Feb 21, 2024

春を待つ日々 そのさん

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ドルフィンの二階では、
おやつタイムが始まっていた。
みんなモモコの
お茶碗捌きに注目している。


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モモコ。その斜めの手の角度、
とても優雅ね。
と言われている。


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あ、ところで、今子に教えてもらった一茶の句。
「狐の子そこのけそこのけ子熊が通る」って、
文学青年がちょっと違うって言ってたよ。
狐の子と子熊じゃなくて、雀の子とお馬なんだって。
え。
そうなの。私お姉さんから教わったのよ。
お姉さんは一茶が生きていた時代の
生き証人なんだから。


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横で聞いていた駒井魔子が言った。
そうか。あなたももう大人なんだから、
本当のことを知った方がいいわね。
それはね。文学青年の指摘が正しいの。
私は、幼なかったあなたのために
狐バージョンを作って教えていたのよ。
他にも、「我と来て遊べや親のない狐」とか。

そーだったんだ。
その句も大好きで私随分慰められた。


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妹想いのお姉さんだったのね。
とペギーが言った。


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あ、デイリープラネットに
春節の龍の舞の写真が載っているよ。
「龍の舞で起きたミラクル」
っていうタイトルの記事。
とニッキーが言った。


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記事の横には、
エトナが撮影した写真が
掲載されていた。


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その頃、デジャには、
春節が終わって一息ついた
マンゴー亭のシェフの
丹下健太が休憩に来ていた。


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この町に来て、
あなたの踊りを見られたのは幸いでした。
造形美術とはジャンルは違いますが、
あの舞踏は芸術作品ですなあ。
とトマソンが言っている。


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そうそう。
僕も双眼鏡でここから見てたんだけど。
あのハイジャンプ。
しばらく空中に浮いているように見えたよ。
とゼロが言った。


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あれはね。
確かに私の長年の修練の成果でもありますが、
あのガルーダの被り物に
特殊な霊力が備わっているんです。
普通の人が被ると、
制御できなくなって踊り狂いますから。

そういえば、一昨年チンパンジーが被って
騒動になったことがあったわね。
とマリアが言った。


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ふむ。むしろそういう
霊力や魔力を修練によって
制御して作品に昇華するのが
芸術の営みなのかもしれないね。
トマソン君は最近作品を量産しているようだが。

このところリアルな夢ばかり見て、
絶好調なんですよ。
とトマソンが言った。



解説)
新聞掲載の画像は再掲です。
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