Nov 15, 2025

一件落着

a1

数日後のこと、サラたちの部屋で、
ジェットはデイリープラネット紙を
読んでいた。

この前の、警備ロボットの捜索について、
ロボット研究所の謝罪記事が小さく載ってるよ。


a2

失踪したと思われていた警備ロボットは、
研究所の中で発見されたって書いてある。
燃料切れで倉庫の隅で
固まっていたんだってさ。
「お騒がせして申し訳ない」っていう、
バトラー博士のコメントも載ってるよ。


a3

おかしいわね。
レイチェルが未来の世界に連れ出したのが
本当のことでしょ?

捜索して発見できなかったから、
きっと大きな問題になるのを恐れて
虚偽の発表をしたんだよ。


a4

でも記者会見の様子が、
写真付きで掲載されてるよ。
発見された警備ロボットと
バトラー博士のツーショット。
ドーリスも写ってる。

どういうことなんでしょうね。


a5

その頃広場では、
CG本部から少佐がやってきていた。


a6

研究所の謝罪記事読んだわよ。
いろいろ大変だったみたいね。

会議で捜索を打ち切る決定をするのに
ちょっと時間が掛かっちゃった。


a7

経緯を説明すると、
この町の郊外の道沿いのフェンスのそばで、
うちの境界警備隊のパトロールが
警備ロボットが装着していた、
飛行用の燃料タンクを発見したという
報告があった。
それで捜索本部では、警備用ロボットは、
研究所から飛行して脱出して、
「迷いの森」の中に逃走した、
という結論に至ったの。

確かにあそこに逃げ込んでしまえば、
追跡するのは不可能ね。

それでも探索すべきだという
強硬意見はあったけれど、
探索部隊も森に迷い込んで
生還しない可能性が高いから、
どの部隊が行くかで揉めることになった。
結局議論の結果、警護ロボットが
研究所から逃走したという事実を
なかったことにして、
事態を収束することに決定したの。
警備ロボットが逃走したままだと知られると、
世間に不安が広がるし、研究所も非難されて、
計画の継続にも支障が出るということでね。
それで研究所の所長が記者会見を開いて
今回の新聞報道になったわけ。
写真に写っている警備ロボットは、開発中の
フェルミ02を使ったのよ。

それにしても、
警備ロボットを未来の世界に逃したなんて、
あなたたちから事前に異世界のことや、
鏡の扉のことを聞いてなかったら、
とても信じられなかったわ。
捜索の打ち切りに協力して欲しいって
アイスから言われて驚いたけど、
私は特に何もする必要がなかった。
郊外で燃料タンクが発見されたあとは
おおむね自然な推移だったのよ。
あれはあなたたちの仕業でしょ。


a8

アイスのアイデアなの。
研究所の兵士ロボットの開発計画自体を
止められたわけじゃないけど、
結果的に少しは遅らせることになったわね。

あの開発計画は軍やCGの一部のグループが
特定の多国籍企業と組んで、
内密に行っていたことが問題になって、
今でも軍やCGの中で揉めている。
もっとも計画自体に反対する者はいないから、
要は利権絡みの内輪揉めよ。
何か進展があれば、また教えてあげる。
と少佐が言った。


a9

少佐がワーゲンに乗って立ち去った後、
ルビーとアイスが話している。

これでどうにか一件落着ね。
こうなることを予想してたの?

研究所がいろんな住民に聞き回って、
捜索を始めていた事実は消せないから、
ああいう苦しい発表になったんでしょうね。
いつまでも捜索を続けると不安が広がり、
研究所の評判が悪くなる。
捜索を中止する口実を与えてあげれば、
飛びつくと思ったのよ。


a10

マヤさん。
12月から休暇もらえそうなんですけど、
一緒にどこか行きませんか。

そうねえ。



解説)
続きます。
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Nov 14, 2025

フェルミの行方 そのさん

a1

今日の広場はかなり冷え込んでいた。


a2

捜索の協力要請を受けて、
シティポリスが巡回している。


a3

ドロレスを呼びにきたレイチェルは、
ルビーたちに実情を伝えるため、
ベーカリーに立ち寄った。

今捜索されているフェルミのことだけど、
私が逃亡を手伝ったの。


a4

フェルミは自分が警備ロボットであることに
なぜか突然疑問を感じて
自発的に逃亡したって言ってた。
今は未来世界にいるわ。


a5

随分思い切ったことをしたわね。
同情して助けたかった気持ちはわかるけど、
見つかったらあなたもタダじゃ済まないわよ。
シティポリスも出てきて、
捜索も長引きそうだし。


a6

それはわかってる。
でもフェルミはドロレスを頼ってきたの。
ドロレスは爆砕したことになっていて、
今では捜索はされていないけれど、
一時は研究所から失踪したとみなされて、
捜索対象だったでしょう。
ドロレスも逃亡していたことが知られれば、
彼女を匿っていたシェリー博士も
責任を問われることになるし、
シェリー研究所も閉鎖されかねない。
咄嗟の判断だったけど、
それしか思いつかなかったのよ。


a7

ドルフィンから出てきたマヤが言った。

やあレイチェル、久しぶりね。
今、アンの記憶データをモニターで見ていたの。
捜索に来た研究所の連中が、
特殊部隊や研究所の事務員で、
ロボット開発のプロじゃなくてよかったわ。
ハロウィーン祭り開催中の広場の観察データは、
アンの中にも保存されているのよ。
そこには、ドロレスがフェルミに、
自分がロボットだって打ち明けて、かって
自分も研究所から逃げ出したって話すシーンがあった。
このデータを見られたらアウトだったわ。
早速削除しておいた。


a8

あ、あの時ね。
フェルミさんが自分の意識の変化に気がついて、
悩んでいるようだったので、
つい私自身のことも打ち明けてしまったの。
確かにアンが近くにいたことを忘れてた。
軽率だったわ。
とドロレスが言った。


a9

レイチェルの判断は、
私でも同じことをしたと思う。
とアイスが言った。

逃亡先も未来の世界なら安全だしね。
ただ、問題はフェルミの捜索が長引いていること。
住民への聞き取りが進めば、
シェリー研究所のこともそうだけど、
この界隈の住人の特異性が注目される恐れがある。
魔族もいるし、動物やフィギアの精霊やら、
異星人も入り混じってるからね。
だから、早めに捜索を諦めてもらわないと。
私に考えがあるの。


a10

話し合いが終わり、
レイチェルとドロレスは
未来の世界に行くために
鏡の扉のあるサラたちの家に向かった。

すれ違いざまに
シティポリスと挨拶している。

今日は冷えますねー。



解説)
続きます。
Posted at 20:04 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 13, 2025

バーボンハウスで

a1

バーボンハウスでは、
住人たちが呼ばれて、
レイチェルがフェルミに紹介していた。

前列左からバンクにソーダにドーダ。
後列左からミトラにイリスに恋町舞子、
ヒゾッコにコーダ。
窓際にいるのが昆虫型ロボットのジョンとポールよ。
他にもシェルやラルゴや
夏目ツナやナディア・ラパスが
いるけど、今はみんな出かけているの。
そうそうドロレスも私もほとんどここのメンバーね。
この中ではイリスの他はみんな
あなたと同じロボットやサイボーグよ。

この方もロボットなんですか?
とバンクが尋ねた。


a2

彼は過去の私たちの世界で
作られたロボットよ。ドロレスと同じ。


a3

フェルミはコートを脱いでマスクを外した。

私はフェルミと言います。
私はロボット研究所で、
警備用に作られたロボットでした。
そんな自分の境遇に疑問を感じて、
研究所から逃げ出して、
レイチェルさんに、ここに
連れてきていただいたんです。


a4

その名前を聞いて、フェルミの姿を見た一同は
一斉に身を引いて軽いパニックを起こした。
ヒゾッコは飛び立ち、
砲塔型ロボットのコーダは
咄嗟に攻撃態勢になって身構えている。


a5

フェルミは一瞬戸惑っていたが、
やがて話し始めた。

私はフェルミ型ロボットの第一号で、
正式名称はフェルミ01と呼ばれていました。
やがて量産されて兵士型ロボットに
改良されるという計画だと聞いていました。
ここが未来の世界だとすると、
皆さんは多分その改良されたフェルミと
戦った記憶をお持ちなんですね。

咄嗟によく状況を把握できたわね。
とレイチェルが話し始めた。

ここは未来世界で、人類と機械軍が戦った
最終戦争の後の世界なの。
その戦争にフェルミ型ロボットが投入されたので、
戦争に生き残ったここのみんなは、
フェルミ型ロボットに悪いイメージを持っている。
でもここはもう最終戦争が終わって、
随分時間が経過している世界。
戦争の記憶は消せないかもしれないけれど、
今では人間とロボットが共存しているのよ。

ただね。私の咄嗟の思いつきで
この世界にあなたを連れてきちゃったけれど、
みんなの反応がこれほどだとは思わなかったわ。
みんなにもここにいるフェルミが
最終戦争に使われた改良型フェルミとは
無関係だとわかってほしい。
フェルミ、ごめんなさいね。
もしここで生き辛ければ、
北には夢の世界へ続く洞窟があるから、
さらに別の世界に行くこともできるのよ。
いずれにせよあなたは自由。

ありがとうございます。
とフェルミが言った。

事情はよくわかったわ。
とミトラが言った。
フェルミさん、歓迎しますよ。
バーボンハウスと周辺をご案内しましょう。


a6

ミトラはフェルミを案内していた。

先ほどはありがとうございます。
ミトラさんはサイボーグなんですか。

そうです。
戦時中に体を吹き飛ばされて
気がついたらサイボーグ戦士にされていたの。
レイチェルも言っていたけど、
私に言わせたら人間と機械の共存なんて
当たり前のことなのよ。


a7

問題は記憶ね。
人間も現実も常に変わっていくけど、
情報となった記憶はいつまでも変わらない。
そんなことを言ってた人が
昔いたみたいだけど。

そうなんですね。

あそこが倉庫よ。
舞子の相棒のドラゴンのビッグヘッドや
ナディアの愛犬のメリーがいるから
紹介するわ。


a8

見かけだけで偏見を持っては
いけないですね。
考えてみたらフェルミさんは
第一号の試作品みたいなもので、
最終戦争とは無関係なんですから。
とバンクが言っている。

でも警護用ロボットが、
なぜある日突然自分の境遇を自覚して
脱走したくなったのかしら。
欠陥品だったのかな。
と舞子が言った。

ラルゴのケースと似ているわね。
ラルゴも機械軍のロボット兵士だった。
彼も突然戦場を離脱して、
戦時中は廃屋に隠れ住んで
ミミコっていう人間の赤ん坊の
世話をしていたって聞いたわ。

色々あるのね。


a9

レイチェルさん
またお出かけですか。

過去に戻ってドロレスを呼んでくるわ。
フェルミの話し相手になってくれそうだから。



解説)
続きます。
Posted at 20:04 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 12, 2025

フェルミの行方 そのに

a1

レイチェルとフェルミは
サラたちの部屋を訪れた。

やあレイチェル。
あいにくサラもフミコも留守だよ。


a2

そうなんだ。
でもそれはいいの。
鏡のドアで未来世界に行くだけだから。

お連れさんも一緒かな。

ええ。ちょっと訳ありでね。
この人は警備ロボットのフェルミさん。
事情はいずれお話しするけど、
私たちが二人で未来世界に行ったことは
聞かれても内緒にして欲しいの。

わかった。


a3

レイチェルが覚えている呪文を唱え、
ドアを開くと、二人の姿は
鏡に吸い込まれるように消えていった。


a4

警護ロボットだって。
あれはハロウィーン祭りが終わって、
ロボット研究所に帰ったはずだろう。

レイチェルが誘惑したのかなあ。

そんなことってある?
などと話している。


a5

そこにドーリスとアリスがやってきた。

こんにちわ。

やあドーリス。
サラなら留守だよ。


a6

サラはいないのか。
でもサラに会いにきたんじゃなくて、
ロボット研究所から消えちゃった
警護ロボットの行方を探しているの。
警護ロボットらしき姿を見かけなかった?

見てないよ。
最近あんまり外出してないし。


a7

ドーリスは鏡の扉を見ている。

これはなあに?
ドアみたいだけど開かない。

ドアの形のインテリアだよ。
とジェットが言っている。

そのカボチャ美味しそうね。

美味しいですよ。
一口どうぞ。
とケイが言っている。


a8

その頃、未来世界のバーボンハウスに
到着したレイチェルとフェルミは、
部屋に居合わせた舞子とイリスに出会っていた。

お帰りなさい。
おや、新しいお客様?
と言われている。


a9

舞子とイリスに紹介されたフェルミは、
イリスの顔をじっと覗き込んでいる。

私の顔に何かついてるかしら。

あ、すみません。
イリスさんによく似た人を
知っていたもので。

それは研究所の倉庫の警備主任の
アリスでしょ。
ここは未来世界で、
イリスはアリスの娘さんなの。
とレイチェルが言った。



解説)
続きます。
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Nov 11, 2025

捜索の広がり

b1

広場に境界警備隊のバギーが
走り込んできた。


b2

バギーから降り立った
ハーレーがルビーと話している。

研究所から警備ロボットが一体
消えたそうで、
私たちにも捜索の依頼があったの。

もう研究所からも人が来て
広場で情報を集めてるわよ。


b3

手配写真を見たけど、
ブルーグレイの顔の色以外、
見かけは普通の人間と変わらないわね。
観光客も多いから、
変装でもされたら、探すのは大変。
時間も経っているから、
もしどこかの組織に拉致されたのなら、
もうこの近辺にはいないと思うけど。
とりあえず郊外の道沿いに注意してみるわ。


b4

バギーの車内ではコフィとイメルダが話していた。

どうして管轄の違う私たちまで
駆り出されたのかな。

それだけ研究所にとっては、
緊急事態っていうことよ。
警備ロボットの開発には、
軍やCGも協力してるから。

軍事機密が流出したっていうわけね。
でも変ね。
もしどこかの組織が拉致したのなら、
そういうチャンスは、警備ロボットが
広場に配置されていた一ヶ月の間に
何度もあり得たわけじゃない?
それをわざわざロボットが研究所に戻ってから、
研究所に侵入して盗むなんて危険を犯すかしら。

あそこの警備は軍の特殊部隊がやっているから、
相当厳重なはず。
侵入者の仕業じゃないとしたら、
ロボットが自分の意思で
出奔したとしか思えないわね。


b5

高台の休憩所に
タバコでも吸いに行こうと
歩いていたレイチェルは、
研究所勤務時代の友人の
ドーリスとアリスを見かけた。


b6

二人はヨシフに質問しているようだ。

ハロウィーン祭りの間に
警備ロボットに不審な点はありませんでしたか。

フェルミのことですね。
彼はずっとそこに立っていて
毎日広場を監視していましたが、
特に何もありませんでしたよ。
何かあったんですか?

研究所からいなくなったので
行方を探しているんです。


b7

高台の休憩所についたレイチェルは、
フードを被った大柄な男性の姿を見て、
それがフェルミだと直感した。


b8

あなたは警備ロボットのフェルミでしょ。
私はレイチェル。
広場で挨拶したの覚えてる?


b9

う。見破られましたか。
覚えていますよ。
確か以前ロボット研究所に勤めていて、
開発に携わっていらっしゃったとか。

記憶は確かなようね。
そんな変装して研究所から脱走してきたの?
研究所の警備の特殊部隊や、
CGの境界警備隊まで駆り出されて、
総出であなたを探しているわよ。

脱走ですか。
やはり、そういうことになりますね。


b10

実は、私。
この町の広場の警護任務にあたっている間に、
自分の意識の不思議な変化を感じたんです。
花や自然に興味を惹かれるようになって。
やがて自分の置かれた立場や未来のことを
考えるようになったんです。
自分は警備用ロボットとして開発されて、
やがては戦闘用のロボット兵士になるだろう。
そのことに微塵の疑問もなかったのですが、
意識に変化が起きて、次第に、
そんなふうになりたくないと強く思い始めました。
そんな時、もう警備任務の終了間際でしたが、
ドロレスさんという方から、
自分もロボットだと打ち明けられまして、
自分という意識を自覚した当初は不安を感じて
研究所から逃げ出したという話を聞いて、
私もそうしようと思い立ったんです。

それで逃げ切れる当てはあるの?

この世界のことはほとんど知りません。
でも人間社会に溶け込んでいる
ドロレスさんに会えれば、
何かアドバイスを貰えるかもしれないと思って、
この町に戻ってきたんです。

彼女もね。
自分がロボットであることを隠して生きている。
失踪して、やはり軍やCGが捜索したけれど、
生みの親であるシェリー博士が匿ってあげたの。
ドロレスはシェリー研究所にいるけど、
今あなたが会いに行くのは危険よ。
見つかればドロレスも危険に晒すことになる。
そうだ。
あなたが自由に生きられる別天地があるわ。
私が案内してあげる。



解説)
続きます。
Posted at 20:13 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 10, 2025

フェルミの行方

a1

広場には穏やかな日差しが
降り注いでいる。


a2

私もアイスやサラみたいに、
いろんな世界に行ってみたいんですけど。

12月になったら休暇でも取る?
クリスマスまでに戻って来ればいいわよ。
ただしCGの組織との連絡は
いつでも取れるようにしてね。

やた。どこがいいかな。


a3

その時、ロボット研究所から
ドーリスとアリスが広場にやってきた。


a4

研究所の倉庫の警備主任が
広場に来るなんて珍しいわね。

転送装置の紛失事件で来たのは、
2023年の11月だから、
ちょうど2年ぶりになるわ。

もうそんなになるのね。
あ、この子は佳奈っていうの。
去年から配属されたCGのメンバーよ。
それでまた何か盗まれたの?


a5

盗まれたのかどうかわからないけど。
この前のハロウィーン祭りの間、
広場に派遣されていた警備ロボットの
フェルミがいなくなっちゃったのよ。
とドーリスが言った。

追尾システムもオフにされていて、
盗まれたのか、自分の意思で出奔したのかも
わからないのよ。
しかしフェルミ01は最新鋭の機種で、
機密情報の塊だからね。
バトラー博士の命令で、
行方を探しているっていうわけなの。
とアリスが言った。


a6

ハロウィーンが終わって
もう10日になりますけど、
広場では見かけませんでしたよ。
と加奈が言った。

アリス。
そんな銃を携帯して、
破壊命令も受けてるの?


a7

事情がわからないから念の為。
あのタイプの警備ロボットは
いずれ量産される予定だから、
もし抵抗してこちらに危害が及ぶようなら、
破壊してもいいと言われている。
人工知能が異常を起こしてる可能性もあるしね。
とりあえず、
あの警備ロボットが知っている外界は、
1ヶ月の間派遣されたこの広場界隈だけなはず。
自分の意思で出奔したのだとすれば、
この辺りに潜んでいるんじゃないかと思うの。
目撃者がいないか、他の住民にあたってみるわ。


a8

二人はマンゴー亭に行き、
従業員のアンナたちに
最近警備ロボットを
見かけなかったか尋ねている。


a9

その頃、高台の休憩所に
マスクをして変装したフェルミの姿があった。

いいお天気ですね。
観光ですか?
崖の紅葉まではしばらくありますよ。
と江本友恵に言われている。


a10

そのようですね。
ところで人を探しているんですけど、
ドロレスさんっていう方をご存知でしょうか。
とフェルミは言った。



解説)
続きます。
Posted at 20:13 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 09, 2025

寿司パーティ

a1

三人はバー・エデンの店内に入った。


a2

食材の入ったリュックを下ろして休憩。

宇宙船って言っても、
ここ地球のバーと変わらないんですね。
とローラが言っている。

乗っているのは、
ほとんど人類オタクの宇宙人ばっかりだからね。
お店の内装も地球の酒場風にしてあるの。


a3

二人は早速カウンターに入って、
お米を炊き、寿司を握っている。


a4

寿司パーティが始まり、
ルースとエレナとノヴァがやってきた。


a5

お寿司を運ぶついでに
ローラに紹介するわ、
とカコが言っている。


a6

鶏のような顔がルース。
アヒル顔がダック、
銀色の小さい人はピピっていうのよ。
みんな、
銀河系のいろんな惑星から来てる宇宙人。

どぞよろしくと言っている。


a7

ここは映写コーナー。
スターウォーズオタクの宇宙人たちが、
コスプレして、
いつも映画を見ながら楽しんでるの。


a8

サラはホログラムの地球の森林風景が楽しめる
カウンターのコーナーで、
初めて見かけた男女らしき宇宙人に出会った。

あなたがサラさんね。
私はこの船の艦長のメイズ、
隣にいるのは副官のオニールよ。

どうも。サラサラのサラです。
私のことご存知なんですか。

この船に来たのは2度目でしょう。
あなたたちのことは
報告受けてるから。


a9

パーティの開催を知って、
レプティリアンたちもやってきた。

ふーん地球から人間の料理人を呼んだのか。
我々がそんなことすると、
すぐに問題になるが、
宇宙連合は勝手ができていいなあ。


a10

レプティリアンたちは
サラたちと合流して話している。

このかっぱ巻きうまいなあ。

そうでしょ。
採りたてのを買ったのよ。

二人を失踪したことにして、
ずっと調理を担当してもらったらどうだ。

それは規約違反よ。



解説)
続きます。
Posted at 21:38 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 08, 2025

宇宙ステーションへ

b1

買い物を済ませたサラとカコとローラは、
鏡の扉を使ってアフリカのフラハの家に行き、
ジャングルを抜けてホテル・ナジャに到着していた。


b2

ホテルの裏の広場にある
大きな岩に向かう。


b3

転送装置を使って
宇宙ステーションへ。


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三人は宇宙船の船内に到着した。


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初めて来たローラは
キョロキョロしている。


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大きな宇宙船なんですね。

元はレプティリアンたちの
母船だったからね。


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この窓の白い光は?

それはカーテンみたいなものよ。
スィッチを押すと、
向こうの部屋が覗けるわ。


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室内では
アヒルのような顔の宇宙人が
乗務員と会話をしていた。

彼はダック。
あとで紹介するわ。


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この通路の突き当たりに
バー・エデンがあるの。
そこでパーティをする予定。


b10

三人は、
バー・エデンに到着した。



解説)
続きます。
Posted at 21:15 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 07, 2025

買い物など

a1

晩秋の日差しが広場に差し込んでいた。


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デジャでは、ハリー夫妻が
魔術劇場に帰り、
ヴィヴィアンとセリーヌが話している。

私もそろそろ砂漠に戻ろうかな。
ラルゴに留守番任せたままだし。

先にツナとナディアが
戻っているわよ。
現実の世界は初めてなんでしょう。
ゆっくりしていったら?

夢の中じゃないと、
どうも落ち着かなくて。


a3

昨日が立冬だったんだってね。
朝晩涼しくなったわけだ。
とジルが言っている。

そう感じます?
とゼロが言っている。


a4

広場では、リュックを背負った
サラたちが農家の直販店で
きゅうりを買っていた。


a5

このきゅうり、
全部お買い上げですね。

なに作るんですか?
とヘルミーネが訊いた。


a6

かっぱ巻きよ。
とサラが試食しながら答えている。


a7

隣のマンゴー亭では、
再会したマークとジャンが
食事をしていた。


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ハロウィーン祭りには参加できなかったが、
君も来ていたと知ってたら、
来るんだったなあ。

お庭のジオラマ村は
どんな様子です?

お祭り中は観光客が多くてね。
実はナタリーと二人で、
案内役で忙しかったんだよ。


a9

そこにサラがやってきた。

肉まんを持ち帰りで
40個ほどいただけないかしら。

毎度あり。


a10

サラたちあんなに食材を買い込んで
どこに行くのかなあ。
と佳奈が言っている。



解説)
続きます。
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Nov 06, 2025

カコの依頼

a1

ペンギン前では、
サルバドールや観光客が帰り、
ローラがバグたちと話していた。


a2

このリース、
飾るの早くないですか。

ドルフィンの倉庫の備品、
早い者勝ちだからね。


a3

コンテストの優勝おめでとう。

信じられませんわ。
こんな帽子まで頂いちゃって。


a4

その時、突然、
リズの目の前にカコが現れた。

あら、びっくり。
と言っている。


a5

レプティリアンから、
透明マントを借りて
ずっとハロウィーンを見物してたの。
とカコが言っている。


a6

それでさ、
あなたコンテストで優勝した
ローラさんでしょ。
ちょっと頼みがあるんだけど。

なんでしょ。


a7

今度、宇宙ステーションで、
寿司パーティを開きたいと思ってるの。
それで調理を手伝ってくれないかな。

え。私がですか。

ええ。あなたのことは調べさせてもらったのよ。
お料理がお得意なんでしょ。

ええ、まあ。

私はカコ。
ここにいるミラの妹で、
地球を観察に来ている宇宙人よ。
あなたと同じ観光客みたいなものね。
それで同じような地球オタクが、
宇宙ステーションにはいるの。
ハロウィーンに遊びに来た仲間もいて、
盛り上がって寿司パーティを
やることになったわけ。

わかりました。
お世話になってるミラさんの妹さんでしたら、
喜んでお手伝いします。
ところで、もう一人誘ってもいいですか。
お料理の上手な人がいるんです。

ああ、サラのことね。
彼女なら宇宙ステーションに来たこともあるし、
みんなとも顔馴染みだからOKよ。


a8

ローラたちは、
サラたちの部屋を訪れた。


a9

サラの着付けとアドバイスのおかげで
コンテストに優勝できちゃった。
そのお礼を言いに来たんだけど、
その他にも頼み事があるの。

そう言ってローラは、
寿司づくりの話をサラに切り出した。


a10

いいわよ。
私もお寿司食べたかったところ。
宇宙ステーションに行くのは
今年の1月以来ね。
市街地で食材を買い集めていきましょう。
とサラは言った。

なんか、
突然の思いつきみたいな展開だねー。
とジェットが言っている。



解説)
続きます。
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Nov 05, 2025

それぞれの未来

a1

サラたちの部屋に
シノとダリオが来ていた。


a2

シノは戦国時代のお姫様の衣装を、
ダリオはアフリカの先住民の衣装を、
それぞれサラに着付けてもらっていて、
ハロウィーンの広場で知り合ったようだ。

優勝はできなかったけど、
楽しかったわ。
と言っている。


a3

ダリオさんにアフリカのジャングルを
案内してもらうことになったの。
その後で、私がジェラシックワールドを
案内するのよ。

二人とも好奇心旺盛なので、
気が合うんです。
とダリオが言っている。


a4

暮れかけた広場に
人出は少なかったが、
演奏に聞き入る人々や、
フェルミの姿が見える。


a5

通りかかったドロレスが、
声をかけている。

あら、警備ロボットのフェルミさんね。
まだ広場にいらしたの?


a6

ああ。薔薇の花を見ていたんです。
この花、綺麗ですね。


a7

警備ロボットなのに、
お花に興味があるなんて
変わってるわね。

自分でもおかしいんですよ。
どこか自分が変わっちゃったみたいで。
それに、なんだかこの先のことが、
気になるようになって。

この先のことって?

いえ、いいんです。

なんでも話してよ。
私の秘密も話してあげる。

え。

研究所のみんなには黙っていてね。
私はシェリー博士に作られたロボットなの。
だから自意識を持ったあなたの
不安な気持ちはよくわかるわ。

ロボットですって。
生体反応もあるようで、
とてもそうは見えませんが。

そういうふうに見せかけているだけなのよ。
私もね。不安な気持ちに耐えかねて、
研究所を逃げ出したことがあった。

逃げ出したんですか!

話せば長いんだけどね。


a8

その時、ロボット研究所から
事務員のドーリスがやってきた。

フェルミ。
警備の終了後に周辺を視察するって
聞いていたけど、
帰りが遅いので迎えにきたわ。

あ、ドーリスさん。
視察も終了して、
これから帰るところでした。


a9

二人はドロレスに
簡単な挨拶を済ませると、
そそくさと
研究所に帰っていった。



解説)
続きます。
Posted at 20:01 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 04, 2025

それぞれの帰郷

a1

サラたちの部屋に
ツナとナディアがやってきた。


a2

東の砂漠に戻るんでしょう。
この保存食食べきれなかったの。
持って行かない?

それは助かるわ。


a3

この竹筒の水筒もどうです。
夢見の水が入ってますよ。


a4

二人は鏡の扉から
呪文を唱えて去っていった。


a5

二人が立ち去ると、
今度はディアナとみすずが
やってきた。


a6

ハロウィーン楽しかったわ。
また来年も来られるといいわね。

その袋はなんです?

もちろんお土産に買った肉まんよ。


a7

私も一緒に行くわ。
ミミコのことが気になるの。
とフミコが言った。


a8

広場はさすがに閑散としていたが、
大道芸人たちの歌声が聞こえている。


a9

去年は音楽イベントがあったけど、
今年はどうなんでしょう。

予定は何もないみたいね。


a10

高台の休憩所には、
フェルミの姿があった。

あなた広場にいた警備ロボットでしょ。
まだお仕事なの?

いえ。
ロボット研究所に戻される前に、
ここの景色を見てみたいと思いまして。

ふーん。
そんなこともプログラミングされてるの?

なぜでしょうね。
自分でもわかりません。
ここの土地の水を
補給してもらったせいかな。
なぜかそんな気分になったんです。



解説)
続きます。
Posted at 20:15 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 03, 2025

その後の広場など

a1

広場では後片付けが
進んでいた。


a2

ハロウィーンの看板ゲートが撤去され、
ドルフィンのスタッフが、
植え込みを復元している。

エルザは
これ忘れてたわと言っている。


a3

農家の直販店が
また開業するようで、
ヘルミーネたちが、
開店の準備をしている。


a4

マンゴー亭では、
店主の小池恵子が
アンナとレイを労っている。

お疲れ様。
おかげさまで大繁盛。

これでクリスマスまで
一息つけますね。


a5

ベーカリーのテーブル席には、
田上うたとドミノが座っていた。
大道芸人たちが珍しく休憩しているようだ。


a6

シティポリスはフェルミを連れて
ルビーに挨拶に来ていた。

今年はかなりの人出でしたが、
トラブルもなくて
よかったですね。

フェルミさんは
警備のパワーが発揮できなくて残念ね。

経験が大事なんです。
観察した人のデータは
保存してありますから。


a7

ジェニーたちの部屋では。
広場から戻った三人が、
一緒にモニターを覗き込んでいる。

ジェニー、留守中に何か動画作った?

全然、
ずっとワールドシリーズ見てたのよ。


a8

サラたちの部屋では
来訪者たちが帰り、
ケイやジェットがおむすびを食べていた。

これ随分日にちが経ってるけど、
大丈夫なんでしょうか?


a9

特別製の保存食だから
大丈夫よ。



解説)
続きます。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 02, 2025

翌日の広場

a1

ハロウィーンが終わり、
広場ではぼちぼち後片付けが始まっていた。


a2

鳥獣同盟のメンバーが
集まっている。

当日にみんな揃う予定だったけど、
ホテルが忙しくて無理でした。

それで今日集まったのね。

私たちみたいな姿でも
まだ怪しまれないですから。


a3

ちょうどよかったわ。
お店の飾り物外すの手伝って。
とリタに言われている。


a4

佳奈は枯れ木を片付けている。

また一年出番がないのかなあ。
とマイケルが言っている。

いつでも広場に遊びにくればいいのよ。


a5

ダリオさん、その大蛇。

どうもここが気に入ってるようなんだ。


a6

スターウォーズオタクたちの
グループが帰ったベランダでは、
ペギーが洗濯物を干していた。

普段の暮らしに戻るのね。
とディアナが言っている。


a7

和風コスプレのグループのいた
マンゴー亭では。

みんな帰って、
あなたたちだけ残ったのね。

僕たちはほぼ確実に
一年後まで出番がないので、
名残を惜しんでいるんです。

まぼろし探偵か。
無理ないわね。
とエレナが言っている。


a8

サラたちの部屋には、
ケイとジェットとシノが
マンゴー亭から戻ってきていた。

ずっと気になってたんですけど、
ケイさんが首に巻いてたその風呂敷包み、
何が入ってるんですか。
とシノが言った。


a9

風呂敷包みを開くと、
中にはおむすびや干し柿が入っていた。

地味な小道具なのに、
サラさん、よくやりますね。
とノヴァが言っている。

戦国武将だからね。



解説)
続きます。
Posted at 19:44 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

Nov 01, 2025

コンテストの結果発表

a1

広場はハロウィーンの余韻に浸ったり、
コンテストの結果を待つ人で賑わっていた。


a2

ルビーがマイクを手に現れた。

皆さん。
ハロウィーンのコスプレコンテストの
結果を発表します。


a3

まずは登録された皆様に
今年も全国津々浦々より
ご参加いただきお礼を申し上げます。


a4

おかげさまで参加者多数。
優勝者の選考に苦労しました。


a5

長時間にわたる、
厳正中立な審査の結果。

引っ張るわねー。
と言っている。


a6

優勝したのはゾンビ、

あ、もしかして僕が。


a7

ゾンビの魔法使いが、
幽霊になりかけている扮装をした
ローラさんです。

ローラさん、おめでとう。
とはるなが言っている。


a8

拡声器の放送を聞いたローラは、
急いで広場にやってきて、
万来の拍手と歓声に包まれながら、
優勝トロフィを授与されている。


a9

おめでとう。
その手の仕草が高得点だったのよ。

そうなんですか。
信じられない評価ポイントですね。



解説)
続きます。
Posted at 20:09 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
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