Jun 14, 2025
北の島で

鏡の扉を使って、シビルとフミコは、
北の島のシビルの家に到着した。
これが水晶玉よ。
随分大きいのね。

何かわかる?
フミコは水晶玉を見つめていた。
何も呪文の言葉が思い浮かばない。
その時、山羊の頭蓋骨のペンダントが、
静かに振動して、
水晶玉が色を変え始めた。
その変化を見ていると、
フミコの心に呪文の言葉が浮かんだ。

あれは?
呪文を唱えていたフミコは、
グリーンマンからテレパシーの交信を受けて、
我に帰った。

フミコはグリーンマンと会話している。
なんて言っているの?
ここは危険だから戻るようにって。
その時地響きが聞こえた。

なんと島の中央の山が噴火したのだった。

山は噴煙をあげている。

二人は急いで鏡の扉に向かっている。
あなたも避難して。

二人はみすずの家に脱出してきた。
二人とも顔色悪いわよ。
どうしたの?
どうもこうも。
突然火山が噴火したのよ。

フミコはグリーンマンと
互いの無事を確認しあっている。
島はどうなるの。
噴火の規模次第ね。
小規模で収まればいいけど。
とりあえず
肉まん食べてから
みんなに報告しましょう。
解説)
続きます。
Jun 13, 2025
トロンが来る

会合の後、シビルとフミコは
食堂で顔を合わせた。
あなたがアイスの言ってた
フミコさんね。
そうですけど?
島の私の家に水晶玉があったの。
使い方がわからなくて、
試しにヴィヴィアンとアイスが、
魔法を使ってみたけど何も起きなかった。
あなたなら何かご存知かもしれないって
アイスが言ってたのよ。
水晶玉か。確かに魔族の使う道具だけど、
使われ方は様々。
実物を見てみないとわからないわ。
あ、ミミコが起きたみたい。
上の部屋に行きましょう。
とフミコが言った。

フミコは目覚めたミミコを紹介した。
ミミコはご機嫌のようだ。
この子も魔族なのね。
パワーを感じるわ。
あなたのことを気に入ってるみたい。

ミミコが、
水晶玉が見たいって言ってるわ。
じゃあ、ここに運んできましょう。
私も見てみたいから、
一緒に行ってもいいかしら。
もちろん。

アイスたちはトロンの家から、
みすずの家の庭に戻ってきた。
サラが挨拶している。
可愛い。

西の山岳地域には
雪が積もっていたのよ。
ふーん。
町では梅雨入りしたみたい。
緑はいいなあ。

ヴィヴィアンはトロンを
みすずたちに紹介している。
ようこそトロンさん。
私もカエル王女も夢食いなの。
夢食いが大勢いるんですね。
普通の夢だったら考えられない。
この忘れられた夢の世界は特別ね。
夢の主人がいない自由な世界。
他にも、わかっているだけで、
モンスターハンターのセリーヌや、
戦いを見るのが好きなシーラや、
インスピレーションをもたらすシビルや
好奇心旺盛なシノっていう夢食いが
滞在しているのよ。
ロボットも見かけましたけど。
ええ。人間も魔族も精霊も来ているし、
もともと住んでいた動物も精霊もいるわ。
賑やかですね。
そんなに大勢いて、
収拾はつくんでしょうか。
みんな成り行きなのよ。

サラはトロンを菜園に案内した。
トロンはステゴサウルスと
何やら話している。

ステゴサウルスたちは
菜園から立ち退いて行った。
何話していたの?
ここには入ってこないように言ったんです。
トロンさんってすごいのね。

アイスたちが応接間で話している。
フミコとシビルは?
水晶玉を取りに行くって、
北の島に出かけたわよ。
ふーん。
ところでさ、西の山脈の果てには、
やはり大気に透明なバリアがあって、
それ以上先に進めなかったのよ。
とアイスが言った。
ということは、
その先には別世界があるっていうこと?
どうもそうらしいわね。
だとしたら、南の世界との境界みたいに、
どこかにトンネルみたいな出入り口があるんじゃない?
希望的観測だけど。
そういえば、トロンが、
滝の近くに洞窟があるって言ってたわね。
私たちは気が付かなかったけど。
探してみる価値はありそうね。
とアイスが言った。
解説)
続きます。
Jun 12, 2025
トロンの家

渓谷に降り立った二人は、
谷川を見つけた。

川を遡っていくと滝があった。
これは見事な滝。

二人は斜面を登っていくことにした。
この大きな雪の塊、
なんか不自然じゃない?
上から滑り落ちてきたんじゃないかな?

見晴らしのいいところまで
登って行ってみましょう。

斜面を登り切ると、
二人は山々が望める
小さな雪原に出た。

歩いていくと、
山小屋のような建物が見えた。

扉に鍵はかかっていないようだ。
こんにちわ。
誰かいませんかー。
とアイスが言っている。

二人は屋内に入ってみた。
誰もいないわね。
変なものがあるよ。
あれ、うごいた。
その変なものは口を開いた。
こんにちわ。
私は夢食いのトロンと言います。
あなた方も観光ですか。
観光みたいなものだけど、
私たちは夢食いじゃないのよ。
あ、私の名前はアイス、
横にいるのがヴィヴィアン。

恐竜がうようよいると噂で聞いて、
この忘れられた夢の世界に来たんですが、
見渡す限り雪の山で、
誰もいませんでした。
と、トロンは言った。
この世界は広いのよ。
ずっと東に行けば緑の森があって、
そこには恐竜がいるわ。
それにしても、あなたのその姿は?
この姿は恐竜です。
モデルはステゴサウルスです。
そう見えませんか?
ずっと見ているとそう見えて来ますよ。
そうかしら。
そんな姿の夢食いもいるのね。
夢ですから、なんでもありなんです。
カエルの姿の夢食いもいるでしょう。
そう言われればばそうね。
トロンさんはどんなタイプの夢食いなの?
私は子供たちのみる夢に入っていって、
友達になる無害な夢食いなんです。
夢の財宝を守るドラゴンって知りませんか?
私にそこまでの力はありませんが、
タイプは似てるんですよ。

随分居心地の良さそうなお部屋ね。
とヴィヴィアンが言った。
ここは空き家だったんです。
人間用みたいですが、
風雪をしのぐには一番です。
ところで、このあたりから、
西の方角の山を越えようとすると、
それ以上進めない透明な壁があるでしょう。
そうなんですか。
雪山登りはしたことないので。
谷川に水を飲みに行くことはありますが。
谷川ね。私たちもそこを通ってきたのよ。
割と大きなな滝があるでしょう。
ありますあります。
洞窟のそばですね。
洞窟?
洞窟なんてあったかしら。

アイスは呪文を唱えて
壁に鏡の扉を出現させている。
それは魔族の魔法ですね。
これで東のジャングルにある、
先住の夢食い、みすずさんの家に
行けるようになりましたよ。
リアルな恐竜にも会えますよ。
と、アイスが言った。
それはご親切に。
あなたも見慣れてきたら、
恐竜に見えてきたわ。
とヴィヴィアンが言った。
そうでしょうとも。
そういうものです。
解説)
続きます。
Jun 11, 2025
西に飛ぶ

アイスとヴィヴィアンが
庭に出て話している。
ヴィヴィアン、また出かけるの?
みんなと話したり、恐竜を観察するのも楽しいけど、
ここは特別な夢の世界なんでしょう。
この世界なら、本当の姿で
空を飛んでも誰にも変に思われない。
自由を満喫したいわけね。
私も付き合うわ。
とアイスが言った。

二人は上空に舞い上がった。
今度は西に行って見ましょう。

アイスとヴィヴィアンは
西に向かった。

ジャングルに覆われた
山々が連なっている。

こっちも果てがない感じね。

しばらく飛ぶと、
雪を被っている山脈が見えた。

ここにも
見えない境界がある。
これ以上進めないわ。

二人は山の斜面に沿って
低空を飛ぶことにした。

つららに気をつけて。
解説)
続きます、
Jun 10, 2025
あちこちの出来事

応接間での会合が終わり、
アイスとヴィヴィアンが別室で
寛いでいると、
サラが通りかかった。
サラ、留守中に変わったことはなかった?
集まりにラルゴや
シェルニがいなかったみたいだけど。
ラルゴは、砂漠のセリーヌの家に、
シェルニはバーボンハウスに出かけてる。
それから、バーボンハウスで
教えてもらったそうで、
ヤビーが菜園を作りはじめたわ。
ふーん。
それがね。

植物は夢見の水のおかげで
ぐんぐん育つんだけど。

恐竜も、きちゃって。

その頃、砂漠の家では、
ラルゴとセリーヌが話していた。
何読んでるんですか?
「となりの恐竜」っていう本よ。
レイチェルから借りたの。
さっき散歩していたら、
泉が湧いていたんです。

バルっていう水の精霊が、
水質を変えた影響なんでしょうか。
これで冷たいお水が飲めるわね。

あれはなんという恐竜ですか?
草食恐竜のサイカニアよ。
本がさっそく役に立ったわ。
賑やかになりますね。

その頃、バーボンハウスでは、
シェルニがシノとイリスに
面会していた。
なぜか呼ばれている感じがして、
こちらにきました。
私と同じタイプのロボットを
探してらっしゃると聞いてましたが。
そうなのよ。
シェルがみんなが転送されてきた時以来、
行方不明になってるの。
もしかしたら、
あなたがそのロボットじゃないかって。
すっかり昔の記憶がないんですが、
確かめる方法はあるんでしょうか?

そこにバンクがやってきた。
シェルニさんを呼んだのは私です。
とバンクが言った。
というか、私と言うより、
このイリスさんの蝶のペンダントが呼んだのです。
とても信じられないわ。
とシノが言った。
バンクが鎖を外すと、
ペンダントの蝶はシェルニに向かって飛んでいき、
その周囲を飛び回っている。
このペンダントは、もともと、
シェルの非常用コントロール装置で、
イリスさんの持ち物でした。
2年前に、岩盤の中に閉じ込められていた
シェルが発見された時も活躍したんですよ。
ずっと私が保管していたんです。
そう言われて、
シェルニは自分がシェルだった頃のことを
うっすらと思い出しはじめていた。

シェルニはシェルだったのね。
これからなんて呼ぼうか。
とシノが言った。
シェルニのままでいいですよ。
みなさんそう呼んでるし、
昔の名前に戻すと混乱します。
了解したわ。
イシスさんはシェルニの持ち主だったのね。
またシェルニに乗せてもらってもいい?
もちろん。
シェルター型ロボットは、
戦時中に軍から要人の避難用に配備されたの。
その担当がたまたま私だっただけ。
全てシェルニの判断次第よ。
私は誰かを収納すると、システムが
フル稼働するように作られているんです。
自分の存在意義を感じるというか。
いつでも声をかけてください。
とシェルニが言った。
シノは喜んでいる。
解説)
続きます。
蝶のペンダントがシェルを発見したエピソードは、
2023年10月29日「蝶の行方 そのに」でみられます。
Jun 09, 2025
シビルを招いて

シビルの家で3人が
話している。
ここは静かで落ち着けそうね。
そうでしょう?
とても気に入っているの。
ところで、あのモンスター、
ローゴスに誘われて来たって言ってたけど、
ローゴスなら大陸の砂漠に、
大勢の手下を連れて出現したけど、
私たちの仲間が、もう倒したんですよ。
とアイスが言った。
そうだったの。
何かの事情で私のように、
この島に出現してしまったのね。
あら、あそこにあるのは?
隣のテーブルに目を止めてアイスが尋ねた。

魔族が使う水晶玉のようですね。
そうそう。見てもらいたかったのはこれ。
私がこの家を見つけた時、
すでにここにあったの。
と言うことは、
この世界に最初からあったと言うこと?
夢を見ていたのは魔族だったって言うから
あり得る話ね。
とアイスが言った。

何かわかる?
ヴィヴィアンは精霊を呼び覚ます
呪文を唱えたが何も起きない。
反応がないわ。
こう言う特別な道具は、魔族なら
誰でも扱えるという訳じゃないのよ。
私はもう悪魔だし。
アイスも試してみて。

アイスは水晶玉を見つめて
心に浮かぶ呪文を唱えようとしたが、
何も思い浮かばなかった。
特別な呪文があるのかも。
フミコに聞けば
何かわかるかもしれないわ。
他にも魔族のお仲間がいるの?
訳あってこの世界に来ているの。
アイスは先住者のみすずの家に、
フミコたちも来ていることを説明した。

アイスは呪文を唱えて、
みすずの家に抜けられる
鏡の扉を作り出している。
あなたは人間なのに
いろんな魔法が使えるのね。
これも訳あって。
いつもの便利すぎる省略の技ね。
とヴィヴィアンが言っている。

3人は鏡の扉を抜けて
みすずの家にやってきた。
さっそくアイスはシビルを
みすずに紹介している。
あなたがシビルさんね。
お名前はかねがね存じておりましたわ。
この人、そんな有名人だったの?
とヴィヴィアンが言った。
夢食いと言っても千差万別だけど、
シビルの名は夢食いの間ではかなり有名よ。
夢見る人に働きかけて
巫女や予言者にしてしまったりする。
そんなこと初めて聞いたわ。
ああ、詳しく自己紹介するの忘れてた。
私が手助けした結果、
そうなっちゃうこともあるっていうこと。
と言い訳するようにシビルは言った。

シビルはみんなに紹介されている。
私は夢見る人にインスピレーションを
与える夢食いなの。
サルバドールっていう夢食いはご存じ?
彼は芸術家にひらめきを与えるけど、
私も似たようなことができる。
予言者や巫女にしちゃうなんて、
すごそうじゃないですか。
それは夢見る人の資質次第、
私は手助けするだけなのよ。
忘れられた夢の世界があるという噂を聞いて、
ここに来たのは観光と休養のため。
来てみたら噂と違って小さな島だった。
でも夢見る人に働きかける必要もなく、
草食恐竜たちと平穏に暮らしていたの。
そこに夢食いのモンスターが現れて
困っていたところ、
お二人に助けてもらったと言うわけ。
私もただ先に来ただけの夢食いだけど、
このジャングルの北に海があって、
その海の向こうに小島があったなんて、
全然知らなかった。
とみすずが言った。
そんな場所に来たら誰でも、
そこだけが夢の世界だと思っちゃうわね。
この夢の世界全体から見たら、
この大陸だと思ってる世界だって、
ちっぽけな小島なのかもしれないわ。
とヴィヴィアンが言った。
怖いこと言うのね。
でも知らなければ無いと同じ。

そのモンスターって、
ローゴスに暗示をかけられて、
この世界に来た手下だったんでしょう。
手下は大勢いたというから、
他にもどこかに残っているんじゃないかしら。
見つけたら消えてもらうまでね。
とヴィヴィアンが言った。

あなたは夢の世界にやってきて、
モンスターハンターでもないのに、
凶暴な夢食いを倒せるなんて不思議。
悪魔ってどれほどの力を持ってるのかしら。
とみすずが言った。
自分の力のことは本当はよくわからないの。
私は魔族の父マーリンとヴァンパイアの母の間に
生まれたハイブリッド。
ある日、背中にとつぜん翼が生えて
嘆き悲しんでいた時、
管理局の局長がやってきて、
あなたはデビルになったといわれたの。
それ以来、悪魔だと名乗っているだけなのよ。
ただそれ以来、突然生えた翼のように、
自分の力が増大しているのは感じるわ。
局長の言うには、デビルとか悪魔とか、
言い方は様々ですって。
私は夢食いの皆さんのように、
人間の見る夢に移り住んだことはないし、
まして世界を支配しようなどとも思わない。
普段は義理の両親のハリーとカーミラと一緒に、
普通に魔族として暮らしているだけなの。
精霊を人間に変身させる魔法を乱用して、
とても普通じゃないけどね。
とサラが言った。
それは精霊に望まれるからそうしてるだけ。
その方が楽しいじゃない?
解説)
続きます。
ヴィヴィアンが悪魔になった経緯は、
2022年9月14日「ヴィヴィアンの変化」
のシリーズで見られます。
Jun 08, 2025
出会い

ヴィヴィアンは
恐竜と会話している。

なんて言ってたの?
助かったってお礼を言われただけ。
さっきのモンスターには、
仲間が大勢殺されたって。
ふーん。
それにしても、
さっきの魔法には驚いたわ。
あれね。
実は自分でももよくわからない。
メイヴの時のように、
呪縛する呪文を唱えて
叫んだつもりだったのに、
相手が勝手に石になっちゃったのよ。

その時、
生い茂る草むらの中から女性が
現れた。

こんにちわ。
あなた方強いのね。
相手が弱すぎたのよ。
とヴィヴィアンが言った。

私の名はシビル。
あなたたちは先住者?
あんな魔法の使える夢食いなんていたかしら。
私たちは探索に来た者です。
とアイスが言った。
私はアイス、こちらはヴィヴィアン。
二人とも夢食いじゃなくて、人間と悪魔です。

アイスは
南の陸地から空を飛んで
島に来たことなどを
シビルに話して聞かせた。
なるほど、
南に大きな大陸があるというわけね。
それでここに先住者のいない謎が解けたわ。
私はここに来てまだ日が浅いの。
よかったら私の家にきて、
その大陸のことをもっと教えてくれる?
それに魔法が使えるのだったら、
見てもらいたいものもある。

シビルは二人を先導している。
森はいつも霧に覆われている。
あの山の頂にも雲が湧いているけど、
たまに晴れることがあるのよ。

この忘れられた夢の世界は、
夢食いには住みやすい。
いつまでも消えずにいて
夢の主人もいないから。

あそこが私の暮らしている家よ。
見つけたは時空き家だったの。
解説)
続きます。
Jun 07, 2025
遭遇

二人は霧の立ちこめるジャングルを
進んでいく。
こういう夢は見たくないわ。
でも夢なのよ。

その時、恐竜が姿を現した。

恐竜はこちらに突進してくる。
ヴィヴィアンが身構えた。
待って、ヴィヴィアン。
この恐竜、
私たちに向かってきてるんじゃない。
追われているのよ。

恐竜はヴィヴィアンの横を
すり抜けていく。
あれは何?
恐竜に似てるけど、恐竜じゃない。
あれは夢食いのモンスターよ。
こっちに向かってくるわ。

恐竜を追ってきた巨大なモンスターは、
アイスたちの姿を見つけると、
立ち止まった。
お前たちも夢食いか。

俺は、ローゴスに誘われて、
この世界を来たんだ。
広大な世界だと聞いていたが、
ここは海に囲まれたちっぽけな小島。
そのうえローゴスもいない。
仕方がないからこの島を
俺が征服することにした。
同じ夢食いなら手下にしてやってもいいぞ。
ご冗談でしょ。
とヴィヴィアンが言った。
生意気なやつだな。
だったら、とっとと
消え去ってもらおう。
そういうと、
モンスターは襲いかかってきた。

モンスターはヴィヴィアンに向かって
突進していく。
アイスは斜め後方で銃を構えている。
ヴィヴィアンはふわりと空中に浮遊した。

ヴィヴィアンは、
呪文を唱えると、
奇妙な叫び声をあげた。
お、おまえは。

モンスターの体は硬直して、
みるみる石化していく。
その時、
逃げていた恐竜が引き返してきて、
モンスターの腹にハンマーのような
尻尾の先を叩きつけた。

モンスターはその場に崩れるように倒れ込んだ。
その体はしだいに消え去っていく。
解説)
続きます。
Jun 06, 2025
北の海で

二人は北に向かって海上を
延々と飛び続けている。

何も見えないし、
そろそろ引き返さない?

しかしその時、
なんと島影が見えてきた。
小島のようね。

島の上空は厚い雲に覆われている。

二人は雲の中に
突入した。

低空に下降すると、
雲がきれてジャングルが見えた。
あの山がこの島の中心みたい。

このあたりで降りてみましょう。

一面のジャングルね。

霧が立ち込めているようだ。

二人はシダの茂みに
舞い降りた。
解説)
続きます。
Jun 05, 2025
北に向かう

ヴィヴィアンは庭に出てきて、
サラやディアナと挨拶している。
よく眠れた?
夢かと思って目が覚めたら
やっぱり夢だった。
なにそれ。

さあ、本当の姿に戻ろう。
と言って、
ヴィヴィアンは呪文を唱えた。

薄い煙が立ち上り、
ヴィヴィアンは本当の姿になった。
全くの別人みたい。
とディアナが言っている。

アイスがやってきた。
ヴィヴィアンの背中には、
翼が現れている。
ディアナ、昨晩、
北には海があるって話していたわね。
ええ。
鳥から聞いたの。
私、確かめに行ってくるわ。

そういうと
ヴィヴィアンは空に舞い上がった。
アイスが、地上から、
羽根を取ってくるから、
ちょっと待ってて。
と叫んでいる。

アイスが羽根に乗って飛翔してきた。
私も一緒に行くわ。
と言っている。

二人は北に針路をとっている。

平原もあるみたいだけど、
基本は広大なジャングルね。
どこまで続いているのかしら。

ジャングルの上を
しばらく飛び続けると、
ようやく彼方に海が見えた。

海岸には
翼竜が群れ飛んでいる。

波打ち際ね。
ここが世界の果てか。

どこまで行けるか
飛んでみましょう。
二人は陸地を離れて
沖に向かって行った。
解説)
続きます。
Jun 04, 2025
新しい朝

みすずの家の食堂で、
一同は早めの夕食を食べている。
サラが助っ人にヴィヴィアンを呼んできたけれど、
すでにローゴスは退治されていたっていうわけね。
ヴィヴィアンとしては、戦う相手がいなくて、
拍子抜けだったでしょう。
とアイスが言った。
そうでもないわ。
私はこういう自由な夢の世界に来てみたかったの。
ここなら人目を気にせず本当の姿になれそう。
とヴィヴィアンが言った。
この忘れられた夢の世界には、
噂を聞いた様々な夢食いたちが訪れます。
人間や魔族の訪問者はあなた方だけですが、
ずっとここに滞在していただいてもいいんですよ。
あちこちに空き家があるので、
気に入ればそこで暮らすこともできます。
私もそんな先住者の一人なんです。
とみすずが言った。
この料理は?
みすずが作ったのを真似して、
私が作ったのよ。そのお魚は醤油味。
とサラが言った。

やがて夜になった。
フミコは、ミミコのことを、
ヴィヴィアンに話している。
この子は、
今のところわかっている限り、
未来の世界で起きる最終戦争で
ただ一人生き残った魔族の子供。
山羊の頭蓋骨のペンダントを持っていたから、
私やあなたが産んだ未来の子供かもしれない。
驚かせないでよ。
私たちがずっとお世話していたんですよ。
褒めてください。
とヤッピーが言っている。

ローゴスの脅威がなくなったから
今夜は安心して眠れそう。
これからもああいうタイプの夢食いが、
来るかもしれないけど、その時はその時ね。
ところでディアナは
この世界を隅々まで知ってるんでしょう。
南には別世界とのバリアがある。
他の方角の果てまで行くとどうなっているの?
とアイスが尋ねた。
隅々まで知ってるというわけじゃないのよ。
北に行けば海があるって、いつか鳥が話していた。
東の砂漠はどこまで続いているのか知らないし、
西には山が沢山あってその向こうは知らないの。
でも世界の果てまで知らなくても十分。
あなたたちの世界でもそうでしょう。
とディアナが言った。
確かに宇宙の果ては謎ね。
でも海があるなら見てみたい。
そこで私が一旦その風景を記憶すれば、
鏡の扉で行き来できるようになるのよ。
とアイスが言った。
なんか、なんでもありだと便利すぎて、
ロマンがないわね。

やがて夜は更け、
一晩明けて朝になった。
渓流は今朝も勢いよく流れている。

森に残っていたガリミムスたちが
滝の淵に水を飲みに来ているようだ。

ヤビーは、朝食用に
ジャングルに果物を採りに行って
アンキロサウルスの群れを見かけた。

少しずつ恐竜たちが
南から戻って来ているようだ。

みすずさん、おはようございます。
湖の水質が変わっていくようです。
渓流から夢見の水が流れ込んで
来るんですよ。
そうなの。
その時、近くで
水の音が聞こえた。

思わずみすずがガラス戸から外に出て、
音のした方に行くと、
なんとバルがハスの葉の上に立っていた。
おはようございます。
迷いの森の泉とこの世界の間に
水路をつけてきました。
と言っている。

ヴィヴィアンさん。
あ、バル戻ってきたのね。
さっそく大きくしてあげなくちゃ。
そういうと、
ヴィヴィアンは呪文を唱えた。

薄い煙がたちのぼり、
バルの体は大きくなった。
すごいですね。
私も人間の姿にしてくれますか?
とカエル王女が言った。
いいわよ。
でも頭はカエルのままになるけど、
それでもでいい?
あ、やっぱり
やめておきます。
解説)
続きます。
Jun 03, 2025
バルの仕事

私はここで恐竜たちの戦いを観察するの。
ヴィヴィアンも恐竜と戦ってみない?
とシーラが言っている。
戦いは見せ物じゃないのよ。
私とフミコはみすずの家に戻って、
ローゴスがいなくなったことを報告しなくちゃ。
とヴィヴィアンが言った。
私はやりかけの壁の修理をするから、
砂漠の家に戻る。
フミコのおかげで傷はすっかり治ったわ。
魔族は夢食いの傷も癒せるなんてすごいわね。
とセリーヌが言っている。
私はローゴスの脅威がなくなったことを
バーボンハウスのみんなに伝えに行くわ。
とナディアが言った。

フミコは鏡の扉を出現させている。
恐竜か。
近くで見ると流石に迫力ね。
とヴィヴィアンが言っている。
ここから、それに乗っていくの?
バーボンハウスは近いみたいだし、
久しぶりにトリコと再会できたから、
二人でのんびり行ってみる。

ヴィヴィアンとフミコは
みすずの家の庭に戻ってきた。
お帰りなさい。
もうローゴスを倒したの?
先にナディアたちが退治してたわ。
それは良かった。
ところで、
バルが夢見の水を湧かせる場所、
滝のあるところに決めたの。
一休みしたら、
みんなで出かけない?
いいわよ。

かくて、みんなでぞろぞろ、
滝のある場所に向かった。

綺麗な滝だねー。

バルは水の中に
足を踏み入れると、
どんどん滝壺の方に
進んで行った。
ちょっと振り返って、
じゃあまた後で。
と言っている。

バルの姿は、
立ちこめる霧のような
滝の飛沫の中に消えていった。
これは、みすずが現れた時と同じだわ。
とディアナが言っている。

滝の上に綺麗な虹が現れた。

一行は家に戻ってきた。
バルは、水の中に溶けて
消えちゃったの?
いつでも人間の姿に戻れるように、
呪文を教えてあるから大丈夫よ。
とヴィヴィアンが言った。
ヴィヴィアンさんも魔法を使えるんですか。
悪魔になる前は、私も魔族だからね。
フミコやアイスのように鏡の扉は作れないけど、
人やものを変身させるのは得意なの。
水たまり状態だったバルに頼まれて、
人間の姿にしたのは私よ。
お帰りなさい。
先ほどアイスさんも町からお戻りですよ。
とヤミーが言っている。
解説)
続きます。
バルがヴィヴィアンの魔法で、
人間の姿になるエピソードは、
2024年2月23日「春を待つ日々 そのご」から。
Jun 02, 2025
サラたちの帰還

サラたち4人は、みすずの家に戻ってきた。
サラおかえり。
ずいぶん大きいバッグね。
みすずさんがコンテストで優勝したのよ。
景品のチョコレートと、
お土産の肉まんが入ってるの。

さっそくみんなで肉まんを食べている。
フミコもバルさんとは初対面だったかしら。
バルさんは夢見の水の精霊なのよ。
とサラが言った。
バルでいいですよ。
バルさんって呼ばれると、なんか殺虫剤みたいで。
夢見の水の働きを司る精霊バルに
人の姿でお目にかかれるのは光栄ですわ。
夢見の水と魔族には深い関係があると聞いています。
とフミコが言った。
この忘れられた夢の世界を見ていたのは
魔族の人だったっていうでしょう。
この世界に魔法がかかっているのだとしたら、
夢見の水がもたらされることで、
影響を受けないかしら。
それは大丈夫ですよ。
良い影響しか与えないはずです。
とバルが言った。
それとヴィヴィアンに来てもらったのは私。
ローゴスを追い払ってもらおうと思ったの。
ディアナはシーラを案内して
砂漠に行って来たんでしょう?
その様子はどうだったの?
とサラが言った。
セリーヌの住む家でシーラと別れ、
その後ローゴスとシーラが
サバンナに向かっていくのを見たの。
多分南の別世界に恐竜を追っていったんだと思うわ。
その後をセリーヌとナディアが追っていったのよ。

やっぱりローゴスは立ち去ってなかったのね。
そればかりか南の別世界に行ったとしたら、
いずれバーボンハウスの住人と遭遇する可能性がある。
ローゴスを食い止めないと。
とサラが言った。
すぐに退治に行けばいいのね。
どうやってその世界に行けばいいの?
とヴィヴィアンが言った。
アイスがいれば、ヤビーたちのいた家に抜けられる、
鏡の扉を作ってもらえるんだけど。
アイスは武器を返しに行ったままだし。
鏡の扉なら私も作れるのよ。
あの家は引っ越し前に住んでいたから、
行きたい場所を思い出せるわ。
さっそく庭に出て作りましょう。
とフミコが言った。

みんなは庭に出てきた。
フミコは行先の情景を思い浮かべ、
呪文を唱えて、
鏡の扉を出現させている。
危険だから、私とフミコだけでいくわ。
すぐ片付けて戻ってくるから待っててね。
とヴィヴィアンが言っている。

二人を見送った後で
みすずたちが話している。
すごい余裕だったみたいだけど、
ヴィヴィアンって、
ローゴスの強さを知ってるのかしら。
ヴィヴィアンは悪魔だからね。
一緒に行ったフミコは安全なの?
彼女がどんな力を持ってるのか知らないけど、
フミコは古代世界から蘇生した魔族なの。
そもそもアイスに呪力を授けたのも彼女よ。
すごいメンバーとお友達なのね。
それで平穏な暮らしが
なかなかできなくて。

バルは近くの森を
案内されている。
これはカメレオンね。
恐竜がいなくなって、
いろんな動物が姿を見せるようになった。

バルはカエル王女にも紹介された。
いつぞやは父が、
ご迷惑をおかけしました。
みんな役目を果たしてるだけですから。
お父さんのヘクトンはその後お元気ですか。
兄も私も独立したので、
ずっと会ってないんです。
父のことですから、
この湖が夢見の水で溢れるようになれば、
噂を聞いて遊びに来るかもしれません。

元ヤビーたちの家についた
ヴィヴィアンとフミコは、
庭でナディアに出会った。
あら珍しい。
ヴィヴィアンがこの世界に来るなんて。
サラに、夢食いのローゴスっていう
モンスター退治を頼まれたのよ。
どこにいるか知ってる?
ローゴスならもう私たちが倒したわ。
フミコも一緒なのね。
ちょうどよかった。
重症の怪我人がいるんだけど、
診てもらえないかしら。

フミコはセリーヌの傷口を見て
手をかざすと呪文を唱えた。
セリーヌの傷がみるみる癒えていく。
山羊のペンダントも震えている。
それは呪具なの?
私もこんなの初めて。
このペンダントはダリオさんから頂いた物だけど、
元はアフリカの先住民が使っていたものらしい。
治療魔法の効果を高める呪具のようね。

傷口も消えてすっかり良くなったわ。
とセリーヌが言った。
ところで、
あなたが悪魔のヴィヴィアン?
あなたの名前は夢食いの間でも有名よ。
とシーラが言った。
そうなの?
数千年の封印が解かれて蘇った魔王メイヴと
互角に戦って、とうとう根負けしたメイヴが
戦いをやめて迷いの森に逃げ去ったっていう話。
ああ、あれね。
もう2年も前のことよ。
その戦い、私も見たかったなあ。
解説)
続きます。
ヴィヴィアンとメイヴの戦いは、
2023年7月19日「夜の出来事」シリーズで、
見られます。戦いの様子は、
画像が暗くてよくわかりませんが。
Jun 01, 2025
バルの目覚めとコンテストの発表

翌朝の魔術劇場の一室。
おはようございます。
よくお休みになれましたか?
とデュアンが言っている。

御用があればお呼びください。
あ、この水差しのお水は飲まないでね。

ヴィヴィアンが現れた。
お待たせしてごめん。
よく眠れた?
昨晩はお二人の夢の世界の話が面白くて、
ちょっと飲みすぎちゃって。
さてと、
バルを起こしましょう。

ヴィヴィアンは水差しに向かって
呪文を唱えている。

薄煙が立ち上り、
なんとバルが姿を現した。
ずっと寝てましたけど、
お呼びですか?

サラはバルに声をかけた。
バルさん。サラです。
メルティの夢の部屋での、
いつぞやの大洪水以来ですね。
あの時はお世話になりました。
いえいえ。
今度も夢の中の世界での話なんですけど、
忘れられた夢の中に
夢見の水を湧かせることって、
できるんでしょうか。
ヴィヴィアンがバルさんに頼んでみたらって、
言ってくださって。
お安いご用ですよ。
僕も行ってみたい。
忘れられた夢が残っているって珍しいですね。

一行は鏡の扉で魔術劇場からデジャに、
さらに階段を降りて、広場に出てきた。
ちょうどルビーが
アナウンスを始めるところだった。

みなさん。
先月のコスプレコンテストの
優勝者の発表をします。
厳正中立な審査の結果、
優勝したのは
サラのお友達のみすずさんです。

おめでとう。よかったわね。
予想通りの進行だけど。
私が優勝したのね。
なんだか実感が湧かないけど
チョコが沢山もらえるのが嬉しいわ。

みすずは万雷の拍手と歓声に
包まれてトロフィを授与されている。
おめでとうございます。
ありがとうございます。
あのー、そのトロフィ重そうなので、
ここで預かっていただければ。
わかりました。
一応格好だけ手に取ってください。

久々にコスプレっぽい服装の人が
優勝したので、
歓声はいつまでも続いていた。
解説)
続きます。
May 31, 2025
サラたちのことと戦いのその後

サラとみすずは広場にやってきた。
サラはルビーに話しかけている。
この人はみすずっていう、
私の友人なの。
今月のコンテストに参加登録をお願い。
了解。今月もぎりぎりで、
新規登録者一名か。
そういう人は、
どうしても印象に残っちゃうわね。

マンスフィールドさんが
参加者名簿に記帳している。
可愛い方ですね。
服装もユニーク。この人が本命ね。

あそこにマンゴー亭っていう、
肉まんのお店があるのよ。
あ、タイミングよくヴィヴィアンがいるみたい。
農家の出店の人々は、
みすずの姿に目を奪われている。
きれいな銀髪ねー。
人形みたいな人だね。

店で相席になると、
サラはヴィヴィアンにみすずを紹介した。

ここの肉まんのお味はどう?
美味しい。なんかこう。
命が蘇るような。
そうでしょ。
みんなそういう意味不明な
感想を言うのよ。

みすずさんは、夢食いなのかー。
それにしては、まともそうに見えるわ。
ふーん。忘れられた夢の中に住んでるの。
それで、サラ。
私に頼みってなあに?

すでにローゴスが退治されたことを知らないサラは、
夢の世界がローゴスの脅威にさらされているとを話した。
それであなたに退治してもらえないかなって。
あなたは悪魔で強いんでしょ。
そのローゴスって、
以前アイスやナディアが倒したことのある
夢食いのモンスターなんだけど、
さらに強力になってるらしくて、
旗色が悪そうなのよ。
暇だから、それはいいけど、
その忘れられた夢の世界って、アイスや、
シェリー研究所の連中が
みんな行ってるらしいじゃない?
そんなに面白いところなの?
サラはその夢の世界が現実の別世界と接していることや、
かっては恐竜たちが棲息していたけれど、
今は別世界に移動してしまったことを話した。
私はまだ行ったことがないんだけど、
その別世界ってこの現実の未来世界なんだって。
夢見の水が地下に流れているっていうから、
場所もこのあたりじゃないかと思うの。
夢の世界とは通路で結ばれていて行き来できる。
恐竜たちはね。
私の想像では夢見の水を求めて、
別世界に移動した気がする。
いつか戻ってくるといいけど。
それが原因だとしたら話は簡単よ。
とヴィヴィアンが言った。
え、どういうこと?
その夢の世界にも
夢見の水が湧くようにすればいいのよ。

それには夢見の水の精霊のバルに頼めばいいわ。
バルならうちの水差しの中で眠っている。
彼に目覚めてもらって、
明日にでも一緒にいきましょう。
さて、日も暮れてきたし、
デジャで一杯飲まない?
今日は魔術劇場に泊まっていけばいい。

二人はやや強引なヴィヴィアンの誘いを受けて、
マンゴー亭の2階にあるバー・デジャにやってきた。
本当に泊まって行ってもいいの?
もちろんよ。
あいにくハリーやカーミラは、
ずっとアフリカのホテル暮らしで留守だけど、
泊まれる部屋はいくらでもあるわ。
色々向こうの世界の話を聞かせてちょうだい。
あなたお人形さんみたいね。
その服もユニークで素敵。
とみすずはアンジーに言われている。

その頃、ローゴスを倒したナディアたちは、
近くの元ヤビーたちの廃屋を目指していた。
かなりジャングルの様相が変わってるけど、
運よくこの渓流は残っていた。もうすぐつくはずよ。
その恐竜このあたりをよく覚えているみたいね。
どんどん先導していく。
トリコは生まれたての時に、
私について頑張ってこの川を下ってきたからね。

一行は元ヤビーたちの廃屋にたどり着いた。
随分貫禄の家なのね。
ここでロボットたちが、赤ん坊の
ミミコの世話をしながら暮らしていたのよ。
そこに私たちが合流したの。
ここからなら、バーボンハウスもそう遠くないはず。
まずセリーヌを家の中に。

二人は重症のセリーヌを、
ミミコ用に使っていた、
ベッドのある部屋に運び入れた。
この家、中も割とボロボロだけど、
あなたたちが使っていただけあって、
なんとか過ごせそう。
しばらくここに住んでもいいかなあ。
今は空き家だから、それはいいけど、
ここは夢の中じゃないのよ。
それにローゴスはもういない。
湖の近くだし、
恐竜同士の戦いが見られるでしょ。
ほんとに戦い見物が好きなのね。
解説)
続きます。