21:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 21, 2024

ジェーンのいる世界 そのよん

a1

この羽根、あまり高くまでは飛べないんだけど、
あそこまでなら行けそう。

外は危険がいっぱいよ。
猫やカラスもいるわ。
特に大きな人間に見つからないように気をつけてね。


a2

モモコは身軽になるためにポシェットを
ジェーンに預けて、
羽根をパタパタさせて上昇していった。


a3

本棚の一番上まで辿り着いて、
本を横に押しやると、天窓が見えた。
天窓の網戸を横にスライドさせると、
隙間ができた。


a4

あの赤いのはきっと楓ね。


a5

モモコは天窓に身を乗り出すと
ジャンプした。


a6

ホバリングしながら、
なんとか着地に成功。
地面は一面の楓の落ち葉だ。


a7

見渡すと、
末枯れた菊の鉢植えなどが見える。


a8

モモコは低空飛行していく。


a9

あっちに花が咲いている。


a91

それは満開の山茶花だった。
6倍の景色って迫力あるなあ。



解説)
続きます。
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Dec 20, 2024

ジェーンのいる世界 そのさん

a1

この食器棚には、
普段は滅多に使われない食器が収納されているの。
この蓋つきのスペースには
お茶碗と急須のセットが仕舞ってあったけど、
苦心して別の棚の目につく場所に移動したのよ。
だからお茶碗セットが必要になっても、
開けられる可能性は少ない。

さすがジェーンね。
お部屋の中、見てもいい?
もちろん。


a2

それは端切れを集めたの。
裁縫セットもある。


a3

隅にあるのは香炉のようだ。
未使用のキャンドルや、
焼き鳥用の竹串も並んでいる。


a4

各種調味料の入った小瓶がある。

あの絵がプリントされてる容器は、
前にもあったわね?
ええ。絵が気に入っていて。
あれは元はドロップの入っていた空き缶。


a5

隅にあるのも見覚えがある。
ライター用のオイル缶ね。


a6

あれも重宝してる。
もっぱらランプ用なのよ。
大きなお絞りやマッチ箱もまだあるのね。


a7

そのキャップは最近借りてきたの。
お水を飲むのに手頃でしょ。


a8

二人のおしゃべりは続いて、
話しているうちに話題はダリオのことになった。

ふーん。私と同じ種族の人なのね。
しかも魔法でモモコのいる世界に行って、
暮らしているなんて面白い人。

ジェーンはずっとこの家に住んでるんでしょ。
外には出ないの?
偶然窓やガラス戸が開いていて、
家の主人が留守の時、たまに出ることがあるわよ。
今年の4月にはトマソンさんと散歩したわ。
でも普段はドアや窓は閉まっているから
私の力では開けるのは無理。
そうか。
こっちの世界も季節は同じでしょ。
紅葉が見頃のはずだから、
ちょっと外に出てみたいなあって。
ふーん。

しばらく考えていたジェーンは
何か思いついたようで、
あなたなら出られるかも。
といった。


a9

この書庫には天窓があるの。
その窓は通気のために、
網戸状態になっているはず。
そこまで登るのが大変だけど、
あなたなら。


a91

二人は食器棚の家から出て、
壁の本棚の上方を眺めている。

あの本棚のてっぺんのあたりに、
天窓があるのよ。
モモコなら飛んでいけるでしょ。


a92

よく見えないけど、そうなのね。
とモモコは言った。



解説)
続きます。
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Dec 19, 2024

ジェーンのいる世界 そのに

a1

今ちょうどこの家の主人が
留守していてよかったわ。
鉢合わせしてたら大変だった。
ここは危険だから
安全な場所に移動しましょう。


a2

ところで今冬支度している最中だったの。
モモコも手伝ってくれる?
もちろんよ。


a3

ジェーンは居間のサイドテーブルの棚の
隠れ家にあった手袋を抱えている。
モモコはキッチンテーブルの隅にあった
数字の形をした蝋燭を抱えている。

ここのサイドテーブルの棚の隠れ家って、
私が今年の4月に来た時泊まったところよね。
プチトマトが美味しかった。
そうなのよ。本家は別の場所にあるの。


a4

二人は廊下に出た。


a5

そっちにいくの?
うん。この部屋は
物置がわりに使われている書庫よ。
家の主人は滅多に入ってこないから。


a6

二人はガラクタ置き場になっている
書庫の片隅のテーブルの上に
たどり着いた。

さあ。ここなら安全。
さっき早すぎるクリスマスプレゼントを
もらったからここで食べましょう。


a7

これってベルギー製の、
ベルメーレンカラメルビスケットですって。
このチョコは?
クラリネクランチビスタって言って、
細かく砕いたピスタチオと
三種類のナッツが入ってるのよ。
ジェーンはなぜそんなに詳しいの?
さっき栞の説明書きを読んだばかりだからね。
ビスケットはこのパッケージの裏に
日本語で書いてあるの。


a8

二人はビスケットとチョコを
食べている。

私4月には、トマソンさんを呼びに来たんだった。
あの時はみんなで居間の棚で寝泊まりしてたけど、
ここは仮の棲家なのって、言ってたわよね。
よく覚えてるわね。
トマソンさんとは知り合ったばかりだったし、
本宅の場所は彼には内緒にしてたのよ。
さすがジェーンね。

彼は元気?
ええ。町が気に入って
魔術劇場に居候してるみたい。


a9

それはよかったわ。
ちょっと喉も乾いたし、
モモコには本宅の場所を教えてあげる。


a91

嬉しいな。
確か最初に来た時はタバコの空き箱で
作った家だったわね。
ええ。その前は冷蔵庫の上。
あれからも転居を繰り返したんだけど、
今は、すぐそこにあるのよ。


a92

ジェーンは後ろを向いて、
背後の小さな食器棚の
取手に結びついていた紐を掴んできた。

一人でも簡単にできるんだけど、
ついでに紐を引っ張るの手伝って。
と言っている。


a93

扉が開くと、
食器棚の奥に何やら小物類の並んだ
ジェーンの住まいの様子が見えた。



解説)
続きます。

二人の会話に出てくる4月の出来事は、
夢の中でジェーンの住む世界に行ったきり
トマソンが戻れなくなって、
モモコが助けに行くというストーリーで、
2024年4月11日「ジェーンの世界」から、
2024年4月21日「ジェーンの世界 帰還」までに、
描かれてます。
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Dec 18, 2024

ジェーンのいる世界

a1

ジェーンは一人暮らしの人間の家に
ひそかに住み着いている。
日用品や食料品は、もっぱら
家にあるものを拝借しているが、
自分では借り物暮らしをしているつもりだ。


a2

ジェーンは今日も
キッチンテーブルを覗きに行った。
あれは何かな?


a3

使用済みの新宿御苑の入場券と
どんぐりの実のようだ。


a4

いつも巡回するのは出窓の付近。
ガジュマルの鉢植えが乾燥していると、
見かねてたまに水をやったりする。


a5

ジェーンが出窓の前にたどり着くと、
黒っぽい紙の上に、
小さな紙片と共に、チョコと
クッキーが置いてあった。


a6

これは、今年の4月頃に私が残した
書き置きだわ。


a7

裏返すと、メッセージが書いてあった。


a8

黒い紙はモロゾフのチョコの栞のようで、
チョコレートの説明が書かれている。


a9

ジェーンは背中の箱から
付箋のメモ用紙を取り出して、
返事を書き残しておくことにした。


a91

ジェーンが立ち去ろうとした時、
ジェーン。と呼ぶ声がした。


a92

なんとモモコが羽根をパタパタさせながら
空中に浮かんでいる。
また遊びに来ちゃった。
と行っている。



a93

羽根のついた変わった服着てるのね。
これ妖精のコスプレなの。



解説)
続きます。

ジェーンの借り物暮らしは
今の家に住み着いてから、
もう17年くらいになるので、
家の主人にはバレバレで、
お互いに微妙に気遣う関係になっているのでした。
ジェーンの最初の登場は、
2007年1月18日「間借り人ジェーン」です。
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Dec 17, 2024

モモコの願い

a1

モモコはフミコたちと話している。

あれからどうしてたの?


a2

アイスとアフリカに行って、
フミコさんに魔法をかけてもらった
この羽根の力で空を飛んだんです。
そしたら、本物の妖精と勘違いした
グリーンマンが現れて、
妖精にそっくりだと言ってお花をくれました。

それは良かったわね。
その花は妖精たちが好きだった花ね。

それで今日お願いに来たのは、
私ジェーンの住む世界にまた遊びに行きたいんです。
ハリーさんに頼めば、魔術劇場の中から
鏡の扉を開いてくれるんですけど、
すごく危険を伴うことがわかって。
フミコさんなら、どこからでも
望んだ場所に連れて行ってくれるって。


a3

どんな方法で行こうと
別世界を訪問するには危険は伴うのよ。
それにあの世界は特別。
それでも自己責任で行きたいっていうなら、
あなたに力を授けましょう。


a5

フミコは立ち上がると、
モモコに向かって呪文を唱えた。
薄い煙が立ち上ったが、
一見何も変わったことは起きなかった。


a6

今、あなたに魔力を授けたの。
とフミコは言った。
魔力、とは言っても、ささやかな力よ。
グリーンマンがあなたにあげたお花が、
扉を開く鍵になるわ。
そのお花に向かって、行きたい世界を
思い描いて念じると扉が現れるから。
帰ってくる時も同じようにしてね。


a7

大昔には妖精たちも、
あのお花に願い事をして遊んでいたのよ。
あなたに授けたのはそんな妖精たちの能力。
あなたは魔族並みの呪力を持っているから、
上手く使いこなせると思う。

あ、ありがと。


a8

モモコは早速
ジェニーたちの部屋に戻った。

ああおかえり。
どうだった?
この前グリーンマンからもらった
花を生けた花瓶あるかな。
もちろん。
ずっと元気に咲いてるよ。


a9

モモコはたまきたちに事情を話し、
花瓶から花を一輪手にとって、
ジェーンのことを思い浮かべてみた。


a91

すると鏡の扉が突然室内に出現した。

ちょっと扉が出現する場所を決められないの?
それは無理みたい。

モモコは小さな皮のポシェットを
身につけて、帰還する時のために花を一輪
持っていくことにした。


a92

モモコが帰った後の
サラたちの部屋では。


なんだかややこしい手続きが必要なのね。
すぐに扉を出現させられなかったの?
彼女が自分の力で行けるようになるのが、
一番でしょう。あの子素質あるから。
深いのね。
あの格好で寒くないのかな。
それは大丈夫。
妖精の感覚だから。



解説)
続きます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 16, 2024

外出の後で

a1

崖沿いの楓は日毎に
色合いを深めている。


a2

御苑の散歩から戻ってきた
ジェニーとたまきは
文学青年と話している。

すごく綺麗だったわよ。
図書館裏の雑木林はどうだった?


a3

特に紅葉が目立つ木立があるわけじゃないからね。
もの寂しくて寒々とした感じだったよ。
でも風のない午後で日差しは不思議と暖かかった。
うとうとしてたら影が話しかけてきたんだ。
ふーん。変なの。


a4

ナオミはドラムに夢中だし、
私がずっと留守番してたのよ。
とモモコがいった。
私もどこか行きたいなあ。
いつも出掛けてるじゃない?
そうなんだけどね。
行きたいのはジェーンのところでしょ。
うん。でも魔術劇場のハリーさんに頼むと、
心配かけるし、大変なのよね。
魔術劇場自体も危険に晒すことになるし。
だったら、フミコさんに頼めば?
あの人ならどこでも鏡の扉を作ってくれるわよ。


a5

その頃、ペンギンの前では、
佳奈とライトニングが話していた。

あちこち案内してもらって、
すっかりお世話になっちゃったわね。


a6

全然気にしなくていいんですよ。
先輩。これからどうされるんですか。


a7

一度本部に戻ることにするわ。
少佐に掛け合って境界警備隊に
配属してもらえるように頼んでみる。
わー。そしたらこの町に。

そうね。


a8

ジャンや文学青年とも再会できたし。
この町居心地良さそうだから。
あなたのおかげよ。

コーヒー中毒気味のジャンは、
またペンギンに入り浸っている。


a9

サラたちの部屋では、
今日もストーブを炊いていた。

外は冷え込んでるねー。


a91

そこにモモコがやってきた。
フミコさんいますかー。
と言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 15, 2024

御苑を散歩

a1

たまきとジェニーは、
紅葉見物に新宿御苑を訪れた。


a2

銀杏が綺麗だねー。


a3

日本庭園の方に
行ってみよう。


a4

池がある。


a5

あっちには何があるの?


a6

あれは旧御涼亭だよ。
数少ない本格的中国風建築なんだって。


a7

あ、あの人は何してるの?
リカちゃん人形を撮影してるみたい。
邪魔しないようにしよう。


a8

ああいう変わった趣味の人もいるんだね。
紅葉が綺麗だしね。
寒くなったし、そろそろ帰ろうか。


a9

二人は出口の新宿門に向かう途中で
バービーとケンに出会った。

さっき清水さんも来てたわよ。
などと言っている。



解説)
続きます。

今回は、昨日新宿御苑で
撮影した画像を合成しました。
実際に清水さんと出口のところで遭遇。
Posted at 21:03 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 14, 2024

森林公園へ

b1

魔子を乗せた人力車は
郊外の森林公園に向かっていた。


b2

ちょっと回り道ですが、
郊外の並木道を通って行きましよう。


b3

こんな道があったのね。


b4

もうすぐ到着しますよ。
なんだかもう紅葉を
堪能した感じ。


b5

森林公園につきました。
駐車場のある入り口は?
ここは公園の裏手に当たるんです。


b6

これは桜の落ち葉かしら。


b7

ともかくどこも
カラフルな景色。


b8

行楽客も随分来てるのね。
シーズンですから。



解説)
続きます。

背景は、デジカメの実景や、
生成AIのサイトで制作した画像、
ネットから借用した風景画像などを
混ぜこぜに合成して使用しています。
Posted at 21:16 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 13, 2024

再会など そのに

a1

マンゴー亭では
佳奈とライトニングが話していた。

先輩は以前にも
この町に任務で来たことがあるって。


a2

そうね。
あれは3年前の早春だったわ。
まだ寒い日でね。
確かレトロな石炭ストーブのある部屋で
休憩したのを覚えてる。


a3

レトロな石炭ストーブ。
多分そのストーブなら、今もありますよ。
サラさんのところで毎冬使ってます。
そうなの?
懐かしいわね。
じゃあ、一緒に見に行きましょう。


a4

ライトニングと佳奈が
サラたちの部屋に到着すると、
すでに先客があった。

こんにちわ。
サラ、ストーブを見せてもらいに来たの。

あ、あなたは
あの時の。と言われている。


a5

文学青年さん、
また会えたわね。

やあ、どうも。
僕らもこのストーブが懐かしくて、
見せてもらいに来てたんですよ。


a6

あの日の3人が再会するなんて、
これも何かの縁かもしれないわ。


a7

このストーブ、これまでは、
人が見にくることなんてなかったのに。
偶然、思い出のある人が集まったのね。


a8

その頃ジェニーたちの部屋では。

崖沿いの楓がやっと色づき始めたわ。
ナオミは事務所から帰ってこないし、
文学青年も図書館に出かけたきり。
どこで油売ってるのかしら。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 12, 2024

再会など

a1

図書館帰りの文学青年は
久しぶりにペンギンでコーヒーを
飲むことにした。
東屋で知り合った影は、
いつの間にかいなくなっていた。

ペンギン前にはナオミが来ていた。


a2

今日は珍しく
店内の席が空いていますよ。
と言われている。


a3

文学青年が店内に入ると、
入れ違いに
ペンギンの二階の事務所から
トムが階段を降りてきた。

お待たせしたね。
一区切りついたので、
選手交代。
と言っている。


a4

ナオミは探偵事務所にドラムを叩きにきて、
トムが交代してくれるのを待っていたのだった。

ずっとカントリーだったわね。
奈々子さんがフィドルで参加してるからね。


a5

ナオミはさっそく
二階の事務所に上がって、
演奏に参加している。

Take Me Home,Country Roads🎵


a6

トムはコーヒーを注文して
二階から流れてくる曲を聴きながら、
リズムに合わせてカタカタと
テーブルを小さい音で叩いている。

これ癖になっちゃうんですよ。


a7

文学青年が席を物色していると、
奥のベランダ席の青年ジャンが
こちらを見つめているのに気がついた。

あ、あなたはもしかして。
と言っている。


a8

ジャンは立ち上がると、
文学青年の前の席に移動してきた。

やっぱりあなただ。
何年振りでしょう。
ほら、あの石炭ストーブのあった部屋で。
ああ、あの時の。
あの時も十数年振りだったけど。


a9

あの石炭ストーブ懐かしいなあ、
今でもどこかにあるんでしょうか。
あれならサラたちが毎冬使ってるみたいですよ。
サラたちとは親しいから、見に行きますか。
え、それは嬉しいなあ。



解説)
続きます。

青年ジャンは、
たぶん2021年の8月5日以降、
常設セットの喫茶ペンギンの客席に
ずっと座り続けている常連客です。
その前に登場したのは、
2021年3月2日「再会」のことで、
この時のことが二人の話題になっています。
この時は男というだけでまだ名前がなく、
今回はじめてジャンと命名しました。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 11, 2024

車輪で遊ぶ

a1

広場では、
ドルフィンのスタッフが
何やら店を広げている。


a2

倉庫に木製の車輪が入荷してたんだけど、
何かに使えるかなあ。
随分頑丈そうだね。


a3

その車輪で、
人力車を作れますか?
と、ドルフィンにコスプレの
登録をしにきて、側で話を聞いていた
駒井魔子がいった。


a4

あ、突然すみません。
森林公園の屋外管理人をしている、
ソローさんが、車夫のコスプレするって
言ってたもので、つい。


a5

人力車か。
それもいいんじゃない?
私は車椅子くらいしか思いつかなかったけど。
とアイスが言った。
人力車に使うには、車輪のサイズが
二回りくらい小さいですが、
やってみましょう。
とマスターがいった。


a6

倉庫から資材を出してきて、
スタッフは早速設計と
組み立て作業を始めている。


a7

あっという間に数時間経って、
人力車が完成した。


a8

角度が調整可能な
足の踏み台をつけたんだよ。


a9

後ろには泥除けのカバーをつけたの。
おしゃれでしょう。


a91

そこにソローが、
コスプレの登録にやってきた。


a92

人力車作ったんですか。
ほーこれはなんという偶然でしょう。
それ使ってもいいですか。


a93

魔子は人力車に乗せてもらっている。


a94

お客さん、どちらまで?
森林公園まで紅葉狩りに。
よしきた。



解説)
セリアのインテリア小物で、
天然素材の「ウッドミニホイール」と言うのを
見つけたので、早速工作して遊んでみました。
人力車の本体には、
ボール紙とスチロール製の弁当箱を使用。
座席はバービーの馬車のパーツを流用。
他に太めの針金やストローを使っています。
後部のカバーはそのまま弁当箱のプリント模様です。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 10, 2024

図書館に行く

a1

たまきが今日もいい天気よ。
と言っている。


a2

そろそろ本の返却日じゃなかった?
あ、そういえばそうだね。
図書館にいかなくちゃ。


a3

文学青年は図書館に向かった。
銀杏の黄葉が盛りを迎えている。


a4

本を返却してまた仕入れた文学青年は、
図書館裏の雑木林に寄ってみることにした。


a5

雑木林の付近は少しだけ高台になっている。


a6

林の中程の空き地に東屋があった。


a7

文学青年は休息を取ることにした。


a8

風もなく寒さはそれほど感じない。
晩秋の光とくっきりとした影の対比を眺めていて、
日のぬくみに文学青年はうとうとしている。


a9

目を開けてふとみると、
目の前の影の中から
影帽子のような人の姿が立ち上がって
話しかけてきた。

こんにちわ。
私を見つめてまどろんでいらしゃったので、
なんとなくお近づきになりたくて
現れました。


a91

君はどこから来たの?
影の世界から来ました。
暗いのでみんなごちゃごちゃなんですよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:20 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 09, 2024

平穏な日

a1

サラたちの部屋では
遅い朝食を食べていた。


a2

これ美味しいわね。
とフミコが言っている。


a3

ピーナツバターって言うんだよ。


a4

クラッカーに塗っても美味しいわよ。
私ひと瓶食べられるわ。


a5

ジェニーたちの部屋には、
ナオミとたまきが戻ってきたようだ。


a6

探偵事務所でブルース聴いてたんだけど、
奈々子とロベリアが来たので
席をゆずってきたの。
親切なのね。
部屋がすごく狭いのよ。


a7

高台でシャンソンの伴奏してたんだけど、
この太鼓の音いまいち合わなくて。
本格的に叩きたいなら探偵事務所に行けば?
昔あなたが使ってたドラムセットがあるそうよ。


a8

隣の高台では、友恵が
うたのアコーディオンで、
「ルナ・ロッサ」を歌っていた。


a9

探偵事務所では
奈々子がヴァイオリンを弾いている。


a91

「冬の星座」って
カントリーだったのね。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 08, 2024

夕暮れの事務所など

a1

探偵事務所では
音楽好きの住民たちの演奏が続いていた。
雰囲気を出すために
照明が落とされている。


a2

トムは8ビートを刻んでいる。


a3

曲はアコースティックギターによる
素朴なブルースのようだ。
暮れていく西空に
夕日が沈みかけている。


a4

雰囲気はいいけど、
手元が暗すぎて。
瓶ビールどこ?
とたまきが言っている。


a5

ブルースの音色は
階下のペンギン前にも届いていた。


a6

このツリーにも
電飾をつけたんだね。
電飾っていうの?


a7

今日も店内は盛況のようだ。

朝からブルースばかりね。
カントリーでもやらないかな。
奈々子フィドルで参加すれば。
などと話している。


a8

あっという間に日は落ちて、
店のベランダから見渡せる
崖下の民家に灯が灯っている。


a9

夕暮れ時、サラたちの部屋でも
雰囲気を楽しむために卓上ライトをつけていた。


a91

手をかざすと暖かいわ。
そう?

暗すぎ。
やっぱり明かりつけようよ。


a92

ダリオさん、この蛇
忘れていったのかなあ。
自分の意思でのこったんじゃない?
ジャングルのその種の蛇は賢いのよ。
とフミコが言った。
ダリオさん、友達だって言ってたよね。
そういえば来年の干支は蛇なのね。
干支ってなあに?




解説)
続きます。

a93

ミニライトなどの照明だけで撮影する試みは、
やはり暗すぎ。
フラッシュを炊くとこんな感じです。
Posted at 21:02 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 07, 2024

冬支度

a1

ここ数日で、ケヤキの葉がほとんど散って
空が明るくなった。


a2

みんなはいないの?
ナオミは高台で太鼓叩いてるし、
たまきは探偵事務所で音楽聴いてるわ。


a3

あ、こたつと火鉢入れたのね。
冬の和室はこれじゃないと。


a4

もう暖めてるの?
もちろんだよ。


a5

モモコは確かめてみた。
遠赤外線なのね。
すーすーするよ。。
と文学青年に言われている。


a6

サラたちの部屋でも、
恒例の石炭ストーブのセットが
運び込まれていた。


a7

設置作業が完了した。
早速焚き付けてみましょう。


a8

ガンガン燃えている。
調子はいいようね。


a9

フミコは、
ストーブに興味を持っているようだ。

この国では冬の必需品なのね。
直に炎が見れるのが素敵。



解説)
続きます。

こたつやストーヴの明かりは
インテリア小物のミニライトを、
赤いセロファンに包んで点灯させています。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 06, 2024

ニッキーの朝

a1

滅多に登場しないニッキーは
また三面鏡を覗き込んでいる。

今朝はなんとなく
いいことがありそうな予感。


a2

久々に着替えしてみよう。




a3

ニッキーは髪も纏めて
後ろで束ねてみた。
あんまり変わらない。


a4

あら。なんの音かしら。


a5

ニッキーが物干し台のある
ベランダのドアを開けると、
そこにはサンタクロースが立っていた。


a6

お茶と煎餅でもてなしている。

この町には毎年早めに来て、
プレゼントを配る予定の
家々の様子を下調べするんですよ。


a7

階段を上がって舞がやってきた。
あ、サンタさんだ。
と言っている。


a8

今年は広場に豪勢なツリーが立ってますなあ。
ハリーさんが魔法で出現させたんです。
ああ、あの魔法使いの人ですか。


a9

ニッキーが見下ろすと、
大道芸人たちの歌声が聴こえてきた。

Silent night, holy night🎵」


a91

広場では賑やかな師走の一日が
始まっていた。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 05, 2024

装飾を作る

a1

ペンギン前では、はるなが
店の庇を眺めている。


a2

リズが声をかけた。
何みてるの?
広場に行ったらお店の装飾が綺麗だったので、
ここにも何か飾れないかなって思ってたの。
だったらサラに頼んでみたら?


a3

サラたちの部屋では、
サラは蛇と遊んでいた。
このひんやりする感触がなんとも言えないわ。


a4

部屋を訪ねてきたはるなは、
早速サラに装飾の相談をしている。

そーねえ。
そうだ。確かドルフィンの倉庫に、
スチロールの球があったはず。
あなたは景品のキスチョコの包み紙を
みんなから集めて来てくれない?


a5

サラはペンギン前のテーブルで、
工作を始めることにしたようだ。

包み紙随分集まりましたね。
なぜかみんなよく
捨てずに取ってあったわね。

a6

スチロールの球を
このカラーの銀紙で包み込むのよ。

作業はどんどん進んでいる。
バグも手伝っているようだ。


a7

てっぺんはフックの部分にするから
ひねって棒状にしてね。


a8

紐を探してたら、カラフルなモールが
倉庫にありましたけど。
それ使えそうね。


a9

工作は完成したようだ。
これで賑やかになったわ。


a91

余った玉はツリーに飾りましょう。



解説)
続きます。
Posted at 20:36 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 04, 2024

夜の広場界隈

b1

ドルフィンの二階の部屋では、
駒井魔子が三味線を爪弾いている。


b2

ニッキーは三面鏡に向かっているようだ。


b3

デジャでは相変わらず
会話が弾んでいる。

それであのチョコどうしたの?
姪からの貰い物なんだよ。
ジルって、姪御さんがいたのね。
あ、ドライマティーニ追加ね。


b4

広場は夜が更けても賑やかですね。
このシーズンだからね。


b5

ゼロはガラス戸のカーテンの裾をつまんで
広場を見下ろしてみた。


b6

ベーカリー前では
ボニーと夏木さんが話している。

けっこう冷え込んできましたね。
また何か催しものの企画を考えてるんですか。
全然。いつも突然思いつくのよ。


b7

アイスがボニーに声をかけた。
ツリーもライトアップしたし、
夜景でも撮影したら?
そうだねー。


b8

ボニーは広場を回ってみた。
農家の直販店やケーキ売り場は、
そろそろ店じまいの支度をしているようだ。


b9

マンゴー亭でも
佳奈たちの話が弾んでいる。

CGに入ったのは今年の春なんですよ。
もう何かミッションをこなしたの?
いえ。アフリカで新人研修は受けましたけど。
あああれね。
サバンナに人懐っこいライオンがいたでしょう。
いましたいました。


b91

大道芸人たちは歌い続けている。

きっと君は来ない〜🎵


b92

ボニーは、焼き芋を入れて
マンスフィールドさんの
スナップショットを撮影した。


b93

クリスマスシーズンの
賑やかな広場の夜は更けていく。



解説)
続きます。

今回はしばらくぶりの夜景です。
あちこちの照明器具の
確認を兼ねて。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 03, 2024

クリスマスの準備 そのさん

b1

広場では、ドルフィンのスタッフと
アイスたちが話していた。

広場の飾り付けも終わったみたいだね。
ずいぶん華やかになったわ。


b2

例年通り、
ベーカリーの軒先は装飾で彩られている。


b3

マンゴー亭も同様に。
留め具には巨大目玉クリップが使われているようだ。


b4

広場ではフローラが、
ベーカリーの出店のアルバイトをはじめ、
クリスマスケーキの予約を受け付けていた。


b5

子供達はまじまじと覗き込んでいる。
このケーキ、ブッシュドノエルっていうんだよね。
よく知ってるのね。
毎年見てるから。


b6

モミの木の下では、
ミューが新たに照明器具を取り付けていた。

この木、イルミネーションなら、
設置済みなのよ。
と舞が言っている。


b7

彩のあるLEDライトを追加してみたんだ。
効果はイマイチだなあ。
夜になると綺麗かもね。


b8

音楽イベントで懇意になり
大道芸人たちに招待された
メアリー=ケイトは、
一緒にクリスマスソングを歌っていた。


b9

I’m dreaming of a white Christmas
Just like the ones I used to khow🎵

これは師走の風物詩ね。



解説)
続きます。
Posted at 20:33 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 02, 2024

クリスマスの準備 そのに

a1

ケヤキの葉が色づいている。
もう半分くらいは散っちゃったみたい。


a2

今年もドルフィンの倉庫から
恒例のクリスマスグッズのレンタルがあった。

あれ。あの音は?
高台でナオミが叩いてるのよ。


a3

高台の休憩所には田上うたもきていた。
友恵さん。
伴奏するから歌を聞かせてよ。
と言っている。


a4

うん。これ喫い終わったらね。
どんな曲がいい?
とりあえず「枯葉」を。


a5

ペンギン前でも
クリスマスツリーが飾り付けられていた。


a6

早いものね。
今年ももうこんな季節に。


a7

探偵は事務所のデスクを運び出して、
近所のバグたちの住む元倉庫の家に
預かってもらっている。

いつもすみませんね。
いえいえ。
また事務所で何か始めるんですか?
音楽好きの連中が集まっちゃってね。
僕もエリスも聴くの好きだから、
しばらく場所を提供することにしたんです。


a8

探偵事務所のデスクのあったスペースには
ドルフィンの倉庫からドラムセットが運ばれていた。


a9

セッティングを済ませて、
トムはあれこれと叩いて音の具合を確かめている。
よく鳴るけど、このセット相当年代物だね。



解説)
続きます。

ドラムセットは、
はるか昔の2005年に、ボール紙と
プラ板と鉛線で工作したものです。
奥のシンバルは別。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Dec 01, 2024

クリスマスの準備

a1

デジャに戻ったジョニーは、
さっそくバーテンの仕事を再開している。


a2

ジョニーがシェーカー振る姿は
さすがに様になってるわね。
ジルは何のカクテルにするか迷っている。


a3

ヴィヴィアンは魔法の呪文を唱えている。
店内の隅に魔法の扉が出現したようだ。


a4

これでジルの別荘にある
魔術劇場と繋がったわ。

郊外から通わなくても
良くなって便利になりますね。
そうでしょう。
音楽イベントが終わったら、
魔術劇場をまた広場に戻す
予定だったんだけど、
ハリーと相談した結果、
年末年始は広場を空けておくことにしたの。


a5

ベーカリー前では、
夏木さんとアイスが話していた。

今日から師走。それに1日じゃない?
毎月のコスプレコンテストの結果発表はしないの?
音楽イベントがあったので、
先月分のコンテストの結果発表はなしだってさ。
みんなコスプレどころじゃなかったからね。
それにしてもそれよく食べ飽きないね。
好物というのは毎日食べたいものなのよ。


a6

あ、ハリーさん。
音楽イベント楽しませてもらったよ。
それはよかったです。
片付けも終わって、
魔術劇場のスペース空けてありますよ。
うむ。


a7

すぐに魔術劇場を戻すつもりだったんだが、
妻のカーミラやヴィヴィアンと相談してね。
年末年始は別荘で過ごすことにきめたんだ。
もうクリスマスの飾り付けをするんだろう。
いいものをプレゼントしよう。


a8

ハリーが魔法の呪文を唱えると、
薄い煙が立ち上って。


a9

空いていたスペースに、
大きなモミの木が出現した。


a91

この木は本物ですか?
うむ。空きスペースの地面には、
見えない文字で魔法陣が描いてある。
その中に魔術劇場同様に、
郊外の林から移動させてきたのさ。


a92

さっそくドルフィンのスタッフが、
イルミネーションの飾り付けを
行っている。


a93

夕方になって作業は完了した。
設置成功。
ライトは点滅方式だから、
ツリーの前で記念撮影する時には
タイミングが肝心だね。



解説)
続きます。
Posted at 21:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 30, 2024

景品の行方 そのに

a1

今日もお店は混んでいるわね。
チョコいただいたんですけど、
ダイエット中なので。
私もなのよ。
バグさんいかがですか?


a2

喫茶ペンギンには大抵
ジェニーフレンドたちが集結している。

このところ二階から演奏が聞こえるので、
音楽喫茶みたい。BGMにちょうどいいよ。


a3

奈々子はヴァイオリン倉庫に預けないの?
もうクリスマスシーズンだし、
なんとなくまた弾く機会がありそうな気がするの。


a4

クリスマスか。
私もベーカリーで、
恒例のケーキ販売のアルバイトしなくちゃ。
あ、そのチョコ大きすぎない?
食べるの手伝おうか。
とフローラが言っている。


a5

ペンギンの二階の探偵事務所でも
イベント出場者たちが景品のチョコをもらってきていた。


a6

これサラのところから借りてきたアルバムだね。
「ジュニア・ウェルズ・シカゴ・ブルース・バンド」か。
それ、バディ・ガイが参加しているんだよ。


a7

このアルバムは、
「ザ・ロンドン・ハウリング・ウルフ・セッションズ」ね。
クラプトンとウルフの共演。
あ、ジョニー。そろそろデジャに帰らないと、
まずいんじゃない?
あなたバーテンでしょ。


a8

ベースが抜けるとちょっと問題だね。
私が交代するわ。
と鷲尾翠が言った。
ウッドベースでもなんとかなるわよ。


a9

ジェニーたちの部屋では、
モモコも来てみんなが揃っていた。
ナオミとジェニーがチョコをもらったので、
みんなで食べようとしている。


a91

ナオミ、その太鼓どうしたの?
倉庫から鼓笛隊のを借りてきたのよ。


a92

随分立派なお花ね。
友恵さんから預かっているんだ。
外は寒いから部屋に飾って欲しいって。


a93

隣の高台では、友恵が
テレビ局のレポーターの
枝野多恵からインタヴューを受けていた。

シャンソンはどこでお勉強されたんですか。
パリでね。バイトしてたお店で
歌ってたのよ。

お煙草は何を?
前はジタンだったけど、
今はキャビンマイルドね。


a94

サラたちの部屋では、
メアリー=ケイトがニット帽を被っていた。
景品はチョコにしなかったの?
もうすぐクリスマスだし、
この赤いのが気に入っちゃって。



解説)
続きます。
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Nov 29, 2024

景品の行方

a1

午後になると、
広場の片付けはほぼ完了していた。


a2

ジェニーがイベント参加の
景品の受け取りを兼ねて、
ドルフィンの倉庫に
愛用のギターを預けに来ている。

ジェニー、昨日は最高だったわ。
興奮して失神した人もいて、
このやかんのお水が役に立ったの。
あ、参加の景品のニットの帽子もう品切れみたいよ。
私はチョコでいいの。


a3

旅芸人たちもいつもの演奏を始めていた。
景品のニット帽を被っているようだ。


a4

佳奈はライトニングに広場を案内している。

このミカン安くて甘いですよ。
味見しませんか?


a5

フレイムは洗濯したての服を着ていた。
舞が漂白剤入りのお湯に漬け込んだらしいよ。
さすが新品みたいになったね。
と言われている。


a6

やがてみんなが貰いに来て
出場者への景品はすっかり無くなった。
あっという間だったね。
結局何人参加したの?

えーっと、大道芸人たちが5人。
子供たちが二人、シタールのフラハさん、
バイオリン二重奏の二人、4人編成のジャズバンドと
メアリー=ケイト、4人組のバービーガールズ、
三味線弾いた魔子さん、ルビーたちのロックバンドが4人、
MPCSも4人、スパイダーリリーと麻生さん、
重複する場合は数えないとして、
シャンソン歌った人とバックでピアノ弾いてた人、
古い歌謡曲歌った人で、何人になる?
30人!
30人か。
チョコは少し多めに用意したはずなんだけど。
他に誰かいたっけ。


a8

他にチョコをもらったのは、
大道芸人たちと一緒に歌った
ドラコとレプティだった。

ダーダーと言いながら
嬉しそうにチョコを食べている。


a9

子供達は、特別に
ニットの帽子とチョコの両方をもらった。

これ大きいね。
少しづつ食べよう。
10日はかかりそうだね。


a91

景品にはチョコをもらう人がほとんどだったが、
いつも広場で演奏する大道芸人たちには、
防寒用に帽子が人気だった。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 28, 2024

音楽イベントの後で

a1

翌朝の広場では
音楽イベントの後片付けが進んでいた。


a2

アンも機材の撤去を
手伝っている。
大道芸人は
発声の練習をしているようだ。


a3

岸芳樹とヘルミーネは
農産物直販店の開店準備に追われている。



a4

夏木さんがアナウンスを始めた。

みなさんのご協力を持ちまして、
今回の音楽イベントは無事終了しました。
つきましては、
優れた演奏者に賞品を授与する
ことになっていましたが、
いずれも甲乙つけ難く、
出演者全員に景品を差し上げることになりました。


a5

景品はふかふかニット帽子か、
特製の巨大キスチョコです。
ニット帽は六点と限りがあるので、
なくなり次第キスチョコが景品となります。
帽子が欲しい方はお早めに。
なお、景品を提供してくれたのは、
ジルさんです。


a6

洗濯した服乾いたんだけど、
フレイム知らない?
フレイムならデジャにいると思うよ。


a7

デジャにはCGのメンバーが寄り集まって
相変わらず話し込んでいた。
マヤやフレイム、鷲尾翠も加わっている。

景品に帽子かチョコがもらえるらしいわね。
私はチョコがいいわ。
私も。私も。私も。


a8

帽子といえば、翠、
その帽子どうしたの。
もちろんシティポリスから借りたのよ。
そういえば最近シティポリス見ないわね。
もうこのへん巡回しなくなったみたい。
誰のせいかしら。


a9

その頃ペンギン前では。

今日も朝から二階が賑やかね。
きっとしばらくは音楽ブームですね。
みんな乗りやすいからね。
あら誰か来たみたい。


a91

レオさん。
やあ、探偵事務所ってこの店の二階だよね。
はいそこの階段から。


a92

探偵事務所では
ローレンス、ジョニー、トムが来て、
ブルースの演奏が始まっていた。


a93

イベントで意気投合して、
セッションができる場所を探していた3人に、
それを知ったトムのオートバイ仲間のエリスが
声をかけたのだった。


a94

ローレンスはギターも上手いんだね。
前はこっちの方が専門だったんだ。
ずいぶん昔、ペンギンで小さなコンサートを
開いたこともあるんだよ。
僕らがこの町に住む前のことだね。



解説)
続きます。

出場者への景品の帽子は、
セリアで見つけた
クリスマス用のインテリア小物です。
「ニット帽オーナメント2P」。

ローレンスの言っているのは、
2007年3月29日「ペンギンのコンサート」のことです。
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Nov 27, 2024

音楽イベントの続き そのなな

b1

はるなが歌い終わって
喝采を浴びながらステージからおりた。
じゃああれ行こう。


b2

最後の演奏です。
曲は「上海帰りのリル」と
「悲しき口笛」にちなんで、
南正人の「上海帰り」。
曲や歌詞知ってる人は参加してください。


b3

賑やかな伴奏と共に曲が始まった。
さっそく大道芸人たちが参加している。

暗い夜の 港に灯る
船の明かりは心の灯~🎵


b4

遠い夜汽車に その身をまかせ
夢路をたどる 上海帰り🎵


b5

奈々子もヴァイオリンで参加したようだ。


b6

騒々しく陽気で華やかな演奏に
聴衆は早くも総立ちになって
浮かれ騒いでいる。


b7

倖せはこんで来るという
青い小鳥を追いつづけ
今宵は何処 上海帰り🎵


b8

はるなの歌で
イベントを終えるつもりだった夏木さんは、
最初ちょっと驚いたが、もう諦めている。


b9

夜の帳が落ちる頃
聞こえてくるのは悲しき口笛🎵

ドラムのフレイムも乗りまくっているようだ。


b91

アイスも参加して間奏に
ファンキーなアドリブを入れている。


b92

倖せはこんで来るという
青い小鳥を追いつづけ~🎵


b93

今宵は何処 上海帰り🎵


b94

陽気な歌声と演奏のリフレインは延々と続き
音楽イベントは盛大に幕を閉じたのだった。



解説)
続きます。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 26, 2024

音楽イベントの続き そのろく

a1

みなさん。
音楽イベントも三日目の午後になりました。
今日は最終日で、
次が最後の演奏と歌唱になります。
歌うのは、はるなさん。
演奏するのは
ジェニー、鷲尾翠、フレイムさんによる即席バンドです。


a2

海をみつめてい~た~
浜のキャバレーにい~た~🎵


a3

風の噂はリ~ル
上海帰り~のリル リ~ル🎵


a4

デジャでは、
久しぶりに久美子とライトニングに
再会したルビーとアイスが、
文学青年を交えて、
旧交を温めていた。

それでここ数年
なんだかんだと忙しかったのよ。
最近ミッションが終わって
やっとフリーになったけど。
あなたたちは気楽でいいわね。
なんか無茶苦茶古い歌
聞こえてこない?
などと話している。


a5

私もこの町に転属願い出そうかしら。
少佐に頼んでみたら?
境界警備隊なら空いてるかも。


a6

組織に所属するのも結構大変なのね。
辞めちゃえばいいのに。
とヴィヴィアンが言った。

文学青年はライトニングに、
また会えるようになると
いいなあと思っている。


a7

先輩たち、
みんなかっこいいなあ。

おや曲が変わったようだよ。
とゼロが言った。


a8

丘のホテルの赤い灯も~
胸のあかりも消える頃~🎵


a9

みな~と~小雨が降~るよ~に~
ふしも悲しい口笛が
恋の街角路地の細道な~がれ行く~🎵



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 25, 2024

音楽イベントの続き そのご

b1

友恵のシャンソンは続いていた。
次の曲が始まっている。


b2

Fermer les yeux chéri quand on réve ensemble
Parler tout bas, trés bas et ne plus parier
Les yeux femés🎵


b3

素敵な曲ね。これ何て言う曲?
リュシエンヌ・ドリールの「眼を閉じて」。
うちでもたまに聴いてるの。
とサラが言っている。


b4

レイチェルがピアノの音色で
間奏の旋律を奏でている。


b5

彼女ピアノ弾けたの?
ロボット学者なのに多才だね。
才能ってそういうものなのよ。
と夏目ツナとシェリー博士が話している。


b6

Fermer les yeux chéri quand on réve ensemble
Imaginons la vie comme un long baiser
C’est mervelleux
Femons les yeux🎵


b7

ヘビースモーカーなのに
滑らかな低音の甘い歌声だね。
どうしたらあんなふうに。


b8

やがて余韻を残して曲が終わり、
陶酔から覚めた聴衆の
拍手が巻き起こっている。


b9

ブラボー!
歓声と拍手は鳴り止まない。


b91

ジェニーたちの部屋から
駆けつけて来た、
ルルが花束を贈呈している。


b92

ありがとー。
聴きにきてくれたのね。
今度高台でも歌って聞かせてね。



解説)
続きます。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 24, 2024

音楽イベントの続き そのよん

a1

ジェニーたちの部屋では、
文学青年から留守番を頼まれた
ルルと粉川和歌子がお茶を飲んでいた。


a2

園芸の好きなルルは、
モモコのもらってきた花が気になるようだ。
いい香りね。
と言っている。


a3

友恵の歌、聴きに行きたいね。
留守番だからね。
誰か帰ってきたら行きましょう。
それに録画ならネットで見られるよ。


a4

これは昨夜の音楽イベントの様子のようだ。


a5

ロックンロール大会になったんだってね。


a6

それにしても、
友恵が出場するなんて驚いたわ。
あの人、昔パリにいたことがあるんだって。
夏木さんがシャンソンを歌える人を探していて、
いつも高台で口開けて煙草吹かしてるから、
白羽の矢が立ったのよ。
その時、たまきのただいまーという声がした。


a7

そのころ広場では、江本友恵が歌っていた。


a8

Timbe la neeige
Tu ne veiendres pas ce soir🎵


a9

ドラムスは、また
トムが担当している。


a91

レイチェルや奈々子も参加している。
シャンソンの曲に合わせた即席のメンバーのようだ。


a92

Timbe la neeige
Et mon coeur s’habille de noir🎵


a93

ベーカリー前では、
演奏を終えたライトニングに、
アイスが文学青年を紹介していた。


a94

よく覚えてるわよ。
ストーブがガンガン焚かれた部屋で、
ビールを飲みながら夜更けまで話し込んだっけ。
あの時は楽しかったわね。
と言ってライトニングは微笑んだ。



解説)
続きます。

ライトニングが思い出しているのは、
2021年3月2日「再会」の回のことです。
Posted at 21:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 23, 2024

音楽イベントの続き そのさん

a0

音楽イベント会場は今日も盛況。


a1

次の演奏は、
スパイダー・リリーと、
麻生久美子さんによる、
ギターとフルートによる二重奏です。


a2

二人が紹介されている。


a3

おや、文学青年。
広場に来るなんて珍しいわね。

このところ、ジェニーたちが出払ってて、
毎日留守番してたんだけど、
たまに運動しないとと思って、
高台にいるルルたちに代わってもらって来たんだ。
ところで、あの人、
どこかで見かけたことがある気がするんだけど。


a4

どっちの方?
黒い帽子をかぶっている方の人。
ああ、あれはスパイダー・リリーって言って、
CGの同僚よ。
CGでのコードネームはライトニング。
町に住んではいないけど、
この町には任務で来たこともあるから、
どこかで見かけたんじゃない?


a5

二人の演奏が始まった。
澄んだフルートの音色と、
ギターの低音とのコントラストが
微妙に調和して心地よい世界を作り出している。


a6

二曲目はどこか思い出を誘うような
ボサノヴァの曲だった。


a7

ああ、やっと思い出したよ。
3年前の3月の初め、僕が山小屋風に改装した
バンブーハウスの部屋で、
石炭ストーブを炊いて留守番をしていた時、
暖をとりに来た女性だ。
メイクや髪型は違ってるけど顔立ちはそっくり。
そのとき町に任務で来たことがあるって言ってたから、
間違いないよ。

そうなの?
久しぶりの再会なのね。
あとで紹介してあげるわよ。
とアイスが言った。


a8

その頃、探偵事務所では、
相変わらずジェニーたちが、
ジャムセッションをして遊んでいた。

ジェニーのカバンって、
いろんなものが入ってるのね。
とエリスが言っている。


a9

タバコにライターにキャンディに、
これはブルースハープと、
ギターのピックね。
その透明なガラスの筒みたいなものはなあに?

それはスライドギターを弾くための
道具だよ。


a91

こんなふうに小指に嵌めて、
ギターを解放弦にして、
スライドさせて弾くんだ。
ガラス瓶を割って削って作る人もいて、
ボトルネックともいうね。

ジェニーも自分で作ったの?
異常に細かいこだわりなのね。


a92

その時、はるなが
階段を上ってやってきた。

こんにちわー。
あのー私,、音楽イベントで、
歌を歌いたいんですけど、
みなさんで伴奏してくれます?

いいわよ。
これで再出場する口実ができたね。
どんな曲歌うの?
「悲しき口笛」とか
「上海帰りのリル」とか。



解説)
続きます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 22, 2024

音楽イベントの続き そのに

a1

三日目になっても
音楽イベントは続いていた。


a2

みなさん。
今日もこれから演奏を始めます。
最初に登場するのは、
MPCSこと、
マジカルピカデリーカリビアンスピリッツです。
メンバーは長い名前の通りの4人組です。


a3

楽器を持っていないピカデリードリーは
ボーカルを担当するようだ。
よろしくねーと言っている。


a4

演奏が始まると、
佳奈は、CGのアフリカでの新人研修で、
主任担当官だった麻生久美子に出会った。

あ、先輩。アフリカから帰って来たんですか。


a5

音楽イベントに、
同僚のライトニングと一緒に、
昔のデュオで出場することになったのよ。
ふーん。先輩は何を?
私はフルート。
彼女とは、いつもギターとフルートの二重奏なの。


a6

演奏が進む中、ベーカリー前に、
ちょうどライトニングが到着した。

あら、珍しい。
ロックフェスティバル以来ね。
17年ぶりかしら。
そのいでたちは、例の。
あ、あなたのステージネームなんだっけ。


a7

スパイダー・リリーよ。
夏木さんから音楽イベントやるから、
また出場しないかって、声がかかってね。
久美子と二人で出ることにしたの。


a8

MPCSの演奏が終わり、
メンバーは万雷の拍手を浴びている。

嬉しいわ。
みんな私の歌が気に入ったのね。
誰か演奏シーン、撮影してたかな?
などと言っている。


a91

プチブライスたちの演奏聴くの
ロックフェスティバル以来ね。
スパイダー・リリーも
登場するみたい。
懐かしすぎる。
あれ、今日はジェニーはいないの?
探偵事務所に行ってるの。
まだ遊び足りないみたいで。


a92

探偵事務所では、
ジェニーと鷲尾翠とフレイムが、
トリオで演奏して遊んでいた。

昨夜はノリノリだったね。
ルビーのジェニー・B・グッドが最高。
ジョニーじゃないのね。
この3人でトリオ組んで出場しようか。
などと言っている。


a93

これがバービーガールズの
伝説のファーストアルバムね。
まだ私が生まれる前のことだわ。
エリス、それはないでしょう。


a94

階下のペンギン前では。

今日は随分二階の事務所が賑やかね。
騒々しいとも言える。
はるなも音楽イベントに出場したら?
歌は好きなんでしょ。
でもアカペラじゃとても。
大道芸人たちもいるし、
二階の事務所の連中に頼めば、
喜んでバックバンドになってくれるわよ。



解説)
続きます。

会話で話題になっている17年前のロックフェスティバルは、
2007年9月22日「ロックフェスティバル そのいち」
からのシリーズで見られます。
夏木さんはその時の出場メンバーにも声を掛けたのでした。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 21, 2024

音楽イベントの続き

a1

ギターの音色が途絶えると、
フレイムの超絶ドラムソロが始まった。


a2

流石に年季が入ってるなあ。
とトムは思っている。


a3

日頃の調理仕事のストレス発散。


a4

やがて曲はスローテンポに戻り、
啜り泣くようなギターの音色と共に、
エンディングを迎えた。


a5

我に帰った聴衆が
スタンディング・オべーションをしている。


a6

アンコール!
アンコール!
アンコール!


a7

もう一曲やっちゃう?
そだね。


a8

二人は上着を脱ぎ捨て、
アップテンポの軽快な曲が始まると、
ルビーはダックウォークを始めている。


a9

これがロックンロールだね。
という声が聞こえる。


a91

ジェニーも飛び入りで演奏に参加したようだ。


a92

広場は華やかなロックンロールメドレーで
夜更けまで大いに盛り上がったのだった。


a93

探偵とエリスも聴きに来ていた。
楽しかったね。
地味だけど翠のベースも良かった。
バックがしっかりしてるからノリがいいんだよ。
翠、あのポリスの帽子どうしたのかしら。



解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 20, 2024

音楽イベント そのきゅう

a1

早くも夕暮れになりました。
次で本日最後の演奏になります。
出場するのは、
ロックバンド「トライトン&ルビー」です。
メンバーは、ルビー、アイス、鷲尾翠、フレイム。
ごゆっくりお楽しみください。


a2

すごい照明器具ですね。
効果不明だけど、夕暮れだからね。
ドルフィンで用意したの。


a3

ルビーがステージでマイクを手にしている。


a4

じゃあ、いつものあれで。


a5

ダダ、というフレイムのドラムから
曲が始まった。


a6

インストロメンタルの
スローテンポのブルースのようだ。


a7

ルビーの印象的なギターソロのバックで、
アイスのサイドギターが歪んだ音色を奏でている。


a8

ルビーが啜り泣きのようなフレーズを弾き終わると、
呼応するようにアイスも追いかけ始めた。


a9

赤いフィルターをつけたライトが点灯し、
曲はアップテンポに変わっている。
二つのギターのアドリブの掛け合いが続く。
聴衆は息を呑んで聴き入っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 19, 2024

音楽イベント そのはち

a1

演奏を終えたジェニーたちは
マンゴー亭に集っている。


a2

あの曲は、なんていうタイトルなの?
まだ考えてなかったけど、
火星中納言ブルースかな。
火星中納言って何?
眼鏡をかけた昆虫の名前なんだって。
文学青年が読んでいた詩集の
タイトルにあったの。


a3

ドルフィンではフレイムが
着替えたばかりのシェフの服を
リタに渡していた。
これそろそろ洗濯した方がいいかも。


a4

会場では次の演奏の準備がされている。


a5

木箱の上に座布団があるよ。

次は、駒井魔子さんによる、
三味線の独奏です。
と夏木さんが紹介している。


a6

魔子の演奏が始まった。
早くも声援の口笛が飛んでいる。


a7

曲は津軽じょんがら節のようだ。


a8

歌の合間に、
すざまじい速引きの
テクニックが披露されている。


a9

撥を叩きつける奏法に
聴衆は陶酔に浸っている。


a91

傍で聴いていたドミノが
思わずギターで参加して競演を始めた。


a92

魔子って三味線上手なのね。
お姉さんはなんでも上手なのよ。
いつも控えめだけど、
素顔でコスプレコンテストで優勝してから、
なんか吹っ切れたみたい。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 18, 2024

音楽イベント そのなな

b1

ナオミが軽快にドラムを叩いている。


b2

キサラはピアノの音色に調整して
伴奏しているようだ。


b3

いつもクールなシオンは
8ビートのリズムを刻んでいる。


b4

あ、ジェニーが歌い始めた。


b5

目が覚めたら火星中納言が飛んでいた
目が覚めたら火星中納言が飛んでいた🎵


b6

洒落たメガネで空をブンブン
夜になっても空をブンブン
火星中納言が飛んでいたよ🎵


b7

フローラとサヤカも聴きに来ていた。

曲はブルースだけど、
初めて聴く歌詞だわ。
即興なのかしら。
あまり意味はなさそうね。


b8

曲はブルースハープの吹奏で
締めくくられた。


b9

曲が終わり、
聴衆は喝采を叫んでいる。



b91

ありがとー。


b92

あ、ヤカンの水気をつけてください。
すみません。


b93

すごい人気だね。
アンコールに応えるのかな。
どうかな。
次の人が待機してるはず。



解説)
続きます。
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Nov 17, 2024

音楽イベント そのろく

a1

翌朝のサラたちの部屋で。

おはよう。
サラとジェットはもう広場に出かけたよ。
朝食食べたら、私たちも行きましょう。


a2

メアリー、昨晩の曲って。
ああ、スターダストね。
僕、どうしてもザ・ピーナッツと
ハナ肇を思い出しちゃうんだ。


a3

全然わからないわ。


a4

その頃広場では
早めに席を確保しようと、
すでに聴衆が集まっていた。


a5

ジェニーたちが話している。
全然練習してないけど大丈夫?
ブルース進行ならすぐ弾けるでしょ。


a6

ジェニー髪型変えたのね。
どうせなら昔のスタイルでと思ってね。
このランニングもドルフィンの倉庫で見つけたの。
よく見つかったわね。

ブルーのランニングシャツには
BARBIE GIRLS 2005
のロゴが入っている。


a7

キサラとシオンはアンプやシンセサイザーの
音の調整をしている。


a8

みなさんお待たせしました。
音楽イベントも二日目になります。
最初に登場するのは、
ジェニー、ナオミ、シオン、キサラさんによる、
ロックバンド、バービーガールズです。
このバンドの結成は古く、
ほぼ20年前に遡ります。
これまでレコードも出されていますが、
その後ほぼ音楽活動はされていないので、
ロックファンの間では
久しく幻の女性バンドと言われています。

早く始めて~という声が聞こえる。


a9

夏木さんの紹介が終わり、
一瞬静かになった会場で、
ジェニーの吹くブルースハープの音色から
バービーガールズの演奏は始まった。



解説)
続きます。
Posted at 21:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 16, 2024

音楽イベント そのご

b1

友と語らん 鈴懸の径
通い慣れたる 学舎の街🎵


b2

優しの小鈴 葉陰に鳴れば
夢はかえるよ 鈴懸の径🎵


b3

聞き惚れちゃうなー。
それに暗譜して歌ってたわ。
練習してたから。
どうしてこの曲をリクエストしたの?
ネットで倍賞千恵子が歌ってるのを聴いてね。

次の曲のイントロが始まった。
この曲は「スター・ダスト」ね。
星屑か。ロマンチックね。
今日はあいにく曇天だけど。

ちょっと星空を思い浮かべてみて。
とフミコが言った。


b4

And now the purple dusk of twilight time
Steals across the meadows of my heart🎵


b5

High up in the sky the little stars climb
Always reminding me that we’re apart🎵


b6

~🎵
Love is now the stardust of yesterday
The music of the years gone by🎵


b7

あれはまたフミコの幻影だな。
よくやるわね。


b8

~🎵
My stardust melody
The memory of love’s refrain🎵


b9

メアリー=ケイトは
盛大な歓声に包まれている。

どうもありがとう。


b91

みなさん。
夜も更けたので、今日のイベントはここまでです。
続きはまた明日になります。
と夏木さんが言っている。

何人かがアンコールと叫んでいるが、
無視されているようだ。



解説)
続きます。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 15, 2024

音楽イベント そのよん

a1

日が短くなってきたね。
もう暗いわ。
ドラムがセットされてるよ。


a2

お待たせしました。
次はローレンス、レオ、
ジョージ、トムさんによる演奏です。


a3

トムさんじゃない。
急拵えのジャズバンドで、
ドラマーがいないっていうんで、
頼まれちゃったんだ。


a4

インストロメンタルの曲のようだ。


a5

ローレンスがトランペットで
気持ちよさそうにテーマを吹いている。


a6

テナーサックスのレオが、
旋律を追いかけてソロを始めた。
ベースもトリッキーにリズムを刻んでいる。


a7

続いてトムの華麗なドラムソロ。


a8

白熱のソロが終わってテーマに戻ったわ。
聞いたことないけど、
いい感じのファンキーな曲ね。
あれはキーだけ決めて
思いつきのテーマでやってるんだ。
そう言えば、ローレンスさんって、
丹下さんのお友達でしたわね。
ニューヨーク時代からの旧友だよ。


a9

インストロメンタルは、
BGMのように途切れることなく続いている。
ローレンスがステージから降りると、
黒いドレスの女性が現れた。


a91

あれはメアリー=ケイトよ。
ちょうど間に合ったわ。

サラたちの部屋から、
サラとフミコとケイとジェットが
応援と鑑賞に来たのだった。


a92

ジェットは、
それヘビですよね。
と言われている。



解説)
続きます。
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Nov 14, 2024

音楽イベント そのさん

c1

続いての演奏は、
奈々子さんとロベリアさんによる、
ヴァイオリンの二重奏です。


c2

美しい音色が
響き渡る。


c3

二人の息もぴったりのようだ。


c4

二人が演奏するというので、
ジェニーフレンドたちも、
聴きにきていた。

あの旋律痺れちゃうわ。
ロベリアも上手なのね。


c5

演奏を終えて、
聴衆の拍手と喝采を浴びながら、
二人はフレンドたちに手を振っている。


c6

みなさん。
ステージの模様替えの作業をしますので、
ここでしばらく休憩をします。


c7

奈々子とロベリアは、
フレンドたちと合流した。

ロベリアも上手だったじゃない。
奈々子が弾きやすい曲選んでくれたけど、
私はついていくだけで精一杯だったのよ。


c8

バルトークの二重奏も良かったけど、
シタールって言えば、
ラヴィ・シャンカールだね。
それしか知らないんだけど。
ジムはあの世代なの?
なんか眠くなるような曲だったなー。
あの曲は瞑想に向いているんだよ。
などと話している。


c9

おや、そろそろ始まるみたいだよ。
とゼロが言っている。



解説)
続きます。
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Nov 13, 2024

音楽イベント そのに

a1

続いての登場は、鈴木すずさんと、
お友達の池谷圭さんです。


a2

すずはスペリオパイプを拭き始めた。
圭はトライアングルとカスタネットで
伴奏をしている。


a3

曲はキラキラ星のようだ。


a4

懐かしいなあ。この曲。
あなたも小学校で?
などと話している。


a5

この曲は元はシャンソンだったんだろう。
モーツァルトも変奏曲を作ってるんだ。
誰でも知ってる曲ね。
あ、間違えた。
などと言っている。


a6

やがて演奏を終えた二人は
マンゴー亭で話している。
惜しかったなあ。
あの最後の、ファファミミレレドのとこね。


a7

続いては、
フラハさんによるシタール演奏です。
と夏木さんがアナウンスしている。


a8

会場に妙なるシタールの音色が響き渡る。


a9

幻想的な夢の境地に誘われるような。


a91

フラハって、
アフリカに住む前インドにいたことがあるんだって。
それでね。
でもあのポンチョは。


a92

演奏を終えたフラハは喝采を浴びている。
あれがやりたかったのか。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 12, 2024

音楽イベント

b1

ようやく音楽イベントの当日になった。


b2

ベーカリーの奥は、出演者や
スタッフの待機場所になっている。

夏木さん。
そろそろ始めない?
そうね。これ食べてから。


b3

マンゴー亭にはジルとギルダが聴きにきていた。

セットしたドラムセットを一旦片付けたらしいわ。
出演者の順番の都合ですって。
イベントを始めるってアナウンスして、
昨日の今日だからね。
進行の手順も色々大変なんだろう。


b4

練習中のジョージは、
ベースの響きって素敵ね。
とレイに言われている。


b5

焼き芋を食べ終わった夏木さんが
アナウンスを始めた。


b6

今日はこんなに大勢お集まりいただき嬉しい驚きです。
これから、さっそく音楽イベントを開始します。
最初はみなさんお馴染みの、
大道芸人の方たちの演奏と歌唱をお楽しみください。


b7

大道芸人たちの歌と演奏が始まった。
ドラコとレプティも足元で一生懸命歌っている。


b8

今日は特に歌唱に力がこもっているようだ。


b9

会場に熱気が伝わってくる。
声量をコントロールするためにマイクを遠ざけているようだ。



解説)
続きます。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 11, 2024

音楽イベントの準備 そのさん

a1

音楽イベントのアナウンスが流れ、
鷲尾翠は、
アイスからイベントにバンドで出演する
ことになったと知らせを受けた。

何探しているの?
この辺にギターケースが仕舞ってあったはず。


a2

これは君のギター?
ルビーが愛用してたギターよ。
私はベース担当なの。


a3

ペンギン前では、
奈々子とロベリアが
ヴァイオリンを出してきて話している。

このヴァイオリン、奈々子のでしょう。
そうだけど、今回はこれ使うから。


a4

二重奏なんて緊張しそう。
奈々子はベテランだけど、
私人前で弾くの初めてなの。
きっとうまく行くわよ。


a5

それが噂の名器ね。
私もこれ弾くのは初めてなのよ。
すごく楽しみ。


a6

ジェニーたちの部屋でも
音楽イベントの話で盛り上がっていた。

さっき広場に行ったら、
椅子がずらっと並んでいたよ。
ステージもできていて驚いちゃった。


a7

そこにシオンとキサラがやってきた。

ハロー。もちろん明日からの音楽イベント、
バービーガールズで出演するんでしょ。
と言っている。

二人はドルフィンの倉庫から、
楽器を運んできたのだった。


a8

懐かしいなー。
これギブソンモデルのギターと
ベースだよね。
よくこんなの作ったもんだね。


a9

私のシンセサイザーもあったのよ。
もちがいいんだねー。


a91

サラたちの部屋には、
今井舞がメアリー=ケイトに、
出演を依頼しにきていた。

この前の歌声にすごく感動したんです。
また是非聴いてみたいと思って。
あ、それ蛇じゃないですか。


a92

サラはさっそくメアリー=ケイトの服を
選んで着替えを手伝っている。

この黒いドレスは?
ちょっとシックでシンガーっぽいでしょ。


a93

舞さん、それ何持ってるの?
あ、渡すの忘れてた。
これは譜面です。
よかったら歌ってもらおうと
思って持ってきたの。
「鈴懸の径」よ。



解説)
続きます。

奈々子のヴァイオリンの演奏シーンは、
2006年6月12日「もちよりパーティ」
2024年3月19日「早春のしらべ そのなな」
などに出ています。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 10, 2024

音楽イベントの準備 そのに

a1

広場では音楽イベントの準備が
進んでいる。


a2

ドミノと夏木さんが話している。

どうせならドラムも欲しいわね。
設置スペースが足りないのよ。



a3

魔術劇場からハリーが出てきた。

音楽イベントをやるそうじゃないか。
そうなのよ。明日からね。
突然決まったんだけど。
だったらスペースを空けてあげよう。
魔術劇場を、
またジルの別荘にでも移転するよ。


a4

ハリーはエヴァに声をかけて
劇場の中に入るようにいうと、
魔法の呪文を唱えた。


a5

すると薄い煙が立ち上って、
魔術劇場の建物はうっすらと消えていった。
おー。
と農家の岸芳樹が言っている。


a6

空きスペースができたので、
急遽、演奏用にステージを作って、
音楽イベントっぽい演出をすることになった。

アンや佳奈も
ドルフィンの倉庫から
音楽機材を運ぶのを手伝っている。


a7

木枠で舞台が作られ、
ドラムセットが設置されている。


a8

なんだか懐かしいわね。
私たちも久しぶりに演奏する?
こうなったらやるっきゃないわね。
とアイスとルビーが話している。


a9

あのー、
大きいお蜜柑欲しいんですけど。
ごめんね。味見してるうちに
みんな食べちゃやったのよ。



解説)
続きます。
Posted at 21:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 09, 2024

音楽イベントの準備

a1

翌朝になった。
広場は突然の音楽イベントの準備で、
やや慌ただしい雰囲気が漂っていた。


a2

ルビーは大道芸人たちと話している。

面白そうな企画ですね。
僕らは何を。
しばらくこの場所を空けてくれればいいのよ。
もちろん演奏にも参加して、
必要なら伴奏もしてくれると助かるわ。


a3

故障したバイクをドルフィンに預けに来たトムは、
アイスと話している。
久しぶりね。熱いお茶飲んで
肉まんでも食べない。


a4

音楽イベントやるんですか。
誰でも飛び入りの参加自由なんだってさ。
のど自慢大会みたいですね。
出てみる?
僕は聴くだけで。


a5

ドルフィンスタッフが、
パイプ椅子を持ち出してきている。


a7:jpg

通行の邪魔にならない程度に。

よっこいしょ。
という声が聞こえる。
今井舞も手伝っているようだ。


a8

ジョニーがウッドベースを弾いて、
ドミノと音合わせをしている。


a9

なんとなくなんとかなりそうね。
と夏木さんは思っている。


a91

大道芸人たちはベーカリーで
食事を奢ってもらっていた。

しかし僕らが毎日演奏している時も、
基本は飛び入りの参加自由なんだから、
あまり変わらないんじゃないかなあ。
聴衆用の椅子席が並んでるところが違うのよ。
そこですか。


a92

ルビーはマイクを手にして、
アナウンスを始めた。

みなさん。
広場で音楽イベントを始めます。
ジャンルは問わず、どなたでも参加できますので、
出演希望者は気軽にベーカリーまでお申し出ください。
また特に優れた演奏や歌唱には、
賞品をご用意しています。


a93

こんな感じでよかったかな。
ルビーありがとう。上出来よ。
さあ、焼き芋食べましょ。



解説)
続きます。
Posted at 22:10 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 08, 2024

広場の人々の衣替え

b1

広場はわりと閑散としていたが、
音楽だけは賑やかに流れていた。


b2

そのお揃いのジャンバーは、
ドルフィンスタッフのトレードマークね。
毎冬着る物が決まってるのは楽だわ。


b3

農家の岸芳樹とヘルミーネも
衣替えをしていた。

ミカン美味しかったから、
もう一つ味見しましょう。
と言っている。


b4

ジャマイカから来た
観光客も革ジャンを着込んで
寒いのは苦手なんですよと言っている。


b5

大道芸人たちも
それなりに防寒着を着込んで
歌っているようだ。


b6

広場に夏木さんがやってきた。
演奏を聴いているようだ。


b7

あら夏木さんじゃない?
去年の暮れ以来ね。
ちょうど焼き芋があるわよ。

やっぱりねー。もちろん頂くけど、
今、大道芸人たちの演奏を聴いていて
思いついたの。
クリスマスまで暇でしょう。
これから音楽イベントでもやらない?
いいけど、どこで?
ここで。あのスペースが使えるでしょ。
広場に椅子を並べるだけよ。
安易で楽しそうな企画ですね。
ぜひ手伝わせてください。
と側で聞いていた今井舞がいった。

じゃあ飛び入り歓迎の自由参加ということで、
明日にでもアナウンスしましょう。
了解。
ハロウィーンの時、すごく綺麗な歌声の
人がいましたよ。
じゃあ声をかけてみてよ。
私も参加者を募ってみる。


b8

夏木さんはデジャに向かった。
ここは会員制なんです。
とヨシフに言われている。
え、音楽イベントの相談ですか?
だったらどうぞ。


b9

安易で面白そうな企画ね。
誰か楽器演奏できる人いる?


b91

ジョニー、君は
イギリスでバーテンやってた時、
仲間とバンドも組んでたよね。
昔のことだよ。


b92

どんな楽器弾いてたの?
ジャズバンドのウッドベースですよ。
当たりね。
飛び入り歓迎の自由参加だから、
ベースがいると頼もしいわ。



解説)
続きます。
焼き芋とイヴェント企画好きの夏木さんは
ごくたまにちらっと登場しています。
最近では、
2023年1月11日「ベーカリー前で」。
2023年12月25日「時の流れのままに」。

久しぶりに思いつきの企画が始まったようです。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 07, 2024

はるなや探偵たちの衣替え

a1

ペンギン前では、
上着を着込んだ従業員のはるなとリズが、
エプロンの交換をしていた。


a2

このメイド風のエプロンしてみたかったの。
あ、それどこに?
二階の事務所からの注文よ。


a3

リズは階段を上がって、
探偵事務所を訪れた。


a4

コーヒーお持ちしました。
皆さんも秋冬モードですね。


a5

それって若く見えるわね。
そうかな。


a6

君はなかなかシックだね。
そうかしら。


a7

私はどう?
そうねえ。


a8

高台の休憩所でも、
江本友恵がコートを着ていた。
それ、去年も着てたやつね。
お気に入りなのよ。


a9

だけどこうまでして
ここでタバコ吸うってどうなの。
そういう定めなのよ。


解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 06, 2024

サラとバービーたちの衣替え

a1

サラたちの部屋では、
ダリオたちがコスプレの着替えを
終えていた。


a2

サラやメアリー=ケイトも
秋冬の装いに着替えている。

ダリオさんは普通の服を着ないの?
ドルフィンの倉庫に色々あるわよ。


a3

僕はこの服、着慣れてますから。
あ、これ、着付けのお礼に差し上げます。
先住民からの貰い物ですが、
こちらの世界の魔力がこもっているので、
フミコさんが持っている方が相応しいかと。


a4

山羊の頭蓋骨のようね。
確かに静かな波動が伝わってくる。
波長も合う感じがするわ。


a5

オセロは大蛇と遊んでいる。


a6

広場にはバービーたちが
参加賞の受け取りと衣替えに来ていた。


a7

あなたたちもハロウィーンコンテストに
参加していたのね。
気がつかなかったわ。

普通のバービー人形のコスプレなので、
みんな普段着だったから、
目立たなかったのよ。


a8

ケン、久しぶりね。
そのナンバーはなんの数字?
僕も知らないんだ。


a9

なんとなく、みんなお揃いで
ブルゾン来てるのね。
ルビーもその格好。


a91

流石にランニング一枚じゃ
寒そうだからって。
私は平気なんだけどね。


a92

アイスは巨大蜜柑を
試食していた。

うん。これは甘いわ。


a94

アコーデオンを持った田上うたが、
広場にやってきた。

遅かったじゃない。
ハロウィーンはとっくに終わっちゃったよ。
色々と事情があってね。
でも演奏は続けてるんでしょう。
ずっと続けてるよ。
何か弾く?



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 05, 2024

ジェニーとフレンドたちの衣替え

a1

ベランダに集まっていた
ジェニーフレンドたちは、
ドルフィンの倉庫に行き、
ナースやドクターのコスプレを返却して、
好みの私服を借りていた。


a2

服が色々揃ってるんですね。
ドルフィンも長いからねー。

でも同じ服が滅多にないから、
早い者勝ちなのよね。
秋冬はあったかくしないと。
などと、
リナとジュリアナとユーリシアが言っている。


a3

お揃いの服を見つけました。
あなたたち、双子なの?
とルビーが尋ねている。


a4

私はあいこです。
私はミツキ。
よく見ると微妙に違うでしょう。


a5

かっこいいなあ。
ありがと。チョコたべる?
と奈々子が言っている。


a6

農家の直販店には、ツナとナディアが
未来世界の密林で収穫した
巨大オレンジを持ち込んでいた。
これすごく甘いんですよ。
と言っている。


a7

トムはドルフィンのマスターに、
バイクのメンテナンスを頼んでいるようだ。

始動音がですね。
ヒュィーンと言って。
ふむそれはクランクベアリングの
異音の可能性があるな。

多恵はトムにインタヴューしようと思ったが、
真剣そうな二人の会話に躊躇している。


a8

ペンギン前でも
サヤカとフローラとリエが
着替えを済ませていた。

これで寒くなっても大丈夫ね。
これフード付きなのよ。
私はゆるいのが好き。


a9

リエさんって、
キサラさんに似てますね。
よく言われるんだけど
それでちょっと困った顔してるの。
そこが二人の違いなのよ。


a91

ジェニーたちも衣替えをしていた。
みんなカーディガンか。
僕もそろそろ羽織を出そうかなあ。


a92

モモコが戻ってきた。
あ、おかえり。
それそろそろ寒くない?


a93

モモコは花瓶を運んできたのだった。
これ何の花かしら。
とてもいい香り。



解説)
続きます。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 04, 2024

ハロウィーンの後で

a1

アイスとモモコは魔術劇場に戻ってきた。
デュアンが花瓶の花の手入れをしている。

お帰りなさい。
おや、まだその格好してるの?
ええ、町に出るわけじゃないから、
しばらくこのままでいようかと。


a2

綺麗なお花ですね。
ちょうどよかった。
早めにお水に浸した方がいいわ。


a3

デュアンは花瓶に生けてくれた。
夢見の水だから、
きっと長持ちするわよ。


a4

その頃、デジャでは。

ハロウィーンも
あっという間に終わったね。
アンジーは着替えないの?
もう秋冬モードでしょ。
何着るか迷ってるのよ。


a5

どうやら広場の後片付けも
終わったみたいだね。
とゼロが言っている。


a6

広場ではドルフィンスタッフによる
飾り物の撤去と掃除が終わったところだった。


a7

飾り物がなくなるとスッキリするね。
みんなの家に配布したカボチャアイテムの
回収も終わったわよ。
ハロウィーンが終わると本格的な秋だなあ。

観光客はやや少なくなったが、
大道芸人たちの演奏は続いている。


a8

ベーカリー前では、
コスプレコンテストの参加賞の
チョレート掴み取りをしに
来る人が絶えなかった。


a9

好きなチョコ集めてから掴んでいいですか。
それはちょっと。
と言われている。


a91

農家の岸芳樹とヘルミーネが、
また農産物の即売店を開く準備をしていた。

このバナナ食べてから始めよう。
と言っている。


a92

マンゴー亭では食器の片付けをしていた。

あの人たちずっと予約席で食べ続けだったわよ。
商売繁盛だったんだね。
あなたいなかったでしょ。
とシェフの丹下健太が小池恵子に言われている。
僕もベーカリーで食べ続けだったんだ。
アメリカンヒーローチームで抜けられなくて。
フレイムが掛け持ちで来てくれて助かったわ。
すぐ隣だからね。
と奥でフレイムが言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:39 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 03, 2024

妖精のモモコ

a1

アイスとモモコは魔法の扉を使って、
アフリカのフラハの家にやってきた。

おや、これは可愛い妖精さんと一緒だね。
私モモコっていいます。


a2

君たちの町のハロウィーンは盛況だったな。
私も兄と再会できて楽しかったよ。
ケントさんがあなたのお兄さんだったとはね。
何度も会ってるのに全然気がつかなったわ。
この髪型だからなあ。
などと話している。


a3

近くに見通しのいい場所ないかしら。
高台の方に薬草が一面に咲いてる場所があるよ。
ああ、あそこね。
遺跡探検で、この集落に最初に来た時通った。


a4

二人はフラハの家を後にした。

この羽根ってどうしたら飛べるの?
飛びたいと思えばいいんじゃない。


a5

モモコが飛びたいと思うと、
羽が震えるように動き、
モモコの体がふわりと浮き上がった。


a6

モモコは飛びながらついてくる。


a7

二人は薬草の群落に到着した。


a8

花々の上を飛び回っている。

気持ちいいけど、
強い風が吹くと飛ばされそうになる。
この羽根って低空飛行しか出来ないのね。


a9

なだらかな斜面に沿って飛んでいくと、
なんとグリーンマンが現れた。
モモコは、その姿を初めてみたので
驚いている。


a91

グリーンマンは
降り立ったモモコに花を差し出した。

駆けつけたアイスが心配そうに見ている。


a92

なんとモモコにはグリーンマンの
思いと言葉が伝わってきた。


a93

その後、グリーンマンと別れ
二人は帰路についている。

あれはフミコの追っかけだよ。
遺跡周辺の森を守っているんだ。
グリーンマンの言葉は
フミコしかわからないのに、
よくわかったね。
私、そういう力があるみたいなの。
ジャンのジオラマの村に夢食いの怪物が現れた時も、
迷いの森でエリコに会った時もそうだった。

そういえばあの時はそうだったね。

最初、私を本物の妖精だと勘違いして、
懐かしくなって出てきたんですって。
ずっと昔に妖精と仲良しだったって言ってたわ。
この花は妖精が好きな花なんだって。



解説)
続きます。


モモコが夢食いの怪物と対決したシーンは、
2021年8月31日「怪物との遭遇」に。
アイスが「あの時」と言っているは、
二人で迷いの森を探検した時のことです。
二人の探検のエピソードは、
2021年5月6日「モモコの計画」から
5月13日「帰り着いて」まで。
Posted at 21:02 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 02, 2024

参加者のスナップ

b1

多恵のインタヴューは続いていた。
今晩何が食べたいですか?
もちろんきつねうどんとお稲荷さんよ。


b2

妹の今子や、
犬猫猿鳥同盟のトラやドビーも
駆けつけてきた。

私は今子です。
テレビに映ってますか。
ぜひ私たちの同盟に加入してください。
名前を犬猫猿鳥狐同盟に変更しますから。
なんということでしょう。
頭が動物園になりつつあります。
などと言っている。


b3

マンゴー亭では。

やっぱりなあ。
今の人たちは僕らのこと知らないんだよ。
来年は少年ジェットにしようかな。
僕はエイトマンがいいな。
それって有名だったの?
などと話している。


b4

ベランダでは。

優勝はできなかったけど、
トムさんとお知り合いになれて嬉しいわ。
トムさんはどちらにお住まいですか。
郊外です。
郊外ならリエやリナたちも暮らしてるはずよ。
今度遊びに行こう。


b5

ペンギン前では。

残念だったわね。
また来年ね。
来年もやるのかなあ。


b6

すずはミラの膝の上で、
眠り込んでいるようだ。


b7

サラたちの部屋では。

ダリオさん優勝候補だと思ったのに。
残念でしたね。
いやいや一人暮らしが長いので、
参加できて楽しかったです。
ケイのユニホーム、
ドジャーズのだったら優勝だったね。
それはそうかも。
などと言っている。


b8

ベーカリーの奥では。

年に一度、出演できるのが何より。
スターウォーズは不滅だからね。
などと話している。


b9

ベーカリー前では。

映画出演の依頼でも来ないかな。
私のこれはコスプレじゃなくて仕事着なのよ。
犬猫猿鳥狐同盟に参加すればいいのに。
焼き芋が美味しい季節ね。
あ、ジム。私に何か用事があったんじゃなかったの?


b91

なんだったかな、忘れちゃったよ。
それよりそこの焼き芋くれない?


b92

高台の休憩所では。

コスプレコンテストに参加した人たちの
スナップ写真を撮って回ってる人がいるみたいよ。
あなたタバコ喫う?
禁煙中なんです。


b93

ジェニーたちの部屋には、
広場から3人が戻ってきた。

ああ面白かった。
ずっと本読んでたのね?
その本は?
これはキノブックス編集部編
「もうすぐ絶滅するという煙草について」
というエッセイ集で、42人の作家の
エッセイが収録されてるんだよ。
ふーん。ところでモモコは?
アイスとアフリカに行くとか言ってたけど。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 01, 2024

ハロウィーンコンテストの発表

a1

ハロウィーンの翌日も、
コンテストの発表があり、
広場は変わらず賑わっていた。


a2

審査員のマンスフィールドさんと、
ボニーとルビーが相談している。

広場をみて回ったけど、
みんな甲乙つけ難いわ。
誰でもいいわよ。
僕もルビーに任せるよ。
いつもそれなんだなあ。


a3

ナオミのスネアドラムが
鳴り出すと広場は静まり返った。


a4

パンパカパーン・パパパ・パーン🎵
とローレスの吹くトランペットが
響いている。


a5

みなさん。
今年のハロウィーンのコスプレコンテストの
優勝者を発表します。
厳正な審査の結果、
優勝したのは狐の着ぐるみの扮装をした、
駒井魔子さんです。


a6

お姉ちゃん。
やったね。
と駒井今子が言っている。


a7

おめでとう。
その顔どうみても
作り物には見えないわよ。
とニッキーが言っている。


a8

万雷の拍手と喝采の中、
魔子はトロフィを授与されている。


a9

実はこの頭は被り物じゃないのよ。
胴体は着ぐるみですけど。
わかってるわ。なんでもありなの。


a91

あれはお稲荷さんのところの
野狐だろう?
そうなの?
うん。強力な魔力を持ってるので、
知る人ぞ知る狐の精霊だったんだ。
幕末の頃には活躍したらしいぞ。
長生きなのね。


a92

魔子はさっそく枝野多恵の
インタヴューを受けている。

おめでとうございます。
ご感想は?
ドジャーズと一緒の時期に
優勝できて嬉しいです。



解説)
続きます。

ハリーと魔子が最初に出会ったのは、
2022年4月21日「新緑の頃 そのに」。
その時も、幕末の話がチラッと出てきます。
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Oct 31, 2024

今日はハロウィーン

a1

今日はハロウィーン。
珍しく朝の光が広場に差し込んでいる。


a2

ドミノは踊っている。


a3

ローレンスとネオの奏でる
ラッパの音色が
お祭り気分を盛り立てているのだった。


a4

これから家を回ってこようよ。
と子供達は言っている。


a5

ケントは広場に戻ってきた。
ドジャーズが優勝したそうですよ。
おめでたいですなあ。
と言っている。


a6

子供達は高台に来ていた。

トリック・オア・トリート!

ここは路上なのよ。
と言われている。


a7

トリック・オア・トリート!

参加賞の残りのチョコをあげるわ。
イタズラしないでね。


a8

広場にはハリー夫妻も顔を見せた。
ハリーさん、恒例の吸血鬼スタイルですね。
この姿が懐かしいんでね。
今年も盛況ね。
とカーミラが言った。


a9

その時、不意に空が暗くなって、
蝙蝠のような影が飛び交い始めた。
派遣コウモリのひそこは戸惑っている。


a91

カボチャの群れもうごめいている。
これはフミコの作った幻影だね。
とハリーが言った。


a92

サラの思い浮かべた
ハロウィーンの空のイメージって、
こんな感じなのね。
実はよくわかんないのよ。
などと話している。



解説)
続きます。
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Oct 30, 2024

もうすぐハロウィーン そのなな

a1

アフリカに行くために魔術劇場を訪れた
アイスとモモコは、
花を生けていたデュアンに出会った。


a2

大きくて綺麗なバラね。
夢見の水を使うとよく育つのよ。


a3

デュアン、その格好は?
私、お部屋の管理を任されていて、
引きこもり状態なんですけど、
ハロウィーンの時くらい、
外に出た方がいいわよって、
カーミラに言われて。
コスプレする時はいつもこれなんです。


a4

広場には探偵事務所から、
探偵とエリスが見物に来ていた。


a5

探偵さんはコンテストに参加しないのね。
仕事柄、変装は得意なんだけどね。


a6

ここは一応禁煙なのよ。
高台の休憩所が喫煙場所になってるの。
とエリスが言った。

それにしては、いつも煙が漂ってるわよ。
誰が喫ってるのかしら。


a7

ベランダでは、
トムが要望に応えてサングラスを外していた。
やっぱりハンサムね。
と言われている。


a8

魔術劇場から、
デュアンが登録にやってきた。


a9

もしかして、君はデュアンじゃないか。
と探偵が声をかけた。

そうですけど、あなたは?
僕はこの町で私立探偵をやってます。
あれはもう16年も前のこと、
僕は人探しを頼まれて。
あ。あの時の。

お元気だったんですね。
あれからいろいろあって、
一時は世を捨てて修道院に入ったりしましたが、
一昨年のハロウィーンでハリーさんと知り合って、
それ以来、ご厚意で魔術劇場で暮らしています。
それは知らなかったなあ。
滅多に広場に出てこないので。



解説)
続きます。

花を生けてあるガラス瓶の水に、
「透明きらきらねんど」を使ってみました。
セリアで購入。

デュアンと探偵の出会いは、
2008年4月24日「デュアン そのいち」から
6回のシリーズで。
2022年10月27日「もうすぐハロウィーン そのに」
でハリーとデュアンが出会い、
2022年11月2日「翌日」の別荘での話題で、
デュアンが魔術劇場に逗留することに
なったことが明かされています。
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Oct 29, 2024

もうすぐハロウィーン そのろく

a1

広場の賑わいは続き、
やがてメアリー=ケイトの歌が終わった。


a2

拍手がわき、
天使のような歌声でした。
と言われている。


a3

自分でも信じられないわ。
と言っている。


a4

よくお似合いです。
この蛇人懐っこいわね。
とルビーが言っている。


a5

審査員でカメラマニアのボニーが、
友人トムを見かけて声をかけている。

やあトムじゃないか。
何みてるんだい?


a6

あそこの屋根に登ってる人がいるんだ。
ふうん、それはそうと、久しぶりだね。
今日は郊外から登録に来たの?
見物に来ただけだよ。


a7

魔術劇場の屋根の上に、
キャットウーマンがいたのだった。


a8

キャットウーマンは
素早い身のこなしで、
身を翻すと、路上に見事に着地した。

そこ階段だから危ないよ。
と言われている。


a9

キャットウーマンのセリーナは、
今年もコンテストの登録に来たわ。
2年ぶり。とアイスに言っている。

セリーナ、今年はマスクの形が違うのね。
いろいろと事情があるのよ。


a91

ついでだから君も登録したら?
とボニーがトムに言っている。

何も準備してないんだ。
そのままでいいよ。
「ミッションインポッシブル」の
コスプレということで。


a92

ベランダから広場を眺めていた
ジェニーフレンドたちが騒いでいる。

あの人かっこいいわよ。
こっちに来てくれないかしら。
どれどれ。


a93

トムはジェニーフレンドたちに呼ばれて
ベランダに登って行った。

サインしてください。
本物のイーサン・ハントさんですか?
それは役名でしょ。
サングラスとってみてください。
それは失礼でしょ。
などと話している。



解説)
続きます。

キャットウーマンのセリーナは、
2006年8月6日「猫のいる街」に初登場ながら
ほとんど出番がなく、
2022年10月10日「コスプレの愉しみ そのきゅう」
で、ハロウィーンのコスプレコンテストに参加しています。
郊外に住むトムも滅多に登場しませんが、
最近では2024年8月22日「堤防の散歩」に
ちらっと登場しています。
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Oct 28, 2024

もうすぐハロウィーン そのご

a1

サラたちの部屋にダリオがやってきた。


a2

あら、ダリオさん。

広場で皆さん楽しそうなので、
私もコスプレコンテストに
混ぜてもらおうと思ってきました。


a3

サラさんが着付けをしてくださるとか。
いいですよ。
ところで、その蛇は?
私の友人です。
ジャングルで知り合いまして。


a4

着付けが始まった。
ダリオがアフリカの先住民の扮装を
したいというので、
フミコも手伝っている。


a5

ダリオはバッグから取り出した
仮面を被っている。
この仮面は先住民からもらったのものなんですよ。
蛇は嬉しそうにダリオの頭に
巻きついている。


a6

着付けしてもらったダリオはさっそく
広場に登録にやってきた。


a7

今年のコスプレコンテストは、
ハロウィーンらしい
カオス状態で楽しいわ。
とルビーが言っている。


a8

大道芸人たちの伴奏と共に、
メアリー=ケイトがギターを爪弾いて、
歌を歌い始めていた。


a9

キツネ狩~り~に行くなら~
ララ気をつけておゆきよ~🎵


a91

キツネ狩~リ~は素敵さ~
ただ生~き~て戻れたら~🎵


a92

しびれる歌声だね~。

パントマイムの彫像が動いて、
いま姿勢が変わったよ。
歌を聞いてるんだよ。
と子供達が話している。



解説)
続きます。

歌を歌っているシーンの、
メアリー=ケイトのヘッドは、
スペアにすげかえています。
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Oct 27, 2024

もうすぐハロウィーン そのよん

a1

モモコとメアリー=ケイトは
広場にやってきた。


a2

アイスさあ、
フミコさんがこの羽根に
魔法をかけてくれたの。
空が飛べるんですって。
ふーん。だったら、
アフリカにでも行ってみる?


a3

メアリー=ケイトは
ドミノに話しかけている。

私、歌がうたいたんですけど、
飛び入りで演奏に参加できます?
いいわよ。
このギター貸そうか。


a4

ドルフィンの二階から、
駒井今子も登録に降りてきたようだ。
ベランダからどよめきが聞こえてくる。


a5

コスプレ姿の駒井魔子が
ドアから出てきたのだった。

わー、それすごく狐に見えるよ。
そうなのかな。
この人は誰なの?


a6

白狐のコスプレで登録しにきました。
姉もすぐにきます。
その声今子ちゃんでしょ。
お茶のお手前上手になった?


a7

魔子はみんなに注目されていた。
その頭本物でしょう。
あなたも魔法生物ですか。
ぜひ犬猫猿鳥同盟に。


a8

怖いよー。
すずちゃん。私、魔子よ。
これは着ぐるみなの。


a9

どんな曲歌うの?
決めてなかったけど、
中島みゆきの「狐狩りのうた」にする。


a91

長くて立派なおしっぽだね。
と言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 26, 2024

もうすぐハロウィーン そのさん

a1

夜が更けても、
サラたちの会話は続いていた。

モモコさんのコスプレはリアルで、
とてもよく似合ってるわ。
遙かな昔、高原の庭園や花園で、
よく遊んだ妖精たちを思い出しちゃった。
今はみんな滅んでしまったのかもしれないけど。
とフミコが言った。


a2

小人族のジェーンみたいに、
きっとどこかでひっそり暮らしているわよ。
でも私も本物は見たことがないの。
この扮装は童話や妖精写真のイメージから
想像して組み合わせたのよ。
服はドルフィンの倉庫で見つけて、
羽根は塩ビのシートの切り抜きだし。


a3

フミコは立ち上がって
モモコに向かって、そこに立ってみて。
と言った。
モモコが立ち上がると、
フミコは呪文を唱えた。
すると、薄い煙が立ち上ったが、
とくに何も起きなかった。


a4

今、あなたの羽根に呪文をかけたの。
これからは空が飛べるわよ。
とフミコは言った。

いいなあ、私にも何か。
とメアリー・ケイトが言った。
いいわよ。何がお望み?

私、歌が上手になりたいな。


a5

翌日も、広場は朝から賑わっていた。


a6

ケントさんは?
フラハと一緒に出かけたわよ。
アフリカに行くとか言ってたけど、
ハロウィーンには戻るって。
双子の兄弟の200年ぶりの再会だから、
積もる話もあるんでしょうね。
だけどケントさんが魔族だとは意外だったわ。
案外、そういう隠れ魔族の人って居るのかもね。


a7

鈴木すずは、
ゾンビ顔の青年を見て、
ドビーの足にしがみついて泣いている。

怖いよ怖いよ。


a8

でもさ。犬の顔をした人の方が、
怖くない?
と池谷圭に言われている。


a9

ドルフィンの二階では、
駒井今子が箪笥の鏡を覗き込んでいた。

この狐のお面どうしたの?
小力貴理子から借りたのよ。
懐かしいお名前ね。
彼女って造形作家だったっけ。
そうよ。そのお面は貴理子の作品。
私が宿ったこともある思い出の品なの。


a91

今年のハロウィーンには、
白狐のコスプレで参加するの。
白い服着て、お面をかぶるだけだけど。


a92

不気味に可愛いでしょう。
う。まあ、ハロウィンぽいわね。

今年はね。
お姉さんも参加するって言ってた。
あら、魔子さんも。
2年ぶりね。また能面の小面かしら。
今年は動物顔の人が多いから、
自分も素顔で参加するって言ってたよ。
素顔って。。。



解説)
続きます。

小力貴理子と狐のお面にまつわる話は、
2022年1月17日「ふつうの日曜日 そのに」
から始まります。
この狐のお面がとりもつ縁で、やがて
人間に化けた駒井魔子はドルフィンの二階に
暮らすことになったのでした。
その顛末は、2022年2月末頃まで、
飛び飛びに描かれています。
妹の今子が一緒に暮らすようになるのは、
2022年4月5日「花散る春の日」から。
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Oct 25, 2024

もうすぐハロウィーン そのに

a1

夕暮れ近くなっても、
広場は賑わっていた。


a2

子供達は広場に来て登録を済ませたようだ。

日が短くなったね。
毎日撮影するひとは大変だろうね。
などと言っている。


a3

魔術劇場の鏡の扉が開いて、
アフリカから、
フラハたちが広場にやってきた。

やあアイス。
ハロウィーンの祭りの
見物にやってきたよ。


a4

お連れの人たちは?
アーネストの部下なんだ。
アーネストは来ないの?
国際的に指名手配されてるからね。
用心してるんだよ。


a5

フラハはベーカリー前を
通りかかった。

お、お前は。


a6

兄さんじゃないですか。
おお、フラハじゃないか。
久しぶりだな。

お前のことは、フミコさんから聞いていたぞ。
アフリカで魔術師をやってるそうだな。
兄さんは何を。
いろんな職を経験したが、
今はデイリープラネット誌の新聞記者さ。
その新聞なら知ってますよ。


a8

フミコさんの言ったことは、
とても信じられないような話だったが、
本当のことだったんだな。
アフリカのジャングルから、
魔法の扉を使ってここにきたのか。


a9

そうですよ。
僕はまだまだ修行が足りなくて、
自分では魔法の扉を作れないんですが。
魔術劇場の中に扉があります。
兄さんも今度アフリカに遊びに来てください。
しかし、すごい扮装してますね。

ああ。かっこいいだろう。


a91

佳奈は見覚えのある青年の顔に気がついて
話しかけている。

もしかして、アーネスト先生の
診療所で見かけた患者さんだった人ですか?
え。そうです。
確かグリーンマンに噛まれたとか。
そうですそうです。
傷はすっかり治ったんですが、
顔がなかなか元に戻らなくて。


a92

あなたもコンテストに参加しない?
とアイスが言っている。
いいですけど。コスプレが。
そのままでOKよ。すごくハロウィン向きだわ。
やっぱりゾンビみたいですか。



解説)
続きます。

ケントとフラハ兄弟の話は、
10月8日「ケントの着付け」の会話を受けています。
青年は、6月11日「アーネスト」の回に
チラッと登場していたのでした。
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Oct 24, 2024

ジェーンのこの頃

b1

サラたちの部屋にモモコがやってきた。

あ、フミコさんに会えた。


b2

みんな部屋に戻ってこないので、
暇なので遊びに来たの。
その衣装かわいいわね。
と言われている。


b3

暑かった夏もようやく過ぎたわね。
モモコはどこかに旅行した?
どこにも行ってないわ。
あ、でもフミコさんが探偵事務所で、
幻影の海辺に連れていってくれた。
あれはリアルで楽しかったなあ。

フミコさんは打ち上げ花火も見せてくれたしね。
あれも綺麗だった。
また何か見せてほしいなあ。

いいわよ。モモコさん、何か見たいものある?
ジェーンは今頃何してるか知りたい。
じゃあ、ジェーンの姿を思い浮かべてみて。
とフミコが言った、


b4

モモコが脳裏にジェーンの姿を思い描き、
フミコが呪文を唱えると、
窓の外にジェーンの幻影が現れた。


b5

何してるのかしら。
あそこはキッチンのようだわ。


b6

ジェーンは磨ぎ終わった米の
入った炊飯器の容器から
小瓶に水を移しているようだ。


b7

ジェーンは出窓に移動すると、
瓶の中の水をガジュマルの鉢に
注ぎ始めた。


b8

書き置きをしているようだ。


b9

ジェーンは再度キッチンに行って、
炊飯器から水を汲むと、
居間に降り立って、
ポトスやパキラの鉢にも水をやっている。


b91

今年の夏は暑かったわね、
よく頑張ったわ。
とパキラに話しかけている。

やがてジェーンの声が遠のいていき、
幻影はうっすらと消えていった。


b92

観葉植物に水をやってたのね。
きっと家の主人が怠け者なのよ。
忘れっぽいだけじゃない?
ジェーンって、植物と会話できるのかなあ。
それは無理でしょう。
部屋の中には他に生物がいないからね。
きっと友達なんだよ。
などと話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 23, 2024

もうすぐハロウィーン

a1

喫茶ペンギンの前では、
ハロウィーンの飾り付けが
行われていた。


a2

フェルトのハロウィーンアイテムが
軒を飾っている。


a3

鈴木すずと池谷圭は、
余ったカボチャのアイテムで
はるなにお面を作ってもらっていた。


a4

リズの足元に気がついたサヤカが、
リズさん、ハイヒール履いてないの?
と尋ねている。


a5

ハイヒールは、友達に貸したちゃったのよ。
でもサンダルなら、
アイテムをとりつけるために背伸びして
爪先立ちをしてるのがよくわかって、
いかにもでしょう。



a6

お面を被った
鈴木すずたちは喜んでいる。
ちゃんと周りが見えるよ。
呼吸もできるよ。


a7

僕たち、去年のハロウィーンコンテストでは、
優勝したんだよ。
今年もこれで優勝できるかな。
さすがに無理かも。
などと話している。


a8

平和だねー。
管理局のミラとバグは、
平和が一番ねーと言っている。


a9

ジェニーたちの部屋では、
モモコが手持ち無沙汰にしていた。

ジェニーもたまきもナオミも、
広場に出かけたままだし、
文学青年は相変わらず本読んでるし、
一人だとつまんないなあ。


a91

ねえ、最近、
なにか印象に残る小説読んだ?
小砂川チトの「猿の戴冠式」を読んだよ。
言葉を機械学習させられたボノボと
女性主人公の心の交歓が描かれているんだ。
感動的だったよ。
ふーん。



解説)
続きます。

ハロウィーンのフェルト飾りは、
セリアで購入しました。
「ハロウィンフェルトガーランドグリッター」
1メートルの長さの紐がついています。
Posted at 20:20 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 22, 2024

賑やかな日々 そのきゅう

a1

バー・デジャでは、相変わらず
アイスとヴィヴィアンが話していた。


a2

それで、宿泊施設は完成したの?
ええ。いつでも泊まりに行けるわよ。

ジェニーは追加のデカンタのワイン
お持ちしました。
と言っている。


a3

相変わらずマリアたち、
くるくる回ってるなあ。
飽きないのかなあ。
とゼロが言っている。


a4

その時、ジムがやってきた。

このシーズンは混んでるね。
アンジーここに来なかった?
アンジーならコスプレして
登録に行くって言ってたわよ。
広場じゃないかしら。


a5

マリアとナディアが話している。

さすがに旋回ばかりしてるの
飽きちゃったね。
どこか他に行かない?
ここはお祭り中の広場の上空だから
大丈夫だけど、
移動すると騒ぎになるのよ。
人目を気にせずに飛べる場所じゃないと。


a6

ジムは広場にやってきた。

アンジー見なかった?
アンジーなら
そこのテーブルにいるわ。
あ、ちょうどよかった。
ついでにあなたも登録していってよ。


a7

もちろん有名スパイ映画の
主人公のコスプレね。
いいけど、登録だけだよ。
仕事柄評判になりたくないんだ。


a8

おや007のお出ましだね。
と言われている。


a9

広場に降りてきたマリアとナディアが話している。

今度、アフリカに犬猫猿鳥同盟の支部と、
ホテル・ナジャを開店したの。ご招待するわ。
アフリカのジャングルなら、気兼ねなく空が飛べるから。
嬉しいけど、どうやってアフリカまで?
魔法の扉を使うのよ。
魔法? ミューが何ていうかなあ。


a91

マンスフィールドさんは、
相変わらず広場を見物していた。
旅芸人たちの演奏に
ナオミの叩くスネアドラムの音が混じり、
広場の賑わいは続いている。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 21, 2024

賑やかな日々 そのはち

a1

サラたちの部屋で、ケイはサラに、
野球のユニホームのコスプレを着せてもらっていた。


a2

今年ワールドシリーズで対決するのは、
ドジャーズとヤンキースよ。
どうしてマリナーズなの?
ドルフィンの倉庫にはこれしか無かったの。
ちょっと着痩せして見えるんだけど。
それはきっと気のせいよ。
などと盛り上がっている。


a3

ケイはさっそく広場に、
コンテストの再登録をしに出かけた。


a4

ケイ、かっこいいバッティングフォームね。
でも、そのバットの握り方。
これが難しくて。
などと話している。


a5

アンジーもコスプレの扮装をして、
登録しに来ていた。

アンジー、そのコスプレは。


a6

もちろん映画「ツゥームレイダー」のヒロイン、
ララ・クロフトに似せてみたの。
ベルトの四角いバックルを、
ハート型に変えてあるのがアクセントよ。


a7

アンジーが登録しに行くと、
審査員のマンスフィールドさんが席を譲ってくれた。

「スーパーマン」(1978)に「ワンダーウーマン」(2017)、
「猿の惑星」(1968)に「マトリックス」(1999)、
それに加えて「トゥームレイダー」(2001)とは、
どれも古い映画だけど嬉しいなあ、
これでアメリカンヒーローものの
グループが充実します。
と丹下健太が言っている。


a8

前髪が一筋垂れているところと、
三つ編みにこだわったのよ。
と言っている。


a9

マンスフィールドさんは審査も兼ねて、
広場を見物している。

エヴァはいつも同じ格好ね。
元々ピエロ人形ですから。


a91

シーザーは今井舞に、
この毛深くて逞しい腕、
本物のゴリラみたいですねと言われている。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 20, 2024

賑やかな日々 そのなな

a1

バー・デジャは、ほぼ満席で、
観光客にテーブル席を譲ってもらった
アンジーとヴィヴィアンが話していた。


a2

ジェニーはガラス戸越に
広場を眺めている。


a3

相変わらず広場の上空を
マリアとナディアが飛び回っていた。


a4

アンジー、今年はコスプレコンテストに
参加しないの?
とヴィヴィアンが言っている。


a5

そうねえ。


a6

僕が去年この町に戻ってくる前、
アンジーさんは一昨年の
ハロウィーンの第一回目のコスプレコンテストの
優勝者だったって聞きましたが。
とカメラマンで審査員のボニーが言った。

そうなのよ。
アンジーの「魔女マレフィセント」のコスプレは、
評判だったわ。
ヴィヴィアンは一昨年のアンジーの
扮装を思い返している。


a7

仕事柄、あまり目立ちたく無いんだけど、
去年のコンテストはパスしたから、
久しぶりに参加するかな。

そこにアイスがやってきた。


a8

アンジーがコスプレの準備に
店を出ていくと、入れ替わりに
アイスが席に座った。

ヴィヴィアン、早速だけどさ。
リザードのことは何度か話したわよね。
ああ、あなたに蘇生の呪文を教えてくれたっていう
レプテュリアンでしょ。

彼がシベールっていう仲間を紹介してくれたんだけど、
そのシベールがあなたに会いたがっていたようなの。
いいんじゃない、私もトカゲ人間を見てみたいわ。

ちょっと気になるのよ。
彼はフミコを蘇生させたあなたの呪力に
興味を持っている。
レプテュリアンは古代から魔族と交流していて、
フミコとも知り合いなんでしょう。

レプテュリアン全体としては、仲間同士の戦争以来、
人類や魔族との関係を持たないことにしているらしい。
リザードは特別なのよ。
シベールのことはよくわからない。
ただ彼らは平気で生命の樹を破壊をする連中。
だから気をつけてね、と言いたくて。


a9

その頃、サラたちの部屋では、
登録を終えたケイとジェットが戻っていた。

デイリープラネットを読んでいた
メアリー=ケイトが、
大リーグもそろそろ
リーグチャンピオンシップも終わり、
いよいよワールドシリーズね。
と言っている。


a91

僕、このコスプレ、
ツノだけなので不満だなあ。
とケイが言っている。

だったら野球選手にしてみる?
とサラが言った。



解説)
続きます。
Posted at 21:03 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 19, 2024

賑やかな日々 そのろく

a1

部屋に戻ったサラとフミコは、
さっそくシーザーの訪問を受けていた。

シーザー、どうしたの?
ハロウィーン用のコスプレの
着付けをお願いしたいんです。


a2

着付けを済ませたシーザーは、
広場に戻っていた。


a3

ミューはリタから、
ハロウィングッズを受け取っている。

シェリー研究所に、
ハロウィングッズを配るのを忘れてたの。
これは新しく倉庫に入荷したものよ。
ありがとうございます。
シェリー博士もみんなも喜びます。


a4

マリアは私も空飛んでいい?
とルビーに尋ねている。
もちろんよ。


a5

シーザー、その格好。
毎年ハロウィーンに来ている
ゴリラのコスプレの人がいないので、
代わりにやってみたらって言われて、
サラさんに着せてもらったんだ。


a6

「猿の惑星」ってどう言う映画?
進化したお猿の話だよ。


a7

マリアはさっそく空を飛んでいた。


a8

あ、マリアさん。
それはどう言う装置なの?
これは普通の箒よ。魔法を使ってるの。


a9

シェリー研究所に帰ったミューは、
ハロウィーンアイテムをテーブルに置いて、
みんなに報告していた。

実験は成功したの?
うん、ナディアはまだ広場の上を飛んでるよ。
これは可愛い魔女みたいね。



解説)
続きます。


a92

この魔女風オブジェも、セリアで見つけた
ハロウィングッズです。
「モンスターレジンブラブラオブジェOR/BK」
材質はポリレジン・ポリエステル。
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Oct 18, 2024

ホテル・ナジャ

a1

カエル王子って、
けっこう理想家なのね。

フミコがあの池のイメージを思い浮かべて、
アイスが呪文で呼び出さない限り、
あの池の幻影は現れないかと思うと、
ちょっと寂しい。

記憶ってそういうものでしょう。
さて、これからどうしようか。


a2

犬猫猿鳥同盟の運営する
ホテルが完成したって聞いたから、
行ってみない?
そろそろオープンしているかも。

そう言ってアイスが呪文を唱えると、
魔法の扉が出現した。

行先は?
この前に見た、
ホテルの前の情景をイメージしたの。


a3

3人が扉を潜り抜けると、
そこはホテルの入り口の門の前だった。


a4

空も快晴で、
緑がみずみずしいわね。

アイスはリンリンと話している。
もう町から戻ってきたの?
シーザーたちはまだ広場にいますが、
僕はやっぱり雑踏が苦手で。
あ、ホテルならオープンしたばかりですよ。


a5

このフロント立派すぎない?
カウンターの奥にはフンボルトが
座っていた。

ようこそ。
ホテル・ナジャへ。
お客様ご一行が、ご来店、第一号です。
お泊まりですか。

様子を見に来ただけよ。
あなた喫茶ペンギンのアルバイトは?
とアイスが言った。

こんな服装してるのは私だけなので、
呼ばれちゃったんです。


a6

3人は客室を案内してもらった。


a7

明るくて見晴らしもよさそうね。


a8

サラ、ここに泊まっていく?
そうしたいけど、部屋に戻らないと。
まだハロウィーンの仮装の着付けを
頼みに来る人がいるのよ。
サラは器用だからね。


a9

アイスはどうするの?
私はデジャに行って、
ヴィヴィアンに、
シベールっていうレプテュリアンが
会いたがっていたって伝えにいくわ。
魔族の呪力の秘密を知りたがっている
みたいだから、気をつけたほうがいいって。

シベールは悪い人じゃないんだけど。
機械の体になってあんなに長生きしても、
まだ生き続けたいのね。
自分が死んでしまった時のために
蘇生の方法が知りたいのよ。
呪力は教えられるものじゃないのに。

フミコは私に呪力を授けてくれたでしょう。

それはあなたにその素質が備わっていたから。
レプテュリアンとは違うわ。



解説)
続きます。
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Oct 17, 2024

賑やかな日々 そのご

b1

ナディアは広場の上空を旋回していた。
派遣コウモリのヒソコも驚いている。


b2

あれはだあれ。
気持ちよさそうね。
などと言っている。


b3

ヒソコはあせって超音波で
ヴィヴィアンに異変を知らせている。


b4

しかしすでに、
ナディアの姿はデジャのガラス戸越しに
ヴィヴィアンたちの注目を集めていた。
あれは飛行装置でしょう。
あんなのがあれば
超高層のビルに忍び込むのに便利そうだなあ。
と盗賊のゼロが言っている、


b5

みんな何騒いでるの?
あ、アンジーさん。
空を飛んでる人がいるんです。
カウンター席なら空いてますよ。
とジェニーが言っている。


b6

実験は成功みたいです。
そのようね。
空の彩りもハロウィーンぽくていいのかも。
嬉しいなー。
未来の仮想現実世界で、
ヒゾッコという飛翔ロボットに
使われていた技術の応用なんですよ。
とミューが言っている。


b7

その頃、
アイスとサラとフミコは、
アフリカの山頂のストーンサークルを
訪れていた。


b8

あら。
やっぱり池が消えているわ。
カエル兄妹はどこに?


b9

フミコ、
また昔の池の情景を思い浮かべてくれない?
いいわよ。


b91

フミコが昔の情景をイメージして、
アイスが呪文を唱えると、
石のサークルの中に池が現れた。
カエル兄妹の姿も見える。

ああ、サラさん。
来てくださったんですね。
僕は元気にやっていますよ。
とカエル王子が言った。


b92

この池は私たちにはひと時の幻影だけど、
夢食いのカエルたちにとっては現実なのね。

何をおっしゃっているんです。
どちらも同じ幻影じゃないですか。
僕はいつかここをカエルの楽園にするんです。

面白いことを言うのね。
あなたは私の過去の記憶のイメージに住みついた。
ところで、ここがいにしえの魔族の土地で、
私が蘇った魔族のフミコだと言うことはご存知?

え。そ、そうだったんですか。
とカエル王子は言った。
夢食いは魔族の見る夢に入り込んではいけない。
ってお父さんが言ってたわ。
とカエル王女が言った。

私は構わないんだけど、
土地を侵入者から守る魔法がかけられているの。
ジャングルの動物たちやグリーンマンが知ったら。

ぼ、僕も
この池と土地を侵入者から守ります。
とカエル王子は言った。



解説)
続きます。
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Oct 16, 2024

賑やかな日々 そのよん

a1

サラたちの部屋で
アイスたちの会話は続いていた。

そうそう、私、
サラを誘いに来たんだった。
カエル王子が、
命の恩人のサラは元気ですかっていうから、
今度、連れて来てあげる、って答えちゃったの。
とアイスが言った。

カエル王子って、メルティの夢の部屋で
洪水を起こしたヘクトンの息子の?

そうなのよ。
いきさつを話すと長いんだけど、
今はアフリカの山の上の池に住んでるの。


a2

あの池は、私の思い浮かべた過去の記憶のイメージを、
アイスが魔法の呪文でこの世界に映し出したのよね。
とフミコが言った。

そうだったわね。

だから、あの池は本当は白日夢のような幻影。
普通ああいう幻影はしばらくして消えてしまうものだけど。

たしかにそのはずね。
でもなぜか、私がカエル王女を連れて再訪した時も、
池は残っていて、カエル王子が元気に暮らしていたわよ。
池の水は池の底の穴から湧いて来るって言ってたわ。
水は湧いて来るけど池から溢れない不思議な世界だって。
とアイスが言った。


a3

なるほどね。
その仕組みは大昔からあったの。
高台の遺跡の広場にある水盤にも
新鮮な水を絶やさずに供給するために、
そういう仕組みが使われていた。
でもあの池が過去の幻影であることに変わりはないわ。
とフミコが言った。

たぶん私があの土地にかけた魔法や、
カエル王子が住み着いたせいで、
幻影はその形をとどめていたんだと思う。
でもいずれは消えてしまうはずよ。

とりあえず、行ってみましょう。


a4

アイスは呪文を唱えて鏡の扉を出現させた。
魔法って便利なのね。
と言われている。


a5

その頃、広場では、相変わらず
住民や観光客で賑わっていた。

シェリー研究所から、
ミューとナディアも来ているようだ。


a6

ミュー、久しぶりね。
二人で何してるの?
とルビーが尋ねている。


a7

空を飛ぶ装置の実験です。
これから実験を開始します。


a8

ナディアが装着したベストの
胸のスイッチを押すと、
装置の背面に畳まれていた羽根が、
せり出してきて広がった。


a9

ナディアは羽ばたいて
中空に浮き上がっていく。

実験成功。
とミューが言っている。



解説)
続きます。

ナディアの羽根は
セリアで見つけた
ハロウィングッズを使用しています。
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Oct 15, 2024

賑やかな日々 そのさん

a1

観光客のエイミーは、
高台の休憩所に来ていた。


a2

広場はとても混み合っているので、
ここまで来ちゃいました。


a3

そのいでたちは、観光の方かしら。
と魔女コスプレの江本友恵が言っている。

そうなんですよ。
昔は町に住んでいたんですけど、
本当に久しぶり。


a4

その時、サラたちの部屋から
ジェットとケイがやってきた。

思わずエミリーは身を引いている。


a5

これは血に飢えた殺人鬼のコスプレなんですよ。
僕のはなんだろう。
これから広場に登録に行くんです。
すごく混んでるわよ。


a6

サラたちの部屋では会話が盛り上がっていた。

アイス。この前、
君の相棒のルビーに会ったぞ。
彼女も相当な度胸の持ち主だな。
それに君は私の破壊した生命の木を
魔法で再生させたようじゃないか。

あれはやりすぎでしょ。
あなたたちっていつもああなの?
それは場合によるよ。
宇宙人をさらったりすると、
どうなるか知らせるためなんだ。
相手は九官鳥じゃないの。


a7

あなたたちレプテュリアンって、
そんなに長寿なんですか。
そうでもないんですよ。


a8

科学文明の進歩のおかげなのよね。
何千年も生きていられるなんて
とても信じられない。
とメアリー=ケイトが言った。


a9

僕たちは魔法を使うわけじゃないんだ。
ほらご覧。
そう言うとシベールは立ち上がって、
ガウンを脱いで見せた。

もう僕の体のほとんどは機械なんだよ。
リザードの場合は身体組織の交換や、
再生技術の賜物だ。


a91

だがこの星の魔族の持つ能力は
僕たちにとっても未知の分野でね。
蘇生の呪法は過去に失われていたと聞いていたが、
フミコを蘇らせたヴィヴィアンという魔女がいるという。
彼女には大いに興味があるね。

ヴィヴィアンは、もう魔族じゃなくて悪魔なのよ。
ヴィヴィアンに会ったらどうするつもりなの?
とサラが言った。

話を聞いてみるだけだよ。
もちろんこのことはここだけの話だ。
公式には僕たちレプテュリアンと、
人間や魔族との接触は禁じられているからね。


a92

そろそろおやつの時間だな。
うん、それじゃまた。
そういうと、二人の姿は消えていった。


a93

なんか気になることを言ってたわね。
フミコを蘇らせたのはヴィヴィアンだけど、
その呪文はアイスがリザードから教えてもらったものでしょう。
呪文の言葉が知りたいというわけじゃなさそうね。

呪文を唱えても唱える人に呪力がなければ無意味なの。
シベールは魔族の持つ呪力の秘密が知りたいのよ。
とフミコが言った。

昔は共存してたっていうじゃない?
そうなの。
魔族の魔法と彼らの科学技術で都は栄えたの。
お互いの文化には踏み込まない暗黙の了解があった。
シベールは機械の体になって変わっちゃったのかな。
とりあえずヴィヴィアンに伝えておかなくちゃね。



解説)
続きます。
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Oct 14, 2024

賑やかな日々 そのに

a1

アフリカからアイスたちが戻ってきたので、
広場はさらに賑わっていた。


a2

僕のこと、誰も気にしないみたいですね。
とリンリンが言っている。
君とよく似たチンパンジーを
マンゴー亭の丹下さんが飼っているんだ。
その子もいつも服を着せられてるから、
みんな見慣れてるんだよ。
とトラが言った。


a3

アイス、戻ってきたのね。
カエル王子にサラを連れて行くって
約束しちゃったから、
また出かけてくる。
忙しいのね。


a4

その頃、サラたちの部屋に、
リザードたちが訪ねてきた。

こんにちわ。
フミコがこちらにいると聞いて
きたんだが。


a5

おお、フミコ。
シベールを連れてきたぞ。
懐かしいだろう。


a6

シベール!
あなたにまた会えるなんて。
元気そうね。


a7

君も元気そうだね。
蘇生したと聞いて、
どんな姿になったかと思っていたが、
若い頃と変わらないので驚いたよ。
長生きはしてみるものだな。

わはは。
言った通りだろう。
魔族の魔法というやつは侮れない。


a8

もう古代の都の記憶を持つ
仲間はごく少数になってしまったが、
シベールはそんな生き残りの仲間の一人だ。
フミコが蘇生したことは今も内緒にしているが、
こいつにだけは教えてやったんだ。


a9

その時、サラに会いにアイスがやってきた。
あら、なんだか取り込み中みたいね。
と言っている。

おお、アイスか。
ちょうどいい。
君にも紹介しておこう。


a91

ケイとジェットは立ち上がって、
アイスとリザードたちに席を譲った。


a92

僕たち、広場に登録に行きますので、
どうぞごゆっくり。
と言っている。


解説)
続きます。

マンゴー亭で飼われているチンパンジーは、
ごくたまに登場しています。
2022年2月6日「ガルーダの踊り」など。
Posted at 20:20 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 13, 2024

賑やかな日々

a1

ペンギンの前では、
コスプレをしたジェニーフレンドたちが
店内から出てきたところだった。


a2

私たち、
この町でハロウィーン祭りを見るのは、
2度目だけど、今年も盛況のようね。
とミラが言っている。
コスプレで参加したいけど、
管理局としては流石にそれは。


a3

ペンギンのウェイトレスのはるなも
民族衣装を着ているようだ。


a4

ベトナムの民族衣装風のフローラと
水兵服のリエと海賊姿のサヤカが
並んでいる。

奈々子たちナースとドクターのコスチュームで
で登録したんだって。
私たちも早く登録済ませなくちゃ。
などと話している。


a5

ペンギンの二階の探偵事務所では、
みんなでカボチャのアイテムを眺めていた。
その時、
鷲尾翠の背後から声がした。

やあやあ。


a6

不意にリザードが出現した。


a7

なかなか可愛いカボチャじゃないか。
今年もハロウィーンのシーズン。
今、姿を消した状態で、
ざっと広場を観察してきたんだ。


a8

ダルメが、テーブルの上に乗って、
何かを言っている。
どうやら親近感を覚えているようだ。


a9

今日は友人と一緒なんだ。
こちらはシベール。
実はハロウィーン見物のついでに
フミコに会いにきたんだが。

フミコなら、
サラたちの部屋じゃないかしら。
と鷲尾翠が言った。



解説)
続きます。
Posted at 21:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 12, 2024

兄妹の再会

a1

アイスは魔法の扉を使って、
アフリカのストーンサークルのある
山頂にやってきた。


a2

アイスが池の側に行って
しゃがみ込むと、
カエル王子が顔を出した。

こんにちわ。
あ、そのバッグの中にいるのは。


a3

アイスはカエル王女をバッグから出して
池の中に見える石の上にそっと置いた。

お兄ちゃん。
ずいぶん探したのよ。
とカエル王女が言っている。


a4

兄妹は、どうもありがとうございます。
とお礼を言っている。

ところでちょっと気になっていたんだけど、
君はどうやってこの池に来たの?
とアイスがカエル王子に尋ねた。

この池はアイスさんが
フミコさんの過去の記憶のイメージを
魔法で再現して生み出したもの。
そんな別世界を見つけた時、
私たち夢食いカエルは、
するりとその世界に入り込むことができるんです。
父のヘクトンがメルティさんの夢の世界に
入り込んだのと同じことなんですよ。
そういえば、私の命の恩人のサラさんは、
お元気ですか?

サラは相変わらず元気みたいよ。
今度、連れてきてあげる。
ところで、この池の住み心地は?
池の底に穴があって
そこから綺麗な水が湧き出していて、
それでいて溢れることがないんです。
不思議な環境ですが住みやすいですよ。
穴は地底深くに続いているようなんです。
その先がどうなっているのかわかりませんが。


a5

カエル兄妹と別れた後、
アイスは宿泊施設の様子を知ろうと、
魔法の扉を使ってフラハの家に行ってみた。

君は、相変わらずのなんでもありの神出鬼没だなあ。
と言われている。

おや、トカトントンという音が
聞こえますね。
ああ、あれは建築工事をしている音だよ。


a6

アイスはフラハに案内されて
工事現場に向かっている。

すぐ近所なんだ。


a7

ここがそうなんだよ。
ずいぶん立派な門構えね。


a8

門から入っていくと、
リンリンがいた。

こんにちはアイスさん。
宿泊施設がほぼ完成しましたよ。
と言っている。


a9

二人に気づいたドビーや
トラがやってきた。
手前は僕たち犬猫猿鳥同盟の支部で、
奥の棟が宿泊施設なんです。
今シーザーが仕上げのトンカチを振っています。


a91

みんなでフラハの家に戻ってきた。

宿泊施設の名前は決まったの?
ホテル・ナジャにしましょう。
とマリアが言った。
どうしてその名前に?
私の好きな小説の主人公の名前を借りたの。
なんとなく響きがいいでしょう。

あ、そうそう。
今年もハロウィーンのコスプレコンテストが
もう始まっているわよ。
施設も完成したことだし、
あなたたちも遊びに行ってみたら?
とアイスが言った。

ハロウィーンは年に一度の楽しみ。
怪しまれずに人前に出られるのね。
顔が本物そっくりだって言われるんだ。
などとみんな盛り上がっている。



解説)
続きます。
Posted at 21:53 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 11, 2024

広場の賑わい そのよん

a1

フェアリーの扮装を見せに、
モモコがジェニーたちの部屋に来ると、
ジェニーたちもすでにコスプレをしていた。


a2

これシンプルで可愛いでしょ。
と言っている。

微妙に羽付きなのね。


a3

あなたたち、そのまとまりのなさ。
みんな目的が別なのよ。


a4

私は旅芸人たちのところへ行くの。
とナオミが言った。
私はピエロのエヴァのところへ。
とたまきが言った。
私はデジャに行ってみる。
とジェニーが言った。


a5

その頃、広場のベーカリーでは、
ドルフィンのスタッフのリタが
新しいガラスの靴を履いていた。


a6

この靴、倉庫に入荷していたの。
シンデレラみたいでしょ。
この靴に合う服に着替えないと。


a7

リタは着替えを済ませて
倉庫から出てきた。

見違えるわね。
とルビーに言われている。


a8

ジェニーたちが
広場に到着したようだ。

ナオミは大道芸人たちの演奏に
参加している。


a9

たまきはエヴァのパントマイムの側で
解説をしている。


a91

ジェニーがデジャに行くと、
予想通り、お店は観光客で
混み合っていた。


a92

ジェニー、ちょうどいいところに
きてくれたわ。
普段は会員制のお店なんだけど、
この時期は一般に開放したので大忙しなの。
手伝ってくれると嬉しいんだけど。
とヴィヴィアンが言った。

やっぱり。
そのつもりできたんです。


a93

ベーカリーの二階のベランダには、
ジェニーフレンドたちが集まっていた。

コスプレしたのはいいけど、
みんな似たような扮装で、
優勝は望めそうもないわね。
似たような扮装だからこそ、
優勝するとすごいのよ。
それは私かな。
などと言っている。



解説)
続きます。


a94

リタの履いていた透明な靴は、
元はホビーオフで見つけた
アクセサリーのブローチでした。
靴底の部分もネジで外れるようになっていたので、
二つに分解してフィギアの足のパーツを
はめ込んでみました。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 10, 2024

広場の賑わい そのさん

a1

広場の賑わいは続いている。


a2

ちょっと遅れちゃったんですけど、
今年もレイア姫は来てますか。


a3

お仲間なら、
ベーカリーの奥の席にいるわよ。


a4

毎年よく似た顔ぶれだし、
趣味のグループに分かれて、
陣取る場所も決まってるのよね。


a5

丹下さんはマンゴー亭のマスターでしょう。
その格好は。
もちろんマトリックスのネオです。


a6

トリニティのコスプレのキャリーも来たので、
お店を空けて二人で参加してるんです。


a7

ジェニーフレンドたちがやってきた。
リナと奈々子とミツキとジュリアナのようだ。

私たちお揃いの扮装がしたいんです。
ドルフィンの倉庫で
衣装を借りられるって聞いたんですけど。
どうぞ。倉庫はその入り口の奥よ。


a8

4人はドルフィンの倉庫に向かっている。

リタさん、お揃いの衣装ってありますか。
そうねえ。ないこともないけど。


a9

4人は着替えを済ませて倉庫から出てきた。

お揃いの服、これしかなくて。
ナースとドクターね。
いかにもコスプレっぽくていいんじゃない。


a91

新たにユーリシアとあいこちゃんも加わった。



解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 09, 2024

広場の賑わいそのに

a1

広場は、日増しに賑わっていた。


a2

エヴァがハロウィーン恒例の
パントマイムのパフォーマンスをしている。

まるで人形みたいだね。
と言われている。


a3

ワンダーウーマンと
サイバー忍者の扮装をした人も
やって来ていた。

一年ぶりですね。
お元気そうで何より。
などと話している。


a4

アイス。
バッグ抱えてどこ行くの?


a5

またアフリカの遺跡まで。
このカエル王女を
お兄さんの元に連れて行くのよ。


a6

マンゴー亭のテーブル席は貸切で、
月光仮面たちのグループが懇談している。


a7

しかし年に一度きりの出番というのは、
退屈なものだなあ。
ヒーローの僕らが活躍するようなストーリーが
欲しいところだ。
それは難しいでしょう。
僕らただのコスプレですし。


a8

年に一度再会できるのは嬉しいけど、
参加者はほとんど同じ顔ぶれなのよね。
とサイバー忍者が言った。
今年は、私たちジェニーフレンドの仲間も
町に来てるから、少しは違うかも。
と、さゆりが言っている。


a9

そういえば、さっき
ワンダーウーマンを見かけたわ。
私はスーパーマンを見かけた。
などとレイとアンナが話している。


a91

やあ、1年ぶりね。
去年みたいに
アメリカンヒーロー愛好グループは、
ここに集まろう。



解説)
続きます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 08, 2024

ケントの着付け

b1

サラたちの部屋に
ケントが訪ねてきた。


b2

こんばんわ。
みなさんお久しぶり。
ディリープラネットのクラーク・ケントです。
今月は長期休暇が取れたので、
ゆっくりこの町で過ごすつもりなんですが、
ついてはコスプレコンテストのコスチュームの着付けを、
またサラさんにお願いしようと思って伺いました。

お安いご用ですよ。
とサラが言った。
あ、こちらはフミコさんです。


b3

初めまして。
とフミコと言います。
あなた、魔族の方ね。

え、わかりますか。
確かに生まれは魔族ですが、
魔法の能力はさっぱりなので、
普通の人と変わりなく暮らしています。


b4

すぐに着付けをすることになった。

私が魔族の出身だということは
誰も知らないはず。
フミコさんて何者なんです?
彼女も魔族の人よ。
彼女については、
いろいろ公にできない
事情があるみたいなの。
着付けが終わったら、
あとでお話しましょう。


b5

ケイとジェットも、
あれこれコスプレの準備をしていた。

ケントさんって、
またあの扮装するんだろう。
僕らはどうも地味だなあ。
などと話している。


b6

着付けが完成したようだ。
ケントはスーパーマンの扮装を
している。


b7

コーヒーを飲みながら、
ケントはフミコの口から、
アフリカの魔族の古代遺跡のことや、
ヴィヴィアンの魔法によって蘇生したことなど、
驚くべき出来事の数々を教えてもらった。


b8

なるほど。
そんな事情がおありだったのですね。
にわかには信じられない話ですが、
私も魔族の出身なので、
子供の頃に、魔族の都の伝説は
親から聞かされたことがありました。
もちろん今のお話は記事にはしません。
それにしても、
一目で私を魔族出身者だと見抜かれたのは、
やはり魔族特有の眼力というやつですか。


b9

それはその通りなんですけど、
あなたによく似た人を存じ上げていたんです。
もしかして、その人とはご兄弟なのでは?
とフミコは言った。


b91

ななんと。
確かに私にはフラハという双子の弟がいました。
私と違って魔力の才能があって、
手に負えない悪戯者でしたが、
子供の頃、世界一の魔術師になると言い残して
家出してしまったんです。
それ以来ずっと音信不通で。
多分魔術師修行でもして、どこかで
生きているんだろうと思ってはいました。
とはいえ、それはもう何百年も前のことで
最近はあまり思い出すこともなかったんですが。

そのフラハさんなら、
今もアフリカで元気でお暮らしですよ。
とフミコが言った。

ななんと。


b92

フミコは心に描いたフラハのイメージを
魔力を使ってケントの心に送り届けた。
ケントは突然人の姿が幻のように
脳裏に浮かんだので驚いている。

それは現在のフラハさんの姿です。

これはこれは。
あいつはこんな格好をしているのですか。
相変わらず趣味悪いなあ。


b93

オセロは
夢中になってイチゴを食べている。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 07, 2024

広場の賑わい

a1

夜になっても、広場では
テレビを見た観光客や
コンテスト参加者で賑わっていた。


a2

広場に初めてきた観光客もいるようだ。


a3

賑やかだなあと
思っている。


a4

あら、月光仮面の人。
1年ぶりね。
出番がないので、
一年間楽しみにしていたんだよ。


a5

まぼろし探偵も
吉野さくら役のさゆりを誘って、
ペアでコンテストに参加しにきていた。


a7

おや、ケントさん。
デイリープラネット誌の取材ですか。
いや、今回は休暇をとって来たんだ。


a8

月光仮面とまぼろし探偵たちは、
マンゴー亭を訪れている。

予約してたんだけど。
はい。テーブル席の貸切ですね。


a9

毎年ハロウィーンには、
ご利用されるんですね。
混み合って座れなくなっちゃうからね。
日本のレトロなヒーローマニアの懇親会なんだ。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 06, 2024

ハロウィーンの飾り付け そのさん

a1

広場では飾り付けが
ほぼ完成していた。


a2

組み上がった歓迎用のゲートに
文字プレートが設置されている。


a3

これってダンボール製でしょう。
よく保つわね。
などと話している。


a4

カボチャ人形の設置場所も決まり、
大道芸人たちの演奏も盛り上がっている。
歌唱にはドラコとレプティも参加しているようだ。


a5

飾り付けはほぼ完成。
ほぼ去年と同じペースね。
あとは月末までお祭り気分。
何となくマンネリの予感がするけど。
いろんな人と一年ぶりに再会して、
懐かしい気分に帰るのもいいものよ。


a6

帰るといえば、カエル。
あ、そうだ。
私、高台の休憩所まで行ってくるわ。
とアイスが言った。


a7

アイスと入れ違いに広場に、
枝野多恵とカメラマンがやってきた。


a8

多恵はルビーと話している。

去年のハロウィーン以来ね。
今年も政府要人でも来るの?
わからないけど、来てもお忍びで、
どうせ報道は禁止されちゃうの。
最近テレビの視聴率が下がってるから、
こういうローカルなお祭りを
紹介することが決まったのよ。


a9

その頃、アイスは高台の休憩所に
到着していた。

たしかここにカエル王女がいたでしょう。
そこの水盤に住んでいるはずよ。


a91

私はアイス。
あなたのお兄さんはアフリカに住んでるわ。
え。そうなんですか。
兄は安住の地を見つけたんですね。
住んでみたいって言ってただけだから、
ずっと住むかどうかはわからないの。
そうなんだ。
また移住したら、行方がわからなくなる。
私をそこに連れて行ってくれませんか。
いいわよ。

いいなあ。カエルと話せるんですね。
と和歌子が言っている。


a92

隣のジェニーたちの部屋では、
みんながテレビ画面を見ていた。


a93

「今年もこの町でハロウィーンの
コスプレコンテストが始まりました。
優勝者にはトロフィが授与されます。
参加者にはもれなく
参加賞のチョコレート掴み取りも
用意していますので、奮ってご参加ください。」
と画面の中でルビーが言っている。

賞品は毎月やってるコンテストと同じだね。
でもまたきっといろんな人が来るよ。
月光仮面は来るかなあ。
まぼろし探偵も。
などと言っている。



解説)
続きます。
Posted at 21:02 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Oct 05, 2024

ハロウィーンの飾り付け そのに

a1

カボチャのアイテムは、
店の窓の下の棚に置かれることになった。
いい感じね、と言いながら、
はるなはお土産の肉まんを食べている。



a2

ペンギン二階の探偵事務所でも、
鷲尾翠がドルフィンからアイテムを借りてきた。
お化け付きのを選んだのよ。
と言っている。


a3

たまきが借りたのは、
車に乗ったカボチャアイテムだった。
走らせて遊ぼう。
と言っている。


a4

サラたちの部屋には、
コウモリのついたカボチャアイテムを
フミコが届けに来ていた。
雰囲気あるなあ。
いつも飾る場所が問題なのよね。
などと話している。


a5

リタは高台の休憩所に
カボチャアイテムを運んでいた。


a6

ドルフィンの二階でも、
カボチャアイテムをみんなで眺めている。
飾るには大きすぎない?
これ車がついていて動くそうよ。
と運んできた今子が言っている。
何のために?
走るおもちゃなのよ。


a7

デジャでは小さなカボチャ蝋燭が
飾られていた。
これしか残ってなかったの。
いいんじゃないか。
場所も取らないし。
などと話している。


a8

広場の飾り付けも進行しているようだ。


a9

農家の岸芳樹とヘルミーネが、
農産物直販店を撤去している。

この時期の店じまいは毎年恒例ですね。
広場のスペース空けとかないと、
観光客が増えるからね。


a91

直販店のあった場所には、
マンゴー亭との間に柵が作られ、
ドルフィーのマスターが、
飾り付けをしていた。

わーパンダがいっぱいだ。
と子供達が喜んでいる。


a92

これどうしたんです?
ハロウィーン用のアイテム探してたら、
倉庫の隅にあったんだよ。
お店ののメニューの宣伝に
ぴったりですね。
などと話している。



解説)
続きます。

柵の装飾に使用したのは、
かなり古いサントリー烏龍茶のおまけ
「マグネット付きパンダクリップ」です。
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Oct 04, 2024

ハロウィーンの飾り付け

a1

アイスとフンボルトは
魔術劇場に戻ってきた。


a2

アイスはハリーに報告している。

ジャングルのマークの集落に、
宿泊施設を作ることになったの。
マリアたちがさっそく建設工事を
はじめているわ。
ほー、それは楽しみだな。


a3

フンボルトは?
私はどうにも暑いのが苦手なんです。
ペンギンの仕事もあるので、
マンゴー亭でお土産に肉まんを買って
ペンギンに戻ります。

施設ができたら、
クーラーも入れなくちゃね。


a4

二人が魔術劇場を出ると、
広場ではハロウィーンの飾り付けの
準備が始まっていた。


a5

もうそんな季節なんですね。

毎年のことだけど、
お祭りがあるのはいいことだよ。
みんなの出番もあるし。
とドルフィンのマスターは言った。


a6

楽しそうなお祭りね。

ハロウィーンっていうんですよ。
とリタが言った。
ネットの情報によると、
発祥はイギリスやアイルランドとされ、
元々は古代ヨーロッパの
ケルト民族の収穫祭だったらしいです。
古代の暦で大晦日にあたる10月31日には、
祖先の霊や悪霊がこの世界に戻ってきて、
魔女や悪霊が災いをもたらすとされ、
それを防ぐために人は仮装したんですって。

人間って面白いこと考えるのね。


a7

これどこに飾りますか?
それはベーカリーよ。


a8

これはどこに飾るの?
それはみんなの家に貸し出したり、
屋外の適当なところに置くのよ。


a9

フンボルトはペンギンに戻ってきた。

お帰りなさい。
お土産の肉まんありがとう。
これ、飾ってくださいって。
ドルフィンから借りてきました。



解説)
続きます。
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Oct 03, 2024

マリアたちの集い そのさん

a1

マリアたちの集いは続いていた。


a2

フンボルトさん用に
お魚のお料理をお持ちしました。
これは嬉しいなあ。


a3

秋刀魚は私たちも好物ね。
野良猫時代を思い出すなあ。


a4

僕は肉まんが癖になりそうです。
と言っている。


a5

ジャングルに行くには
どうすればいいんでしょう。

魔術劇場の中に、
フラハっていう人の家の裏庭にでられる
鏡の扉が常設してあるのよ。
食べ終わったら行ってみましょう。


a6

その頃、高台の遺跡で
九官鳥の羽根を回収したアイスは、
羽根を預かってもらうために
マークの家を訪問していた。

これにまたがって飛んできたの?


a7

ところで、相談なんだけど。
とアイスが言った。

マークの集落に、
宿泊施設が作れないかなあ。
フミコが魔族の人たちを
遺跡に案内したんだけど、
みんな結構気に入ってたみたいなのよ。
最近はジオラマ村の連中も
観光に来ているみたいだし。

それはいいね。
どこに建てる?


a8

どうせなら鏡の扉のある、
フラハの家の近くがいいね。
フラハに相談してみよう。


a9

フラハは家の前で草取りをしていた。
アイスとフラハは
思わず挨拶をしている。


a91

アイスたちは家を建てる相談をしている。

ジャングルを切り開けば、
土地はいくらでもあるが、
宿泊施設ともなれば管理人が必要だろう。
いつも手入れしていないと
すぐに雑草が伸び放題だぞ。

そうねえ。


a92

3人が話していると、
なんとタイミングよく、鏡の扉が開いて、
魔術劇場での会合を終えたマリアたちがやってきた。

あら、お話中だったのね。
とマリアが言った。


a93

アイスがマークの集落に宿泊施設を建築する話を
していたことを説明すると、
一同は大いに盛り上がった。

私たちも犬猫猿鳥同盟の支部を
作ろうと思っていたところなんです。
私たち、その下見に来たのよ。
その宿泊施設を支部と兼用にすればいいのでは。
みんなで協力して建築しますよ。
施設の管理も私たちが請け負いますよ。

それって、宿泊施設の話に便乗して、
あなたたちがそこに住みたいっていうことでしょう。
とアイスが言った。

そうとも言えますが。

まあいいわ。というか、
宿泊施設の話は思いつきのアイデアだけで、
その実現には人手が欲しかったところ。
フラハもマークもそれでいいかしら。

全然問題ないよ。とマークが言った。
この辺りは集落の外れであまり人もこない。
賑やかになるのは歓迎だよ。とフラハが言った。

じゃあマリア、
あなたたちにお任せするからよろしくね。
とアイスが言った。

私たち、こんな姿ですけど、
いじめられないですか?
とクロが言った。

それは大丈夫。
現地の人は魔法の影響で生まれる
変わった形の生き物を見慣れているからね。
シーザーもみんなに馴染んでいるくらいだし。

じゃあさっそく近くのジャングルを
見てまわりましょう。
とマリアが言った。



解説)
続きます。
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Oct 02, 2024

マリアたちの集い そのに

b1

魔術劇場の一室では
マリアたちの集いが始まっていた。


b2

それでは犬猫猿鳥同盟の
臨時のお茶会を始めます。
今日集まってもらったのは、
新メンバーのお二人をご紹介するためです。
とマリアが言った。


b3

新しく加入してくれたのは、
チンパンジーのリンリンと、
ゴリラのシーザー。
二人ともアフリカのジャングル生まれの
ジャングル育ちです。
見かけはお猿さんそのものですが、
その知能は人間に勝るとも劣らないと言われています。
では自己紹介をどうぞ。

えーっと、僕たちは
アフリカのジャングルで暮らしています。
僕たちが生まれたのはフミコという魔族の女性が、
一帯にかけた魔法のせいだと言われています。
とリンリンが言った。
そこには大昔に魔族の都があって、
フミコは、その都を外敵から守るために
周辺のジャングルに魔法をかけたのです。
その結果僕たちのような知能を持つ動物が
時々生まれるようになったのです。
都はとうの昔に滅び、今では遺跡だけが残っています。
しかし、最近のこと、フミコが蘇生して、
僕たちを自由にしてくれました。
それからアフリカに来たマリアさんたちと知り合い、
この会に招かれたということです。
僕は基本は野蛮な人間が嫌いなんですが、
友人も何人かいます。

僕もリンリンと同じ身の上ですが、
リンリンよりずっと年下で、
人間が大好きで、人間の集落の近くに
家を建てて暮らしています。
あ、ところで、あなた方は人間なんですか。
とシーザーが言った。


b4

その区別は難しいわね。
とクロが言った。

うまく言えないが、僕たちはみんな
そこにいる悪魔ヴィヴィアンの魔法で、
変身して生まれた魔法生物なんだ。
とドビーが言った。
あ、僕の名はドビー。
工房ドルフィンで飼われている
ベスという犬のイメージが影響して
この体になったんだけど、
ベスは今でも普通に飼われている。
僕とは全く別にね。
だからなぜ僕が生まれたのか、
ベスとどういう関係なのかもよくわからない。
ベスだった時の記憶も全くないんだよ。

あれは事故だったのよ。
と側で聞いていたヴィヴィアンが言った。
人間の脳のニューロンの動きを、
プラネタリウムで会場の壁に投影するっていう、
とんでもない実験をミューっていう
ロボットたちがやっていたの。
その会場に飼い犬のベスが紛れ込んでいて、
私がその犬に注意を集中したために起きたのね。
まだ私が悪魔になる前で、
魔法をうまく制御できなかったのよ。

私の場合は。
とクロが言った。
私は前はメルティっていう女の子に
飼われていた子猫だった。
でもメルティが小さい頃に死んでしまったのよ。
それからメルティも病弱で寝たきりになって、
ずっと長い夢を見続けていた。
私の魂は死んでから幽冥界をさまよっていたんだけど、
メルティのことが忘れられなくて、
夢食いの百猫の王シュレディンガーに、
メルティの夢の世界に連れて行ってほしいって頼んだの。
そこでメルティと再会できたんだけど、
鏡の扉でメルティの夢と、この世界の間が
行き来できるようになって、
ヴィヴィアンが魔法でこの姿にしてくれたのよ。
体が人間で顔だけが猫っていうこの姿、
私が望んだわけじゃないの。

それはそういうものなのよ。
とヴィヴィアンが言った。


b5

僕の名前はトラ。トラ猫だったからそう呼ばれてるんだ。
前はこの町を徘徊する野良猫グループのリーダーだった。
ジェニーたちの家から盗んだ
ウサギのぬいぐるみと交換して手に入れた
この目出し帽のバラクラバが被りたくて仕方がなかったとき、
ヴィヴィアンが帽子を被れるように、
魔法でこの姿にしてくれたんだ。
今ではもう盗みや悪戯はしてないよ。

私の名前はフンボルト。
元は喫茶ペンギンの木製のマスコット人形に
宿った精霊だったんです。
古くなって店の人がドルフィンに私を洗浄してもらいに行ったとき、
ヴィヴィアンさんが人形に精霊の私が宿っているのを知って、
魔法でこの姿にしてくれたんです。
今でも喫茶ペンギンでマスコット役の仕事をしています。


b6

なんだかみんなの自己紹介を聞いていると、
みんな私のせいで変身したって言ってるのね。
確かにそれは事実だけど、
みんなの望みを叶えてあげただけなのよ。
あ、ドビーのケースだけは別ね。
あれだけは私にも原因はよくわからないの。
とヴィヴィアンが言った。

事故や手違いで私が無から生まれたんだとしても、
こうして生きているんだから感謝してますよ。
とドビーが言った。


b7

僕たちは、こんな魔法生物みたいな姿をしてるから、
人間の町には住みにくい。
この界隈の人はほとんど気にしないけど、
広場には観光客が大勢くるからね。
それでジャンのジオラマの村という別世界に
小屋を建ててそこに移住して暮らしているんだ。
周りはフィギアの精霊がほとんどだから、
住み心地はいいよ。
それにみんなが仮装するハロウィーンの時期になると、
広場に出てきても変な風に思われない。
今年もいよいよそんな時期になったんだ。
とトラが言った。


b8

アフリカのジャングルだったら、
人間は滅多に来ないから、
遊びにおいでよ。
僕の家の近くに小屋を作ってもいい。
とリンリンが言った。

リンリンの家は遺跡の近くにあるから、
きっとジャングルの動物たちや
グリーンマンが嫌がるよ。
僕の家の近くなら、マークの集落の外れで、
鏡の扉のあるフラハの家の近くだし、
交通の便もいいですよ。
とシーザーが言った。


b9

お言葉に甘えて、アフリカに、
犬猫猿鳥同盟の支部を作りましょうか。
とドビーが言った。

みんなやることなくて
いつも暇そうだから、それもいいわね。
作ってもどうせお茶会を開くだけだけど。

ジャングルって危険じゃないんですか。
とクロが言った。

動物にとっては体が人間みたいに見えるし、
人間にとっては顔つきが動物のように見える。
奇妙すぎて警戒して近づかないんじゃないの。
そうなのかなあ。


b91

話がまとまったようね。

ヴィヴィアンさんは、
この会の発案者なんでしょう。
参加されないんですか。
とデュアンが言った。

私は悪魔だからね。
会のことはマリアに任せてるの。
でもアフリカはいいところよ。
あなたも人間嫌いで
この魔術劇場に引きこもっているんでしょう。
たまには遊びに行ってみたら。

そうですね。
あ、追加の肉まん持ってきます。



解説)
続きます。

それぞれの自己紹介でのエピソードは、
ドビー、2022年9月11日「ミューと探偵の思いつき」。
トラ、2022年11月28日「対策会議そのに」から。
クロ、2023年2月27日「メルティの世界 そのに」。
フンボルト、2023年3月21日「衣替えとマスコット」。
に掲載されてます。飛び飛びですが。
犬猫猿鳥同盟(旧名 犬猫同盟)の結成のエピソードは、
2022年12月6日「犬猫同盟」に。
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Oct 01, 2024

コンテストの結果発表

a1

今日は月初めで、
月例のコスプレコンテストの結果発表日。


a2

優勝者は決まったの?
それがまだ。

休暇とってアフリカに行ってたからね。
私の留守中に誰か新しい登録者来てた?


a3

いつもの近隣住民だけだよ。
ジェニーたちがお月見モードの
浴衣姿で登録してたのが目立ったくらい。

先月の有力候補だった人たちから
選べばいいじゃないですか。
フラハやフミコやダリオさん。
と佳奈が言った。


a4

みんなアフリカに帰っちゃって、
今この町にいるのは。


a5

ルビーはマイクを手に取って、
アナウンスを始めている。

みなさん。
9月のコスプレコンテストの優勝者の発表です。
厳正な審査の結果、
優勝したのは古代アフリカの
魔族の民族衣装を着たフミコさんです。


a6

農家の直販店の前で
ブドウの味見をしていたフミコは、
アナウンスに驚いている。

おめでとうございます。


a7

周りに住民たちが集まってきた。
フミコは万雷の拍手と歓声に包まれて、
トロフィを授与されている。


a8

私もああいう服着てみたいわ。
あれはコスプレじゃなくて本物でしょう。
その辺はどうでもいいみたいなのよね。
早くチョコレートを。
などと言っている。


a9

昔はこういうイベントはなかったの。
優勝もそうだけど、
みなさんに歓迎されて嬉しいわ。
と言っている。


a91

授賞式が終わり、
早くも参加賞の
チョコレートの掴み取りのための
行列ができている。

お馴染みの光景だけど、
コンテストが終わるとほっとするね。
毎月やってると癖になるのよ。
などとアイスとルビーが話している。


a92

あれ、チョコもう残りわずかよ。

すぐ追加しますから。
と佳奈が言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 30, 2024

マリアたちの集い

a1

ヴィヴィアンはペンギン前にやってきた。


a2

こんにちわ。
久しぶりね。
などと挨拶されている。

お一人ですか。
店内は満席なんですけど。


a3

今日はお茶飲みにきたわけじゃないのよ。
マリアに頼まれて、
フンボルト氏に伝言を伝えにきたの。
魔術劇場で集会があるんだって。

あ、はい。今呼んできます。


a4

店内からフンボルトが現れた。
仕事中みたいだけど、
抜けられるの?
私はマスコット役で立ってるだけですし、
リズもいるので大丈夫です。


a5

その頃、魔術劇場の一室では、
リンリンとシーザーがお茶を飲んでいた。
ヘルミーネは食べ物の準備をしているようだ。


a6

一応、果物を揃えてみましたけど。
お二人は草食ですよね。
たまにお肉も食べますよ。
その白くて丸いのはなんですか?
これは肉まんというものです。


a7

その時、マリアが、
ドビーとクロとトラ猫の3人組を引き連れて、
ジオラマ村から鏡の扉を使ってやってきた。


a8


お待たせ。
こちらが犬猫猿鳥同盟のメンバーよ。


a9

こんにちわ。
あら、普通のお猿さんなのね。
言葉は通じるの?
引っ掻かれないかしら。
などと言っている。


a91

みんなが緊張して着席すると、
ヴィヴィアンとフンボルトもやってきた。

これで全員集合ね。
とマリアが言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 29, 2024

山に行く そのなな

a1

山頂の広場で、
みんな思い思いに寛いでいた。

こんなところに住みたいものだわ。
引っ越してこようか。
流石にそれはないでしょう。


私、あんな追憶系の魔術は初めてだった。
あれは白魔術なのかしら。
とヴィヴィアンが言っている。
それは後世の分類ね。
昔はそんな区別はなかった。
でも彼女の呪力には私も驚いたわ。


a2

アイスとマリアが話している。

リンリンやシーザーが
加入してくれるとなると、
「犬猫同盟」っていう名前変えなくちゃ。
「犬猫猿同盟」にする。
よく知らないけど、
ペンギン顔の人もいるんじゃなかった?
とアイスが言った。
「犬猫猿鳥同盟」。

何相談してるんですか。

会の名称を考えてたの。
そうだ、メンバーに顔見せしたいから、
魔術劇場に遊びに来ない?

それは嬉しいな。
ルビーさんにも会えますね。
とシーザーが言った。
僕は大勢の人間が苦手で。
とリンリンが言った。
魔術劇場から外出しなければいいのよ。


a3

一行は高台の遺跡まで戻らずに、
一挙に魔術劇場に帰ることにした。
アイスが呪文を唱えて、
鏡の扉を出現させている。


a4

一行は魔術劇場に戻ってきた。
留守番をしていたデュアンが
出迎えている。


a5

お留守番ありがとう。
お帰りなさい。
特に何もありませんでしたよ。
珈琲でもいかがですか。


a6

アイス、あの鳥の羽根どうしたの?
あ、高台の遺跡の広場に
置いてきちゃったみたい。
せっかくの九官鳥の贈り物だから、
戻って取ってくるわ。


a7

マリアに誘われて同行してきた
リンリンやシーザーも、
早速デュアンに紹介されている。


a8

しばらく滞在されますか。
すぐにお部屋をご用意します。
あーどうぞよろしく。
この人全然驚かないんだね。
と言っている。


a9

マリアはヴィヴィアンに
話しかけている。

ヴィヴィアン頼みがあるんだけど。
珍しいわね。なあに?
これからここで部屋を借りて、
犬猫猿鳥同盟の集会を開きたいの。
それで仲間を呼んでくるんだけど、
手伝ってくれないかな。
いいわよ。
私これからジャンのジオラマの村に行って、
メンバーを呼びに行かなくちゃならないから、
ペンギンでバイトしてる。

ああ、フンボルト氏を呼んでくればいいのね。
ええ。そうしてくれると助かるわ。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 28, 2024

山に行く そのろく

a1

こんにちわ。
僕はカエル王子。
安住の地を求めて旅をしています。
この池に住んでみてもいいですか。
とカエルは言った。

いいわよ。
どうぞご自由に。

君はもしかして、
今年の春に、メルティの夢の中で
洪水騒ぎを起こしたヘクトンの息子ではないかね。
とハリーが言った。

あ、そうですが。

妹さんのカエル王女が探していたわよ。
とアイスが言った。

そ、そうなんですか。
それで、妹は。

町の高台の休憩所にある、
水盤に住み着いているみたい。
今度、あなたのこと話しておいてあげる。

あ、ありがとうございます。


a2

驚いたわ。
いつも人の心に浮かぶイメージを読み取って、
この世界に投影してるけど、
逆に自分の記憶のイメージが投影されるのは初めて。
なんだか不思議な気分ね。
とフミコが言った。

この広場のこと思い出した?
とアイスが言った。

ええ。おかげでかなり
鮮やかに思い出したわ。


a3

アイスはジャングルの方に歩いていくと、
呪文を唱え始めた。
すると、
樹木に絡んでいた蔓が、
くるくる回って円を描いた。


a4

アイスはその円の中を跨いで、
向こう側に行って振り向いた。

フミコ、こっちよ。
皆さんも。


a5

一同がフミコの後に続くと、
そこは広場の過去の情景のようだった。
綺麗に整備された庭園が見える。

そうそう、
こんな感じだった。


a6

花が咲いてるよ。
みんな薬草みたいだ。


a7

あれは発着場の目印よ。
どんな人が来てたんですか。
大抵はレプテュリアンね。
ほかには彼らが連れてくる観光客とか。


a8

あれは天文台。
もっと昔は神殿の一部だったの。

ご先祖様は偉大だったのね。
誰もいないのが不思議。
とヴィヴィアンが言っている。


a9

一行は蔦でできた入り口まで戻ってきた。

ありがとうアイス。
おかげで忘れかけていた記憶の旅を
楽しめたわ。

呪文が心に浮かんだだけなのよ。
きっとこの広場の遺跡が私たちを招いたんだわ。
とアイスは言った。



解説)
続きます。

ハリーの言った洪水騒ぎの話は、
2024年5月2日「メルティの世界で」
から始まっています。
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Sep 27, 2024

山に行く そのご

a1

一行は遺跡を出て、
近くの山まで散歩することにした。

すぐ近くなの。
この別荘地はその山の山腹にあって、
山の頂上には巨石群があるのよ。


a2

フミコに案内されて、
一行は遺跡の入り口の門を出ていく。


a3

山頂の巨石群はアフリカの謎のストーンヘッジと呼ばれ、
ごく一部の探検家たちが探索に訪れたことがある。
かってリンの父親のハンスもそんな一人だったが、
彼はその時偶然近くの古代遺跡を発見したのだった。


a4

遺跡の門の近くからは山頂に階段が続いている。

山頂の巨石群も、以前は私たちの遺跡の一部だったの。
空から都を訪れる人たちを迎える施設があったのよ。
レプテュリアンたちの戦争で徹底的に破壊されてしまったけど。
とフミコが言っている。


a5

道の途中でリンリンとシーザーに出会った。
アイスはシーザーの仕草を見て慌てて挨拶している。

グリーンマンから、
高台の遺跡にフミコさんが帰ってきていると聞いて、
駆けつけてきました。
と言っている。


a6

君たちのことは佳奈やルビーから聞いてるよ。
知能の高いお猿さんですってね。
私たちもアイスさんのことは
グリーンマンから聞いてます。
フミコさんの蘇生に協力してくださったとか。

その時、人の姿に変身して、
私にも紹介して。とマリアが言った。
私こういうタイプの人たちにすごく興味があるの。

人じゃないよ、お猿だよ。
同じようなものよ。
是非、犬猫同盟に加入していただきたいわ。
なんですかそれ。
集まってお茶を飲む会なのよ。


a7

アイスたちが話し込んでいるうちに、
フミコとハリー一家は山頂に到達していた。

あれが巨石群か。
かなりの大きさね。


a8

アイスたちも
追いついて、
それぞれ紹介しあった後に、
思い思いにくつろいでいる。

戦争が始まる前は、
この山頂の広場には、発着場のほかに
迎賓館や展望台や庭園があったのよ。
とフミコが言っている。



a9

この円形の石の枠組みはなんだろう。
これは、きっと人工の池の跡ね。

フミコ。その記憶の景色思い出せる?
とアイスが言った。
微かに覚えているわ。


a91

アイスが呪文を唱えると、
薄い煙が立ち上り、煙を風が吹き払うと、
円形の石組みの中に水が満たされていた。
ハリーが、
ほー。
と言っている。


a92

池の水の中からカエルが現れた。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 26, 2024

山に行く そのよん

a1

高原の遺跡で、
一行はくつろいでいた。

バナナを食べたら喉が渇いたね。
広場に水盤があって、
新鮮な水が飲めますよ。
行ってみようよ。


a2

あれは何?
ああ、あれはグリーンマン。
気にしなくていいの。
あら、なんでしょ。
私を呼んでるみたい。


a3

一階に降りると、
フミコはグリーンマンの方に
歩いていった。


a4

何か話をしているようだ。


a5

何を話していたの?

魔族の人が来てくれたって、
すごく喜んでいたの。
彼は長い間ずっとこの魔族の遺跡と
周辺のジャングルを守り続けていたから。
カーミラさんによく似た人が、
前にも来たことがあるって言ってたわ。

そうなんだ。
君の先祖が来たのかもしれないな。
いつ頃のことかしら。
何千年も前じゃない?


a6

今度はなに?
あの空飛ぶ魔女スタイルはマリア。
アイスも一緒ね。


a7

ヴィヴィアンは手を振っている。


a8

ヴィヴィアンが広場まで追っていくと、
アイスとマリアはみんなと合流していた。

水盤のところで、
お水を飲んでいたら、
突然二人が降ってきて驚いたわ。

空を飛んだのは一昨年のハロウィーン以来。
ここなら誰にも見られないから最高ね。

アイス。君も空を飛べたのか?
ええ、呪文が頭に浮かんだんです。
なんでもありなんだな。


a9

一行は広場の散策を楽しんでいる。
マリアは黒猫に変身したようだ。



解説)
続きます。

マリアが箒に跨って空を飛べるようになったのは、
一昨年のハロウィーンのこと。
2022年10月29日「まもなくハロウィーン」に、
箒に跨って空を飛ぶシーンが、ちらっと出てきます。
Posted at 21:13 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 25, 2024

山に行く そのさん

a1

アイスとマリアは
空に浮かんでいた。


a2

見渡す限りの
ジャングルね。


a3

沼地が見えるわ。
たぶんあっちがマークの集落や、
古代遺跡のある方角よ。


a4

天気がいいから
どんどん行ってみよう。


a5

その頃、魔術劇場から
フミコに招かれたハリー一家が、
フミコの故郷の遺跡を訪れていた。


a6

随分立派な建物だなあ。
私たちの先祖って優秀だったのね。


a7

結構涼しいのね。
上着着てきて正解だわ。
ここは高地にあって、
避暑地だったんです。


a8

雰囲気あるなあ、
と言っている。


a9

ここなんだかすごく懐かしいわ。
不思議な気分。
とカーミラが言っている。

魔族の人の中に、
そういう人多いようですよ。


a91

何も残っていませんが、
見晴らしだけはいいので、
屋内に入りましょう。


a92

4人は石造りの部屋で寛いでいる。

眺めのいい部屋ね。
お母さんどうしたの?
ここ絶対来たことがある気がするのよ。
リーインカーネーション?

この土地にはフミコさんがかけた
魔法がまだ効いているんだろう。
そのせいかもしれないよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 24, 2024

山に行く そのに

a1

魔術劇場では、
ハリー一家と、遅く起きてきた
フミコがお茶を飲んでいた。


a2

昨夜は楽しいおもてなしを
ありがとうございました。
すっかりご馳走になっちゃって。


a3

いやいや。
ああして魔族が集まったのは久しぶりだ。
先祖の君がいてくれたおかげで、
大いに盛り上がったよ。
みんな興味津々だったからね。
考えてみればそれもアイスのおかげかな。


a4

アイスといえば、
彼女、強力な再生の呪文を使ったみたいですよ。

ふーん、どうしてわかるの?
とヴィヴィアンが尋ねた。

アイスには、この肩飾りの宝石を一つ外して、
指輪を作ってあげたんです。
その指輪から私に波動が伝わってくるの。


a5

フミコが手を振ると、
部屋の壁に、アイスが呪文を唱えている
情景が映し出された。

あ、マリアもいるのね。
あの子いつの間に。


a6

情景は樹木の変化の様子を
映し出している。

これはすごい、
なんでもありのパワーだわ。
あの人、人間でしょう。
魔術の書には載っていない呪文だな。
立派な樹木ね。あそこはどこなのかしら。
などと言っている。


a7

あれはアフリカです。
そうそう、お世話になっているお礼に、
御一家を私の故郷にお招きしたいんですが。
故郷といっても、今はもう何もない
寂れた遺跡なんですが。

それは嬉しいわ。
ずっと旅行してないし。
お母さんはここにいても
ずっと引きこもりだからね。
喧騒が苦手なのよ。

遺跡に人は誰もいません。
旅行といっても鏡の扉を
潜り抜けるだけなんですよ。
遺跡の町と湖と高原と
どこがいいですか。

もう秋だから高原ね。
とヴィヴィアンが言った。


a8

その頃アイスたちは、
山の中腹を下り、ダリオの家に
帰る途中だった。

しかしレプテュリアンって冷酷だね。
あそこまでしなくてもいいのに。
自然や動物愛護の精神に欠けてますね。
それでいてリクガメが好きなんだから、
やることが人間と同じだね。
などと話している。


a9

そのとき、九官鳥が
ハヨーハヨーと鳴きながら、
上空を掠め飛んでいった。


a91

九官鳥は、
風切り羽根を落としていったようだ。


a92

マリアは人の姿になった。
随分大きいわね。
これ使えるかも。
などと言っている。


a93

アイスとマリアは、
羽根にまたがると
呪文を唱えて空中に飛翔した。

やっぱりね。
ちょっと散歩してくる。

なんでもありですな。
僕は家に帰ってますから。
とダリオが言っている。



解説)
続きます。
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Sep 23, 2024

山に行く

a1

アイスとダリオとマリアは
山の中腹にあるという、
九官鳥が巣をかけている木を見に行った。

実はさ、ルビーから聞いたんだけど、
九官鳥に小さな宇宙人がさらわれて
レプテュリアンが円盤で
取り返しに行ったというのよ。
とアイスが言った。

それは知らなかったな。
僕はずっと君たちの町にいて、
留守していたからね。


a2

これは佳奈から聞いたけど、
その九官鳥の住む樹木って、
生命の樹って言われていたらしいわね。

それを佳奈に教えたのは僕だよ。
原住民の間でそんなふうに言われてた。
もう随分昔のことだけど。
あ、もうすぐこの先だよ。

黒猫に変身しているマリアは
走り出している。


a3

3人は樹木の見える場所に
やってきた。

おおこれは。
なんという。


a4

ちょっと気になってたんだけど、
やっぱり悪い予感が当たっちゃったみたい。
たぶん宇宙人を救出したレプテュリアンが、
九官鳥の巣を破壊していったのよ。

これは相当だなー。


a5

九官鳥は無事のようだが、
巣を無くして戸惑っているようだ。


a6

私なんとかしてみる。
そういうと、アイスは
心に浮かんだ呪文を唱え始めた。


a7

すると周囲に薄い煙が立ちのぼり、
やがて一陣の風が煙を吹き払うと
緑の生い茂る木立の姿が現れた。


a8

樹木の高みの太い幹の中から
顔のようなものが出現した。

あなたが癒してくれたのね。
どうもありがとう。
とその顔は言った。

あなたはどなたです?
とアイスは言った。

見ての通り、私はこの樹木の精霊。
長いこと生きてると、
いろんなことがあるものね。
あら、あなたは魔族じゃないのね。
まあどうでもいいけど。
お礼に何か願いを叶えてあげましょう。

お礼なんていいですよ。
とアイスは言った。

ふーん。そうなの。
ここにはいろんな人がやってきて、
願いごとをしていったのよ。
それはもう昔の話だけど。

とりあえず、枝葉の修復に
何十年もかかるところだった。
どうもありがとう。
あなたのことは忘れないわ。

そう言うと、
顔は幹の中に沈み込むように消えていった。


a9

さっきの呪文、なんだったんです。
聞いたこともない言葉でしたが。

よく覚えてないわ。
ただ心に浮かんだ言葉を言っただけ。

九官鳥も喜んでいるようだ。



解説)
続きます。
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Sep 22, 2024

翌日の続き

a1

ジェニーたちの部屋。


a2,jpg

もう夕暮れね。
今日は何もしないうちに
時間が経っちゃった。
何も思いつかないうちに、
って言った方がいいんじゃない。


a3

そこにあるのは月餅ね。
なにかニュースある?
大谷が記録を達成したって。


a4

そこにドルフィンのスタッフの
リタがやってきた。
靴箱を抱えている。
あら珍しい。


a5

これ、ドルフィンの倉庫に
入荷してた靴なの。
サイズが小さくて、
あなたたちなら履けるんじゃないか、
と思って持ってきたのよ。

リカって書いてあるね。


a6

箱を開けて取り出すと、
それはリカちゃんサイズの靴だった。

「ノアールブーティー」って
いう名前らしいよ。
ハーフブーツみたいで、
秋冬モードに似合いそう。
誰が履くかはジャンケンだね。


a7

リタは月餅をご馳走になっている。


a8

その頃、アフリカのダリオの家では。
アイスとダリオが寛いでいた。

佳奈たちがここに来たって言ってたけど、
近くに巨大な九官鳥の巣があるそうね。
近くといっても山の中だけどね。
行ってみるかい?

その時、鏡の扉の隙間から黒猫が出てきた。

おやあの猫は。


a9

薄煙と共に、
黒猫は女性の姿になった。

面白そうなので、
ついて来ちゃった。
と言っている。


a91

ようこそ。昨日の夜会ではどうも。
あなたは確かハリーさんの
姪御さんのマリアさんでしたね。
とダリオが言っている。

そうよ。マリアと呼んで。

その格好じゃジャングル歩くの大変だよ。
とアイスが言った。

猫になってついていくからご心配なく。
私箒があれば空も飛べるし。



解説)
続きます。

リタの持ってきた靴はガチャで入手しました。
タカラトミーアーツの
「Licca closet series シューズコレクション」
(全6種)の「ノワールブーティー」です。
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Sep 21, 2024

夜会の翌日

a1

夜会の翌朝の魔術劇場の一室。
お昼に近くに、
ハリーが起き出してきた。


a2

ああよく寝た。
昨晩は良く飲んだなあ。
マーリンたちは?
みなさんお帰りになったわよ。
カエル王子によろしくって。


a3

テーブルには
黒猫に変身したマリアがいる。
胃薬も用意されているようだ。


a4

親しくなったアイスとダリオが話している。

もう帰るの?
集落のフラハの家までは扉ですぐだけど、
家までは集落から結構かかるんだ。
夕方頃に家につけるかな。

だったら、家に直通する扉を
作ればいいのね。
行きたい場所をイメージして。


a5

アイスが呪文を唱えると、
鏡の扉が現れた。


a6

すごい呪力だ。これは便利だね。
何度も使えるように固定しておくわ。
じゃあ、ちょっと家を見にこないか?
そうね。


a7

二人が扉を抜けると、
そこはダリオの家の裏庭だった。


a8

その頃、サラたちの部屋では、
昼食に海鮮丼を食べていた。


a9

マンゴー亭に行ったら、
昨晩の夜会用に仕入れた
魚介類が余ってるからって、
分けてくれたの。
お寿司の具材だね。
早く食べないと。



解説)
続きます。
いつもながら、あまり脈絡のない展開ですが、
「海鮮丼」のシーンは、
ぷちサンプルシリーズ「極上寿司」(全六種)の
「2.海鮮丼」を二組使っています。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 20, 2024

十五夜の夜会 そのさん

a1

夜会は続いていた。
夜も更けて、それぞれ席を変えて
思い思いに歓談している。

フミコさんって、
長生きなさったんでしょう。
とカーミラが言っている。


a2

そうでもないのよ。
亡くなったのは235歳のとき。

そうだったの。
じゃあ私のほうがお姉さんね。
とカーミラが言った。


a3

幼馴染のハリーたちは、
昔話に興じているようだ。

カエル王子遊びをおぼえているかい?
忘れたことなんかないよ。
今でも夢に見るんだ。


a4

ヴィヴィアンたちはアイスに
指輪を見せてもらっている。


a5

近くによるだけで、
すごいパワーを感じるわね。
そうなの?
私にはよくわからないけど。


a6

どうだね。
また遊んでみるかね。
お酒で行くか。
いいよ。
今度は負けないぞ。


a7

薄い煙が立ち上ったので、
アイスが振り向くと、
椅子やテーブルの上に
三匹のカエルがいた。


a8

カエルたちは
テーブルの上に集まると、
お酒を飲み始めた。


a9

あれ何してるんですか。
とマリアがカーミラに訊いている。

お酒の飲み比べ競争よ。
お互いカエルの姿に変身して、
いろんな競争をするのが、
カエル王子ごっこ。

どうして王子なんですか。
魔族の子供の遊びだからね。
一番は王様じゃなくて王子なの。

なんか、たわいないのね。
男ってそういうものなのよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 19, 2024

十五夜の夜会 そのに

a1

夜会は続いていた。

フミコさん。
この前の夜の打ち上げ花火、
あれはあなたが作った幻影だったって、
噂があるけど、本当?
とカーミラが言った。


a2

はい。あれはたまきが心の中で、
思い描いたイメージを表現したんです。

すごいわね。

今日は中秋の名月らしいですね。
アイス。夜空を思い浮かべてみて。


a3

アイスが十五夜の空をイメージすると、
部屋の壁が消えて
夜空がスクリーンのように映し出された。

ほー。
あらら。
と言っている。


a4

月は煌々と輝いている。


a5

鏡の扉が開いて、
アンナが酒器を運んでくると、
夜空の幻影は消えてしまった。

熱燗お持ちしましたよ。
と言っている。


a6

今のは古代の魔術かね。
自分で描いたイメージならともかく、
人の心の中のイメージを読み取って
外界に投射する魔法というのは、
魔術の書になかった気がするが。
とマーリンが言った。


a7

そうなんですか。
昔は魔術の書もなかったから。
呪文というのは心に浮かぶんですよ。


a8

マーリンは、
ヴァンパイアたちのために
彼らが思い描く理想の世界を
作ってやったんだろう。
よく似てるじゃないか。
とフラハが言った。

ふむ。確かに似ているな。
だがあれは彼らの共同の願望と
土地の精霊に働きかけて、
閉じた別世界を作り上げるものだ。
実現にはいろんな条件が必要なんだよ。


a9

綺麗な満月だったわね。
フルムーンといえば、
若い頃のサバトを思い出すわ。
今では魔女の集会の風習も廃れちゃったけど。
やっぱりイクラの軍艦巻きね。
などと話している。


a91

ヴィヴィアン、
今日はおとなしいのね。
隣に実のお父さんがいるからね。

聞こえてるぞ、
とマーリンが言っている。


a92

まぐろには冷酒が合うなあ。


a93

夜会の夜は更けて行った。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 18, 2024

十五夜の夜会

a1

夜になって、
ジェニーたちはお月見をしている。


a2

晴れてよかったね。
あんなにくっきり見えるの、
またフミコの魔法のせいかなあ。
どうなんでしょう。
お月様綺麗ね。
あれってなあに?
どこどこ?
などと話している。


a3

その頃、魔術劇場では、
夜会が始まっていた。


a4

テーブルには
マンゴー亭から運ばれた
お寿司の品々が並んでいる。


a5

今夜はこのささやかな夜会に
ご出席くださってありがとう。
会の趣旨は、
普段交流のない魔族の仲間と
再会したり新しい仲間を紹介したくて、
集まっていただいたということです。
まあ気軽な寿司パーティなので、
楽しく過ごしましょう。
と主催者のハリーが言った。

知らない人もいると思うので、
一応自己紹介すると、私はハリー原。
この魔術劇場を主宰している。
隣にいるのが妻のカーミラ。


a6

どうぞよろしく。
とカーミラが言った。

その隣がジャンヌ。
ジャンヌは私の妹だ。


a7

その隣はジャンヌの娘のマリア。
私にとっては姪にあたる。

その横でサングラスをかけているのは、
ヴィヴィアン。私の娘だ。


a8

その横にいる二人は、
私の幼馴染の友人マーリンとフラハ。
黒いマントのマーリンはルーマニアに住んでいる。
長髪のフラハは、アフリカに住んでいる。
最近再会したばかりなんだ。


a9

ここからはみんなに紹介したい人たちだ。
金髪のアイスは特別ゲスト。
彼女は普通の人間で魔族ではないが、
強力な呪力をお持ちなので招待させてもらった。
黒髪のフミコは、蘇生の魔術で
古代世界から甦った魔族の女性。
私たちからしてみれば遠いご先祖にあたる。

最後も特別ゲストのダリオ。
別世界から来た人物で、その世界では
魔族として暮らしていたというから、
生まれた世界は違うが遠い親戚のようなものかな。
今はアフリカで暮らしているという。

さて紹介はこのくらいにして、
会食を始めましょう。
とハリーは言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 17, 2024

夜会の準備

a1

サラたちの部屋。
フミコは元の服装に着替えさせてもらっている。


a2

フミコは、今日は夜会があるから、
正装で出席したいの。
と言っている。

私は浴衣に着替えたいなあ。
とたまきが言った。

いいわよ。


a3

たまきは浴衣を着付けてもらった。


a4

二人が部屋に戻ると、
ジェニーたちも浴衣を着ていた。


a5

今日は十五夜だからね。
晴れてたら、お月見しよう。
晴れてなかったらお団子だけ食べよう。

いい風習があるのね。


a6

そこに広場からひそこが飛んできた。
フミコに超音波で話しかけている。

なんて言ってるの。

夜会をそろそろ始めるから、
アイスと一緒に魔術劇場に来て欲しいって。


a7

フミコは広場に行って、
アイスに伝言を伝えている。


a8

私も呼ばれてるの?
私は魔族じゃないのに。

きっと私があなたに魔力を授けたせいね。
あなたの能力は実質的には魔族と同じだから、
同じ仲間ということで招かれたのよ。


a9

二人が魔術劇場の前に行くと、
エヴァが鏡の扉を開けてくれた。

魔術劇場にようこそ。
みなさんお揃いですよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 16, 2024

広場に帰る

a1

ルビーとフレイムは
豹変亭でリンたちと別れて、
フラハの家までやって来た。


a2

二人はフラハに
ジャングルでの出来事を話している。

なるほどなあ。
夜空に光る飛行物体はよく見るんだよ。
誰も気にしないけど。

その時、一瞬、鏡の扉が開いて、
隙間からコウモリが飛び出してきた。


a3

それはヴィヴィアンのお供をしている
派遣コウモリのひそこだった。
ひそこは超音波で何か話している。
フラハは聞き取れるようだ。

なんて言っているんです?

ヴィヴィアンからの言伝だよ。
明日の夜に、魔術劇場で
夜会をすることになったから
出席して欲しいって言っている。

魔族の人たちの飲み会ですか。
それは楽しみですね。
じゃあ。私たちはこれで。


a4

ルビーとフレイムはフラハと別れ、
鏡の扉を抜けて魔術劇場から広場に戻ってきた。


a5

今日は曇天ね。
夏から秋に変わったみたい。
さすがに涼しいとほっとするわ。

その赤い動物は。


a6

ルビーはアイスたちに声をかけられている。

お帰りなさい。
無事に戻ったみたいね。
ジャングルは楽しかった?


a7

フレイムは、
ベーカリーでシェフの代役をしていた
小池恵子と話している。

ちょうどよかったわ。
明日魔術劇場で魔族の飲み会があるらしくて、
マンゴー亭にお寿司と肉まんの大量注文が来てるの。

お寿司パーティか。
私も手伝うわよ。


a8

そのとき、レプティが
フレイムの肩から地上に飛び降りると、
さっそくドラコが走り寄ってきた。


a9

ドラコはダーダーと言っている。
レプティは身構えて、
その声に聞き入っているようだ。


a91

バナナを与えると、
二匹は仲良く食べ始めた。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 15, 2024

集落での会話

a1

ルビーとフレイムは
シーザーの家を後にした。


a2

随分ジャングルを楽しんだし、
そろそろ帰ろうか。
まだ集落は見てないわよ。


a3

二人がマークの集落の中心部にさしかかると、
ビールケースを運んでいるアンドレアに出会った。


a4

アンドレアは緊張している。

あなたのことは、アイスから聞いてるわ。
とルビーが言った。
元ジゾックスの首領のローズと二人で
お店をやってるんだってね。
ここで真面目に更生して暮らしてる限り逮捕はしない。
でもそういうふうに決めたのは私たちのグループだけ。
国際組織やCGの方針は変わらないから、
別の場所で発見され次第、命の保証はないわよ。

わかってるわ。
恩にきてる。
とアンドレアは言った。


a5

ここがあなたたちのお店「豹変亭」ね。
いい感じのお店じゃない?
とルビーが言っている。

儲かりまっか。
ぼちぼちでんなあ。
と話している。


a6

これはお店の奢りよ。
ローズがよろしくって。

嬉しいけど、そういうのは無し。
ちゃんと払わせて。


a7

フレイムが店内を見ると、
店はぼちぼち繁盛しているようだった。


a8

アイスや佳奈が言ってたとおりの
雰囲気の店だね。
などと話していると、
リンがテーブルにやってきた。

あのー。今、アイスや佳奈って聞こえたんですけど、
もしかしてお二人のお知り合いですか。

そうですけど。あなたは?

私はリン。
この集落を拠点に遺跡調査をしている探検家です。
あ、調査をしていた、といえば正確かしら。
今は調査を中止して資料の整理をしているの。

なるほど、アイスと佳奈から
彼女たちが参加した遺跡調査のあらましは聞いています。
よかったら、こっちで一緒に飲みませんか。


a9

テーブルに来たリンとクラウドとハンスは、
さっそく打ち解けて、話が盛り上がっている。

レプテュリアンや宇宙人との遭遇の話よりも、
ルビーとフレイムが、魔術師フラハの家に設置された
魔法の扉を使ってこの集落にやって来たという話が、
みんなの関心の的のようだった。

そんな便利な扉ができたとは。
最近、見慣れない旅行者が増えたってよく聞くけど、
そのせいだったのね。
しかし、そのうち古代遺跡の存在が
知れ渡っちゃうんじゃないかな。

扉はアイスが魔法で作ったもので、
そのことを知っている人も限られています。
古代遺跡のことはご存知のように
魔族やレプテュリアンも関わっているので、
私たちも公にするつもりはなく、
扉を使える人も限定するつもりですが、
遺跡調査に行ったあなた方なら心配ないでしょう。
とルビーが言った。

アーネストやアンドレアやマークも
知ってるの?

知ってますよ。
でもアーネストやアンドレアは、
多分使わないでしょうね。
とフレイムが言った。



解説)
続きます。
Posted at 21:03 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 14, 2024

シーザーの家で

a1

シーザーの家で、話し合っている。

このカプセル何が入ってるのかしら。
リザードさんが、
月の裏側にあるルナシティで回した、
ガチャのアイテムだって言ってましたよ。
トカゲが入ってるらしいけど、
どんなトカゲかは分からないって。

どっかで聞いた話ね。

それで、円盤に乗ったご感想は?


a2

それがよく覚えてないんです。
機内の様子はさっぱり思い出せない。
でもね。外の様子はくっきり見えて、
鳥になったみたいに覚えています。


a3

最初に地上から
どんどん離れていって。


a4

渓流の流れがよく見えたので、
方角がつかめました。


a5

それからどんどん上空に上がって。
僕がイメージする方向に飛んでいくんです。


a6

やがてとうとう目印の沼地が見えました。


a7

それからあの鳥の巣がある山を見つけたんです。
それから先は何が起きたか思い出せない。


a8


その時、
カプセルが震えてるわよ。
とフレイムが言った。


a9

カプセルが弾けるように開くと、
赤っぽい液体と共に、
中から赤いトカゲが転がり出てきた。
液体はすぐに蒸発していく。


a91

トカゲはバナナをぱくついている。

僕、実はトカゲは苦手なんです。
小さい頃に噛まれたことがあって。
よかったらルビーさんたち、
このトカゲ飼っていただけませんか。
とシーザーが言っている。

逃がしてやれば?

せっかくのお礼の頂き物だし、
このトカゲ、愛玩用でしょう。
それにまだ若いみたいだし、
過酷なジャングルでは、
すぐ鳥や獣に食べられてしまうかも。


a92

たくましくなるまで
ベーカリーで飼うかな。


a93

フレイムさんに懐いてるみたいですよ。

名前はなんてつける?
赤っぽいからレッドでいいんじゃない。
いつも思うけどすごく安易じゃない?
じゃあレプティにしよう。

レプティは尻尾を振っている。



解説)
続きます。
赤っぽいトカゲはガチャで。
BANDAI NAMCOの
「いきもの大図鑑レプティ」(全五種)の、
「4.フトアゴヒゲトカゲ(ライトブラウン)」です。
Posted at 21:32 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 13, 2024

休暇旅行へ そのきゅう

a1

飛んでっちゃったね。
きっと寝ぐらに運んでいったんだよ。
とリンリンが言った。

巨大な九官鳥だった。
寝ぐらって、どこに巣があるの?

マークの集落の向こうの、
沼地を越えたところに山があるんだ。
その山に生えている大きな木に巣をかけている。
とシーザーが言った。

流石に詳しいわね。

あの大きな鳥は
元々この辺りの鳥じゃないから、
ゴリラ仲間ならみんな知っているよ。
あの鳥は光るものが好きなんだ。

さっそく助けに行きましょう。

ここからだとかなり遠いよ。

行き違いになっちゃうから、
ここでリザードさんが来るのを
待っていた方がいいんじゃない?


a2

一行がしばらく待っていると、
やがて上空に飛行物体が現れた。


a3

ルビーたちは飛行物体から降りてきたリザードに
これまでの経緯を説明している。

ふむ。それはちょっとまずいことになったなあ。
ピピがいなくなったことが知られると大騒ぎになる。
惑星探索で事故や失踪者が出ることは
よくあるんだが、ピピはあの種族のVIPでね。
このリクガメのいるジャングルに
ピピとダックを招待したのは私なんだが、
仲間には内緒にしていたんだ。

九官鳥がピピを運んでいった場所は
シーザーが知っています。
ここからかなり離れた山の中腹に立つ樹木に
巣があるそうです。

なんと場所がわかっているのか。
さっそく回収に向かうよ。
シーザー君とやら、手伝ってくれるかい。

いいですよ。

じゃあ君たちとはここでお別れだ。
シーザー君はピピを回収できたら、
あとで送り届けるよ。


a4

ダックとリザードが飛行物体に
吸い込まれるように移動すると、
シーザーの姿も吸い込まれていき、
飛行物体は発進した。


a5

飛行物体はあっという間に
遠ざかっていく。

ピピもシーザーも大丈夫かなあ。
きっと大丈夫だよ。
私たちもジャングルを満喫したし、
一旦マークの集落に戻りましょう。


a6

僕はあまり人間たちの住む集落には
行きたくないんだ。
リンやハンスやクラウドとは仲がいいけど、
人間も、ものを盗んだり畑を荒らすと言って
猿の仲間が集落に近づくのを嫌がっている。
無理もないんだけど。
とリンリンが言っている。

シーザーは集落の外れに
家を建てて住んでいるんでしょう。
その場所は知ってるの?

うん。

そこで帰りを待ちましょうよ。


a7

時は省略するかのように矢のように流れて、
滝の流れる崖を降り、渓流を下り、
アーネストの診療所の前を横切って、
一行はシーザーの家の前に帰り着いた。

随分かかったけど、
まだシーザーは帰ってないね。


a8

しばらく3人が家の中で休憩していると、
微妙な低い振動音がした。
外を見ると中空に静止した飛行物体から
シーザーがゆっくりと落下してきた。


a9

シーザー。
心配してたのよ。
それでピピも無事だったの?

はい。
ピピやダックを見つけてくれたり、
案内してくれたお礼だと言って
このカプセルをもらったんですよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 12, 2024

休暇旅行へ そのはち

a1

おお、君たちはこの星の人のようだね。
と家鴨のような顔の男は言った。
私の名はダック。ピピと二人で、
リクガメを追ってジャングルを歩いていたら、
穴から落ちてしまったんだ。

もしかして
リザードさんのお知り合いですか?
とフレイムが言った。

リザードを知っているのか。
そうだよ。彼に案内されてジャングルに来たんだが、
はぐれてしまってね。
リザードはどこに?

あなたを探していましたが、
おやつの時間になったとかで、
さっき円盤に乗って帰られました。
明日また来るって言ってたわ。

なんと。帰ってしまったのか。

おや、こっちでも何か動いてますよ。
とシーザーが言った。


a2

それはピピだった。
小さなピピは、銀色の姿をしていた。


a3

ダックとピピの加わった一行は、
洞窟の出口に向かっている。


a4

洞窟を出ると、
外はもう夕暮れだった。

もう夜になるのね。
このあたりで一晩過ごしましよう。


a5

洞窟の入り口で
焚き火をすることになった。

お腹すいたなあ。
チョコがないかなあ。
とピピは言っている。


a6

バナナ食べませんか。
ああありがとう。
チョコレートもありますか。
持ってきてないですが、
あっちでみんなと食事しましょう。


a7

話を聞くと、
二人は別々の星で生まれた生物で、
それぞれの文明はレプテュリアンと友好関係にあり、
地球には観光に来たのだという。

このジャングルには人が来ないって
リザードが言ってたけど、君たち二人は人間だろう。

確かに滅多に人が来ない地域らしいけど、
私たちも観光できたの。とルビーが言った。

人間型の種族に会うのは久しぶりだなあ。
とダックが言った。

え、そうなの。

ああ、宇宙には、
君たちによく似た種族もいるんだよ。
ルナシティにある酒場で出会ったんだ。
この星の住人なのかどうかは分からないが、
管理局に勤めてると言ってたな。

僕が会ったこの星の人間は
もっと背丈が小さかった。
僕よりは背が高かったけどね。
とピピが言った。

ふーん。
それって子供だったんじゃない?
とフレイムが言った。


a8

翌朝になった。
フレイムが洞窟を出ると、
どこかでハヨー、ハヨーという鳥の声がする。
あれはなんの鳥?
九官鳥ですよ。鳴き真似してるんです。
とリンリンが言った。


a9

ピピを見なかった?

先に出たから、この辺に
いるんじゃない。

その時、
鳥の羽ばたく大きな音が聞こえた。


a91

ルビーが音のする方に
走っていくと、
巨大な九官鳥がピピを捕まえていた。


a92

九官鳥は
ピピを掴んだまま飛び去っていった。



解説)
続きます。
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休暇旅行へ そのなな

a1

ジャングルの中を歩いていると、
ルビーたちは、
また小川が流れている場所に出た。


a2

リザードから散歩のついでに
客人を探して欲しいって言われたけど、
何も特徴を教えてくれなかったわね。

客人ってやっぱりトカゲ人間なのかしら。

見つかっても一晩待たせるなんて、
それほど緊急事態っていう
感じじゃなかったから、
気楽にいきましょう。
もし見つかれば、っていうことで。

ルビーさん、すごいね。
やっぱりアイスさんのお友達ってすごいんだ。
とリンリンが言った。

何がすごいの?

リザードに対抗してたでしょ。

あれは当然よ。
あ、シーザーがどんどん行っちゃうから、
追いつかないと。
私たちもここではぐれたら、
ややこしいことになる。


a3

一行は小川に沿っていく。

左の崖に洞窟がある。


a4

行ってみましょう。


a5

奥に行けるみたいですよ。
とリンリンが言っている。

ちょっと待って。
とフレイムが言った。


a6

フレイムはリュックから
ライト付きヘルメットを取り出した。

用意がいいのね。
と言われている。


a7

一行は洞窟を進んでいった。


a8

待って。
あそこに何か。


a9

ライトに浮かび上がったのは
奇妙な頭をした生物だった。
体つきは人間にそっくりだ。



解説)
続きます。
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Sep 10, 2024

休暇旅行へ そのろく

a1

ジャングルでルビーたちが話していた。

この地域のリクガメって特別なの?
フミコのかけた魔法の影響で、
僕たちみたいな変異が起きることがあるんです。
変わった形状のカメがいるんですよ。
とリンリンが言った。


a2

そのとき、
トカゲ人間が姿を現した。


a3

リンリンが声をかけている。

リザードさん、お久しぶりですね。
おお、リンリンか。
それに人間と一緒のようだな。

こちらはルビーさんとフレイムさん。
アイスさんのお仲間で、
遠くの国から観光にみえたんです。
それにゴリラのシーザーも初めてでしたね。

ふむ。
アイスの仲間か。フミコの蘇生に成功したようだし、
どうやら君たちとは縁があるようだな。
ご存知と思うが、ここは私たちが愛好する
ペットの採集地域でね。
人間には無闇に立ち入ってほしくない場所なんだ。
君たちの生まれた星なんだから
私がいうのもなんなんだが。

お考えはわかりました。とルビーが言った。
でももちろん納得はできませんが。


a4

ふむ。
やっぱりそうだろうな。
と言ってリザードは笑った。

ルビーとやら。
君はなかなか頼もしい人ですな。

そうそう。
私はちょうどここに二人の客人を招いて、
さっきまで3人でカメの観察をしていたのだが、
あいにく、はぐれてしまったのだ。
これからジャングルを散歩するなら
探すのを手伝ってくれないかね。

わかりました。

この近くにいると思うんだが。
おや、もうおやつの時間だ。
そろそろ失礼するよ。


a5

上空に飛行物体が現れた。


a6

一行はリザードの後を
ついていく。


a7

飛行物体は中空に静止していた。
また明日ここに来るから
もし二人に出会ったらここで待つように
伝えてくれたまえ。
よろしく頼んだよ。
とリザードが言っている。


a8

リザードの姿が
吸い込まれるように消えると、
飛行物体は発進した。


a9

リンリンとシーザーは
無邪気に手を振っている。



解説)
続きます。
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Sep 09, 2024

ぬか漬けなど

a1

サラたちの部屋。


a2

大きな容器が手に入ったので、
蕪のぬか漬けを作ることになった。

この位の大きさがないとね。
と言っている。


a3

広場の産地直売店から
岸芳樹が野菜を届けにきている。
白菜、きゅうり、ニンジンなど、
こちらは追加用のものだ。

a4

しっかり浸かってるはずよ。
などと言っている。


a5

蕪を大きな容器に入れたり、
すでに漬け込んであるものは、
取り出したり増量したり。


a6

作業はあっという間に
終了した。

出来はどうかな。


a7

岸芳樹も相伴に預かっている。

ご飯も食べたくなるわね。


a8

私は生で。
とメアリー=ケイトは言っている。


a9

ジェットはおにぎりを
結んでいる。



解説)
今回はガチャで入手した、
TAMA-KYU「ぬかづけフィギア」(全五種)
の、「01 かぶ」を紹介。


a91

漬物用の容器の大きさは現実にも様々なので、
1/6スケールの情景にもぴったりです。
糠床は合成ゴムでできていて変形可能。

一緒に並べてみた他の漬物容器、
胡瓜とニンジンの入っている小さい容器は、
ぷちサンプル「お母さんの台所」シリーズの、
「2.カツ丼&ぬか漬け」のもの。
白菜の入った樽は、
ぷちサンプル「おばあちゃんの家」シリーズの、
「3.おばあちゃんの味」のアイテムです。
Posted at 22:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 08, 2024

休暇旅行へ そのご

a1

ここからがおすすめのジャングルです。
でもおすすめと言っても、
毒蛇や猛獣が少なくて、
やや平坦というだけで、
あるのはジャングルだけですよ。


a2

小川に沿ってしばらくいくと
先頭を歩いていたシーザーが
立ち止まって何か言っている。

赤い花を見つけた、
と言っているようだ。


a3

こんなところに咲くなんて、
一見彼岸花風ね


a4

これは薬草なんですよ。
と言いながら、
シーザーは花を摘んでいる。


a5

小川を外れて
一行は進んでいく。

お猿さんたちはタフだねえ。
と言っている。


a6

ちょっと変わった樹形の木立がある。
さすがアフリカ。
観光気分になってきたわ。


a7

なんかすごいところ。
もうこのあたりにいる筈ですが。
とリンリンが言った。


a8

シダの葉が揺れて、
草むらからリクガメが姿を現した。


a9

リクガメは人を
気にしていないようだ。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 07, 2024

休暇旅行へ そのよん

a1

みんなバナナを食べている。

リンリンは、
どこに住んでるの?

僕の家は、湖の洞窟にある古代遺跡の
近くのジャングルの中にあります。
ここからはかなり遠いし、
ふだん僕は人間の住む集落の近くには、
近寄らないんですが、このあたりは特別。

滅多に人も来ないしね。
この泉は、待ち合わせの場所にしているんだ。
とアーサーが言った。


a2

探検するのにおすすめの場所はある?

そうですねえ。
この近くの滝には行きましたか?

いえ、アーネストさんの診療所の前から
直接渓流を逆に下ってきたから。

渓流をさかのぼれば滝がありますが、
さらにその上流のジャングルがおすすめかなあ。
割に平坦で、リクガメが棲息しているんです。
薬草になる赤い花が群生しているので、
たまに薬草とりに行くんですよ。
ごく稀にリクガメの採集をしている
トカゲ人間と出会うこともある。
リザードともそこで知り合ったんです。

なるほどねえ。
レプテュリアンのことはアイスから聞いてるわ。
とルビーが言った。

じゃあそこに行ってみようよ。
このバナナ食べてから。
とフレイムが言った。


a3

一行は小さな泉を後にした。


a4

渓流の本流に出ると、
上流に向かっていく。

お猿さんは身軽なのねえ。
と言っている。


a5

アーネストの診療所の至近から、
さらに上流へ。


a6

お猿さんは身軽なのねえ。


a7

一行はとうとう滝までたどり着いた。

ここが佳奈たちが来たっていう滝。
さらにあの崖を登るのね。


a8

崖を登り切ると、
川筋は狭まって密林が迫っていた。

お二人ともタフですね。
とシーザーが驚いている。

あなたたちほどじゃないけどね。
と言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 06, 2024

休暇旅行へ そのさん

a1

この近くで、どこか見どころはある?
すぐそこの渓流を遡ったところに滝があります。

そうそう、この前、佳奈たちも行ったはずだよ。
とアーネストが言った。

渓流にはいく筋も湧き水の支流が流れ込んでいて、
きれいな水の湧く小さい泉もあるんですよ。

小さい泉か。
とりあえずそこに行ってみましょう。


a2

一行は診療所を後にした。


a3

上流の滝の方角とは逆なんですが、
すぐこの川筋に合流する小川があります。


a5

一行は小川に沿って歩いて行った。

せせらぎって感じね。
ハヨー、ハヨーという鳥の声が聞こえる。


a6

ここが小さな泉です。


a7

水浴びすると気持ちよさそう。
この場所は、人に教えるのは初めて。
僕たちだけの秘密の場所なんです。


a8

僕たちって、誰?
とルビーが尋ねると、
岩陰からチンパンジーのリンリンが現れた。

それは僕のことですよ。
と言っている。


a9

シーザー。
いくら人間に好かれたいからって、
この場所に人を連れてきちゃダメだろう。

ああ。
この人たちは佳奈さんや
アイスさんのお仲間なんだ。

ほー。アイスさんのお仲間か。
アイスさんのおかげでフミコが蘇り、
グリーンマンもおとなしくなった。
お仲間ならしょうがないなあ。
私はリンリンと言います。
甘いバナナ食べませんか。

なんだか調子のいい
チンパンジーね。
とフレイムが言っている。

ああ、ありがと。
お腹空いてたところなの。
喜んでいただくわ。
とルビーが言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 05, 2024

休暇旅行へ そのに

a1

家に戻ったフラハは、
雑草の駆除を終えて休憩していた。


a2

すると鏡の扉から、
ルビーとフレイムが現れた。

おや、
君たちはベーカリーの。

私はルビー、隣にいるのはフレイム。
休暇で観光に来ました。


a3

私も先刻まで君たちの町にいて、
戻ってきたばかりだ。
鏡の扉は開放されているから、
君たちの他にも観光に来ている人が
いるかもしれないな。
それでどこに行くんだい。

特に当てはないんです。
ジャングルならどこでも。
その前に診療所のアーネストさんを
訪ねたいんですが。
預かり物を届けるんです。

アーネストの診療所なら、
集落の外れにあるよ。


a4

ルビーたちはフラハに道順を教えてもらった。

この日差し、アフリカっぽいね。
と言っている。


a5

二人が言われた通りの道を
歩いていくと、服を着たゴリラに出会った。


a6

あなたはシーザーでしょう。
佳奈から噂は聞いてるわ。
とルビーが言った。

おお佳奈さんのお知り合いですか。
どうぞよろしく。
お察しの通り私はシーザーです。
こちらには観光ですか。
よかったらご案内しますよ。

そうね。特に当てはないんだけど、
現地に詳しい人がいると助かるわ。
これからアーネストさんに会いに行くの。
一緒に行く?


a7

一行はアーネストの診療所に到着した。
アーネストは家の前で葉巻を燻らせていた。


a8

ふむふむ。
佳奈やアイスのお知り合いか。
それで、誰か怪我でもしたのかい。
バナナの食い過ぎで腹を壊したとか。


a9

実は佳奈からこのTシャツを
アーネストさんにお渡しするように
頼まれて持ってきたの。

なんとなんと。

古いTシャツだけど、
きっと喜んでくれるだろうって。


a91

ふむ。これは。
ちょっと着替えてこよう。


a92

なんだか照れるなあ。
よくお似合いよ。

しかし、と言って、
アーネストはちょっと顔を曇らせた。


a93

実はね。
とルビーが言った。
私たちもアイスも佳奈も、
みんなCGのメンバーなのよ。
だからあなたが国際的に
指名手配されていることは知っている。
でも組織に報告しないことに
決めているからご心配なく。
とルビーが言った。

アイスが魔法の扉を作ったから、
この集落にも観光客が来るようになる。
でもその人選は、フィギアの村の精霊たちと、
アイスが認めた人に限られているの。
扉を使って一般の人は流入してこないから、
この集落に潜伏している限り安全は保たれるわ。

なるほど、それは嬉しい話だが、
なぜそんなふうに私を守ってくれるんだい。

あなたが逮捕されると世界中で話題になる。
このマークの集落の存在や、
近くの古代遺跡の存在を公にしたくない、
っていうことが基本なんだけど、
まあ、考え方はいろいろあるのよ。
世界にはあなたのファンや支持者も多い。
そのTシャツが一つの証拠ね。



解説)
続きます。
Posted at 20:55 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 04, 2024

休暇旅行へ

a1

ベーカリーではルビーたちが、
休暇旅行の相談をしていた。


a2

リゾート地でぼんやり過ごすより、
運動不足だから探検がいいわ。
だったら、アフリカの
マークの集落にすれば?
魔法の扉ですぐ行けるのよ。


a3

じゃあそこに決定。
あと私の留守中お店どうするの?
休業するわけにはいかないでしょ。


a4

マンゴー亭の誰かに頼めないかな。

私、今呼んでくるわ。
と側で聞いていた舞が言った。


a5

マンゴー亭から
小池恵子がやってきた。
小池恵子はマンゴー亭の発案者で、
今はシェフの丹下健太と共に、
主に調理場を切り盛りしている。

そろそろかき氷の販売も終わりだし、
手が空くから私が代わりにパン作るわよ。


a6

この帽子かぶってみたかったの。
と言っている。


a7

すぐに出発することになり、
フレイムも旅支度に着替えてきた。

それってCGの戦闘服じゃない?
ジャングルに分け入るんでしょう。
こういうのが一番。


a8

佳奈が、ドルフィンから出てきた。
フレイム先輩。
マークの集落に行くなら、
このTシャツを診療所のアーネストさんに
届けて欲しいんですけど。

いいけど、それなんなの?

ドルフィンの倉庫で見つけたんです。
アーネストさんが気にいると思って。

ふーん。


a9

ルビーとフレイムは、
魔術劇場に向かった。

出入り口の管理をしているエヴァと
話している。


a91

フレイムさんは初めてですね。

ハリーに会いにきたわけじゃないの。
突然だけど、
アイスの作った魔法の扉を使って
二人でアフリカに旅行に行くのよ。
何か問題が?

いえいえ、どうぞお通りください。



解説)
続きます。



Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 03, 2024

ゼリーを食べる

a1

サラたちの部屋。


a2

今日も雨模様だね。
気分転換に、
ゼリーでも作ろうか。


a3

さっそく
準備が始まった。


a4

このフルーツミックスの缶詰も使おう。


a5

手際よく並べていく。


a6

ベースは砂糖とゼラチン。
ジュースや果汁など。


a7

たっぷり回しかけて、
あとは冷蔵庫で冷やすだけ。


a8

食器を並べて
しばしの待ち時間。

雨は降ったり止んだりね。
と言っている。


a9

ゼリーが食べ頃になった。


a91

小さいアルミのゼリー型が
三つしかなくて。


a92

しょうがないわね。
私はこれでいいわ。
と言っている。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 02, 2024

雨あがりの広場で

a1

広場は天候不順なので
割と閑散としてる。

September rain rain
9月の雨は優しくて~🎵
という歌声が流れている。


a2

何してるの?
久しぶりに晴れたから
雨傘を干してるのよ。

傘があると
何も思いつかない時に便利だね。
そうかもね。


a3

ベーカリー前で。
コンテストの参加賞のチョコレートは、
もう品切れ状態のようだ。


a4

ルビーいつも店番大変でしょう。
コンテストも終わったし、
しばらく休暇でも取ったら?
とアイスが言っている。


a5

店番って言っても
ほとんどここに座ってるだけなんだけどね。
そうねえ。調理してるフレイム誘って、
旅行にでも行ってくるか。


a6

マンゴー亭では、
アフリカから来た3人が
相変わらず肉まんを食べていた。


a7

フラハさんはこれから
どうなさるの?
雑草も刈らないといけないし、
一旦我が家に戻りますよ。
アフリカと言っても魔法の扉があるので、
すぐ隣みたいなものですなあ。


a8

ダリオさんは?
私はもう少し観光を楽しんでから
帰るつもりです。


a9

あ、そうそう。父のハリーが近いうちに、
魔術劇場で夜会をやりたいって言ってたの。
魔族の仲間にフミコを紹介したいのよ。
ダリオさんも別世界で魔法使いだったんでしょう。
よかったら出席しない?

それは嬉しいですな。喜んで。

日にちが決まったら連絡するわ。
あ、もちろんフラハさんもね。
マーリンも呼ぶから。


a91

幼なじみのマーリンにも会えるのか。
それは楽しみだなあ。


a92

魔術劇場で夜会ですって。
また肉まんの大量注文が来るわね。
とアンナとレイが話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Sep 01, 2024

コンテストの結果発表

a1

早くも9月になった。
今日は月替わりの
コスプレコンテストの優勝者発表の日。

不安定な天候のなか、
参加賞のチョコをもらおうと、
広場は住民たちで賑わっている。


a2

アイスは参加賞のチョコのケースを
テーブルにセッティングしている。

優勝者を決める選考会は
いつもながら長引いて、
ルビーはまだ思案しているようだ。


a3

今回は新規登録した
有力候補が3人もいるから悩ましいわねー。
と選考委員のマンスフィールドさんが言っている。


a4

マンゴー亭では、
その候補と目されているフラハとフミコとダリオが
肉まんを食べていた。

みんなそれぞれユニークだし。
くじ引きで決めちゃう?


a5

しばらくのち、
決断したルビーはマイクを持って立ち上がった。

みなさん。
8月のコスプレコンテストの優勝者を発表します。
厳正な審査の結果、
優勝者は、防災頭巾を被ったナオミさんに
決定しました。


a6

あなたみたいよ。
えー、信じられない。
と言っている。


a7

ナオミは万雷の拍手と歓声に迎えられて、
トロフィーを受け取っている。


a8

嬉しいけど、謎だわ。
ジェニーもおんなじ格好してるのよ。
と言っている。

舞は空模様を気にしているようだ。


a9

今回はコスプレコンテストの原点に戻って、
みんなに防災意識を高めてもらおうと思ったの。
ジェニーは過去に一度受賞してるからね。


a91

授賞式が済むと、
住民たちは参加賞をもらうために
長蛇の列を作っている。


a92

けっこう意外な結果だったわ。
とアンナが言っている。
誰にするか選考会では決まらなくて、
結局決定は私に任されたんだけど、
ナオミの着てた
オンボロのランニングシャツが、
懐かしくなっちゃって。



解説)
続きます。

a93

ナオミの着ているランニングシャツは、
当時、端切れを裁断して、
布用の接着剤を使って作り、
アクリル絵の具で彩色して、
前面に「BARBIE GIRLS 2005」
というロゴをアイロンプリントしたもの。
オンボロになっていますが、
今思うと懐かしい。
過去の画像でフィギアが着ているシーンを探しても、
見つかりませんでしたが、
同じ仕様の「KIKIHOUSE」というロゴのものを、
2006年8月12日「島旅行の思い出」で
たまきが着ています。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 31, 2024

駆け込みの登録

a1

翌日の雨上がりの広場。


a2

台風は熱帯性低気圧に変わったのかしら。
動きが相当遅いみたいね。


a3

ダリオはモモコに勧められて
コスプレコンテストの参加登録に来たのだった。

8月の結果は明日発表なので、
ギリギリの参加になる。


a4

ダリオさんですね。
観光でお見えなんですか?


a5

そうなんです。
アフリカから来ました。

普通の格好だけど、
私も参加しますから。
とモモコも言っている。


a6

フラハもヴィヴィアンに勧められて、
コンテストの参加登録に来ていた。

登録すると参加賞に
手掴みでチョコレートがもらえるなんて、
大盤振る舞いですなあ。
と言っている。


a7

フミコもたまきに勧められて
参加登録にやって来ていた。

最近、新規の参加者が
ほとんどいなかったけど、
今月は選ぶのが楽しみだなあ。

私もこの格好で参加するからね。
とたまきが言っている。


a8

広場では、初対面の人や
顔馴染み同士で会話が盛り上がっている。

どこかでお会いしましたか?
忘れちゃったなあ。
最近物忘れがひどくて、
昨日の晩御飯なんだったか思い出せないんですよ。
それはいけませんね。
私はコロッケとポテトサラダとワカメの味噌汁です。


a9

ジェニーとナオミも
コンテストの参加登録にやってきた。


a91

みんな駆け込み登録してるのね。
誰が優勝するのかしら。
ほとんどコスプレコンテストっていう
感じじゃなくなってるけど。
などとアンナとレイが話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 30, 2024

2階での会話 そのに

a1

舞が加わって、
おやつタイムの会話は続いていた。


a2

小人たちの話かー。
小人の登場する西欧のお話って沢山あるわね。
白雪姫とか親指姫とか親指トムとか。

小説だったら「ガリバー旅行記」とか
「床下の小人たち」とか。
とニッキーが言った。


a3

この国にも沢山あるのよ。
そもそも神話には神様として登場するし、
コロボックルや一寸法師も有名ね。
でもみんな空想の産物だと思っている。


a4

いろんなものや動物たちに宿る
精霊みたいなものは、
いるかもしれないと思うけど、
人と関わりなく生きている
小人たちの存在は思いつかないっていうことかしら。


a5

そういう風に言えるのかどうか。
でも私がそういう狐の精霊だからわかるの。
人は自分たちの都合のいいものに
小人たちのお話も作り替えてきた。



a6

たしかに昔話の最後には
小人が人間の大きさになって
実は魔法にかけられていただけでしたとか、
打ち出の小槌で体が大きくなって、
めでたしめでたしというお話が多いわね。

それは当然と言えば当然のことなんだけどね。
子供がいない夫婦が神さまや魔法使いに願って
小人を授かるという話みたいに、
昔話はどこまでも人間の世界の事情の話だから。
それとは別に小人たちはいるんだけど、
モモコさんのお友達のジェーンや、
かってのダリオさんみたいに
巨人たちの世界でひっそりと暮らしている。
同じことがこの世界にも言えるんだけど、
見つけても、そっとしておいてあげるのが一番ね。
と魔子が言った。


a7

ベランダに通じるドアから、
ペギーが駆け込んできた。
洗濯物干してたら雨が降り始めちゃって。


a8

これは大変。
急いで取り入れなくちゃ。


a9

雨台風が接近してるんだって。
こういうところはリアルタイムなんだね。
などと話している。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 29, 2024

2階での会話

a1

ドルフィンの二階で
おやつタイムの会話は続いていた。


a2

お年の差が200年とは随分ですな。

変身して人の姿をしているけれど、
私たちは実は狐の姉妹なの。
お姉さんはとても長生きなのよ。
と今子が言った。

これはこれは。
お二人は狐の精霊でしたか。
私はこれでも元いた世界では、
魔法使いだったんですが、
とても見抜けなかったなあ。
とダリオが言った。

狐であることは、
一応内緒にしているんですが、
この子がおしゃべりなので、
この界隈では公然の秘密になっています。
私たちは何百年も近所のお稲荷さんの
裏手に住んでいましたが、
環境がすっかり様変わりしてしまい、
とある成り行きで、一昨年の2月から、
この部屋に同居させていただいています。
と魔子が言った。


a4

あれからもうそんなになるのね。


a5

お話をお聞きしていると、ダリオさんは、
全てが6倍の巨人たちの世界からいらっしゃったとか。
その世界ではいわば小人族だったということですね。
私の記憶や経験では、
この世界にも小人族って呼べるような
人たちもいるんですよ。

ほーそれは、興味深いですな。

それって人形やフィギアの精霊のことでしょう。
と今子が言った。

紛らわしいけど、そういう人たちとは
別種族なの。


a6

その時、広場の水撒きを終えた
今井舞が部屋に戻ってきた。

水羊羹、水羊羹と言っている。


a7

舞の分、
ちゃんと取り分けておいたわよ。
と魔子が言っている。


a8

部屋の隅のテーブル付近で。


a9

ぬいぐるみや人形に紛れて、
小人たちが話を聞いていた。


あれ私たちのこと言ってるの?
バレてたのかなあ。



解説)
続きます。

駒井魔子が登場したのは、
2022年2月15日で、
稲荷神社のボランティア巫女をしていた魔子は、
文学青年と知り合い、紆余曲折を経て、
2月25日からドルフィンの2階で
暮らすことになります。
小狐だった今子が人間に変身して
一緒に暮らし始めるのは4月5日以降のこと。
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Aug 28, 2024

ゴミ箱と水羊羹

a1

今日も暑くて
広場は割りに閑散としていた。


a2

リタがドルフィンの倉庫から
出してきたゴミ箱を抱えている。

すごい力持ち。
とすずが言っている。


a3

それどうするんですか。
高台の休憩所に、
これから設置しに行くのよ。


a4

ベーカリーのテーブル席では
アイスとルビーが話していた。

高台の休憩所にゴミ箱を置くっていう話。
ついさっき思いつきで決まったのよ。
暑いけど何かしようって。
何かしないとね。


a5

ドルフィンの二階に同居している
魔子と舞が話している。

もうおやつの時間じゃない?
私これから水撒きするから後で行くわ。
水羊羹一つとっておいてね。


a6

魔子がドルフィンの二階に戻ると、
おやつタイムは始まっていた。
モモコと広場で見かけた男性が来ているようだ。


a7

テーブルには
おやつの水羊羹が並んでいる。

これは涼しげですなあ。
日本の夏はこれでしょう。
などと話しているのが聞こえる。


a8

今子は魔子をダリオに紹介している。

こちら私の姉の魔子です。
すごく年が離れてるんですけど。

ほーこれはどうも。
私はダリオといいます。
今子さんとあまり変わらないようにお見受けしますが。
失礼ですがどのくらい年の差が。

200年くらいかしら。


a9

その頃高台の休憩所では、
リタがゴミ箱の設置を終えていた。


a91

江本友恵は
さっそくコーラを飲み干している。


a94

これがやりたかったの。
と言っている。


解説)
続きます。
思いつきで進んでいますが、
今回は話の流れとしては
8月25日からの続きです。

ゴミ箱は、
ぷちサンプルの
「本日開店コンビニ専用ディスプレイ」の
「9.ごみ箱(ビン・カン)」を使用。
水羊羹のアイテムは、
ぷちサンプルの「和*sweets」の
「4.ひんやり*羊羹」を使っています。
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Aug 27, 2024

防災の備え そのに

a1

防災グッズはバッグに収納されている。


a2

毛布もあると便利だね。


a3

それはなに?
防災頭巾よ。
サラに作ってもらったの。


a4

シングルバーナーも
あると便利だよ。


a5

二人は防災頭巾を
試着している。


a6

なにしてるの?
バーナーの性能を試しているんだ。


a7

試すのは大事ね。


a8

ラーメンまた買っておかないと。



解説)
続きます。
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Aug 26, 2024

防災の備え

a1

ジェニーたちの部屋。
今日も暑いね。


a2

でも台風が北上中だって。


a3

地震の注意報が出たりして
最近騒がしいわね。
毎日暑いだけだけど。


a4

備えは大切だよ。
うちでも防災グッズを整えようよ。


a5

ということで
ジェニーたちは、ネットのサイトを参考に
防災グッズを集めてみた。


a6

なんと言っても食料品。
インスタント食品や保存食や缶詰。
ライターや鋏などの日用品も。


a7

飲料水や、医薬品、
懐中電灯も役に立ちそうだ。


a8

ラジオと
作業用の手袋も。


a9

これもバッグに入れとく?
なにそれ。


a91

役に立つのかなあ。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 25, 2024

サラたちの部屋とベランダ

a1

サラたちの部屋では、
レモンジュースを飲んでいた。


a2

それってかなりの器用さだね。
ここまでは軽く剥けるのよ。


a3

ケイはハンドジューサーを使っている。


a4

暑いと手軽なことをやりがちなのね。
と言っている。


a5

ベランダでの会話は続いていた。


a6

トマソンさんは、
茶運び人形を作ってから
最近、作品発表してないでしょう。

そうですね。最近は6倍世界の夢を見ることも無くなって、
あの世界のこともだんだん忘れかけているんです。


a7

茶運び人形を模した作品を作って、
自分でやりたいことを見つけた気がして、
次はまた大きな人形を作ろうと考えているんですが、
なかなかイメージが固まらなくて。


a8

それは楽しみですな。
もし作品のヒントを探したくなったら、
いつでもご案内しますよ。
とダリオが言った。


a9

ちょっとお話中すみません。
洗濯物干していいですか。
と言いながら、
ペギーがドアから顔を出した。

あ、どうぞどうぞ。

外は暑いし、よかったら部屋の中に。
ちょうどおやつの準備をしていますよ。

僕は魔術劇場に戻ります。
なんか創作意欲が湧いてきた。
とトマソンが言った。

私もベーカリーに戻るわ。
このところ随分お店を空けたから、
ルビーと交代しないと。
とアイスが言った。


a91

モモコとダリオは、
ペギーの言葉に甘えて、
ドアからベーカリーの二階に移動し、
アイスはベーカリーに帰っていった。

ペギーはさっそく
洗濯物を干している。



解説)
続きます。
暑いので今回も手軽に。

レモンや、レモンピールの入った瓶は、
ぷちサンプルの
「ヨーロッパのおばあちゃん自慢の料理」の
「6.レモンピールたっぷりハニーレモン」
のアイテムを使っています。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 24, 2024

ベランダとデジャで

a1

ベランダに行ったモモコは、
ダリオに紹介された。


a2

ダリオさんは、巨人たちの住む、
全てが6倍の世界から来たそうよ。

ということは。

モモコのお友達のジェーンのお仲間らしい。

ふーん。
ジェーンから、過去のいきさつは
聞いたことがなかったけど。


a3

私たちの種族はみんな少人数で散らばって生きている。
大きなグループだと巨人に発見されやすいからね。
そのジェーンという人も、そんな一つの家族の
生き残りじゃないかなあ。


a4

両親がいなければ生まれてこないものね。
でもね。ジャンさんのジオラマの村には
ジェーンそっくりのフィギアの精霊もいるのよ。
ジェーンも向こうの世界で生まれた
フィギアの精霊かもしれないでしょ。

ふむ。
確かに向こうの世界にも精霊はいるけど、
借り物暮らしはしてないと思うよ。


a5

広場では、たまきとフミコが話していた。

暑くなってきたわね。魔術劇場に戻る?
デジャに行ってみようよ。
あそこも冷房効いてるから。


a6

たまきはデジャの入り口で、
ヨシフに、ここは会員制なんです。
と言われている。

ヴィヴィアンに会いにきたの。
とたまきは言った。

あ、そうでしたか。
どうぞお通りください。


a7

二人は店内に入った。

おや、珍しいわね。
フミコを案内してるんだって?

そうなの。
フミコ、この店は初めてだから。


a8

こちらはフラハ。
フミコの故郷のジャングルの集落から
遊びに来てるのよ。
よろしく。

そのソフトクリームは?
ああ、ベーカリーで無料配布してたの。
もう品切れみたい。
う。


a9

フミコ、
この町は気に入った?


a91

ええ、とても。
郊外は緑豊かなのね。



解説)
暑さのせいで
進行も遅くなっています。
Posted at 20:31 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 23, 2024

かき氷と広場

a1

ジェニーたちの部屋では、
かき氷を作っていた。


a2

マンゴー亭でもかき氷を
始めたみたいだけど、
やっぱり家でゆっくり食べたいわね。


a3

これってほのかに
大人の味が。


a4

苺のリキュールを使ってるのよ。


a5

その頃、広場では。


a6

前回好評だったので、
今日もベーカリーでソフトクリームの
無料サービスが提供されていた。


a7

郊外の散歩から、
たまきとフミコが帰ってきた。


a8

今日も暑くなりそうね。
郊外から歩いてきたの?
ええ、朝のうちに堤防を散歩してたのよ。
向日葵はもう終わってた。
それ美味しそうね。

これ、ベーカリーの無料サービスなの。
まだ間に合うよ。


a9

モモコも無料サービスの噂を聞いて、
ソフトクリームをもらいにきていた。


a91

あ、モモコ。
ちょうど呼びに行こうって思ってたんだ。
アイスが紹介したい人がいるから
ベランダに来て欲しいって。
と佳奈が言った。


a92

紹介したい人って誰だろう。
と思いながら、
モモコはベランダを見上げている。



解説)
続きます。

ジェニーたちの部屋の、
かき氷は森永乳業の「みぞれ(いちご)」
を使いました。
苺ラベルの瓶は、リーメントのぷちサンプル、
「Bar Tiny~おいしいカクテルを作ろう」の
「アプリコットとストロベリーリキュール」から。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 22, 2024

堤防の散歩

a1

たまきとフミコは、
アルのビストロで夕食を食べ、
その夜はジャンの家に泊まって、
翌朝になった。

暑くならないうちに、
堤防のあたりを散歩しましょう。



a2

ここは桜並木が綺麗で、
春にはお花見に来るのよ。


a3

河川敷は公園になっているの。


a4

ここは人工の小さな池。


a5

向日葵は種の重みで、
みんな頭を垂れている。


a6

この小川は迷いの森から流れてくるの。

あそこに誰か。
ああ、あれはグリーンマンと言って、
私を見守ってくれてるの。
気にしなくていいのよ。


a7

草原に出ると、
オートバイが走っていた。

あ、あれは、トムだ。


a8

トムはたまきたちに気がついて、
大きく旋回して近寄ってきた。

トム久しぶりね。
そうだね。広場には滅多に出かけないから。

こちらはフミコ。
町に来たばかりで郊外を案内してるの。
そうなんだ。
ここは住みやすいところですよ。
僕も去年この町に遊びに来て、
住み着いちゃったんです。


a9

変わった乗り物に乗ってるのね。
それ空も飛べるの?
とフミコが尋ねた。

え。

あ、フミコはオートバイ見るの
初めてなのよ。


a91

二人はトムと別れて、
堤防の道に戻ってきた。

彼、結構ハンサムだったでしょう。
有名な映画俳優の若い頃に似てるって噂なの。
去年のコスプレコンテストでは、
そっくりさん特別賞を受賞したのよ。

映画俳優って?
あ、それも通じないか。



解説)
続きます。

今回は近所の堤防まで出かけて、
撮影した実写画像との合成です。
トムは2023年の5月25日に初登場。
6月1日にコンテストで受賞したり、
6月17日にエリスやボニーと
一緒にツーリングしている姿が見られますが、
それ以来、ほぼ1年ぶり。
思いつきの登場になりました。
Posted at 20:50 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 21, 2024

広場の打ち水

a1

広場ではドルフィン工房のマスターが
工作をしていた。


a2

倉庫にあった古い竹の節の部分が
切り出されている。


a3

それ水撒くのに必要なんですか。
雰囲気が大事だからね。


a4

取手をつけると、
柄杓の完成だ。


a5

今井舞がさっそく
広場に打ち水をしている。


a6

ひととき、広場に
涼風が吹き抜ける。


a7

鈴木すずと池谷圭が
はしゃいでいる。

わー涼しいね。
私もやっていい?


a8

ベランダでは、
ダリオとアイスとトマソンが
話していた。


a9

その部屋には、
ジェーンっていう人が
住んでいたんですよ。
ターザンみたいに俊敏で。
借り暮らしをしてるって言ってました。


a91

それは間違いなく私の同胞だね。
その世界で、私たちの種族は
随分昔にみんな散り散りになってしまった。
みんな独立心が強いこともあって、
大抵家族単位で、巨人たちの住む家の
床下などで、ひっそり暮らしているんだ。

見つかると捕らえられたり
殺されちゃったりするんでしょう。
巨人の来ない場所に住めばいいのに。

そういう連中も稀にはいるけど、
そうなると毎日が過酷な自然との戦いになる。
想像してごらん。
襲ってくる鳥も獣も昆虫も、みんな巨大なんだよ。
巨人の住む家に間借りする方がまだ安全なんだ。
食べ物を借りられるのもそうだけど、
中には人形やフィギアが好きな巨人もいてね。
サイズがぴったりの衣料品も借りられる。
私の着ているこの軍服も、
1/6サイズのフィギアからの借り物なんだよ。

借りもの暮らしも奥が深いのね。
とアイスが言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 20, 2024

郊外巡り

a1

たまきとフミコは
マンゴー亭を出て、
広場の外れまで来た。

行きたい場所を思い浮かべて。
じゃあ、郊外の森林公園に。

たまきが森林公園のイメージを
思い浮かべると、
フミコは呪文を唱えて、
鏡の扉を出現させた。


a2

二人が扉を抜けると、
そこは森林公園前の道端だった。

これって超便利。
あ、ソローさんだ。


a3

毎日暑いですねー。
お散歩ですか。
気をつけないと熱中症になりますよ。
と公園管理人のソローに言われている。


a4

公園の日陰のベンチでは
やはり管理人のエドワードがうたたねしていた。


a5

変わったオブジェね。
路上アーティストのトマソンさんの作品で、
ネジを巻くと動いてお茶を運ぶのよ。
ここから歩いて近いから、
次はジャンの家に行きましょう。


a6

二人はジャンの住むバービーハウスに到着した。
あ、たまき、こんにちわ。
ジャンならその辺にいるわよ。
と、トマトを収穫していたナタリーが言っている。


a7

ジャンは庭のジオラマで
フィギアの撮影をしていたようだ。

こちら、フミコさん。
町に来たばかりで、今日は郊外を案内してるの。

ほう。噂の人だね。どうぞよろしく。
この前、アイスがマークという人を連れてきて、
二人で一晩泊まって行ったんだが、
その時に、お話をいろいろ伺ってます。

アイスたち、
ジオラマの村にも行ったんでしょう。
フミコは初めてだし、私たちも行こうよ。
とたまきが言った。


a8

3人がジャンの倉庫の扉を抜けると、
ジオラマの村のリリスの酒場の二階に出た。
さっそく一階に降りて、
酒場を見て回っている。


a9

こちらは、ジョー軍曹とギルダよ。
こちらはフミコ。
これはどうも。実は僕アフリカのジャングルに
佳奈とエルザの3人で、
行ってきたばかりなんですよ。

いいなあ。
とたまきが言った。


a91

二人はざっと村を見て回ることにした。
やあ、たまき。
ビール飲む?
と兵士たちが陽気に声をかけてくる。


a92

たっぷりジオラマの村を見物して、
ジャンの家に戻った一行は、
夕暮れ時になったので、夕食を食べに、
近くのアルのビストロに行くことにした。


a93

たまきはビストロでアルバイトをしている、
キサラとシオンにフミコを紹介している。

夏なので特別メニューの
冷やソーメンもあるわよ。
と言われている。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 19, 2024

マンゴー亭での会話

a1

たまきとフミコは
アイスたちと同席して、
朝食を食べることにした。


a2

今、佳奈から、鳥探しの探検の話を
聞いていたところなんだ。


a3

その鳥の正体は巨大な九官鳥だったの。
ダリオさんの話によると、
マークみたいに砂漠の嵐の中から出現したんだけど、
元はダリオさんが住んでいた世界に
いたんだって。


a4

そうなんですよ。
私が住んでいた世界では、
私たちの6倍の背丈がある
巨人たちが支配していて、
全て自分たちの都合に合わせて、
勝手に自然を改変するものだから、
他の生き物には被害甚大なんです。


a5

私たちの6倍のサイズって言えば、
あの世界とそっくりね。
私、モモコと二人で迷いの森に探検に行った時、
みたことがあるの。その時は、
透明な壁があって入り込めなかったけど。
モモコは何度か行ってる筈よ。

モモコはね。もう随分前(14年前、2010年9月2日)から、
6倍サイズの世界の夢を見て、
そこに暮らすジェーンっていう女性と
友達になったって言ってたの。
最初は面白い夢が見られていいなって、
思っていたけど、
モモコはその世界の実在を確かめたくて、
アイスと二人で迷いの森に探検に行ったのね(2021年5月6日)。
でもその続きがある。
魔術師のハリーさんがこの町にやってきてから、
ハリーさんに作ってもらった鏡の扉で、
モモコはその世界に遊びに行けるようになったのよ(2022年5月14日)。
それから、
路上アーティストのトマソンさんも、
夢の中で全てが6倍のサイズの世界に行って、
作品のヒントにしてたんだけど、
トマソンさんが眠り込んで戻って来れなくなった時、
モモコが助けに行ったの(2024年4月17日)。
とたまきが言った。

詳しいのね。
とフミコが言った。

ふむ。この世界の魔族にも、
私のいた世界との通路が作れる者がいたのですな。
そんな交流があったとは知らなかった。
モモコさんという人にも会ってみたいが、
トマソン氏の作った作品というのは、
見ることができますか。
とダリオが言った。

捨てちゃってなければ、
ドルフィンの倉庫に保管してある筈だけど。
見に行きますか?


a6

アイスと佳奈とダリオは
ドルフィンのある広場に
出かけて行った。
残ったたまきとフミコが朝食を続けている。


a7

肉まんを食べた後は、
さっぱりしたデザートにかき氷は最高ね。
さて、これからどうしようか。
あと案内してないのは郊外だけだけど、
散歩するのは暑すぎるし。


a8

移動するにはいろんな方法があるのよ。
広場であまり魔法は使いたくないから、
店を出てちょっと歩いてから、
扉を使いましょう。


a9

アイスはドルフィンでリタに声をかけて、
トマソンの作った作品を
倉庫から運んできてもらった。


a91

これ缶類のゴミ回収に出し忘れて
残ってたの。
と行っている。


a92

ふむ。よくできてるなあ。
あちらの世界ではありふれた缶ですが、
ここで見ると巨大でインパクトがある。
視覚の効果ですかな。


a93

僕の作品を褒めてくれる
人がいるとは嬉しいなあ。
と言いながらトマソンが現れた。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 18, 2024

夏の便りなど そのに

a1

サラたちの部屋。
今日も暑さがぶり返している。

Smmertime, time, time,
Child, the living’s easy🎵


a2

室内には、
ジャニス・ジョプリンの歌う、
「サマータイム」が流れていた。


a3

何みてるの?
ジェニーからの写真葉書。


a4

早速のお返事よ。
この写真、
葉書をもらった喜びが伝わってくるね。
そうな風に見える?


a5

たまきとフミコは
マンゴー亭に朝食を食べに、
広場にやってきた。


a6

あら、先客がいるみたい。


a7

アイスと佳奈とダリオが、
テーブル席で話している。

それがそんなに。
いやそんなふうには。
などという会話が聞こえる。

a8

おはよ。
もうお昼だよ。
やあ。
あ、こちらはダリオさん。
こちらはたまきと。


a9

フミコと言います。
どうぞよろしく。


a91

こちらこそ。
驚いたな。
すごい人に出会えたようだ。
とダリオは言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:36 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 17, 2024

夏の便りなど

a1

ジェニーたちの部屋。
昨日の台風はそれて、
ほぼ影響はなかったようだ。


a2

何見てるの?
サラからの写真葉書。


a3

すぐ近くに住んでるのにね。
暑くて暇だと、
こういうの出したくなるのよ。


a4

昨夜深夜に帰ってきた
たまきとフミコが起きてきた。

昨晩は探偵事務所で、
酒盛りになっちゃって。
と言っている。


a5

サラたちの部屋や、
喫茶店ペンギンや探偵事務所、
この界隈は紹介したから、
今日はどうしようか。

もうお昼近いけど、朝ごはん食べに、
広場のお店に行きましょうか。

そうだね、
とりあえずマンゴー亭で肉まんでも。



a6

マークの集落では。

豹変亭で飲んでいた一行は、
マークの家まで佳奈のリュックを取りに戻って、
そのままマークの家に泊まり、翌日、
ずっと留守にしていたから、
庭の草むしりをするというマークと別れて出発した。


a7

佳奈たちは、
鏡の扉のあるフラハの家にやってきた。

フラハさんいないね。
町に出かけたままみたい。


a8

鏡の扉を抜けて、
魔術劇場へ。

花を生けていたデュアンに
挨拶している。


a9

佳奈たちは広場に戻ってきた。

あ、アイスだ。

鳥探しの冒険どうだった?
と聞かれている。


a91

こちらは、ダリオさん。
ジャングルの奥地で一人で暮らしてるの。
雷雨に遭って一晩泊めてもらったのよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 16, 2024

向日葵など

a1

高台の休憩所では、
ルルが向日葵に水をやっていた。


a2

これから風が強くなりそうよ。
台風が近づいているんだって。
と粉川和歌子が言っている。


a3

この向日葵どうしたの?
倉庫の隅に咲いてたの。
随分貫禄だね。
毎年咲いてるみたいだからね。
そうなのか。


a4

その頃、滝を見物したマークたちは
集落の中心部に戻っていた。

ここは豹変亭。
一緒に遺跡探検に行った
アンドレアたちがやっている、
集落で唯一の食堂兼飲み屋なんだ。

アンドレアにも会いたいし、
フラハの家の扉から町に帰る前に、
休憩して行こうよ。


a5

今日はビール三昧ね。
暑いから必然だねー。


a6

あれ、あそこにいるのは、
ダリオさん?


a7

佳奈が声をかけると、
やあやあ。
と言いながら、ダリオが
テーブルにやってきた。

あれから、
君たちが僕と同じように
魔法の扉で、遠い世界から
移動してきたという話が気になってね。
この集落に来てマークの家を
訪ねたんだが、アマンダという娘さんが
みんな滝の見物に行って留守だというので、
教えてもらったこの食堂で
油を売っていたというわけだよ。


a8

そうだったんですか。
それはちょうどよかった。
私たちそろそろ町に戻ろうと、
思っていたところだったんです。
とりあえず、
こっちのテーブルで
一緒に軽く飲みましょう。
あとで町にご案内しますよ。

それはありがたいな。


a9

ローズとアンドレアが
話している。

ねえ、あのグループ、
佳奈とマークの友達らしいけど、
魔法の扉を使って移動したとか
移動するとか言ってたわ。
誰か魔族なのかしら。

どうなんでしょうね。
さっき佳奈に紹介されたけど、
二人はフィギアの精霊らしい。
精霊でも魔族でも、
お客さんが増えればいいんじゃない?

あなた変わったわね。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 15, 2024

海辺へ そのに

a1

両側から波が打ち寄せている。
砂州のような地形の道が続いている。

歩いて向こうの島にいけるんですか。
もちろんよ。


a2

ここ面白すぎる。


a3

モモコたちは
寄せる波と戯れている。

みんな子供の頃に帰った気分ね。
大人になっても、
心ってそんなに変わらないのよ。


a4

これって、
事務所の窓から見えた風景じゃない?
あの入道雲の形覚えてる。
とモモコが言っている。


a5

なんの建物だろう。
あれはきっと休憩所よ。
ちょっと歩いて疲れたでしょう。


a6

誰もいないみたいだけど。
見晴らし良さそう。


a7

これがたまきの心の中の世界だって、
信じられないなあ。
本当は心の外に世界なんてないのよ。
また世界観が壊れるようなことを。


a8

たまきとモモコは
海辺で遊び続けていたが、
やがて夕暮れが。


a9

たまきは夕陽を眺めていた。


a91

暗くなるから
そろそろ戻りましょう。
今、扉を作りますから。
と言ってフミコは手をかざした。


a92

扉を抜けて一行が探偵事務所に戻ると、
日が暮れて夜になっていた。

あー楽しかった。
とたまきが言っている。


a93

私も楽しかったけど、
あんな異世界体験は初めてで驚きだった。
これは飲まずにはいられないわ。
とエリスが言っている。

日本酒だね。
もちろん。

リアルな夢を見ただけだと思えば、
世界観壊れないわよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:21 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 14, 2024

海辺へ

a1

飲み会と化した
探偵事務所での懇談は続いていた。


a2

今日もいい天気。
今年の夏はひときわ暑いわね。
海にでも行きたいなあ。


a3

フミコ、
海って見たことあるの?
あるわよ。鏡の扉でどこにでも行けたから。
でもそれは遥か昔のこと。
ちょっと海辺の風景を思い浮かべてみて。


a4

たまきが海辺の風景を
思い浮かべると、窓の外に
海が見えた。

あらら。


a5

そうそう、
あんな感じだった。

これって魔法なんですか。
そうね。幻影。

白雲が湧き、気持ちよさそうに
椰子の葉がそよいでる。


a6

行ってみますか。
と言ってフミコが席を立ち、
部屋の隅に行って呪文を唱えると、
鏡の扉が現れた。

わーすごい。
行けちゃうの?


a7

たまきとモモコが鏡の扉を抜けると、
そこは海辺の波打ち際だった。


a8

探偵と鷲尾翠とエリスも
後に続いた。

ここはどこだろう。
この海は太平洋?


a9

ここはたまきの心から生まれた、
海辺のイメージの世界。
鏡の扉で別の場所に移動したわけじゃないのよ。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 13, 2024

探偵事務所での会話

a1

探偵事務所では
飲み物がコーヒーから
ビールに変わっていた。


a2

テーブルには
各種ソーセージと、
チーズが並んでいる。


a3

フミコさんは魔族の方だとか。
私は仕事柄現実路線で、
魔法とかそういうのは
苦手だったんだけど、
この町に来てからは驚くことばかり。

確かに精霊とか、
別世界から来てる人とか、
色々いるみたいだからね。
見かけではわからないけど。
と探偵が言った。


a4

魔族にも住みやすい所みたいですね。
大昔に私たちが魔族だけで都を作ったのは、
普通の人たちからの迫害があったからなんですよ。

でも魔族や精霊や人間の区別って、
生命の営みっていうことから言えば、
それほど厳密なものじゃない。
例えば、そこにおいでのモモコさんっていう方、
すごく呪力をお持ちなのを感じます。


a5

え。私のことですか?
呪力って。
私、魔族じゃないし。

魔族じゃなくても
呪力を持つ人はいるのよ。
そんなにパワーをお持ちなら、
これまでに色々不思議な体験をされてるはず。


a6

あら、この大きなヤモリ。懐かしいわ。
爬虫類好きのレプティリアンたちがよく飼っていた。
ソーセージが食べたいって言ってるわ。


a7

ダルメの言葉がわかるんですか。
いいなあ。モモコやミューみたい。
と鷲尾翠が言った。

それクレステッドゲッコーというヤモリの、
ダルメシアンという品種にそっくりだそうです。
知能も高くて、サイズもずっと大きいですが。
ダルメって呼んでいます。
そのレプテュリアン、
トカゲ人間からもらったんですよ。


a8

そうそう。
去年の初めだったか、トカゲの顔をした人物に、
広場で失くした「カメ新聞」を探して欲しいという
依頼を受けたことがあってね。
見つけたお礼にと言って、カプセルをもらったんだ。
なんでも月世界でガチャをやって、
その景品だとか言ってたな。
そのカプセルから出てきたのが、そのヤモリなんですよ。

そうだったのね。
そのトカゲ顔の人物の容姿、
思い出せますか。


a9

探偵は昨年の2月9日に、
トカゲ顔の人物が事務所に来た時の情景を
思い浮かべてみた。


a91

やっぱり。
リザードだったのね。

お知り合いだったんですか。
あのトカゲ人間、時々ここに来るんですよ。
私が最初に知り合ったのは、
一昨年のハロウィーンの時でした。
私がサラに作ってもらったトカゲ頭の
被り物を被って広場にいたら、
お仲間と勘違いしたみたいで、
「人類のコスプレ文化を見るのは楽しいですな。」
って声をかけられたの。
と鷲尾翠が言った。

なるほどね。
早とちりしたのもリザードらしいわ。
そのトカゲ人間は私の恩人。
彼が伝承の呪文をアイスに教えてくれたおかげで
私は蘇生できたんです。



解説)
続きます。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 12, 2024

滝を見に行く

a1

4人はアーネストの診療所を目指している。
集落の家々はかなり広範囲に点在しているので、
診療所に行くにも、ジャングルに
分け入らなくてはならないのだった。


a2

アーネストの自宅兼診療所に到着した。
玄関先で葉巻を燻らせていたアーネストに、
佳奈とマークが声をかけている。


a3

あれから、お変わりなく?
うん。あの古代遺跡の探検以来、
グリーンマンに噛まれたという来院者が
いなくなってね。暇で、いたって平穏な毎日だよ。
お連れの方たちは、
新しい探検隊かな?

私の友人のジョーとエルザです。
沼地の方の探検を終えて、
ここには観光気分で滝を見に来たの。
と佳奈が言った。

なるほど。
滝はそこの渓流を遡ればすぐ先にあるよ。
すぐ近くだけど川沿いのルートは
結構険しいから気をつけて。
もし滑って怪我でもしたら
帰りにここに来るといい。
ははは。


a4

4人はアーネストと別れて
川沿いに歩いて行った。
確かに滑りやすそうな石が
ゴロゴロとしている。


a5

涼しそうな、いい景色。
もうこのあたりでいいんじゃない。

まだまだ。
と佳奈が言って、
岩を登ろうとしている。


a6

滝ってここのことね。


a7

みんな思い思いに
くつろいでいる。

佳奈、いつの間に。
用意がいいなあ。


a8

気持ちいい。


a9

やっぱりこれが一番ね。
そのベルトのホルダーもビールなの?
もちろんよ。

私にもー。
と佳奈が言っている。



解説)
続きます。

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Aug 11, 2024

探検を終えて

a1

沼地とジャングルを越えて、
無事にマークの家に帰り着いた4人は、
一息ついて居間で話し合っている。


さてと、探検は無事終了したわね。
目的地についてすぐ鳥を撮影できたから、
現地で泊まり込んだりせず、
予想してたより短い日程で済んだ。
これからどうしようか。

せっかくアフリカに来たんだし、
この近辺を見物したいなあ。
どこかおすすめの場所ありませんか。
とジョーが言った。

僕らが探検した古代遺跡はあるけど、
気軽に観光で行くには遠くて危険だね。
これまで住民たちも近寄らなかった場所なんだ。
基本この集落は深いジャングルの中にあって、
滅多に訪れる人もない僻地なんだよ。

あそこなら気軽に観光気分が味わえるかも。
と横で聞いていたアマンダが言った。

心当たりがあるのかい。

アーネストの診療所の前に
渓流が流れているでしょう。
そこを上流に辿っていけば滝があるのよ。

アーネストさんの診療所なら、
シーザーの怪我を治療してもらいに、
リンと行ったことがあるから場所わかるよ。
と佳奈が言った。


a2

また留守番頼んじゃって悪いね。
とマークがアマンダに言っている。

いえいえ。
みなさん。近場なので、
リュック背負っていくほどの
場所じゃないですけど。
あれって主に食料が入ってるの。
などと話していいる。


a3

ペンギンの前で。

たまきたちがコーヒーを飲んでいると、
ペンギンの二階の探偵事務所から、
ペンギンにコーヒーの配達を頼みに、
エリスが降りてきた。


a4

いつものコーヒーお願いね。
あら、たまきじゃない?
久しぶりね。
と言っている。


a5

ハロー、エリス。
あ、あなたにも、
この人を紹介しようと思ってたところ。
町に来たばかりで、
フミコっていうのよ。

そーなの。
初めまして、私はエリス。
この喫茶店の二階の探偵事務所で、
心理カウンセラーをやってるの。
そうだ。
暑いし、私たちの部屋で
コーヒー飲んだら?
部屋のみんなに紹介できるし、
冷房効いてるわよ。


a6

たまきとフミコは
探偵事務所でコーヒーを飲むことにした。
私立探偵の志津川和志と、探偵助手の鷲尾翠に
紹介されている。


a7

浴衣姿お似合いですね。
こー暑いと流石にこたえますなあ。
などと探偵が言っている。


a8

そうね。
赤道直下のジャングル程じゃないですけど。


a9

そこにモモコが
やってきた。
エリスいる?
と言っている。


a91

モモコはさっそくフミコに紹介されている。

こちらはモモコ。
モモコは時々、ここに遊びに来るお友達なのよ。

カウンセリング受けてるわけじゃないけど、
いつもエリスに見た夢の話を聞いてもらってるの。
私は普段ジェニーたちの部屋で暮らしてるけど、
外泊も多いから、フミコさんとは初対面ね。
ジェニーやナオミから聞いたけど、
昨夜の花火あなたの仕業だったって?
綺麗だったね。
とモモコは言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:33 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 10, 2024

鳥を探しに そのよん

a1

一行は屋内に招かれた。

このあたりは天候が変わりやすくて、
雷雨が多いんだ。
何もないジャングルで危険だし、
滅多に人は来ないんだよ。

私たち、大きな鳥の羽根を拾って、
その本体である鳥の存在を
確認しに来たんです。


a2

それで、見つけたのかな。

はい。見つけました。
正体は大きな九官鳥でした。

ふむ。
それはラッキーだったな。
ともあれ、この風雨はやみそうもない。
今夜はここに泊まっていくといいだろう。


a3

翌朝になった。
空はすっかり晴れている。

すごくいい天気よ。
あーよく寝た。
昨日は体力消耗したからね。


a4

おはよう。
エルザたち、
もう起きてコーヒー飲んでますよ。


a5

佳奈は深呼吸している。

おはよ。
ダリオさんが、朝食済ませたら、
帰る前にお話ししましょうって。

あの人、ダリオっていうんだ。
そう言ってたわ。


a6

ここに一人でお住まいなんですか?

そうなんだ。
人里離れていても、自給自足、
食べ物には事欠かないからね。
気楽なものだよ。

私も沼地をこえたジャングルの向こう、
半日ほど行ったところに居を定め、
開墾して、今では小さな集落になった場所に
住んでいるんです。
とマークが言った。

地元の原住民とも多少の付き合いはあるんですが、
沼地の近くに人が住んでいるという話は
聞いたことがなかったなあ。
それはともかく、
一人で人里離れたジャングルの中に
暮らしたいという気持ちはわかります。
初めは私もそうでしたから。

でもすごく立派で快適そうなお家ですね。
建築資材や家具なんてどうやって運んだんですか。
とエルザが聞いた。

ふむ。どこまで話していいものか。
君たちは魔族というものを知っているかね。

ええ。
と4人は頷いた。
親しい友人に魔族の人がいます。
彼は私たちの集落に住んでいるんですよ。
とマークが言った。

実は私は別の世界から来たんだ。
その世界は実に生きにくくてね。
私はその世界で、いわばこの世界でいわれる、
変わり種の魔族だった。
そういえばわかってもらえるかな。
魔法で作った特別な扉を通って来たのさ。

わかるわかる。
と4人は頷いた。
私たちもその手の魔法の扉の恩恵に
預かって、遠いところを移動して来たんです。
とエルザが言った。
でもそんな力をお持ちなら、どんな世界でも、
生きにくい、なんてことないように思えますけど。
と佳奈が言った。


a7

そうでもないんだよ。
私のいた世界には、私たちとは別の種族がいた。
昔は共存していた時もあったんだが、
やがて彼らが全てを支配するようになったんだ。
体がずっと小さかった私たちの種族は、
片隅に追いやられて隠れて生きるしかなかった。

巨人の支配する世界だったのね。

この世界に魔族がいるように、
私もたまたま特殊な能力を持って生まれてきた。
だから巨人たちの住む家に潜んで
彼らのものを借りて住む生活が嫌になって、
魔法の扉を作って、この世界に逃れて来たというわけさ。
巨人たちと共存するサバイバル生活が好きな仲間もいるが、
今や絶滅危惧種状態だ。

巨人たちって、どのくらいの大きさなんですか?

ふむ。
君たちは昨日、
巨大な九官鳥を見たと言っただろう。

はい。

あれがその世界では普通のサイズの九官鳥なんだ。
あの九官鳥は、私のいたその世界から、
そのままの大きさでこの世界に現れたんだよ。

お話を聞いていて、もしかしたら、
ダリオさんが魔法で大きくしたんじゃないかと思ってた。
と佳奈が言った。

そうじゃない。
あれは砂漠の嵐の中から現れた。
砂漠を越えてジャングルに飛んできたんだ。
大きな樹木があっただろう。
あれは昔は原住民に生命の木と呼ばれていた
神聖な樹木らしい。
そこが気に入ったらしくてずっと
住み着いているんだ。

九官鳥は別世界に転生したんですね。
まるで私の身の上とそっくりだ。
とマークが言った。

転生したのが私が来た世界と同じだったのに驚いたが、
あれはものまね鳥で、
意味のあることを話しているんじゃない。
前に生きていた世界で、
巨人たちに教え込まれた言葉を
繰り返しているだけなんだ。

別世界に転生しても、
昔習った言葉を忘れないなんて、
なんだか切ないですね。

ふむ。
さて、随分長話をして、足止めしてしまったようだね。
これから沼地とジャングルを越えるんだろう。
玄関先まで見送ろう。


a8

ダリオは、裏庭にある
小さな小屋を見せてくれた。
その中に魔法の扉が設置してあると言ったが、
遠目から屋内は暗くてよく見えなかった。


a9

お世話になりました。
私たちの集落にもぜひ遊びに来てください。
とマークが挨拶して、
4人はダリオの家を出たのだった。

巨人たちの住む世界か。
すごい話だったね。
その世界からすれば、
私たちの世界は小人たちの住む世界なのね。
ジャンのジオラマの村みたい。
などと話している。



解説)
続きます。
Posted at 21:49 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 09, 2024

鳥を探しに そのさん

a1

4人は木陰で休憩している。

佳奈はさっそく近くを探索して
バナナを調達してきた。

あの鳥は九官鳥でしょう。
九官鳥はアフリカには
生息していないはずだよ。

あの大きさですから、
インドの中東部あたりから
渡ってきたのかも知れません。

それはどうかなあ。


a2

何か話しかけていたんでしょうか。
フランス語で挨拶してたわね。
あれが言葉だとすれば。

撮影には成功したんですか。
なんとかね。

飛んでいっちゃたし、
捕まえることはできそうもないから、
これで目的は達成ね。

なんだか雲行きが
怪しくなってきましたね。

とりあえず、この斜面を下って、
沼地の近くの平地まで戻って、
そこで野営することにしよう。
一晩かけてあのジャングルを移動するのは、
危険だからね。


a3

一行は山の中腹から下山を始めた。

なんかすごい雲が湧いてますよ。
これは急いだほうがいいね。


a4

一行が斜面を下り切らないうちに
激しい雨が降り始めた。


a5

雷鳴が轟いている。


a6

至近の樹木に落雷が。
佳奈は思わず滑って転んでしまった。

大丈夫?
ええ。なぜか私よく転ぶの。
と言っている。


a7

急いで斜面を下っているうちに
沼地に出るルートをそれてしまったようだ。
一行がジャングルを踏み分けていくと、
一軒の小屋に灯りが点っているのが見えた。

こんなところに。


a8

こんばんは。
どなたかいらっしゃいますか。
とマークが声をかけている。


a9

やがてドアが開き、
家の中から一人の男が現れた。


その格好は探検家かい。
こんなところまで人が来るとは、
珍しいな。
と言っている。



解説)
続きます。

今日は現実にも
雷雨で落雷があり、
今年2度目の停電状態に。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 08, 2024

鳥を探しに そのに

a1

一行はようやく沼地を抜けた。
地面が少し傾斜して上りになっている。


a2

見晴らしのいいところまでやってきた。

あの山の中腹で
羽根を拾ったんだ。


a3

登りだけど、
空が見えると気分がいいなあ。


a4

ねえ聞こえない?
ハヨー、ハヨー。
っていう鳥の鳴き声。
本当だ。


a5

ハヨー、ハヨー。

頭上に巨大な鳥が舞っている。
マークは
急いでカメラを構えている。


a6

鳥は少し離れた場所に立つ
巨木の方に飛び去って行った。


a7

一行は後を追いかけて
巨木の根元に辿り着いた。


a8

見上げていると、
先ほどの鳥がマークたちに気がついたようで、
枝分かれした梢の間から顔を出した。
じっと眺めている。


a9

驚いたことに巨大な鳥は
草むらに舞い降りて、
トントンと両脚を揃えて
跳ねるように近づいてきて、
一声、ボンジョールノ。
と鳴いた。


a91

ボンジョールノ。ボンジュー、ボンジュー。
鳥はそれだけ鳴くと、
一度首を傾げるような仕草をしたが、
やがて羽根を広げて羽ばたき、
再び、空高く飛翔して、
飛び去って行った。

今のはなんだったの。



解説)
続きます。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 07, 2024

鳥を探しに

a1

マークの家で。

一夜が明けて、
4人はいよいよ鳥探しの探検に
出発することにした。

よく眠れたねー。
液体ムヒ持ってきた?

マークはアマンダに、
また留守番を頼んでいる。


a2

今日もいい天気ね。


a3

4人は早速
ジャングルに分け入った。


a4

このあたりは滅多に人が
入らないんだ。


a5

樹海のようなジャングルは。


a6

延々と続くように思えた。


a7

しかし
やがて行手に沼地が。


a8

やっと風景が変わったわ。
この沼地を越えると
羽根を見つけた場所まで、
もうすぐだよ。


a9

ワニに気をつけて。
ヒルは防ぎようがないけど。
と言われている。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 06, 2024

案内されるフミコとフラハ

a1

コーヒー飲みにきたんだけど。


a2

あいにく、店内は満席です。
毎日すごく暑くて、
冷房がんがん効かせてるので、
人気なんですよ。


a3

たまきとフミコは、
屋外の席でコーヒーを飲むことにした。

さっそくバグに話しかけられている。

こんにちわ、たまきさん。
毎日あっついですね。
おやそちらの涼しげな方は?

フミコと言います。

フミコは昨日この町にきたばかり。
今案内してる最中なの。


a4

そうでしたか。
僕はバグでこちらはミラ、
この裏手の元倉庫に住んでいるんで、
この店の常連なんですよ。

昨日といえば、
昨夜の花火綺麗でしたね。
あれは音がしなくて
本物じゃなかったみたいだけど。


a5

綺麗だったでしょ。
私が心の中で思い浮かべた通りだったの。
フミコが夜空に映し出してくれたのよ。

ほー。
あんなことができるのは魔族だけ。
ハリー一家の誰かの仕業かと思ってました。

私、打ち上げ花火って見たことなかったので。
つい、とフミコは言った。


a6

魔術劇場でハリーに再会したフラハは、
話を終えてヴィヴィアンやアイスと共に、
広場に出てきた。
フラハは大道芸人たちの演奏に聞き入っている。


a7

狐の精霊の化身である駒井魔子は、
フラハの視線を感じて、ちょっと緊張している。
あの人も魔族だわ。


a8:jpg

アイスはルビーに、
魔術劇場の中に設置した鏡の扉のことなどを
報告している。

これで誰でもアフリカに行けるようになったわ。
もちろん魔術劇場に入るには、扉の番人のエヴァに
入り口を出現させてもらわなきゃならないから、
一応セキュリティも万全。
ルビーなら顔パスでしょ。

面白そうね。そのうち行ってみる。

ところで、フミコは?


a9

コンテストの参加賞をもらいにきて、
横で話を聞いていたナオミが言った。

昨晩はうちに泊まったの。
今頃ペンギンにいるんじゃないかしら。
たまきがフミコをサラに紹介してから、
二人でペンギンに行くって言ってたから。


a91

ヴィヴィアンは
暑いから冷房の効いているデジャに行きましょう。
と言って、フラハをデジャに案内している。
通路の途中のマンゴー亭にさしかかった。

レイがかき氷始めました。
と言っている。


a92

スイカのフルーツポンチも
ありますよ。
とアンナが言っている。


a93

二人は誘惑に負けて
肉まんとかき氷を注文している。

この広場には、人間ばかりじゃなく、
ドラゴンの子供やロボットや
動物の精霊までいて随分賑やかなんだな。

そうでしょう。
魔族にも住みやすいわよ。



解説)
続きます。




Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 05, 2024

スリッパとマークたち

a1

サラたちの部屋


a2

サラはシューズボックスを
運んできた。

フミコはずっと裸足だったのね。
これはスリッパだけど。


a3

最近、ドルフィンの倉庫に
入荷してたの。


a4

色合いもちょうどいいんじゃない。


a5

フミコの装身具は
バッグに収納して部屋で保管することになった。

肩飾りとか、
身につけなくていいんですか。
とジェイソンが言っている。

つけていると呪力が増大するけど、
私にはほとんど気持ちの問題なのよ。


a6

たまきはフミコを
喫茶ペンギンに案内している。


a7

浴衣って夏らしくていいですね。
とはるなが言っている。


a8

その頃、フラハの家を出た
4人はマークの家に向かっていた。

僕の家までは、
ちょっとだけ距離があるんだ。


a9

あの蔦のゲートをくぐると、
クラウドの家ね。
みんな元気かしら。
と佳奈が言っている。


a91

マークの家に到着した。
庭にいたアマンダが
お帰りなさいと言っている。


a92

マークは大きな鳥の羽根を
ジョーたちに見せて話している。

大きいとは聞いてtけど、
これほどとは。
形状はカラスの風切り羽根みたいですね。

とても捕獲できそうもないわね。

姿を確認できて、
撮影できればいいんじゃない?

何食べるんだろう。
雑食かな。
人も襲うのかしら。



解説)
続きます。

登場したスリッパはガチャで。
J・ドリームの「room’s MINIATURE SLIPPERS」
色違い全五種のうちのネイビーです。
サイズは1/6アクションフィギアの男性素体の足には、
やや小さめですが、女性素体の足にはほぼぴったり。
バービーやジェニーたち(オビツやボークスの素体なども)
には大きすぎます。
靴箱付き。
Posted at 20:43 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 04, 2024

浴衣とフラハとの会話など

a1

サラたちの部屋。


a2

たまきが冷やし中華を
食べている間に。


a3

サラは、フミコに浴衣の着付けをしていた。


a4

よくお似合いよ。
ありがとう
この図柄も気に入ったわ。


a5

なんだかすごく懐かしい人がいるなあ。
と頭蓋骨のお父さんが言った。
誰だったか忘れてしまったが。
メメもメーメーと言っている。


a6

お面被ってるけれど、
あなたは頭蓋骨なのね。
とフミコは言った。

どなただったかしら。
私も思い出せないけど、
あなたたち、なぜかとても懐かしいわ。


a7

アイスとフラハは
鏡の扉を使って魔術劇場に移動してきた。

この鏡の扉は誰でも使えるように
固定式にしたの。
ハリーは魔術劇場の中に、
扉のための専用の部屋を作ってくれた。

いくらでも魔法で部屋を増設できるなんて
便利だなあ。
この館には何人くらい住んでいるんだい。

数えたことないけど、
ハリーとカーミラと娘のヴィヴィアン。
ハリーの妹のジャンヌと娘のマリア、
劇場のショーに出演する操り人形のパペや、
人の身代わりになるセリア、
出入り口を管理しているピエロのエヴァ、
他は訳ありの同居人や客人たちね。

デジャの従業員になってるイリヤ、ヨシフ、ジョニー、
農家の手伝いをしてるヘルミーネや
部屋を管理してるデュアンとメルティ、
カーミラの知り合いの怪盗ゼロや
幽霊船船長のクックドゥー、路上アーティストのトマソン。
それに新しくフミコが加わった。
ざっとそんなところかしら。


a8

夢見の水の精霊のバルも忘れないで。
と言いながらヴィヴィアンが現れた。

あ、私はハリーの娘のヴィヴィアン。
フラハさんね。お噂はかねがね。
父は魔術書を探してるけどすぐ来るわ。
椅子が足りなから、
その前にちょっと模様替えを。


a9

椅子とテーブルと
食べ物、飲み物がセットされると
ハリー夫妻もやってきた。
面々の紹介が終わるとハリーが切り出した。

フラハ久しぶりだね。
100年ぶりくらいか。

もっとじゃないかな。


a91

若い頃は
カエル王子ごっこなどをやって
よく遊んだな。
いつから姿をくらましたんだ。


a92

ふむ。今でも、手に水かきがついている
夢を見ることがあるぞ。

私は魔法や魔族に対する風当たりが
強い西欧の某国にいてさ。色々あって、
すっかり人間の世界が煩わしくなったんだ。
それで、まだまだ魔術に理解のある
アフリカの部族社会に溶け込んだんだが、
その一つの村には長老がいてね。
彼に気に入られてある土地を譲られた。
土地と言っても境界線など誰にも見えない領域で、
見かけは一面のジャングルだったんだがね。
とにかくそこにいて、やがて訪れる
精霊の出現を待っていて欲しいと言われて
暮らしていたところ、
マークという放浪者のような男と出会った。
ひとめ見て、彼は人間じゃなくて
フィギアの精霊だとわかったよ。
彼に土地に住む許可を与えると、
マークは頑張って土地を開墾して、
そこは今では小さな集落になっている。
私はその集落の外れに住んでいるのさ。


a93

なるほどなあ。
それが巡り巡って古代の魔族の復活に繋がるわけか。
その長老というのは未来が見える
魔族の預言者だったのかな。

それはそうと、これは
私とマーリンが苦労して手に入れた魔術書だ。
中世に散逸して幻の書と言われていたものだよ。
この手引書のおかげでマーリンは異世界を作れるし、
私も魔術劇場やら鏡の扉を作れるようになった。
君が読むなら喜んでお貸しするがどうかね。

ふむ。君がその本を持っていることはアイスから聞いたよ。
私も若い頃からずっと読みたいと思っていたが、
今思えば、君やマーリンへの対抗心があってのことかな。
呪文は覚えられても、持って生まれた
呪力だけはどうにもならない。
フミコの頭蓋骨の蘇生を試みて思い知ったよ。
だがもちろん魔術や呪文への関心を失ったわけではない。
貴重な本なのだろう。
これからは、ちょくちょくここに来て、
読ませてもらうことにするよ。
とフラハが言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:27 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 03, 2024

扉を抜けて

a1

たまきがフミコを最初に案内したのは、
サラたちの部屋だった。

フミコは冷やし中華を
ご馳走してもらっている。


a2

このところ連日作ってるの。
お味はどう?

冷たくて甘酸っぱいタレが、
とても美味しいわ。


a3

たまきの分も
今できるよ。

その片手ザル新しいのね。
気がついた?
とジェットが言っている。


a4

フミコさん、
お箸の使い方上手なのね。

昨日の晩、
ざる蕎麦ご馳走になったとき、
覚えたばかりなんです。


a5

マークの集落のフラハの家では、
鏡の扉が出現してアイスが姿を現した。

コーヒーを飲んでいたフラハは、
おお、また現れたか。
と言っている。


a6

アイスの後から、
ゾロゾロと人がついてきた。
アイスとフラハは
冗談のような挨拶を交わしている。


a7

実はね。鏡の扉をあそこに固定して、
ハリーさんの魔術劇場との通路にしたいんだけど。

え。なんということを。

どこに作るのがベストか色々考えたのよ。
昔の魔族は不思議な扉を使って遠方と行き来していた。
まだそんな伝承が残っているから、
魔族の魔術師のフラハさんの家だったら、
みんな受け入れやすいでしょう。
それはみんなに魔族や魔法のことを
再認識してもらうきっかけにもなるの。

ふむ、お前の考えはわかった。
まるで魔族の身内の話を聞いているようだな。
静かに暮らしていたかったんだが、
まあこれも何かの縁で成り行きなんだろう。
協力してやろう。


a8

アイスは、ジョー軍曹とエルザを
フラハに紹介している。

ふむ。どうやらお二人は人間ではなく、
マークのお仲間のようですな。

やはりわかりますか。
とジョーが言った。

私も魔術師の端くれなので、
人と精霊を見分ける力は備えているのだよ。
それで早速観光に来られたのかな。

探検隊なんです。
マークさんが見つけたという巨大な鳥の羽根。
4人でその鳥の本体を探しに行くの。
とエルザが言った。

そうかそうか。
まあそんな探索も今時のロマンなのだろうな。
ここも充分人里離れた僻地だが、
さらにジャングルの奥地に行くのは大変だぞ。
せいぜい気をつけて頑張りたまえ。


a9

4人はフラハの家を出た。

ここがアフリカとはね。
空気が違うなあ。
とりあえず僕の家に。
とマークが言っている。


a91

ハリーさん呼んできましょうか?
いや、こっちから出向くよ。
鏡の扉を抜けるのは久しぶりだし、
ご家族にも会ってみたいからな。



解説)
続きます。

ジェットの持っている片手ザルは、
セリアで見つけた
線香やお香用の燃えかすとりを、
そのまま使っています。
Posted at 20:22 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 02, 2024

夏の夜の夢

b1

ねえ、マーク。
あの大きな鳥の羽根のことだけど、
ラッセルやブラッドは、
あまり乗り気じゃなかったみたいだから、
私たちで鳥を探しに行かない?
と佳奈が言った。

それは嬉しいな。
でも二人だけだと危険だよ。
結構奥深いジャングルなんだ。

リンやクラウドやハンスさん。
集落にはプロの探検家が揃ってるから、
声をかけてみたらどうかな。

うーん、彼らは遺跡調査が専門だからね。
鳥を探しに行くって言っても。


b2

よかったら僕らが。
とジョーが言った。

ご一緒しますよ。
エルザも行きたがると思います。
アフリカのジャングルは初めてですが、
サバイバル生活は戦地で慣れてますから。


b3

いいんじゃない。
とアイスが言った。
佳奈もCGとしての訓練になるし、
ジョーたちが行ってくれれば、
交流の第一歩になるわ。

お話が続きそうで、
よかったわね。
とアンナたちが言っている。


b4

夜になって
夕食にざる蕎麦をご馳走になったフミコは
ジェニーたちの部屋に
泊まることになった。


b5

フミコ。
打ち上げ花火って見たことある?
この季節、
夜空を彩る夏の風物詩なのよ。

それは見たことがないわ。
どんなものなのかしら。
ちょっと心の中で思い浮かべてみて。


b6

たまきが花火のイメージを
思い描くと、障子の外に。

ふーん、随分綺麗なものなのね。


b7

欅の木が茂って
遠くの空まで見えないはずなのに。

あれは幻影なのよ。
ひとときの夢。


b8

あらら。
花火大会なんてやってたっけ。


b9

すごい迫力。夕涼みに最高ね。


b91

音が聞こえないけど、
どこで打ち上げてるのかしら。



解説)
続きます。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Aug 01, 2024

コンテストの結果発表など

a1

あっという間に8月。
月初めは月替わりのコスプレコンテストの
優勝者の発表の日。

暑さでわりと閑散とした広場では
マイクを手にしたルビーが
アナウンスを始めていた。


a2

みなさん。
7月のコンテストの
優勝者を発表します。
厳正中立な審査の結果、
優勝したのは今井舞さんです。


a3

あら、私なの。
と舞は驚いている。


a4

舞は広場に居合わせた人々の
拍手と喝采を浴びながら、
トロフィを授与されている。


a5

私が選ばれた理由が
よくわからないんですけど。

毎日暑いし、深く考えなくていいのよ。
涼しそうな浴衣姿が
よく似合っているということで。


a6

マンゴー亭では
ジョーと佳奈、マークとアイスが
肉まんを食べていた。


a7

アルバイトのアンナとレイが話している。

今月のコンテストは意外な結果ね。
私てっきりフミコっていう人が選ばれるかと。
私はそこにいるマークさん推しだった。
でも二人ともコンテストに、
参加登録しなかったみたいなのよね。
舞ちゃんでよかったんじゃない。
いつも広場でジャージ着て
薬缶持ってたし。


a8

残念だなあ。
ラッセルやブラッドとは
行き違いだったのか。
とマークが言っている。

二人とも自分の住まいに帰ったの。
まさかこんなにすぐに、
マークがこの町に来るとは
思っていなかったでしょうからね。

マークはこれからどうするの?
アイスが通路になる扉を
作ってくれるというんで一旦家に帰るよ。
アマンダに留守番頼んでいるし。


a9

いつでもすぐ戻って来られるしね。
と佳奈が言った。

その扉を使って
僕らが遊びに行ってもいいんですか。
とジョー軍曹が尋ねた。

もちろん、大歓迎だよ。
とマークが応えた。


a91

聞いていたアイスが言った。
交流するために通路を作るんだからね。
ただね。鏡の扉は、あくまでも魔法の力。
マークの集落の側の扉は、フラハの家に作ることにしたの。
マーク、それでいい?

もちろん。でもどうして。

みんなが魔族や魔法のことを忘れないためよ。
とアイスは言った。



解説)
続きます。
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Jul 31, 2024

あれこれと

a1

フミコはたまきたちに招かれて、
ジェニーたちの部屋で
買ってきたばかりのスイカを食べていた。

懐かしい味。
と言っている。


a2

やっぱり。
スイカの原産地は南アフリカの
砂漠やサバンナだって聞いたことがあります。
とジェニーが言った。


a3

私たちの都は交易も盛んだったので、
市場に行くと
手に入ったお馴染みの味よ。


a4

その頃、サラも帰宅して
冷やし中華の材料をテーブルに並べていた。


a5

このトマト、ジャンの家庭菜園で
採れたんですって。
あの人多趣味だねー。


a6

全日本冷やし中華愛好会って知ってる?
随分昔に「空飛ぶ冷やし中華」っていう
本を出したところだよ。
古本屋にあるかな。


a7

アイスは、デジャでハリーに会っていた。

話ってなんだい。


a8

実はジャンのジオラマの村に鏡の扉を作って、
マークの集落と繋げたいと思っているんですが、
一応ハリーさんにもお知らせしておこうかと。


a9

ふむ。
知らせてくれるのは嬉しいが、
そんなことわざわざ私に断らなくてもいいんだよ。
呪力をどんなふうに使おうと全て君の自由だ。
ただし自己責任でね。

ありがとうございます。
あともう一つお伝えしたいことが。
マークの集落にはフラハという魔術師がいて、
色々お世話になったんですが、
彼はハリーさんの幼馴染だと言ってました。

なんと、懐かしい名前だな。
フラハはそんなところにいたのか。

変わった名前ね。
とヴィヴィアンが言った。

スワヒリ語で、幸せとか喜びとか希望
という意味のおめでたい言葉だよ。

そうだな。あいつにも会えるというわけか。
だったら、いっそのこと、鏡の扉は、
魔術劇場の中に作ったらどうかな。
どうせ古代の呪術で固定式のやつを作るんだろう。
誰でもアフリカに飛んでいけるような扉を、
公の場所に作ると、やがて大騒ぎになるぞ。


a91

どこに作るかは、私も気になっていたんです。
魔術劇場の中なら安心だし、
この町の一般人や観光客にも知られずに済む。
じゃあ、そうさせてもらいます。
さっそくマークにも知らせないと。
じゃこれで失礼します。


a92

アイスさん格好いいですね。
とバーテンダーのジョニーが言った。

アイスって、あんなに礼儀正しかったっけ。
自分が強力な呪力を得て、魔族について
敬意を払うようになったのかもしれないな。
お前とは。

私は悪魔だからね。
それにこれからどうなるか
わからないでしょ。
そりゃそうだな。


解説)
続きます。
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Jul 30, 2024

スイカを買いに

a1

ジェニーたちの部屋で。

連日猛暑だね。
スイカでも食べたいわ。


a2

服着替えたことだし、
スイカ買いに行こうよ。


a3

たまきとナオミは、
広場に出かけた。

涼しそうなお揃いのショートパンツね。
セリアで売ってたのよ。
サイズがぴちぴちだったけどなんとか。


a4

暑さのせいで割と閑散とした広場には
浴衣姿の舞や駒井魔子がいた。

大道芸人たちの歌声が流れている。

おとぎ~ばなし~の王子でも~🎵


a5

たまきは早速スイカを買っている。


a6

美味しそうなの食べてるね。
と、たまきは舞に声をかけている。


a7

ベーカリーで無料で作ってくれるのよ。
特別サービスなんですって。
私もう食べすぎちゃって。
と魔子が言っている。


a8

ベーカリー前は子供たちで
賑やかだった。
奥に見知らぬ女性がいる。

あの人は?
ヴィヴィアンが変身して
魔法で蘇らせたっていう噂の人。
フミコって言うらしいよ。


a9

フミコはルビーと話していた。

すっかり寝坊しちゃって。
でもこれ食べたらシャキッとしたわ。
昔はこんな食べ物なかった。
歌にもあるからねー。

とルビーが言っている。


a91

ソフトクリームをもらったたまきは、
さっそくルビーたちに話しかけている。

毎日暑いねー。
これってすごいサービスじゃない?
サラからマシンの差し入れがあってね。

あ、こんにちは。
わたしはたまき。

私はフミコって言います。
この世界には来たばかりなの。
そうなんですってね。
よかったら私が案内しましょうか。

それいいね。
と椅子に座っていたアイスが言った。
町の人はみんな知り合いみたいなものだけど、
たまきなら信頼できるし
暇そうだし古株で特に顔が広いから、
案内してもらうのにうってつけだよ。
私はちょっとハリーに相談事があるので、
たまきお願いするわ。

了解。
暇そうで古株は余計でしょ。


a92

大道芸人たちは
2番の歌詞を歌っている。

おとぎ~ばなし~の王女でも~
むかし~はとて~もたべられない
アイスクリ~ム アイスクリ~ム🎵


a93

サラもトマトを買いに来ていた。
このトマト美味しそうね。
急に冷やし中華が食べたくなっちゃって。
と言っている。


a94

全日本冷やし中華愛好会って知ってますか?
そんなのあるの。



解説)
続きます。

Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 29, 2024

広場に戻る

a1

翌朝、ジャンのバービーハウスに泊まった
アイスとマークは、倉庫の鏡の扉から
魔術劇場に戻ることにした。
広場にトマトを届けるため、
ナタリーも一緒に行くことになった。

明るいと、
庭のジオラマ村がよく見えるね。


a2

よくこんなに作ったなあ。


a3

ジャンとマークが話している。

ずっと君と同じタイプのフィギアが欲しかったけど、
精霊の君に会えたから大満足。
すごく驚きの体験だったよ。

僕も自分とそっくりのフィギアが
あんな物語の主人公になっていたなんて
なんだか不思議な気分ですよ。
一晩お世話になりました。
今度はぜひ私の家にも遊びにきてください。


a4

3人がジャンの家の倉庫から
黒いドアを使って魔術劇場に移動すると、
カーミラが遅い朝食を食べていた。

二人とも朝帰りなのね。
と言われている。


a5

ゆうべは遅くなったので
郊外のジャンの家に
泊めてもらったんです。
フミコの様子はどうです。

まだ起きてこないところを見ると、
ぐっすり眠っているんじゃないかしら。


a6

その時、
魔術劇場の部屋の整頓や管理を
メルティと二人で任されているデュアンが、
鏡の扉から現れた。


a7

大変です。
フミコさんが起きてこないので、
ちょっと彼女の寝室に様子を見にいってみたら、
ぐっすりお休みのようでしたが、
部屋の隅に見慣れない観葉植物が。
と思ってよく見ると、
なんとその植物には手足と顔があって、
私を見ると忽然と姿を消したんです。


a8

ああ、それきっとグリーンマンよ。
グリーンマンはフミコの可愛がっている生き物で、
アフリカからついてきたんだわ。
結構ひとみしりのようなの。

魔術劇場の中の各部屋は、
それぞれが魔法陣の上にあって、
魔術で生みだされた異世界のようなもの。
特別な呪文を唱えないと出入りできないはずだけど。
とカーミラが言った。

グリーンマンは古代の呪法を授かっているから。
きっとフミコのことを強く思い浮かべると、
呪文になる言葉が脳裏に浮かんで、
心中で唱えるとフミコのそばに移動できるのよ。

そんなのありなの。
とカーミラが言った。


a9

アイスとマークは広場に出てきた。


a91

ひと足さきに広場に来ていたナタリーは、
農産物直販店にトマトを搬入していた。

美味しそうなトマトだね。
食べごろなのを選んできたのよ。
今晩は冷やし中華だね。
などと話している。


a92

アイスは、
佳奈に出会った。

これアイスじゃなくてソフトです。
と佳奈に思いつきのジョークを言われている。


a93

ベーカリーのテーブル席では
みんなソフトクリームを食べていた。


a94

ルビーとレイチェルが話している。

あれエスプレッソマシンでしょ。
サラに頼まれて、
私がソフトクリームメーカーに改造したのよ。
サラがみんなにも使ってもらってって。



解説)
続きます。
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Jul 28, 2024

ジャンの倉庫で

a1

今日は採れたてのトマトで、サラダと
シチューを作って、みんなに夕食をふるまう予定なの。
リリスはそういうと、ドアからジオラマ村に帰っていった。


a2

さて、これから何しようか。

ジャンのフィギアのコレクション見せてよ。
マークも興味あるでしょう。
とアイスが言った。


a3

これ、ほんの一部なんだけど、
と言いながら、ジャンは箱に入った、
フィギアを運んできた。


a4

ふーん。
精密にできてるんだね。

総統のフィギアもあるんだ。
これは僕が加工して
ペイントしたオリジナルなんだよ。
ジャンはちょっと得意そうだ。


a5

これは米軍兵士だね。
僕のフィギアも、こんな感じなのかな。


a6

これは、さっきの人。

リリスの本当の姿だよ。
っていうか、どっちが本当ってわからないけど。
その人形に宿っている精霊がリリスなんだ。
落とすと後で怒られるから気をつけて。


a7

さっきリリスも言ってたけど、
この写真コミックにも、
リリスそっくりの顔の魔女デジャが登場するのね。

そうなんだ。
それも僕がその本の世界に
親みを感じた理由の一つなんだ。
とジャンが言った。


a8

やがて時が流れ。

もう夜が更けたわね。
そろそろ母屋に引き上げない?
明日は広場に行って、収穫したトマトを
岸さんの農産物直販店に届けるの。
ちょっとしたお小遣いになるのよ。
とナタリーが言った。

アイスたちはどうする?
泊まっていったら?


a9

それがいいよ。
アイスもマークも
バービーハウスに泊まるなんて
初めてだろ。
まだ話も尽きないしさ。
とジャンが言った。

鏡の扉で魔術劇場に帰ってもいいけど、
もう夜も更けてるし。
じゃあ、そうさせてもらおうかな。
マークどう?

う、うん。
よろしくお願いします。


a91

4人が倉庫を出て
母屋に向かう途中、
庭のジオラマの集落では、
家家に灯りが点っていた。


a92

見ているとやがて明かりは消えていき、
一軒の家だけ点っている。

あれはリリスの酒場だよ。
今頃みんなで
トマトシチューを食べてるんだろうね。
などと言っている。



解説)
続きます。

Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 27, 2024

マークのフィギア

b1

ジャンは棚から本を取り出して
手に取りながら言った。

君のことは、この本に載っているんだ。

そーなんですか。


b2

これは、
マーク・ホーガンキャンプと
クリス・チェレンの共著で、
2016年に出版された
「Welcome to MARWAENCOL」。
解説文も多く含まれているが、
いわゆるアートブック、
グラフィックノベルの写真版だな。


b3

写真漫画なんですね。

そのストーリーに登場する、
主人公のマーク大尉の写真を見たまえ。

おおこれは私そっくりの顔立ちだ。

僕はね。僕と同じように、
6分の1サイズのフィギアを撮影した
連続写真で、ストーリーを作っている人が
いることにも感動したんだが、
戦争中に主人公マークが乗っていた戦闘機が不時着して
マークは地元の村の住民に助けられ、
その村のリーダーになってドイツ軍と戦うという、
その本のストーリーにも惹かれてね。
その主人公に使われているフィギアが欲しくなって、
ずっと探していたんだ。

そのモデルが僕だったというわけですね。


b4

その本の内容は、著者の一人、
マーク・ホーガンキャンプさんの体験も含めて、
ロバート・ゼメキス監督の、
「マーウェン」っていう映画にもなっているの。
ジャンはその映画にも感動して、
色々ジオラマ世界のことを空想していたんだけど、
そんな時、この倉庫の扉の向こうに
その本や映画の世界みたいに、
フィギアたちの暮らす村が出現した。
だから、マークさんのフィギアは、
ジャンにとってとても特別な意味を持っていたのよ。
とナタリーが言った。


b5

その時、扉からリリスが現れた。
あ、よかった。まだいたのね。
と言っている。


b6

アイス。村に来てくれていたんですって?
店の裏の畑にいたので気が付かなかったわ。
おや、トマトの収穫はこちらも同じみたいね。


b7

あなた、その本に出てくるマーク大尉にそっくりね。
ジャンがとうとう探していたフィギアを入手して、
ヴィヴィアンに魔法で人間の姿にしてもらったの?

いえ、僕は戦争中に砂漠の嵐を潜り抜けたら、
こちらの世界に辿り着いていたんです。
自分がフィギアだったなんて知らなかったんですよ。


b8

そうなのね。
私は人形の精霊のリリス。
その写真漫画にも、
デジャっていう魔女が出てくるでしょ。
そのモデルが私とそっくりなのよ。

すごい偶然ですね。
偶然なのかしら?


b9

あなたが元いた世界も、
たぶん誰かが想像したものね。
その人もきっとその本や映画を見て、
あなたの元になったフィギアを手に入れて、
空想の世界で戦場を設定して遊んでいた。
でも何かの理由で使われなくなった。
その時、ジャンがそのフィギアを
探し求めていることを知った誰かが、
この世界で再生できるように
導いたのかもしれないわ。

そんな誰かって、いるんですか。

私もピエロの服を着せられた人形だったけど、
何世代も持ち主が変わって、今では
ジャンのジオラマ村で暮らせるようになった。
人形やフィギアの運命なんて
何が起きるか分からないものなのよ。


b91

リリスは長い間いろんな人の思いを浴びて、
呪力を持つ精霊になったんでしょ。
私はこの前、魔族のフミコから呪力を授かったの。
魔術なんて柄じゃないけど、
その呪力を使えば、ジオラマの村と
アフリカのマークの家の間に、
この倉庫に出現するドアみたいに、
鏡の扉を生み出すことができる。
そうすればみんな簡単に行き来できるようになる。
でもそんなことして大丈夫かな。


b92

リリスは、
ちょっと考え込むような表情を浮かべた。

大丈夫か、というのが、安全かと言う意味なら
全く安全とは言い切れない。
でも何にでもトラブルはつきもの。
それに、あなたの考えていることには
もう前例があるのよ。

ジャン、覚えている?
この黒いドアは、私が家を建ててくれたお礼に
あなたにプレゼントしたもので、
特別な鍵を使って通れるものだった。
そんなことができたのは私がこの倉庫に
人形たちと一緒に、ずっと住んでいた精霊だったからよ。
でもアイスが授かったという魔族たちの呪力は別。
もっとずっと強力なものなの。


b93

2年前にヴィヴィアンは、マーリンが
ヴァンパイアたちのために作ったルーマニアの別世界に
義勇兵になっていきたいという村人たちの要望に応えて、
彼らのフィギアに魔法をかけた上に、私の酒場の中に
その別世界や魔術劇場の中に通じる扉を作った。
この黒いドアも鍵なしで通れるようにしてしまった。
それで、すごく便利になったけれど、
結果として村人の多くは別の世界に流出してしまったわ。

元々フィギアたちの村は、
ジャンの庭のジオラマの村作りの空想から始まった。
その思いがこの土地と共鳴して通路が開かれたの。
魔族の呪力は、そういうことと別に
根こそぎ世界を変えてしまう力を持っている。

でもアイスが、ジャンがずっと探していた
マーク大尉のフィギアの精霊を村に連れてきたのも、
魔族の呪力を授かったというのも、
新しい扉を作るためかもしれないわね。
退屈してたみんなも喜ぶでしょうから、
やってみたら?

あ、もうこんな時間。



解説)
続きます。

ジャンの言っていることは、
ほぼ現実をなぞっています。
ネットのホーガンキャンプ氏のサイトや、
映画「マーウェン」を見たり、
アートブック「Welcome to MARWAENCOL」
をネットで取り寄せたりしたのは、
2021年の夏の頃。
このマイブームが、ジオラマ村のエピソードに
発展していきました。
ドラゴン社製の主人公マーク大尉のフィギアは、
その頃から折々に探していましたが、
なんと3年越しに今年のドールショーで、
素体とヘッドのみのバラ売り状態で見つけました。
それがマークの登場する最近の
エピソードにつながっています。

「Welcome to MARWAENCOL」
のやや詳しい解説などは、
2021年8月13日「あれこれの会話」
に載っています。
Posted at 20:35 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 26, 2024

ジャンに会う

a1

アイスとマークは席を立って
出発しようとしている。


a2

リリスの酒場の二階にあるドアからは、
魔術劇場にも、ジャンさんの家の倉庫にも行ける。
倉庫への通路は、最初にリリスが生み出したものね。

リリスって。

あ、リリスっていうのは、人形の精霊で、
リリスの酒場を経営してる。
この村のフラハさんのような魔術師よ。
村の出現には彼女の力も関わっているの。

またややこしいんですね。

マークにもリリスを紹介したかったんだけど、
酒場に姿が見えなかったわね。


a3

多分畑に出ているのよ。
アイスたちが来たことを伝えて、
ジャンの倉庫にいるって言ってくるわ。
とエルザが言った。


a4

あ、もう帰っちゃうんですか。
もっとお話聞きたかったのに。
などとブランカたちに言われている。


a5

また来るわよ。
みんな歓迎してくれてありがとう。
とアイスは言った。


a6

二人がリリスの酒場の二階から
鏡の扉を使ってジャンの家の倉庫に移動すると、
ちょうどジャンとナタリーがいて、
二人は収穫したトマトの仕分け作業をしていた。


a7

おや、アイス。
君がそのドアから現れるなんて、
どういう風の吹き回しかな。
とジャンが意外そうな顔をしている。


a8

実はジオラマの村に行ってたんです。
こちらは友人のマーク。


a9

初めまして、
僕はフィギアの精霊で。
とマークが言いかけると。


a91

ジャンはマークの顔を
まじまじと見つめた。


a92

おお。
いまフィギアの精霊だと言ったね。
僕は君を、というか、君の元になった
フィギアを随分探していたんだよ。

え、そうなんですか。


a93

その横顔の輪郭線。
眉間の皺。険しいような
困ったような表情。
やっぱりマーク大尉だ。

この人があれだったのね。
とナタリーも言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 25, 2024

フィギアたちの村で

b1

ビールや食べ物が運ばれてきて、
3人の会話は盛り上がっている。

私たち、ここはドイツの片田舎の小さな村、
という認識だったの。
村を守備していたドイツ軍と、
進駐してきた私たち連合軍が争奪戦を
繰り広げていたというわけ。
でも人間の世界と関係ができて、
わかったことは、ここの風景が、
人間の世界のコピーだったこと。
ジャンっていう人が、
自分の庭に作ったジオラマの集落や、
周辺の自然がそっくりコピーされていたのよ。

ファンタジックな話だね。
ブラッドベリが好きそうな。
とマークが言った。


そればかりじゃない。
ジャンさんの庭で、ジャンさんたちが
フィギアを使っていろんな情景を
作ったり、情況を設定したりすると、
この村で似たようなことが起きて、
時にはその逆の場合もあって、二つの世界に
対応関係があるっていうこともわかった。

なんだかいつも通り、
ややこしくなってきたな。


b2

それって、迷いの森から
怪物がやってくる前のお話でしょう。
怪物をアイスさんが退治してくれてからは、
米軍とドイツ軍が協力し合うようになって、
この村は至って平和。
ジャンさんがご自分の家の庭で、
フィギアで戦争遊びをしても、この村で戦争は
起きなくなったっていう話よ。
と側で聞いていたクリスが言った。


b3

そうそう。
この村の住民も人間の世界に引っ越したりして、
パラレルだった二つの世界が融合した感じね。
とアイスが言った。

村人もだんだん少なくなって、
どうなるのかなあ。


b4

ブランカは隣のテーブルの同僚たちと
話している。

ぶ、物騒だなあ。
そんなの手に持って。

さっきまでこのルガーで、
ハンナと射撃訓練をしてたところなの。


b5

平和とはいえ、
いつ何時怪物が襲ってくるかもしれないからね。
パトロール行ってる?
今日はエルヴィンさんが出かけてる。
彼はジョーたちと人間たちの町に引っ越したけど、
今でも欠かさずパトロールには協力してくれているんだ。
流石にわがドイツ軍部隊の元リーダーだね。


b6

噂をしていると
エルヴィンを乗せたキューベルワーゲンが、
ビアガーデン前に停車した。


b7

やあ、アイスじゃないか。
珍しいな、君がこの村にくるなんて。
とエルヴィンが挨拶している。


b8

アイスはマークをエルヴィンに紹介して、
ここにきた事情もかいつまんで話した。

ふむ。
マークさんは、アフリカ戦線に従軍されていたのか。
私もアフリカでは随分と暴れたものだ。
どこかで遭遇してたかもしれないね。

もしあれが地続きの現実だったら、ですね。
エルヴィン・ロンメル将軍の武勇伝、
砂漠の狐の噂はよく聞きましたよ。

私は自分がフィギアの精霊で、
元になったのがそのロンメル将軍だと
知った時はショックだったな。
私にとってはこの世界の記憶が現実なんだから。

僕の元になったのはどんなフィギアなんだろう。
とマークが言った。

そのことだけどさマーク。
私、あなたの顔どこかでみた気がするって、
ずっと思ってたんだけど、
やっと思い出したわ。本の写真に載ってたのよ。
とアイスが言った。


b9

マークとエルザは驚いている。

その本、ジャンさんの家で見たのも思い出した。
これからジャンさんに会いに行こう。

人間の世界とこちらの世界との最初の接点は、
ジャンさんの家にある倉庫のドアだったの。
フィギア好きのジャンさんはキーパーソンね。
あの本持ってたんだから、
きっとマークのことを知ってるわよ。



解説)
続きます。
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Jul 24, 2024

フィギアたちの村へ

a1

魔術劇場の中の鏡の扉から
フィギアたちの住む村の
リリスの酒場の二階に移動した
マークとアイスとエルザは、
酒場を出てエルザに案内されて村を見て回った。

3人は酒場の前の
ビアガーデンのようなところに
やってきた。


a2

クリス、ビールお代わり。
と客らしき兵士が言っている。


a3

アイスは、クリスと呼ばれた女性が、
リリスの酒場のカウンターで
バーテンダーをしていたのを
思い出した。


a4

近くにいた女性兵士たち、
ブランカとハンナが、
アイスたちに気がついたようだ。


a5

やあエルザ。
それにアイスさんが来るなんて珍しいわね。
とブランカが言った。

お会いできてうれしいわ。
とハンナが言った。
アイスさんはこの村の英雄ですから。
お連れの方は?


a6

ああ、この人はマーク。
あなたたちと同じフィギアの精霊よ。
私の友人で今日は村の見学に来たの。


a7

椅子席に座ったエルザは
さっそくクリスにビールを注文している。
いつもの大ジョッキを三つね。
あと食べ物は適当に。

了解。


a8

マーク、村の感じはどうだった?
とアイスが訊いている。

僕たちの集落と同じくらいの規模かな。
でも住民がフィギアの精霊ばかりなんて驚きだね。
軍装の人ばかりで、戦時中だった
前の世界を思い出したよ。

ブランカたちが
興味深そうに立ち聞きしている。


a9

マークさん。
戦地はどこだったんですか?
と、
好奇心を抑えきれずにブランカが尋ねた。

あ、アフリカ戦線でしたよ。
砂漠を転戦していたんです。


a91

マークはね、
この人間の世界に来てからも、
アフリカに住んでいて、ジャングルの中に
自分たちの集落を開拓したのよ。
とアイスが言った。

すごい方なのね。
行ってみたいわ。
などと話が盛り上がっている。



解説)
続きます。
Posted at 20:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 23, 2024

ソフトクリーム

a1

久しぶりにサラたちの部屋。


a2

今日も暑いね。
てるてる坊主そろそろ片付けたら?
昨日の夜は雷雨があって停電したでしょう。
まだ必要なのよ。


a3

部屋にはレイチェルが来ていて、
ペンギンで使っていた古いエスプレッソメーカーを、
ソフトクリームメーカーに改造していた。


a4

これでもうすぐ完成よ。
だけどよくこんなこと思いついたわね。


a5

毎日暑いからね。
改造できないかなと思ってたら、
あなたがロボット学者だったこと
思い出したの。


a6

オセロは無心でバナナを食べている。


a7

みんな注目している。
ソフトクリームミックスを入れて、
そのスイッチを押せばいいのよ。
あ、コーンカップを忘れないで。


a8

なんとソフトクリームが
出来上がった。


a9

サラとレイチェルは
早速ソフトクリームを舐めている。
あま。


a91

実験成功。
実験だったのか。


a92

ねえ、頭蓋骨のお父さん。
この前佳奈がきて、
ウィヴィアンがフミコっていう人を
頭蓋骨から魔法で蘇生させたって言ってたわよ。
お父さんもやってもらったら?
とメアリー=ケイトが言っている。


a93

僕たちはこのままでいいんです。
この姿で蘇ったんですから。
と元人体の骨格標本だったジェイソンが言った。
机の下でメメもメーメーと言っている。



解説)
今回は思いつきで、見た目だけの
ソフトクリームメーカーの簡単工作。
ベースにぷちサンプルシリーズ「ぷちかわキッチン」の
「2、うれしいプレゼント」の
エスプレッソメーカーを使用しています。
パーツを二つに分離して、
間にスチロール板で作った箱状の枠を繋いで
アルミ箔のテープを巻いて高さを出しました。

ソフトクリームは主にアゾンで買ったバラ売りを使っています。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 22, 2024

マークを案内する

a1

アイスとマークが
魔法劇場を出ると、
広場は割と閑散としていた。
毎日暑いのでみんな家に篭りがちのようだ。


a2

マークじゃない?
と佳奈が言っている。
やあ佳奈。

鏡の扉を使って
アフリカから直行で来たのよ。
とアイスが言っている。


a3

こっちはマーク。
あっちはルビー。
一緒にベーカリーを経営してる
CGの仲間で私の相棒よ。
とアイスがルビーを紹介している。

佳奈から色々聞いてるわ。
どうぞよろしく。


a4

マークはフィギアの精霊なの。
誰かジャンのジオラマの村の人、
広場に来てないかなあ。

さっきジョー軍曹とエルザを
見かけたけど。


a5

ジョー軍曹とエルザは
マンゴー亭で肉まんを食べていた。


a6

また涼しそうなのに着替えたのね。
夏はこういうのが一番。
とアンナが言っている。


a7

やあ、ジョー、エルザ。
君たちに紹介したい人がいるんだ。
こちらはマーク。
君たちと同じように
かっては戦時中の世界で暮らしていた
フィギアの精霊だよ。


a8

それは珍しいですね。
魔族のヴィヴイアンやハリーが
フィギアや動物の精霊を、
魔法で人間の姿にしてしまうのは、
何度も見ていますが、あなたも?


a9

いや、そんなことのできる
魔族の存在を知ったのは
この世界に来てからのことです。
僕はてっきり自分が人間だと思い込んでいたので、
いまだに自分がどんなフィギアだったのかさえ
知らないんです。


a91

私たちもみんなそうでしたよ。
僕らがいたのはヨーロッパ戦線で、
小さな村をドイツ軍から守る部隊の軍曹だったんですが、
こちらの世界と接触があってから、
真相がわかってきたんです。
今はこんな格好していますが、
ずっと軍服姿で、なぜか、こんな
ドッグタグを身につけていたんです。

ジュー軍曹が取り出してみせたドッグタグには、
GIジョーと刻まれていた。


a92

私はエルザ。
戦地ではジョーの部下だったの。
戦場だった村は怪物に襲われたのがきっかけで、
アメリカ軍とドイツ軍が協力するようになり、
今では平和に共存して、
不意の怪物の襲来に備えながら暮らしている。
ルーマニアにある別の世界に行った人たちや、
私たちみたいにこの町に移住した人も多くて、
村人の数は減少気味だけど、
私たちの故郷であることに変わりないの。
私がご案内するわ。


a93

マンゴー亭の従業員の
アンナとレイはそばで話を聞いていた。

フィギアの精霊の人たちって、
私たち人間とどこが違うのか、
よくわからないけど、
故郷があるっていいわね。



解説)
続きます。
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Jul 21, 2024

町に帰る

a1

魔術劇場の応接間で
ハリーとヴィヴィアンとマリアが寛いでいると、
鏡の扉が現れ、
鏡の中からアイスが姿を現した。
続いてマークとフミコも出てきた。


a2

おや、お戻りね。
今あなたたちの噂をしていたところよ。
そちらの方は新しいお客様かしら。
とヴィヴィアンがいった。


a3

あ、僕はマークといいます。
アフリカのジャングルの奥地で
小さな集落の長をしています。

マークはフィギアの精霊なの。
ジャンのジオラマの村の、
人たちと同じ身の上みたいなので、
彼らに一度に会ってみたらって私が誘ったのよ。
とアイスが言った。


a4

なるほど。
私はこの館の当主のハリーで、
隣にいるのが娘のヴィヴィアン。
後ろに立っているのが姪のマリアです。
はるばる魔術劇場にようこそ。

はるばるって言っても鏡の扉を使えば、
一瞬でしょう。
ねえ最初にアイスが出てきたっていうことは、
まさか、アイスが魔法を使ったの?
とヴィヴィアンが言った。

そのまさかなの。
私、フミコに呪力を授けてもらっちゃった。


a5

一行は、運ばれてきた
料理に舌鼓を打っている。

魔法陣の上に建てられた、
この館の中なら別だけど、
どこでも鏡の扉が作れるなんてすごいわ。
私なんて同じ魔族なのに、黒猫に変身することと、
箒に乗って空を飛ぶことしかできないのよ。
とマリアが言った。

どちらも楽しそうね。
魔族はみんな特技を持って生まれてくる。
それは今も変わらないのかしら。


a6

変わらないわよ。
でも今では数も少なくなってね。
魔族でも魔法を使わない人たちもいるし、
自分が魔族だって知らない人もいる。
私、親戚以外の魔族の人に会ったのって久しぶり。
あ、犬猫同盟の集まりがあるから行かなくちゃ。
また今度お話ししましょう。
そういうと、マリアは出かけて行った。


a7

入れ替わりのように、
出現した鏡の扉から女性が現れた。


a8

あら、みなさん賑やかなこと。
私はハリーの妻のカーミラと言います。

あなたが話題のフミコさんね。
お部屋を用意してあるから、
いつでもご案内するわ。


a9

ありがとうございます。
早速ご厚意に甘えようかな。
なんだか蘇ってから
あちこち移動したせいか
ちょっと疲れちゃって。


a91

アイス、その素敵な指輪どうしたの?
とヴィヴィアンが聞いた。

フミコが、肩飾りの宝石を外して
作ってくれたのよ。
はめていると呪力が亢進するんだって。


a92

寝室もあるから
ゆっくりお休みになるといいわ。
ありがとうございます。
お言葉に甘えて。

二人は部屋を出て行った。


a93

私たちは
誰かジオラマ村出身の人がいないか、
広場に探しに行ってみるわ。
とアイスが言った。

ジオラマの村への鏡の扉は
魔術劇場の中からね。
呪文は彼らが知ってるから。
とヴィヴィアンが言った。

ありがとう。
ヴィヴィアン、さっき話した通り、
私どこでも鏡の扉を作れるのよ。もちろん、
その力は無闇に使わないつもりだけど。
では、ハリーさん、失礼します。

そう言って軽く会釈すると、
アイスとマークは部屋を出て行った。


a94

二人だけになった。

アイスのはめていた指輪って。

うん俗にいう魔法使いの指輪として
魔族の間では知られているものだな。
生前フミコがいくつか作ったものが、
ずっと伝わっていたのかもしれない。

それにしてもフミコが呪力を授けたのが、
アイスでよかったよ。
もしお前みたいなお転婆娘に授けていたら。

これからどうなるか
わからないでしょ。
そりゃそうだな。



解説)
続きます。
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Jul 20, 2024

フミコの帰郷 そのろく

a1

それにしても、
アイスが早く戻ってきたので驚いたよ。
ジャングルだけでも大変なのに、
そのうえ砂漠を超えて、
飛行機ではるばる海を越えて、
アイスの住む国まで、
急いでも片道で2、3日はかかるだろう。
とクラウドが言った。

フミコの魔法で一瞬で来たのよ。

そんなことが可能なの?

私にはわかるぞ。
リンリンから聞いたことがある。
古代の魔族は魔法で鏡の扉を出現させて
自由に遠方と行き来していたという。
グリューンも使えると言っていた。
とハンスが言った。

そういうことなのよ。
私の住む町にもフラハのような魔族の人たちがいてね。
その一家の娘さんがフミコを蘇生してくれたうえに、
一家の住む魔術劇場っていう館に
フミコは同居させてもらえることになったの。
私は故郷の様子が知りたいというフミコに便乗して、
蘇生が無事に成功したことを
みんなにお知らせしたくて来たんだけど、
あとはマークに会って帰るつもり。
とアイスが言った。


a2

フミコの蘇生が無事に成功したことは、
アーネストやアンドレアにも伝えておくわ。
またいつでも遊びにきてね。
というリンたちに見送られて、
アイスとフミコはクラウドの家を後にした。

マークっていう人は
この集落のリーダーだって言ってたわね。
そうなの。
あなたが無事に蘇生したら
あなたを案内してこの集落に戻ってくるから、
その時また会えるってマークに言ってあったの。
こんなに早くそんな機会が来るとは
思ってなかったけど。


a3

二人はマークの家に向かっていた。

マークはね。
あなたと同じように蘇生した人。
あ、それは全然違うかな。
マークは人間じゃなくて、
6分の1サイズのアクションフィギアの精霊なのよ。
でもずっと自分が人間だと思い込んでいた。
彼は戦争中に兵士として活動していたんだけど、
砂漠で嵐に巻き込まれて、そこを抜け出したら、
戦争がとっくに終わった未来であるような、
この世界に来ていたという。
でもマークが最初に生きていたのは、
誰かの想像が産んだフィギアの精霊たちの世界で、
あなたのように、同じこの世界の過去から
未来に蘇ったというわけじゃなかった。
だからこの世界に馴染めなくて、
ジャングルの奥地に集落を開いたんだけど、
リーダーのくせに寂しがり屋なの。

誰が考えたのかややこしすぎる話ね。


a4

マークの家に着くと、
クラウドの家で見かけたアマンダが
すでに庭仕事の手伝いに来ていた。
庭で草むしりをしていたマークが
気がついて近づいてきた。

アイス。驚いたな。
三日前に帰ったばかりだと思ったら、
何か途中でトラブルがあって
戻って来たのかい。

いいえ。無事に帰国して、
蘇生の呪術に成功したことを伝えに来たのよ。
この人がフミコ。


a5

アイスたちが移動に使った
鏡の扉の説明をすると、話題は
どうしてもその話になった。

鏡の扉と違って、
マークが体験した砂嵐は幽冥界との通路で、
魔法では生み出せないって、
フラハが言っていたけど。

それはその通りね。
誰でも死ぬことはできても、
自分だけの意思で戻って来れるような便利な扉はない。
鏡の扉で行けるのは現実に繋がっている別の場所や
命あるものたちの夢や想像、呪力で作られた異世界。
似ているようで全く別のことなの。

砂嵐の前にいた世界のことは、
もうあまり思い出すこともないけど、
僕はそこで第二次世界大戦の
アフリカ戦線に従軍していた兵士だったんだ。
アイスがよく似た戦争中の異世界に行ったことがあって、
そこではフィギアたちの精霊が暮らしていたというので、
初めて自分もフィギアの精霊だったことを知った。
とマークが言った。


a6

最初は自分が砂漠で戦死して、あの世にいき、
何かの計らいか偶然で、フミコみたいに未来の世界に
蘇ったんだとばかり思っていたけれど、
フラハにも最初からフィギアの精霊だと
わかっていたと言われてちょっとショックだったな。
今はもう昔のことは関係ないけどね。

戦時中だった世界が懐かしくならない?

まあ、ごくたまにはね。

だったら私の知っている、
フィギアの精霊たちの村に案内してあげられるわよ。
前にも言ったように、
私の住む町にいる魔族一家の館には、
彼らの暮らす世界に行ける鏡の扉があるの。
今ではその扉を使って村の住人たちの何人かは、
私たちの町に移り住んでいるわ。

アイス。
そんな面倒なことをしなくても
あなたの呪力で鏡の扉を生み出せば、
直接ここからその村に行けるのよ。

え。

でもまあ手順を踏んだほうがいいわね。
ひとまず魔術劇場のある町に戻って、
その村の人にマークを紹介して
承諾してもらってからのほうがいい。

私の生きていた頃には、
6分の1サイズのアクションフィギアなんてなかったけど、
木や土の人形に宿った精霊たちとはよく遊んだりした。
彼らを憶う人々の願いと彼らの願いが重なって、
そこに意志を持ったものの呪力が加わると
小さな夢のような共同の世界が生まれることがある。
そういう世界はうたかたのように
とても繊細で壊れやすいものなの。
不意の来訪者には拒絶反応を示すこともある。

そうなのね。


a7

アイスが魔術劇場を思い浮かべて
脳裏に浮かんだ言葉を口にすると、
部屋の中に鏡の扉が現れた。

マークさん、
私もアイスの住む町で 
いろんな人に出会うのが楽しみ。
あなたもいらっしゃる?

う、うん。
もちろん。
その前に庭仕事を手伝ってくれている
アマンダに留守番を頼んでくるよ。
この集落には泥棒なんていないけど、
猿が来て時々悪戯するんだ。


a8

マークはアマンダに訳を話して
留守番を頼んでいる。
貴重品は何もないけど、
大きな鳥の羽根だけが気がかりなんだ。

いいわよ。鏡の扉を使って行くなんて
フラハが聞いたらきっと羨ましがるわね。


a9

かくてアイスたちは
魔術劇場に戻って行った。
グリーンマンが
ちょっと悩ましそうな顔をして
その動きをじっと眺めている。



解説)
続きます
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Jul 19, 2024

フミコの帰郷 そのご

a1

コーヒーを飲んでいたフラハは、
裏庭に突然鏡の扉が出現したので驚いている。


a2

扉からは、アイスが、
知らない女性を連れて現れた。

君は先日マークと一緒に来た
アイス君だったな。
呪力がさっぱりだった君が
鏡の扉を使ったのか?

あ、まあそのようです。
あちらの女性はフミコよ。
この前の頭蓋骨、無事に蘇生に成功したの。


a3

フラハとアイスは
冗談のような挨拶を交わしている。

あなたがフラハさんね。
私の蘇生を試みてくださった方だと
アイスから伺いました。
私はフミコ、その昔魔族の都で
暮らしていました。

おお、伝承どうりだったわけか。

突然驚かせて悪かったけれど、
フミコの蘇生を気にかけてくれていた皆さんに、
特にハンスさんに早く伝えたくて、
この集落に戻ってきたの。
とアイスが言った。


a4

鏡の扉には出現させる呪文と、
移動するための呪文があるんだったな。
魔術の書があれば私にも可能なんだが。

魔術の書。私もハリーさんの魔術劇場で、
拝見しました。
でも私が生きていたのは、
その書物が編纂されるずっと前のこと。
呪力のある人はみんな自分で呪文を生み出す
力を持っていたのよ。

そうかハリーに会ったのか。
蘇生の呪文を唱えたのはやはりあいつだったか。

そうじゃなくて、フミコを蘇生させたのは、
私が言ってたハリーの娘のヴィヴィアンっていう悪魔。
とアイスが言った。
そうだ、フミコの蘇生って言えば
そのことをハンスさんたちに伝えにきたんだった。
そろそろ行かないと。


a5

ということで、
アイスとフミコはフラハの家を後にした。

フラハさん、ずいぶん鏡の扉にこだわっていたわね。
どこでも扉を生み出すことができれば便利でしょう。
今のあなたにはそれが可能なのよ。
でも無闇に使うべきじゃない。
鏡の扉に頼りすぎると肥り過ぎたりして
悲惨なことになるわ。
健康のために歩きましょう。


a6

二人はクラウドの家のまえにたどり着いた。
みんないるかなあ。


a7

アイスがあまりにも早く
戻ってきたので、
みんな何があったのかと驚いていたが、
魔術で蘇生したフミコが一緒にいるとを聞くと、
最初の驚きは別の驚きに変わっていった。


a8

お父さん、これで心置きなく
リンリンに会いに行けるわね。

うん。グリューンとの約束が果たせたことになるからな。
グリューンはもうフミコさんに会って、
知っているんだろうけど。
あ、グリューンっていうのは
グリーンマンのことですよ。
フミコさん、グリューンは元気でしたか?

ええ、今たぶんその辺にいると思いますわ。
とフミコは言った。


a9

なんとグリーンマンは、
ジャングルの茂みから姿を現した。
ハンスを見つめて
喜んでいるようにも見ようと思えば見える。

なんとあんなところに。

私たちについてきたんです。
そういうとフミコは、
何やらグリーマンに聞こえない声で
話しかけている。


a91

しばらくしてグリーンマンの姿は
ジャングルの中に消えていた。

何を話していたんです?

茂みから私たちの様子を見ていて、
ハンスさんがいるのに気がついて、
思わず顔を出したらしいわ。
ハンスさんが蘇生したことは、
リンリンから聞いて知ってたって。

シーザーがリンリンに
伝えてくれたんだわ。
とアイスが言った。

ハンスさん、
あなたが約束を守ってくれたことを、
すごく喜んでいましたよ。
リンリンも会いたがっているって。

そ、そうでしたか。

ずっと私たちについていきたいけど、
遺跡からあまり離れると
遺跡やジャングルを守れなくなる。
とも言ってた。
あなたはもう自由なんだから、
好きにしていいのよ。
って言っておいたわ。
あれで結構悩んでいるのよ。

複雑なストーカー心理なのね。
とアイスが言った。



解説)
続きます。
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Jul 18, 2024

フミコの帰郷 そのよん

a1

二人が月の扉のある部屋に戻ると、
リザードがまっていた。

おお、フミコ、蘇ったのだな。
ここの月の扉が使われたので、
もしやと思ってきてみたら、
やはりお前だったか。

リザード、本当に久しぶりね。
あなたが魔族の蘇生の呪文を
アイスに教えてくれたおかげで、
蘇ることができたの。
感謝してるわ。


a2

大昔の仲間内の戦争の結果、
というか、正確にはお前が死んでからのことだが、
我々レプテュリアンはむやみに人間と
接触してはならないという決まりになったんだ。
戦争が起きたのも、我々だけが
魔族と接触して文化を分かち合い、
仲間の嫉妬を買ったしまったのが原因だったからな。
ここの再興計画が中断したのもそのせいで、
魔族の協力が得られなくなったのでね。

だから人間に我々が記録した魔族の
呪文を教えるのは協定違反だったんだが、
あのグリーンマンの身の上が哀れでね。
再会を果たして自由にしてやったかい。

フミコはアイスにも話した
グリーンマンや動物たちとのやりとりを、
リザードにも伝えた。


a3

なんとそんなことを言ったか。
お前のかけた魔法が強力すぎたのかもしれないな。
はは冗談だよ。
彼らが遺跡とその周辺を
これからも守ってくれるのは
我々にとっても好都合だ。

私が蘇ったことをお仲間に知らせたの?

いや知らせるつもりもないよ。
知らせても、再生を繰り返して
生き継いでいる仲間も少なくなり、
お前の強大な呪力のことを覚えているものは、
もうほとんどいないだろう。

私はたまたまジャングルにリクガメ探しにきて、
知り合ったチンパンジーのリンリンに
何度かここの遺跡にまつわる昔語りをしていて、
お前のことをよく覚えていただけだ。
そうしたらグリーンマンの、お前を慕う、
哀れな話を聞いたのだよ。

あなたたちのリクガメ収集の趣味は変わってないのね。
とフミコが言った。

そうなんだ。
あ、そろそろおやつの時間なので
失礼するよ。
とリザードは言った。


a4

あっという間に行っちゃったわね。
レプティリアンって、
1日に何回おやつを食べるのかな。

ねえフミコ、もしできたら、
私、あなたの蘇生が成功したことを、
一緒にいった人たちにも教えてあげたいんだけど。
みんなどうなったか気にしていると思うの。

アイスはフミコより先に蘇ったハンスが、
特に気にかけていたことをかいつまんで話した。

鏡の扉を使ったらマークの集落にも行けるの?
とアイスが言った。

場所が特定できれば、どこにでも行けるわよ。
それはどのあたりにあるの?
この上にある集落の遺跡から
谷の渓流を越えてジャングルの斜面を登って
半日くらいの距離にある。

私が生きていた頃には、
都の近くにそんな集落なんてなかったわ。

マークっていう人が開拓したんだって。
それでマークの集落ってみんな呼んでる。
そこにはフラハっていう魔族の魔術師も住んでるの。
フラハは、あなたを甦らそうとしてくれた人よ。
呪力不足で頭蓋骨が震えただけで、
うまくいかなかったけれど。

ああ、なんとなく思い出した。
魔族の人だったら、
鏡の扉のことも知っているから
驚くこともないでしょう。
その人の家に行きましょう。

その前に、色々お世話になった
あなたに呪力を授けるから。


a5

そういうと、
フミコは持っていた肩飾りを手に取って、
肩飾りに嵌め込まれていた一粒の宝石を外し、
呪文を唱えた。

するとその宝石の嵌め込まれた
金の指輪が出現した。

これは私とグリーンマンからの
感謝の気持ちとして受け取って。


a6

フミコはアイスに向かって
呪文を唱えてから言った。

私は今、あなたに呪力を授けたの。
この指輪はあなたの呪力を昂めてくれる。


a7

どの指にはめればいいの?

右手の中指がいいのよ。
指輪には他にも効力があるけど、
それははめているとわかるわ。


a8

じゃあ、出発しましょう。
そのフラハの家の様子を思い浮かべて。
そして浮かんできた言葉を唱えるのよ。


a9

アイスが言われた通り、
フラハの家を思い浮かべて
脳裏に浮かんできた言葉を唱えると、
部屋の中に鏡の扉が出現した。
扉は中空に浮かんでいる。

こんなことが。

レプテュリアンの月の扉を使うと、
またリザードに迷惑かけるから。

彼らの月の扉や光の石は
たいてい固定された装置のようなもので、
マニュアルにある呪文で行き来するの。
魔族に伝わる鏡の扉は、
そういう使い方もできるし、
その都度出現させることもできる。
コツを覚えれば簡単で
ずっと便利よ。



解説)
続きます。
Posted at 20:25 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 17, 2024

フミコの帰郷 そのさん

a1

これでみんな見て回ったわ。
あとは地底の都の跡ね。


a2,jpg

二人は前にアイスがリザードと会話した
廃墟の一室に出た。

ここに出られるんだ。
彼らの月の扉を使ったの?

そうなの。
ここに来るためにリザードたちが
使っていた扉があったのを思い出したの。
今唱えたのは彼らの呪文よ。


a3

二人は回廊を歩いていく。

こんなふうに普通に呼吸できる空間を
少しずつ広げていく計画だったんだけど、
ここは私が死ぬ前とあまり変わっていない。


a4

あそこから外の様子を
見られるはず。
とフミコは言った。


a5

これを映し出しているのは、
私たちの魔法じゃなくて
リザードたちの技術。
彼らは水中が苦手だから。


a6

すっかり水草に覆われているけど、
華やかな都だったのよ。


a7

あ、マービーだ。
とアイスが言った。

マービーって、あの生き物のこと?

ええ。マービーはグリーンマンみたいに、
ここで誕生した変異種じゃないかって、
リザードが言っていたわ。
マービーが生まれたのは、
あなたが亡くなって後のことだって。
でもいつもここで何をしてるのか、
リザードもよく知らないって言ってたわよ。


a8

ここでは都の一部を再興するために、
リザードたちと協力して
魔法を相当使ったから、そのせいで
生まれたんでしょうね。
誰かが住んでくれれば嬉しいわ。
とフミコは言った。

マービーは姿を見られていることに
気が付かずに遠ざかっていった。


a9

水底にはマービーがゴルゴーって呼んでた
タコと魚のキメラみたいな
生き物もいたわよ。

ふーん。
長い歳月の間に私の知らないことが
色々と起きていたのね。

ジャングルには、
リンリンやシーザーっていう、
知能が進化した動物たちも生まれているの。



解説)
続きます。
Posted at 20:23 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 16, 2024

フミコの帰郷 そのに

a1

鏡の扉を抜けると、
そこは山の遺跡の中の広場だった。

ここに水盤があるね。
この側の石畳の下に
私たちより前に来たハンスっていう探検家が、
フミコのお墓の副葬品を集めて
隠してあるって聞いたよ。

ええ、さっき肩飾りを受け取ったとき、
グリーンマンも言ってたわ。
そんなことも話してたんだ。
彼はああみえて結構お利口さんなのよ。


a2

ここはね。
山の上にあって気候がいいから、
避暑地になっていたの。
山頂の展望台とも近いし。
展望台って、ストーンサークルのことかな。

そこには展望台って呼ばれる施設があって、
周囲の巨石群は、空から都を訪れる人たちのための、
目印になったりしていた。
でも戦争の時に徹底的に破壊された。

二人は建物の中に入っていく。


a3

確かに風が通り抜けて見晴らしも良くて、
気持ちがいいところね。
そうでしょう。
ここで友達とおしゃべりしたり
お昼寝するのが最高だった。


a4

ところでさっき
グリーンマンと話してたのはね。
とフミコが言った。

「あなたは長い間、ここが廃墟になってからも、
いつか私が蘇ることを信じて、
ずっとこの土地を守っていてくれたけれど、
もうそれも終わり。
私は私が死んだ後も、残された人たちが
安全に暮らせるように、あなたや動物たちに
この土地を守るように魔法をかけた。
でも長い歳月が流れ、住む人はもう誰もいない。
あなたは充分立派に役目を果たしてくれた。
もう自由になれるように魔法を解いてあげる」
って、私が言ったの。
そうしたらグリーンマンはちょっと考え込んでから、
これまで通りでいいって言ったのよ。

彼のいうのには、
何百年かに一度は、昔ここに住んでいた
人の子孫がこの遺跡を訪れることがあって、
伝承の記憶をよすがに、
都のいにしえの栄華を偲んでいくそうなの。
自分ではもう先祖の過去も知らずに
導かれるように来る人もいるという。
その人にとって、そんな体験は
一生に一度きりのことかもしれない。
でもその一度きりの体験の記憶が、
世代を超えて蘇り、繰り返されているんだと。
そんな魔族の末裔の訪問が絶えるまで、
この土地を守り続けたいというのよ。

その気持ちは嬉しいけど、
って私が言いかけたら、
いつの間にか周りに寄ってきていた動物たちが、
そうだそうだって言い出しちゃって。
私泣きそうになって、
わかったわかったって言って
逃げてきたの。


a5

ここは広場。子供がよく走って
よそ見してつまづいて転んで泣いてたわ。


a6

まるで別の星で見た記憶のように、
鮮やかに蘇る。


a7

あんなところにグリーンマンが。
彼はこの土地の中ならどこにでも
鏡の扉を出現させることができるから、
ああやってついてくるのよ。
次は祭壇のある湖の洞窟に行きましょう。


a8

ここの扉は特別なの?
ここだけは光る石でできてるの。
リザードたちの月の扉と同じ
仕組みが残っている。
彼らと一緒に暮らしていた頃の名残よ。


a9

ラッセルたちから話は聞いてたけど、
ここはすごいな。
魔族たちはこの土地に来て、
最初はこの洞窟に住んだと言われてる。
横穴式の住居跡があるはずよ。


a91

ここは私の墓所。
元は別世界に旅立つ人たちのための
特別な鏡の扉が置かれた祭壇だったの。
そんな場所にみんなで私を葬ってくれた。

グリーンマンがまた来てるわよ。
こっちにくればいいのに。
ああしてついてきて
覗いてみてるのが好きなのよ。
しょうもないやつなのね。



解説)
続きます。
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Jul 15, 2024

フミコの帰郷

a1

鏡の扉が現れたのは、
集落の遺跡の建物の中だった。


a2

鏡をすり抜けてフミコが姿を現した。


a3

続いてアイスもやってきた。
ああ、こんなふうに変わり果てて。
とフミコが言っている。


a4

ジャングルの眺めは変わらない。


a5

あそこの石畳が動いて、
地下へ降りる階段が開いたんだけど。
ええ、その仕掛け覚えてるわ。
戦さの前には仕掛けはなくて、
誰でも自由に降りていけたの。


a6

二人は集落の遺跡の外に出て、
遺跡前の広場を歩いている。

ここには賑やかな市が立ったの。
魔族以外の人たちとの交易も盛んだった。

この城塞都市みたいな造りはどうして。
最初は他の部族からの攻撃を防ぐためだった。
でもこんな風にしたのは、むしろ権威付のためよ。
この牢固で神聖そうな壁のおかげで、
地上での争いはほとんどなくなった。


a7

ちょっとだけ一人にしてね。
と言ってフミコは広場に佇んでいた。
はるか昔を思い出しているようだ。


a8

やがてジャングルの茂みから
グリーンマンが姿を現した。
嬉しそうな顔をしているようにも
見ようと思えば見える。


a9

フミコも気がついて
グリーンマンに近づいていった。
グリーンマンはバッグから
肩飾りを取り出して、
フミコに差し出している。

二人は声に出さない会話をしていた。
グリーンマンの顔には
やはり嬉しさが滲み出ている気がする。


a91

私の頭蓋骨を受け取ってくれて、
魔術師を見つけて私を蘇らせてくれたあなたに、
お礼を言いたいって言ってる。

お礼なんて。
まあよかったよかった。
と照れながらアイスは言った。


a92

やがて周りに動物たちが集まってきた。
フミコはかなり長い間、
アイスには聞き取れない会話をしていた。


a93

二人は鏡の扉のある建物に戻った。

アイスは他の遺跡は見たの?
調査隊は三つのグループに分かれて別行動したからね。
私が見たのはこの集落跡と地下の都だけ。
だったらこれから見てまわりましょう。
どんな様子か知りたいの。
と肩飾りを外したフミコが言った。

うん。ところでさっき
何話してたの?
色々とね。あとで話すわ。



解説)
続きます。
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Jul 14, 2024

フミコとの対話

a1

魔術劇場では
4人が応接室でくつろいでいた。


a2

どうです。その魔術書を読まれた感想は。
出版されたのは随分昔で、
古いものと聞くが。


a3

私からすれば新情報が盛り沢山です。
特に黒表紙の本は薬草のことで為になるわ。
赤い表紙の本はほとんど既知の呪文ばかり。
でもこんなマニュアルがあると便利ですね。
私たちは文字を持たなかったから。

でもすらすらお読みになって。

読むというより感じとるんです。


a4

カメ新聞か。
これ見るの久しぶり。
去年の一月以来かしら。
レプテュリアンが地底世界や
月の裏側で発行している新聞だって、
そのとき管理局のミラが言ってたけど、
私は彼らには直接会ったことがない。
フミコは昔仲良くしてたんでしょう。

いい人たちですよ。
特に私たちと交流していた人たちは。

新聞に書き写してある蘇生の呪文は、
水没した都でリザードが教えてくれたのよ。
彼らは魔族の呪文を聞き取って記録保存していたの。
とアイスが言った。

あなたは地下の都まで行ったのね。
水没した都の一部の再建を、彼らと協力してやっていたの。
私はその途中で死んじゃったんですけど、
あれがどうなったのか。


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フミコは立ち上がると、
さっと手を振って、短く呪文を唱えた。

するとそこに扉が現れた。

a6

この館は魔法陣の上に建てられているんですね。
魔法の効力が素晴らしいわ。
この扉は今、私の故郷の集落の跡と繋がっています。
そこに行っても、もう人は誰もいないことはわかっていますが、
そこに私の帰りをずっと待っているものがいるんです。
彼に私が蘇ったことを知らせに行ってきます。


a7

なるほど、お見事な呪文ですな。
鏡の扉は、この魔術劇場の中では、
各部屋の出入り口にも使っています。
あなた専用の部屋もすぐ用意しますから、
お戻りになったら是非自由にお使いください。

重ね重ね、ありがとうございます。
今の私に人間の知り合いはあなた方だけ。
必要なことを済ませたら、
また戻ってきて、お世話になりますわ。
その節はどうぞよろしく。


a8

私も一緒に行っていい?
もちろんよアイス。
こんなふうに呪文を呟いて。

二人は鏡の扉の中に消えていった。


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お前、とんでもない人を蘇らせたな。
そうなの?
あの人の特別な能力は、
多分生き物全般に呪力を授けることができることだ。
それって変わった能力なの?
魔族というのは魔法が使えるだけで
体は普通の人間とかわらないだろう。
彼女は普通の人間にも呪力を与えて、
魔族と同等の力を持つようにしてしまえるのさ。
ふーん、そのどこが凄いのか、
いまいちよくわからないけど。
まあいいさ。
くれぐれも仲良くやってくれよ。
喧嘩する理由なんてないよ。
いい人みたいだし。



解説)
続きます。
Posted at 20:29 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 13, 2024

新たな出会いなど

a1

喫茶ペンギンの前で、
バグとミラが話している。
はるなが今日のサービスはバナナです。
と言っている。


a2

今度の波動はすごかったね。
発信源はこのすぐ近くだよ。あんな強力なの、
これまで体感したことがなかった。

この近くっていうことは、
魔族のハリー一家が怪しいわね。

使われたのは前のと同じタイプの蘇生の呪文だ。

情報管理部に戻って、
詳細を確かめてこようか。


a3

でも報告あげても、
局長動くかなあ。
あ、このバナナ甘くておいしいね。
なんだか癖になりそう。


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友達の佳奈から、
さっき旅行のお土産にもらったんです。
佳奈はアフリカに行ってたんですよ。
とはるなは嬉しそうに言った。


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その頃、魔術劇場に招かれたフミコは、
ハリーに面会していた。

おや、これは新しいお客人かな。
フミコって言います。


a6

アイスは知ってるわよね。
うん。顔馴染みだよ。
フミコはね。大昔にアフリカで生きていた魔族の人、
私が魔法を使って頭蓋骨から蘇生したのよ。

なんとお前、あの蘇生の呪文を唱えたのか。

正確には古代の魔族が使っていた呪文だけどね。
アフリカで栄えていた古代の魔族っていうと、
お父さんのご先祖かもしれないわよね。

ふむ。魔族と言っても色々だからね。
アフリカに魔族たちの都があったという話は聞いているが、
それ以前に、すでに魔族は世界に分散していた。

よくご存知ですね。
おっしゃる通りですわ。
私たちの都の歴史は、
魔族全体の歴史のごく一部なのです。
とフミコは言った。


a7

その頃、マンゴー亭では、
ルビーたちが話していた。

それでラッセル、
これからどうするの。


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あそこの遺跡調査はほぼ終わり、
副葬品が入手できれば希少で学術的な価値もあるが、
なにせ所有者が蘇っちゃったからね。
遺跡の存在もとても公表するわけにいかない。
最終的にはクラウドたちと相談して決めることだけど。
僕はまたどこか別の秘境を探すよ。


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いくつになっても探検をやめないで、
新たなロマンを求め続けるあなたらしいわね。
それでさっき話していた大きな鳥の羽根の話は?

うん、巨大な鳥の発見にはロマンがあるんだが、
もし魔法や魔族が絡んでいるとすると、
僕の求めるロマンとはちょっと違うんだなあ。


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私は一人でも出かけて行って、
マークと一緒にその鳥を探したい。
せっかく友達になれたんだし。
でもマークの集落まではあまりにも遠いのよね。
と佳奈は言った。



解説)
続きます。
Posted at 21:09 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Jul 12, 2024

蘇生の呪術

a1

佳奈がお土産のバナナを
知り合いに配りにいったあと、
二階のデジャから肉まんを食べに
ヴィヴィアンが降りてきた。

おや、アイス。
しばらくぶりね。
休暇で旅行にいってたんだって?
と言っている。


a2

アイスは、
実はあなたに頼みたいことがあるんだけど。
と言って、かいつまんで、
ヴィヴィアンに旅先でのいきさつを説明した。

ふーん。アイスの直々のご指名とあれば、
断るわけにいかないわね。


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アイスはヴィヴィアンにカメ新聞を
手渡した。
この呪文、魔法の書に載っているのと
微妙に違うわね。
古代の魔族はこんなふうに唱えていたんだ。

できそう?
微妙な違いだからすぐ暗記できるよ。
でも死者の頭蓋骨の蘇生はやったことがない。
自然の摂理に反する呪法で、
蘇る途中で失敗すると恐ろしいことが起きるから、
滅多なことで使うなって、
ハリーに釘を刺されてるのよ。


a4

でもやっちゃうけど。
という