Oct 01, 2026
コンテストの発表など

起き出したアイスたちがバー・エデンで
話していると、
リザードがやってきて加わった。
昨日はよく飲みましたね。
とノヴァが言った。
昨日って、ここでは時間はどうなってるの。
宇宙連合で使用している宇宙歴での
算出方法はありますが、
あなたたちの決めている基準での
日本標準時だと、今は10月1日の朝です。
ここでも地球オタクたちも面白がって使っています。
もう月が変わったのね。
コンテストの発表の日じゃない?
今月は候補者がいるのか心配。
アイスは気にしすぎよ。
ところで君たち、ちょっと
面白いものを見にこないか。
とリザードが言った。

リザードはステーションの通路を辿り、
二人を頑丈そうなドアの前に案内した。
このドアの向こうなんだ。

ドアを開けて部屋に入ると、
そこにはジャングルの風景が広がり、
アフリカの世界のようだった。
ここでは主に収集したリクガメを
飼育しているんだよ。
ここも宇宙ステーションの中なの?
ふむ。
微妙に光の色合いが違うだろう。
この部屋だけ地球環境を再現しているんだよ。
君たちの動物園のようなものだな。

こういうのって、
宇宙連合の規約で禁じられているんじゃないの?
この宇宙ステーションは、
元々我々レプティリアンの船だったものを
譲り受けた宇宙連合が改造したものなんだ。
我々のリクガメ愛好の歴史は古く、
この設備は元からあったものなんだよ。
今の艦長のメイズは話のわかる人なんでね。
大目に見てもらっているのね。
まあ、そういうことだな。
ルナシティに行けば、
宇宙連合公認の、もっと広大な施設もある。
なんと言っても異文化共生だからな。
どうだい。
首をすくめると、なんとも言えず可愛いだろう。

リザードのカメ自慢に付き合った二人は
ブロアに戻ってきた。
出会ったカコが、
昨夜は随分盛り上がってたわね。
と声をかけている。

カコを見ていたアイスが、
何かを思いついたように言った。
カコ、ちょっと頼みを聞いてくれない?
なあに?

アイスの頼みというのは、
広場に行ってコンテストに応募することだった。
私そういうのは。
それに先月分の応募は昨日までで、
今日が発表当日なんでしょう?
そこはなんとでもなるのよ。
ヴィヴィアンはどうする?
私はエデンで待ってるわ。
コンテストにあまり興味ないし。

時は省略するかのように流れ、
アイスとカコが広場に到着すると、
ルビーが浮かぬ顔をして立っていた。
ルビー、コンテストの
優勝者は決まったの?
それがまだなのよ。
やっぱりね。
ちょうどギリギリ間に合ったわ。

ルビーはマイクを手にアナウンスを始めた。
みなさん、
先月のコスプレコンテストの優勝者を発表します。
厳正中立な審査の結果、
優勝されたのは、
ロングコートと赤い帽子がお似合いの、
はるか遠くから観光でお見えになられたカコさんです。
また、
今月はハロウィーン月間です。
コンテストには、ハロウィーン関連の扮装で
参加されることをお勧めします。
もちろん普段着でも構いませんが。
また準備始めなくちゃ。
と佳奈は思っている。

カコは万雷の拍手と歓声に包まれて、
トロフィを授与されている。
私。
あ、カコさん、ご協力感謝します。
ぜひ何もおっしゃらずに
お受け取りください。
解説)
続きます。
Sep 30, 2026
船内で

ヴィヴィアンは、アイスに案内されて、
船内を見て回っている。
ここは情報を収集している部署ね。

このあたりは円盤の発着場。
遠方から物資を運んでくる宇宙船も
あるみたい。

あれは私専用の円盤よ。
まだ乗ったことはないけど、
いつでも使っていいことになっている。
好待遇なのね。
メイズから、宇宙人と人類との間に
トラブルがあった時に、
仲介を頼まれたのよ。
使う機会がないといいけど。

円盤から女性が降りてきた。
あの人はサニーって言って、
あの円盤の専属操縦士よ。
元は軍のパイロットだったけど、
瀕死の事故に遭い、宇宙人に救出されて、
サイボーグに改造されて、
それ以来円盤で暮らしている。
私、見覚えがあるわ。

アイス、円盤に乗りにきたの?
いえ違うの。
こちらはヴィヴィアン。
彼女に船内を案内して
通りがかっただけなのよ。
超新星の爆発の幻影を見せてくれた人ね。
それにノヴァから噂は聞いている。
随分お世話になったって言ってたわよ。
アイスとも久しぶりだし、
ノヴァにも声をかけて、
ちょっと一杯飲まない?

三人はバー・エデンに移動して、
ノヴァも呼んで飲み始めた。
私が18年ぶりに地球に帰って、
懐かしいあの広場界隈を再訪したのは、
去年の3月の初めだった。
とサニーが言った。
その月の月はじめのコンテストで
僕が優勝してたんです。
僕もヴィヴィアンさんに案内してもらって、
高台の休憩所や、ペンギンに行ったんですよ。
とノヴァが言った。
接近遭遇だったのね。
どうりで見覚えがあると思った。
私は別の姿をしてたから、
あなたは気がつかなかったでしょうけど。
とヴィヴィアンが言った。
これはけっこういけるわね。
とアイスが言った。
特別に醸造してもらっているんです。
けっこう強いお酒ですよ。

別のテーブル席に、
アイスたちの歌声が流れてくる。
アイスたち、盛り上がってるなあ。
あれなんていう歌?
「ふるさと」っていう歌だよ。
きっと旧交を温めているんだよ。

かなり酔っ払って
三人はエデンを後にした。
ちょっと調子に乗って
飲みすぎちゃったみたい。
泊まってこうか。
そんなのありなの?
サニーもヘロヘロになっている。

アイスは専用の部屋に、
ヴィヴィアンは観光客用の客室で
それぞれ泊まることになった。
これはばたんきゅーだわ。

アイスは流星群の夢を見た。
解説)
続きます。
Sep 29, 2026
メイズのリクエスト

ヴィヴィアンさん。
ようこそ宇宙ステーションへ。
艦長のメイズと副官のオニールです。
あ、どうも初めまして。
私のことをご存知なのね。

それはもう、色々と。
私たちはずっと地球を観察していて、
あなたの情報も届いてくる。
それに、あなたのご両親や、
サラやシモーヌからも噂を聞いているわ。
魔族から悪魔になったあなたのことは、
特に注目していたのよ。
ヴィヴィアンは悪魔になってから結構、
魔法を使いまくりだったから目立つのよ。
空を飛んだり、犬や猫を人間に変えたりしたでしょ。
とアイスが言った。
そうかしら。
そんなことまで知られているなんて。
地球にはかなり宇宙人が紛れ込んでいるんですよ。
レプティリアンのように
あなた方が光学迷彩と呼ぶマントで
姿を隠しているものもいる。
壁に耳あり障子に目ありです。
その例えはちょっと。

それはともかく、
この惑星にはいくつか特異なゾーンがあるの。
一つは迷いの森と呼ばれている地域だけど、
ここは異空間で全く別格。
でも他にも魔族の魔法が関わっている
と思われる地域がある。
そこでは空間自体の質が異なっているの。
そんな地域の一つの近くで、
地球観光をしていた円盤が
不思議な情景を観察したのよ。
上空に花火のようなものが打ち上がり、
一帯を覆い尽くした。
けれど観測しても周辺環境に
何の実質的な変化もなかった。
ああそれね。
そういうことは、たまに起きて、
それが魔族の魔法の仕業だということはわかっている。
でもその時の光景は、規模が違った。
あれは黒木さんとシモーヌとフミコと
ヴィヴィアンと私が一緒にやったからね。
でもそのことももうご存知なんでしょう。
とアイスが言った。
そうそう。花火が幻影で
魔法で花火を作り出したのが誰かもわかったわ。
その花火の情景は宇宙ステーションにも
転送されてきて、みんなで楽しんだんだけど、
特に私が気に入ったのは、超新星の爆発。
あああれね。
それで、私からのリクエストなんだけど、
また見せてくれないかしら。

それなら、
お安いご用よ。
三人は天体がよく見える場所に移動した。

ヴィヴィアンは呪文を唱え始めた。
薄い煙が立ち上っている。

宇宙空間に超新星の爆発する
幻影が出現した。

なんて美しい。
とメイズは呟いている。

別室のフロアでも
みんなが見上げていた。

メイズ艦長。
もしかして私たちを呼んだのは、
今のが見たかったからなの?
とアイスが言っいる。
そうよ。
ノヴァとエリスが
あなたたちを船に招いたから、
いい機会だと思って。
ヴィヴィアンどうもありがとう。
私たちのように、長い間星の海で生きていると、
ああいうイベントが感動的なのよ。
その気持ちはわからないけど、
わかる気もするわ。
とヴィヴィアンは言った。
解説)
続きます。
Sep 28, 2026
宇宙ステーションで

アイスたちは転送装置を使って
宇宙ステーションにやってきた。
ヴィヴィアンは初めてきたので、
少し緊張している。

ずいぶん広いのね、
どこに向かっているの。
まずは憩いの場所。

ここが噂の宇宙酒場、
バー・エデンよ。
聞いたことないけど。

店内にはノヴァがいた。
ヴィヴィアンさん、
やっぱり来てくれたんですね。
奥の席を取ってあります。

一行は店の奥に向かった。
テーブルではルースとダックが
話している。
今年のドジャースはどうだろう。
やっぱり大谷次第じゃないか。
あ、あれはアイスじゃないか。
連れは誰だろう。
みた事ないな。
いや、あ、この前の。
などと話している、

奥のテーブル席につくと、
料理が運ばれてきた。
なんだか普通のレストランか、
居酒屋にいるみたいな感じね。
地球の環境を再現しているんです。
外の景色はホログラムなんですよ。
この料理は?
あなた方のお口に合うものばかりですから、
ご心配なく。
この前寿司パーティが開かれた時、
ローラさんから色々レシピを聞いたようで、
地球食が流行っているんです。
あなたたちも食べてるの?
消化器官が違うので、
地球食をテーブルに並べるだけの者もいます。
生命維持に必要な食料はそれぞれ故郷の星から
送られてきますが、
ここは地球オタクの溜まり場ですから。

話に花が咲いていると、
カコがやってきて声をかけた。
こんにちわアイス、
それにヴィヴィアンね。
お二人にメイズがお会いしたいって。
メイズって誰だっけ?
とヴィヴィアンが言った。
この船の艦長よ。
何の用事かしら。
緊急事態っていう感じでもなかったわ。
挨拶したいだけなんじゃない?

メイズのいる場所はわかるの?
前にも呼ばれたことがあるからね。

二人が宇宙ステーションの艦長室に着くと、
人間に例えると、
福助の陣羽織のようなものを纏った女性と、
赤鬼のような顔をした男性が待っていた。
解説)
続きます。
Sep 27, 2026
再会を果たして

みんなは、2年前に遺跡探検に行った時の
昔話に盛り上がっていた。
遺跡群は三箇所に分かれていてね。
それで3つの班に分かれて探検したんだ。
一番の危機はグリーンマンとの遭遇だった。
撤収しようとして遺跡でキャンプをしていたら、
ジャングルの獣たちが続々集まってきたんだ。
突然集まってきた原因は、アンドレアが、
フミコの副葬品を盗もうとしたせいだったんだが。
それでどうしたの?
アイスがグリーンマンと直接交渉してね。
副葬品を返して、なんとか事なきを得たんだよ。
私の知らないところで、
アイスは活躍してたわけね。
スリル満点だったわ。

ようやく歓談の時が終わった。
お父さん。
こちらのヴィヴィアンさんはフミコを
蘇生させた悪魔なのよ。
そうか。
私も、フラハという魔族に
頭蓋骨から蘇生させてもらったんだ。
ハンスさん。
死んだ後の世界を覚えているの?
よく覚えていないなあ。
風ばかり吹く砂漠のようなところだった気がするが。
誰かに会った記憶は?
エリーゼやアスラーダっていう名前に、
聞き覚えはない?
さっぱり覚えていないんだよ。
後に残した娘のことがずっと気がかりで、
その執着のせいで蘇ることができたのかもしれない。
いいお父さんだったみたいね。

じゃあそろそろ、おいとまするわ。
よかったら今年のハロウィーン月間には遊びに来てよ。
そうね。
どうすればいけるんだい?
村外れのフラハの家の裏庭に
鏡の扉があるの。
フラハに私から聞いたって、
頼めば開けてくれるわ。
フラハにも話しておくけど、
村の人には秘密よ。

三人はリンたちの家を後にした。
リンが見送っている。

マークは途中で声をかけられ、
アマンダと話している。
何か用事ができたみたい。
私たちに付き合ってくれたけど、
マークはこの村のリーダーだし、
色々仕事があるのよ。
じゃあ私たちだけで、
一旦ホテルに戻りましょう。
温泉もあるし。

アイスとヴィヴィアンが、
マークの家の前を抜け、
ジャングルを抜けてホテルに到着すると、
エレナに出会った。
しばらく前に散歩から戻ってきたんですけど、
宇宙ステーションに、お二人が
ホテルにいらっしゃってると連絡して、
艦長から乗船許可をもらいました。
もちろん、もし良ければですけど。
ヴィヴィアン、どうする?
せっかく許可まで取ってくれたんだから、
乗ってみない?
そうねー。

三人はホテルの裏の広場に向かった。
アイスは何度も乗ってるの?
結構乗ってるわよ。
私とヴィヴィアンが航海してる間に、
ピピが昏睡状態になって、
カコに呼ばれて、あなたのご両親や
サラやシモーヌも乗船したことがあるって
聞いてるわ。
それに、昨年の11月には、
サラさんとローラさんが、
お寿司を握りにきてくださったんですよ。
そうだったの。
なんだか普通の場所なのね。

まずアイスが転送装置で
運ばれていく。

あれいつか乗ってみたいなあ。
と言っている。
解説)
続きます。
Sep 26, 2026
帰路と再会

三人は滝の上の高台から
渓流沿いに帰路に着いた。

珍種のワニね。
以前に遺跡探検をした時も
見かけたわ。
とアイスが言った。
このあたりは
魔族のかけた魔法の影響で、
こういうのが生まれるんだ。

三人は診療所の前まで
戻ってきて、アーネストに挨拶している。
ハロウィーンには、
ぜひお面を被ってきてください。
考えとくよ。
とアーネストが言っている。
ホテルに帰るにはまだ陽が高いし
いったん村まで行こうか。

ジャングルを抜けて、
フラハの家の前を通り、
さらにジャングルを抜けて
三人が集落の中心部に行くと、
アイスは見覚えのある女性に出会った。
リンじゃないの?
久しぶりねアイス。

みなさんお元気?
ええ、相変わらず
同じ所で暮らしているわ。
こちらはヴィヴィアン。
この村は初めてなので、
マークと一緒に案内している所なの。
だったら、うちに遊びに来ない?
みんなもいるし。
きっと喜ぶわよ。

三人はリンと一緒に
リンたちの家に向かった。
この蔓草のゲートをくぐるの、
久しぶりだなあ。

見覚えのある家が見えたので、
アイスは先頭に立っている。
ここだここだ。

お疲れ様。
今呼んでくる。

リンが戻ってくると
一緒に二人の男性が現れた。
アイス。2年ぶりだね。
すっかりご無沙汰しちゃって。
ヴィヴィアンさんは初めてね。
私の父のハンスと、
共同研究者で私のパートナーのクラウドよ。
それはどうも。

2年前に遺跡探検をした時、
この家がベースキャンプになったのよ。
アイスとは、それ以来の再会というわけなの。
このメンバーで探検したの?
父はいなかったけど、
私とクラウドの他に、
探検家仲間のラッセルとブラッド。
アイスと佳奈と、村に住んでいる
マークとアーネストとアンドレアの
9名が参加メンバーよ。
それでアイスは村に知り合いが多いのね。
解説)
続きます。
Sep 25, 2026
花の咲く場所

三人は休憩していた。

魔族は薬草に詳しいんでしょう。
ヴィヴィアンはこの花知ってた?
私は赤い魔術書勉強したことないから。
ハリーなら知っているかも。

村の近くには、もう一箇所、
ピンクの花の咲く薬草の群生地があるんだよ。
そっちの方は、切り傷の特効薬なんだ。

軽い食事を済ませて、
ヴィヴィアンはあたりを散策している。

ヴィヴィアン。
何してるの?
ちょっと話を聞いてるのよ。
なんて言ってるの。
お腹が空いてるって。

豹の子供たちが、
不思議そうに見守っている。

その時、ジャングルの奥から
レプティリアンが現れた。
あ、あれはシベールだ。

やあ、こんなところで出会えるとはね。
知らないかもしれないが、
ここは我々がリクガメを採取する区域なんだ。
ここには珍種が多いのでね。

それは地球の環境に手をつけないっていう
宇宙連合との協定違反じゃないの。
そこはそれなんだよ。
ペットとしてトカゲやリクガメを飼うのは、
彼らと協定を結ぶ前からの、
我々のささやかな趣味なんだ。
君たちもいろんなペットを飼うだろう。
ふーん。
わかったわ。
宇宙連合に報告はしないけど、
リクガメは絶滅危惧種も多いから、
せいぜい乱獲はしないようにね。
アイスは話がわかるなあ。
お、もうおやつの時間か。
これで失礼するよ。

シベールが立ち去った後、
ほど近い森陰から円盤が
空に舞い上がるのが見えた。
ヴィヴィアンは何も言わなかったね。
私、シベールって
私の魔力に興味を持っているって聞いてから、
どうも苦手なのよ。
解説)
続きます。
Sep 24, 2026
滝を見に行く

三人はマイケルと別れて
診療所の前に着いた。
アーネストが表にいるようだ。

アーネストは三人に気がつくと、
近寄ってきて言葉を交わしている。
アイス久しぶりじゃないか。
2年ぶりね。
アーネストは私たちの町に来ないから。
これでもお尋ね者なんでね。
おやそちらは?
ヴィヴィアンっていうの。
魔族のハリーの娘さんで
悪魔になったっていう人か。
フラハから噂は聞いているよ。

それで、誰か病人でもいるのかい。
観光で滝を見に来ただけなの。
ここは通り道だから。
そうか、
滝を見にくるなんて、
2年前の9月のルビーとフレイム以来だな。
彼女たちは君の仲間なんだろう。
CGの同僚ね。
二人とも元気でやってるわよ。
あなたがここに潜伏していることは、
口外しないから安心して。
ふむ。
恩に着るよ。
部下も世話になってるしね。

三人はアーネストと別れて、
渓流沿いに上流に向かって歩き始めた。
アーネストが言ってた
部下って?
マイケルのことだよ。
彼らはゲリラなんだ。

時折、獣の吠える声がする。
あれは警告かな。
さすがアフリカね。
あそこを登れば、
滝があるはずだよ。

なかなか見事な景観ね。
ここで休憩してもいいけど、
どうする?
この上に花園があるんでしょ。
そこまで行って休憩しない?

三人は滝の横から崖を登って行った。
変わった形の樹木だなあ。

ここが花の群生地ね。
この花、曼珠沙華に似ているわ。
この花は薬草になるんだけど、
村人もここまでは登ってこない。
私は花のことをリンリンから聞いたのよ。
彼らは知ってるんだろうな。
知能の高い魔法生物だから。
村人が近づかないのは、
グリーンマンと遭遇するのを
恐れているからなんだ。
ここは村の南で、距離的には、
南西の遺跡にも近いからね。
グリーンマンって、今でも出てくるの?
フミコが蘇ってからは、
フミコのストーカーをしてるんじゃない?
遺跡と周辺の森をを守るっていう役目は
続けているみたいだよ。
あれは神出鬼没だからね。

おお、リクガメが沢山いるね。
リンリンの言っていた通りね。
リクガメを見ると、オセロを思い出す。
オセロって、サラたちが
飼っているリクガメでしょ。
あのカメはね。
サラがメルティの夢の世界で、
ウサギの夢を見て、目が覚めたら、
サラのポケットに忍び込んでいたらしいの。
私がサイズを大きくしてあげたから覚えている。
2023年の1月のことよ。
とヴィヴィアンが言った。
すると、メルティの夢の世界で見た
サラの夢の世界の
生き物っていうことになるわね。
夢のまた夢か。
どうでもいいけど、
夢のまた夢って、
そういう意味じゃないんじゃない?
解説)
続きます。
Sep 23, 2026
ホテルから出かける

アイスがホテルのロビーにいくと、
宿泊客に混じって
ヴィヴィアンと話しているマークの姿が見えた。

昨日、アマンダから二人が
ホテルに来てるって聞いたんだけど、
夜になってたから、さっき来たんだ。
滝を見にいくんだって?
僕は一度行ったことがあるんだ。
案内するよ。
それは助かるわ。

皆さんは?
ダリオさんが案内してくれるというので、
村の東の方に散歩に行きます。
沼地や見晴らしのいい山があるそうよ。
お家にも招待してくれたの。
あ、私も行ったことあるから
知ってるわ。
じゃあ、雷雨に気をつけて楽しんでね。
とアイスが言った。

三人はリンリンに見送られて
ホテルから出発した。

ジャングルを抜けて、
フラハの家の前にでた。
フラハが挨拶している。
ここから南に向かいます。

町の広場にはたまに遊びにいくけど、
なかなか会えなかったね。
半年くらいヴィヴィアンと
海賊船で航海してたから。
ふーん。

結構歩くのね。
これでもまだ村外れですよ。
この先にアーネストの診療所があるんです。
あら、誰かしら。
あの人、体の動きが変よ。

よろよろしながら人影が近づいてきた。
ああ、マイケルじゃないか。
驚かせてすみません。
診療所にご用ですか。
診療を受けに来たわけじゃないの。
診療所の前を流れている
渓流の上流にある滝を見に来たんだ。

そうでしたか。
ああ、アイスさんじゃないですか。
今年も来月、広場のハロウィーン月間には
いくつもりなんですよ。
毎年参加してるのね。
2年前からですけど、
仮装しなくても、
ゾンビ風に歩くと、
みんな驚いてくれるんです。
そーなんでしょうね。
それで、
ちょっと練習してたんです。
解説)
続きます。
Sep 22, 2026
ホテルに泊まる

やがて陽が落ちて夜になった。

ロビーでアイスとヴィヴィアンが話している。
明日は、南の渓流を散歩して
滝と花園を見に行きましょう。
普通の観光客みたいな
ことをするのね。

そこにホテルの従業員の
クロとボギーとトラが
顔を見せた。
みんなどうしたの?
滅多にお会いする機会がないので、
改めてご挨拶に来たんです。
みんな人間に似た姿にしてもらえたのは
ヴィヴィアンさんのおかげですから。
そんなこと気にしないでいいのよ。

人間社会に馴染めない私たちのために
犬猫猿鳥同盟を作ってくださったり、
こんな素敵な所に暮らせる環境まで
作っていただいて。
それもこれもマリアのアイデアよ。
私はあなたたちの面倒を彼女に任せただけ。
そうか原因は
みんなヴィヴィアンにあったんだ。
とアイスが言った。
原因なんて
諸悪の根源みたいに言わないでよ。
さあ、もう寝ましょう。

他の宿泊客たちも
それぞれ部屋に戻って行った。
部屋で普通に眠るんですか。
郷にいればっていうでしょ。
人間の真似をするのが、
楽しいのよ。
ほんとに地球オタクなんですね。

メイヴに出会ったのが
もう何日も前のことのよう。
わりと長い1日だったなあ。

数え方によるのかなあ。
などと呟いて、
アイスは夢も見ないで
ぐっすりと眠り込んだ。

翌朝も快晴だった。

アイスさん。
おはようございます。
おはよ。
冷房効いてるのね。
私は暑いのはダメなんです。
解説)
続きます。
Sep 21, 2026
ホテルに戻る

豹変亭での会話は続いていた。
私、しばらくホテルで
温泉に浸かりながらゆっくりするつもりなのよ。
とヴィヴィアンが言った。
だったら宇宙ステーションに
遊びに来ませんか?
色々お世話になったことだし、
アイスさんも一緒なら艦長が絶対許可してくれます。
とノヴァが言った。
そうね。それもいいけど、
まずは周辺をぶらぶらしてみたい。
あなたたちこの土地には詳しいの?
村の周辺はどこもジャングルですからね。
村の周辺のことならら
ここあたりを先住民から譲り受けたというフラハや、
村を開拓したマークが詳しいんじゃないかな。
ジャングルのことなら、シーザーやリンリンが
詳しいはずよ。
彼らはずっとジャングルに住んでたわけだから。
とアイスが言った。
そうか。
灯台下暗しね。
ホテルに帰ったら聞いてみるわ。
とりあえず、食事も済ませたし、
暗くならないうちにホテルに戻りましょうか。

アイスは店を出る時に、入れ違いに
店にやってきたアマンダに出会った。
あらアマンダ。私のこと覚えてる?
もちろん、アイスよね。
もしマークを見かけたら、
私とヴィヴィアンが
ホテルにいるって伝えてくれないかしら。
いいわよ。

五人はホテルに帰っていく。

時は省略するかのように流れ、
五人はホテル・ナジャに到着した。

ヴィヴィアンはホテルに入っていく。
私たちは温泉に行きません?
そうねえ。

ヴィヴィアン様おかえりなさい。
フンボルトはルームキーを渡している。
あ、リンリン。
ちょっとお話が聞きたいんだけど、
今空いてるかな?

喫茶室で二人が向き合っていると、
シーザーもやってきた。
聞きたいことっていうのは、
このホテルやマークの村の周辺のこと。
しばらくここに泊まって
このあたりを、みて回りたいんだけど。
わかりました。
このあたりは僕らの庭のようなものですから。

庭といっても、基本的に
ジャングルばかりなんですよ。
村のあるこのあたりは少し高台にになっていまして、
ずっと東に行くと沼地があります。
そこにダリオさんの家もあるんです。
西南の方に崖を下っていくと谷になり、
そこから緩やかな斜面を登っていくと、
魔族の古代遺跡群があります。
でもその辺りは今でも魔法がかかっていて、
部外者は立ち入れないことになっています。
僕たちはその地域で生まれた魔法生物なんです。
なるほどね。一昨年の6月に
アイスたち遺跡調査の探検隊が行った場所ね。
その古代遺跡には蘇ったフミコに連れて行ってもらった。
他にはどこか見どころはないの?
村の南の方のはずれに
渓流が流れていて、下流に小さな泉がありますよ。
渓流を遡ると滝が見える場所もあります。
その滝の上に綺麗な赤い花の群生地がありますが、
そこはリクガメの生息地で。
その話はルビーから聞いたことがあるわ。
そこで宇宙人のピピが、
大きな九官鳥にさらわれたっていう話。
ルビーさんたちにもお勧めしたんです。
観光っていうと、景色のいい場所は、
そこくらいしか思いつかないんで。
あとは行けども行けどもジャングルです。
ありがと。よくわかったわ。

その頃、アイスとエレナは、
ホテルの裏の広場で、
温泉に入浴する順番を待っていた。
無理すれば四人は一緒に入れるんだけどね。
無理しない方がいいのよ。
ノヴァは呼吸装置みたいなのを外して、
ラバーのマスクも外すのかしら。
サラはノヴァの素顔を見せてもらった
ことがあるって言ってたわ。
素顔ねー。
解説)
続きます。
Sep 20, 2026
豹変亭で

三人はマークの村に向かっていた。
アイスとは一年ぶりだけど、
去年のハロウィーンには
私たち広場に見物に行ったのよ。

ルースやシーサンやアルニも来ていたね。
シーサンヤアルニは常連見たいね。
スターウォーズマニアの宇宙人に
作られたロボットだから、
無理もないけど。
今年も来月のハロウィーン月間が楽しみ。

村に着いたわ。
レストランは一軒だけだから、
すぐわかる。

三人は豹変亭に入って行った。

アイスも来たわね。
顔を合わせたくないなあ。
あなたは給仕なんだから、
ちゃんと注文とりに行ってよ。

いたいた。
三人は
ヴィヴィアンとダリオに合流した。

ヴィヴィアンさん、お久しぶりです。
昨年広場に遊びに行った折には、
色々案内していただいて感謝してます。
とノヴァが言った。
あなたは魔族や魔法の研究をしてるって言ってたわね。
迷いの森の空気が吸ってみたいなんて言い出して、
密猟者のピエールを探してきて
頼んだりしたのを思い出したわ。
とヴィヴィアンが言った。

そうでしたね。
あれは去年の2月の終わりのこと。
あの後、3月中ばに広場でフリーマーケットがあって。
私とカコが遊びに行った。
軍荼利明王の彫像を買ったのよ。
いい買い物ができて楽しかったわ。
とエレナが言った。
エレナは人類の芸術文化の研究してるって言ってたわね。
それから迷いの森からロボットが
人を探しに来て。
とノヴァが言った。

そうそう。そのロボット、ヤビーのおかげで、
大変な未来世界や夢の世界の冒険に発展したのよ。
とアイスが言った。
ところで
宇宙人の観光客は
この村によくくるの?
そうでもないんですよ。
僕みたいに変装したり、
エレナみたいに外見が
人間に似てるタイプじゃないと、
流石に村人に怖がられますからね。
レプティリアンたちは
透明マントを装着して来てるみたい。
あれは反則よね。

なんか楽しそうに話してるなー。
私たちは話題になってないみたい。
元気そうね。
アンドレア。ローズも元気?
とアイスが声をかけた。
あ、げ、元気です。
解説)
続きます。
Sep 19, 2026
広場とアイス

広場はそこそこ賑わっていた。

マンゴー亭でマービーが
アルバイトを始めたという噂を聞いて、
バービーたちが郊外から
やってきている。

ソフトクリームの売り子担当なのね。
故郷の水中に帰らなくてもいいの?
帰っても一人きりだし、
しばらく魔術劇場で
お世話になることにしたの。

マービーがバイトに来てくれて、
売り上げ伸びそうね。
とレイとアンナが話している。

アンジーと
アマチュアカメラマンのロジャーが
立ち話をしている。
涼しくなっても
これは美味しいわね。
ポーズ的にも
それらしくていいですね。

アイス先輩、マービーを島に送り届けるって
言ってませんでした?
それは予定変更ね。
あ、ヴィヴィアンに会いに行かなくちゃ。
いいなあ。
またアフリカのホテルですか。

アイスは、バー・デジャの鏡の扉に向かった。
アイスさん、今度はどちらへ。
あなたたちのボスのところよ。

アイスはフラハの家の裏庭に現れた。
ヴィヴィアン来なかった?
ああ、最初ホテルに行くって来たけど、
それからまたダリオと一緒に来て、
村の方に行ったよ。

アイスがフラハの家を出ると、
エレナとノヴァに出会った。
あら、アイス。
お久しぶり。
一年ぶりかな。
ホテルに泊まりに来たんですけど、
ヴィヴィアンが来てて、
たぶん村のレストランにいるって、
リンリンから聞いたので、
散歩がてら来てみたんです。
とノヴァが言った。
ちょうど、
私も会いに行くところだったの。
一緒にいきましょう。
解説)
続きます。
Sep 18, 2026
マークの村へ

ヴィヴィアンは
ホテルに戻ってくる途中で
リンリンに出会った。
いいお湯だったわ。

あら、あれは?
この広場の向こうに
転送装置があるんです。
きっと宇宙ステーションからの観光客ですよ。
商売繁盛なのね。

ホテルの前庭で、ダリオに出会った。
ヴィヴィアンさん。
湯上がりに散歩でもしませんか。
村にご案内しますよ。
美味しいレストランがあるんです。
お願いするわ。

二人はマークの村に向かった。
いいお天気ね。
スワヒリ語で
ヘワヌズリ
っていうんですよ。

ジャングルを抜けて
村外れのフラハの家の前に到着した。
家からフラハが挨拶している。
ここからちょっと歩きます。

二人はまたジャングルを抜けて、
マークの村に到着した。
このあたりが集落の中心地です。

挨拶してる。
あの人は?
アマンダって言って、
村でハウスキーパーをしてる人です。
みんな彼女に頼んで、
庭の手入れや留守番をしてもらうんですよ。

ここが村で唯一のレストランで
夜は酒場になります。
豹変亭っていうんです。
変わった名前ね。
なんでも名前の由来があるそうですが、
聞いたことなくて。

二人は軽食とワインを注文した。
これはなんのお肉かしら。
上質の新鮮な牛肉ですよ。
けして禁猟指定の野生動物のものではありません。
と給仕をしていたアンドレアが言った。
こんな秘境みたいなアフリカの奥地で
そんなお肉が手に入るの?
この村には二つの交易ルートがあるんです。
一つは村外れにアーネストっていう
お医者さんが住んでいるんですが、
彼は実は亡命中の革命家で、彼の部下が
ゲリラの連絡ルートを使って、
物資を運んできてきてくれるんです。
もう一つは私たちが運んできます。
私たちって?
村長のマークと私。
フラハも協力してくれます。
そういえばダリオさんは
別世界から来た魔族だったわね。
鏡の扉を使ってそんな商売していたの?
商売といえるほどのことじゃないですよ。
最初は飢餓対策で
マークから声をかけられたんです。
ボランティアで始めたことですが、
最近やっと観光に来る宇宙人が
雑貨を買ってくれるので軌道に乗りました。
宇宙人も協力的なのね。
彼らにとってホテルのあるこの村は、
保護区のような貴重な観光地なんです。
表向きは人類との交流は
禁じられているみたいですが、
地球オタクが大勢いるみたいで。

アンドレアとローズが話している。
とうとうヴィヴィアンも現れたか。
メイヴの封印を解いた時、
出会ってるはずなのに、
私たちには全然気がついていないみたいだった。
あの時は
すぐ逃げ出したからね。
ここにはCGのアイスもルビーも
来たことがあったから、
多分彼女たちから噂を聞いてないだけよ。
ここにいるのがバレたらそれまでね。
彼女は悪魔でしょう。
CGとは知り合いかもしれないけど、
バレても私たちを襲う理由はないはず。
まあなんとかなるわよ。
解説)
続きます。
Sep 17, 2026
町外れの広場で

広場はわりと静かだった。

もう9月の半ばなのね。
虫の音も聞こえて、秋を感じるわ。

こういうの食べると、
ますます感じますねえ。

アイスとマービーたちは、
農家の直販店をのぞいていた。

ブドウやキノコ
栗や柿が入荷しました。
秋の味覚が揃っていますよ。
その瓶はなあに。
栗の甘煮の瓶詰めなんですよ。

秋といえば、
サツマイモやかぼちゃも
ホクホクして美味しいですよ。

何もかも珍しいから、
みんな食べてみたい。
とマービーが言った。
マービーは普段何を食べてるの?
廃墟の庭で水中菜園を作ってるの。
あ、そういえば最初に会った時、
見せてもらったことがあったわね。
菜食主義者か。
じゃあ、何か好きなものを選んでよ。
さっきアイスさんが来るまで、
佳奈さんからこの世界のこと、
色々伺っていたんですけど、
ここはお店というところで、
買い物にはお金っていうものが必要なんでしょ。
いつか自分で買いたいから、
何かお仕事がしたい。
えー。

マービーは、島で仲良くなった
レイに会って話している。
そんな殊勝なことを考えてるの?
そーねー。
じゃあ健太さんや恵子に頼んでみるわ。

レイが店主の小池恵子や
シェフの丹下健太に話をしたところ、
マービーは、マンゴー亭で
アルバイトに雇われることになった。
同僚になったアンナも喜んでいる。
解説)
続きます。