Jun 07, 2026

紫陽花など

a1

サラたちは、常春の国に戻るため、
マンゴー亭から出てきた。


a2

広場ではルルが花の手入れをしていた。

これは?

今は紫陽花の季節でしょう。
見頃だから広場に飾ろうと思って。

a3

素敵ね。

私、エドの好物の鹿せんべいを
ローラからもらってくる。
サラの部屋で落ち合いましょう。
とシモーヌが言った。


a4

サラは紫陽花の小鉢を、
ルルからわけてもらった。

それどうするの?

お部屋に飾るのよ。


a5

サラとエリーゼは部屋に戻ろうと
階段に向かって歩いている。

あ、あそこに。
と人形のケイトが言った。

本当だ。久しぶりね。
と、エリーゼも言っている。


a6

二人ともどうしたの?
何も見えないわよ。
とサラが言っている。

白っぽいお化けのようなものは、
エリーゼとケイトだけに見えるようだ。


a7

サラたちは部屋に戻ってきた。

お帰りなさい。
あら、きれいな紫陽花ね。
とメアリーに言われている。


a8

どうしたのこれ。

ドルフィンの倉庫の裏で
ルルが手入れしていたらしいんだけど、
満開の季節だからって、
小鉢に入れたのをわけてくれたの。

それはどうしたんですか。
とジェイソンが言った。


a9

なんのこと?

サラの横に座っている白っぽいものですよ。
お化けみたいだけど。

メメもメーメーと言っている。


a10

サラはなんのことかわからず、
戸惑っている。

あなたたちにも見えるのね。
その子は、何かの幽霊。
私たち死者や精霊にだけ見えるみたい。
広場で出会ったんだけど、
ずっとついてきたのよ。
とエリーゼが言った。



解説)
続きます。
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Jun 06, 2026

アスラーデの計画

a1

ここは迷いの森から通じている
異世界の一つ。
アーキスに食べられた蜘蛛は。


a2

振り出しに戻るように、
この世界に戻されてきた。


a3

おお、戻ってきたのね。
エリーゼの居処はわかったの?

はい。
直接確認することはできませんでしたが、
「常春の国」というところに住むようです。
その世界には夢食いの怪鳥がいて、
侵入者を防いでいるようで、
俺も一瞬で食い殺されてしまいました。

そーだったの。
それは大変だったわね。


a4

近くで話を聞いていたローゴスが言った。
夢食いの怪鳥だと?
そいつは一年前に「忘れられた夢の世界」を
侵略した時、仲間だった奴じゃないか。
みんな出現場所を選べないので、
ちりぢりになったようで、
とうとう会えずじまいだった。
「常春の国」という世界で、
守護者になっているということは、
どうなっているんだ。

二つの世界は、
魔族の使う鏡の扉で、住人たちが
行き来しているようなんです。
俺は「忘れられた夢の世界」から、
魔族の作った鏡の扉で行ったんです。

ふーん。
鏡の扉は便利そうだが、
俺たち夢食いには縁がないな。
あいつにそんな魔法が使えるわけがないから、
二つの世界には、
どこかに別の通路があるんじゃないか。
まあ目的地はわかったわけだから、
どうでもいいが。


a5

蜘蛛はアスラーダに報告した。

全然当てにしてなかったんだが、
よくエリーゼの居処を見つけてくれたな。
夢食いの協力者も増えたことだし、
今度こそ、エリーゼを眠らせて
魂を喰らってやることができそうだ。
成功したら、その「常春の国」は、
お前たちにくれてやろう。

元々シモーヌという魔族が
生み出した世界で、
フィギアのフクロウたちの暮らす、
とてもいいところみたいなんですよ。
お城も庭園もあって。

私にはそんな世界は興味がない。
どうせ人形遊びの好きな魔族の
妄想みたいな世界なんだろう。
ところで作戦なんだが、
まずは集合場所を決めておく。
そこにエリーゼをさらってきて、
繭の中で眠らせるのがお前たちの役目だ。

繭に閉じ込めて眠らせることはできるけど、
さらってくるのは私たちには無理よ。
と人面蜘蛛が言った。

そこをなんとかするんだ。
邪魔する奴はみんな消してしまえ。
そのためにローゴスたちがいるんだ。
その世界のどこに出現するかは決められないが、
人面蜘蛛。
お前の出現した場所を集合場所にしよう。
だから最初に行ってくれ。

待って、それは無茶よ。
もうちょっと考えたほうが。
と人面蜘蛛が言った。

無視してアスラーダは呪文を唱えた。


a6

次の瞬間。
気がつくと人面蜘蛛は草地にいた。

ここはどこかしら。
話の流れから言って、
「常春の国」らしいわね。


a7

そこは「常春の国」の
湖に浮かぶ小島の草原だった。


a8

人面蜘蛛の不思議な力に引き寄せられて、
手下の蜘蛛たちが、次々と出現していった。

ここが集合場所になるのね。


a9

人面蜘蛛様。
ここはどうも湖に浮かぶ小島のようです。
私たちは島から出られませんよ。
と蜘蛛たちが報告している。

だから無茶だって言ったのに。


a10

人面蜘蛛の引き寄せの力は万能でなく、
一匹だけ、別の場所に出現してしまった蜘蛛がいた。
それは、散々エリーゼ探しの冒険をしてきた蜘蛛だった。

人面蜘蛛様も、
仲間も誰もいないなあ。
と言っている。



解説)
続きます。
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Jun 05, 2026

常春の国で

a1

シノと蜘蛛を乗せたシェルは、常春の国に抜けてきた。
初めての訪問なので、自分が付き添うと言って、
ディアナもついてきてくれた。

おお、これはディアナ様。
お連れはお客様ですか。
とミネルバが言っている。


a2

こちらはシノとシェル。
「忘れられた夢の世界」での、
私のお友達なの。
よろしくね。

それはそれは。
こちらこそどうぞよろしく。
オウル様は珍しく起きておいでです。
早速ご案内しましょう。


a3

ディアナはオウルにシノたちを紹介した。

それで、サラやシモーヌと、
エリーゼとケイトはいないの?

皆さんは、
エリーゼさんたちに住民を紹介するといって
出かけられましたが、
エリーゼとケイトさんは
ここにお住まいになられると
いうことでしたので、
戻ってこられると思います。
今、お二人のお部屋の準備中です。

それで起きてたのね。
エドは、元気?

はい、野原を駆け回ってます。


a4

ディアナは鹿の姿に変身した。

私、エドに会ってくる。
向こうの世界では恐竜がいるので、
安心してサバンナを走れないのよ。

シモーヌ様たちが戻られたら、
お呼びしますよ。


a5

広間では、
フクロウたちが忙しそうにしていた。
エリーゼとケイトのための
部屋の準備をしているようだ。

すごいお客様ですな。
あの方もフィギアの精霊でしょうか。
とミネルバが言っている。

そうじゃなくて、シェルは、
本物のシェルター型のロボットなのよ。


a6

一行は城の外に出た。

私はお花畑に行って、
エドに会って走り回ってくる。
あなたたちはどうする?

走るのはどうも苦手です。
とシエルが言った。

じゃあサラたちが戻るまで、
庭園でも散歩してらっしゃいよ。
噴水が綺麗よ。
とディアナが言った。


a7

デイアナと別れた後、
シノたちが庭園を見て回っていると、
夢食い蜘蛛がシェルの中から、
這い出してきた。

ふー。ここも住みやすそうな世界ですね。
じっとシェルの中に潜んでおりましたが、
おかげでエリーゼとケイトが
ここに住むらしいことがわかりました。

それは役目が果たせて良かったわね。
あとは報告するだけね。
でもそうなると、やがては、
アスラーダがやって来るのかしら。


a8

その時、怪鳥が
ぐんぐん接近してくるのが見えた。

あ、あれは。


a9

怪鳥は至近に迫って
ホバリングをしながら、
蜘蛛を嘴で咥えて
噛み砕いてしまった。
夢食い蜘蛛の姿が薄れていく。

あらら。
とシノが言っている。


a10

お前たちも夢食い蜘蛛の仲間か?

あなたは誰?

俺はこの国を守っている
夢食いのアーキスだ。

私たちは「忘れられた夢の世界」から来た、
普通の旅行者よ。
サラに会いに、ディアナと一緒にきたの。

なんだと、ディアナやサラと知り合いなのか。
それがなぜ侵入者の夢食い蜘蛛と一緒にいたんだ。

「忘れられた夢の世界」で出会って、
サラに会いたいっていうから、
連れてきただけよ。
いきなり食べちゃうなんて、ひどくない?

俺は侵略者からこの国を守るのが
仕事なんだよ。



解説)
続きます。
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Jun 04, 2026

みすずの家で

a1

忘れられた夢の世界の
湖のほとり。


a2

シェルに乗ったシノと蜘蛛が、
ジャングルを抜けて来た。


a3

あれがみすずの家よ。

ふーん。あの家もなかなか
古色蒼然としていますなあ。


a4

シノたちが家に行くと
ちょうどみすずに出会った。

あらシェル。
シノも一緒なんでしょ。
と言われている。


a5

シノはシェルから降りた。

ディアナ、珍しくシノが来たから、
お茶にしましょう。
とみすずが言っている。


a6

フミコも加わり、
応接間でお茶会が始まった。


a7

サラ?
10日くらい前に、シモーヌと
エリーゼっていう幽霊の女の子と一緒にきたけど、
常春の国に行くって言って、
出かけて行ったわよ。
とディアナが言った。

そうなんだ。


a8

シノはあちこち見て回るのが好きだったわね。
常春の国には行ったことがあるの?

まだ行ったことがないわ。
シモーヌっていう魔族が作った国で、
精霊だけが住んでいるんでしょう。
シモーヌっていう人にあったら
頼もうかと思っていたんだけど、
彼女と知り合う機会がなくて。

サラに聞いた話だと、
アーキスっていう夢食いも住んでいるらしいわよ。
元はローゴスの仲間だったけど、
今は改心して治安のために見張りをしてるんですって。
サラに会いたいなら、常春の国に行ってみたら?
鏡の扉の呪文は私が覚えてるから、
扉を開けてあげるわよ。
とフミコが言った。

シェルも行ってみたらいいわ。
あなたは別世界に行ったことがないんでしょう。
とみすずが言った。

私はロボットなのでそういうのは苦手で。
シノの家で留守番していますよ。

まあそう言わずに。
こういう機会も何かの縁よ。


a9

シェルと一緒に行けるといいけど、
シェルは体が大きいので、
あの扉を通るのは無理でしょう。
とシノが言った。

だったら、特別に魔法をかけてあげる。


a10

フミコが呪文を唱えると、
薄い煙がたちのぼり。
鏡の扉が巨大になった。

魔族はいいなあ。
とシノが言っている。



解説)
続きます。
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Jun 03, 2026

ケントとの会話

b1

ケントはサラたちと話している。

やあサラ、久しぶりだね。

お久しぶり。
もう先々月のことでしたけど、
森林公園の桜の記事読みましたよ。
あれで名所みたいになっちゃって。

随分人出があったらしいね。

あ、こちらはシモーヌさん。
パリでアンティークのお店をやっておられます。

それはどうも。
新聞社に勤めているケントです。
それで、何か見せたいものがあるとか。


b2

ええ。このノート。
マルテっていう人の書いた
年代記の草稿なんですけど、
実は出版を考えているの。
お暇な時に読んでみてもらえないかしら。


b3

ふーん。
サラから頼まれるなんて
何かわけがありそうだね。
もちろん面白ければ、うちから出してもいいけど。
歴史物か。舞台はどこの国?

それが火星なのよ。
私もまだ読んでないからわからないけど。


b4

なんか達筆すぎて読みにくい文字だなあ。
筆が躍っているようだ。

くにゃくにゃした手で
一生懸命書いたみたい。

え、なんとこれは。

どうしたの?

面白すぎる。
会社に戻って、じっくり読んでみるよ。
返事はその後でいいかなあ。

もちろんよ。


b5

作者の連絡先とか略歴とかわかる?
疑問箇所があったら聞きたいんだけど。

匿名希望で、
連絡は私を介してお願いするわ。

ふーん。
やっぱり事情があるんだね。


b6

ケントさん。
ちょっとプライヴェートなことをお尋ねしますけど、
あなたは魔族の方ですね。
とシモーヌが言った。

あ、わかりますか。

私も魔族なものなので。
それで、この草稿のお話、
もし出版のお手伝いをしていただけるとなれば、
おいおい事情はお話しますが、
かなり公にできないこともあるのです。

わかりました。


b7

ケントは仕事に戻るために、
市街地に帰って行き、
広場でマリアとすれ違った。


b8

マリアはマンゴー亭にやってきた。

ああ、マリア。
留守中に訪ねてくれったって聞いたけど。

ああ、あの時ね。
実は特に用事はなくって、
あなたの家に蜘蛛を案内してたのよ。


b9

マリアは、夢食い蜘蛛が、
サラたちの居場所を知りたいというので、
部屋に案内したことや、
その夢食い蜘蛛は最終的に、
ドラコに食べられてしまったことなどを話した。

それでね。
最初はただの人探しだと思って手伝ったんだけど、
蜘蛛はドラコに食べられる直前に、
アスラーダっていう死霊が
エリーゼっていう幽霊の女の子を襲う目的で、
エリーゼやあなたたちを探していて、
自分はその手先だったって白状したわ。
人の良さそうな蜘蛛だったけど、
ボスの命令に従う習性は変えられなかったみたいで。


b10

今頃報告してるのかしら。
エリーゼはどこに行っても狙われているのね。
それに夢食い蜘蛛が手下なんて。

アスラーダのことはよくわからないけど、
たぶんアスラーダには
エリーゼを眠らせる力はないのよ。
それで夢食い蜘蛛の繭に閉じ込める必要があるから、
協力してるんだと思う。
「常春の国」にはもともと蜘蛛がいないから、
夢食い蜘蛛が侵入したらすぐわかる。
やはり今のところ、あそこが一番安全ね。
とシモーヌが言った。



解説)
続きます。
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Jun 02, 2026

コンテストの発表など

a1

サラたちはケントに連絡して
マンゴー亭で待ち合わせすることになり
広場に出かけた。


a2

こんにちわ。

あ、やっぱりタイミングよく来たわね。
これからコンテストの優勝者の発表をするところよ。
とルビーが言った。


a3

ルビーは、マイクを手にして、アナウンスを始めた。

みなさん。先月のコスプレコンテストの
優勝者を発表します。
厳正中立な審査の結果、
優勝したのは人形のアクセサリーが
チャームポイントのエリーゼさんです。


a4

エリーゼ、いつの間に参加登録してたの?

この前広場で、
舞っていう人に参加を勧められて、
代わりに登録しておくって言ってたので、
きっと参加したことになってたのね。


a5

万雷の拍手に迎えられて
エリーゼはトロフィを授与されている。

私幽霊なんですけど。

気にしないで。


a6

すぐに、コンテストの参加賞の
恒例イベントのチョコの掴み取りが始まり、
長蛇の列ができている。


a7

サラたちはマンゴー亭で
ケントの到着を待つことにした。

エリーゼ、トロフィはどうしたの?

重いからドルフィンで
預かってもらいました。


a8

エリーゼはルビーに声をかけられた。

さっきは助かったわ。
毎月コンテストの優勝者を発表してるんだけど、
このところ参加者は常連の住民ばかりで、
新規登録者がいなくて、困ってたところ。
あなたが来なかったら、
今月は該当者なしにするところだった。

そうなんですね。

エリーゼさんってとても幽霊には見えないわね。
霊界から来たの?

え、あ、まあ。そんなところです。

そのお人形も?

これは幽霊じゃないんですよ。
ケイトって呼んでます。

普通のお人形なのね。
そういう毛糸のお人形って、
毛糸をほどくと芯に何が入っているのかしら?

ケイトは話たかったが
黙っていた。


a9

そうこうしているうちに、
市街地にあるデイリープラネットの支局から、
新聞記者のケントがやってきた。



解説)
続きます。
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Jun 01, 2026

蜘蛛とシノと

a1

蜘蛛とシノの会話は続いていた。

ここはいつまでも続いている夢の世界だから、
あなたみたいな征服志向の夢食いもやってくる。
一年前にはローゴスが仲間を引き連れてきたの。
でもモンスターハンターの夢食いのセリーヌや、
人間やロボットが助けてくれて撃退したのよ。

おお、そのお話はローゴスからも聞きました。
ローゴスは、まだ諦めたわけじゃないって言ってましたよ。
死霊のアスラーダ様と協力関係を結びたがっていたようです。

ふーん。
そのアスラーダっていうのが、
あなたのボスなの?

俺のボスは、人面の蜘蛛ですよ。
彼女がアスラーダ様と協力関係を結んでいるんです。
それで俺はアスラーダ様の命令にも従っているんです。

あなたは一番下っ端なわけね。
それで私にそんな貴重な情報を教えてくれていいの?


a2

ここは住みやすそうなところですね。
俺もシノさんみたいな普通の夢食いになりたかったなあ。
敵とか味方とか、あんまり関係ないんです。
ボスの命令に従うのは夢食い蜘蛛の習性なんですよ。
と窓の外を眺めながら蜘蛛が言った。


a3

それで、エリーゼを探す、
手がかりは何かあるの?

この世界に来ているかもしれないというだけで、
すごくあやふやなんですよ。
でも、シモーヌという魔族と、
人間のサラという女性と一緒にいるらしいです。

シモーヌっていう人は知らないけど、
サラなら知ってるわ。
そうだ。みすずの家に行きましょう。
みすずはこの世界に最初に来た先住の夢食いで、
みすずはサラとも知り合いだから、
そこに行けばきっと何かわかるわよ。


a4

シノたちは早速出かけることにした。


a5

飛んでくるプテラノドンに襲われないように、
蜘蛛もシノと一緒にシエルの中に入れてもらった。


a6

その頃、洞窟では
サラたちが話していた。

ここで留守番してるのって、
一人っきりで寂しくないの?

僕は部屋の隅の棚の上にずっと
置かれたままの置物だったので、
慣れているんですよ、
それに、ここでは自由に動けますから。


a7

その時洞窟の奥から、
マルテがやってきた。
忘れられた夢の世界から、
洞窟を通ってきたようだ。

おや、珍しいお客さんかな。
と言っている。


a8

トロンの家で
ずっと執筆してたんだが、
一応草稿が完成したんだよ。

それは良かったですね。
出版するんですか?

ふむ。地球人に読んでもらうのもいいが、
火星の歴史物は、どんなジャンルに入るのかな。

それはもちろんSFでしょう。

本当にあったことだぞ。

まず誰も信じないと思うわ。
あ、どこかの出版社に持ち込んでみたら?
とは言っても知り合いはいないけど。
そうだ、ケントさんに頼んでみる。
とサラが言った。

誰だねそれは。

ケントさんは新聞社に勤めてるの。


a9

善は急げね。

シモーヌはマルテから、
草稿の書かれたノートを受け取ると、
呪文を唱えて、
鏡の扉を作り出した。

まずケントさんに読んでもらう。
出版の話はそれからね。

ふむ。よろしくな。


a19

三人はサラの家に戻ってきた。

おかえり。
留守中にマリアが
サラに会いに来たわよ。

そうなの?
何だったのかしら。



解説)
続きます。
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May 31, 2026

幸運な出会い

a1

蜘蛛と毒蛇の睨み合いは続いていた。
蛇は木に上るのが面倒なので、
待ち受けているようだ。

蜘蛛は、集団で行動する夢食い蜘蛛特有の
仲間に対する緊急信号を発していたが、
もちろん仲間はいないので誰も来なかった。


a2

しかし、その時、
巨大な金属製の球体がジャンプしてきて
毒蛇をペシャンコに押しつぶした。


a3

球体からは手足が伸び、
上部のハッチが開いてシノが顔を出した。

あなたは、夢食い蜘蛛ね。
仲間を呼ぶ信号が聞こえたから、
とんできたの。
私は夢食いのシノよ。
と蜘蛛を見上げながらシノが言った。


a4

蜘蛛は球体の上に飛び降りた。

シノさんですか。
私は名もない夢食い蜘蛛です。
助けていただきありがとうございます。

夢食い蜘蛛なら、この世界を
征服するために来たんでしょう。
あなたのお仲間は?

いえいえ、私はただ人を探しに来たんです。
仲間もいなくて一人きりなんです。


a5

夢食い蜘蛛が人探しなんて聞いたことがないわ。
正直に言わないと消してしまうわよ。

本当です。本当です。
死霊のアスラーダ様に頼まれて、
エリーゼという幽霊を探しているんです。

エリーゼ?
聞いたこともない名前ね。
ふーん。確かに、この世界は広大で、
夢食い蜘蛛が束になってきても、
恐竜に踏み潰されるのがオチだから、
本気で征服しにきたとも思えないわね。
まあいいわ。
あなたの言葉を信じて
エリーゼ探しに付き合ってあげる。
私は世界征服をしたがる
あなたたちみたいな夢食いとは違って、
いろんな夢を渡り歩くのが好きな夢食いなの。
この世界でも観光してるのよ。
居心地良くて住み着いちゃってるけど。


a6

とりあえず、私の小屋に行きましょう。

シノさん。
夢を渡り歩くって、その姿だと驚いて、
みんな目を覚ましちゃうんじゃないですか。

この姿はね。シェルっていうロボットの体。
私は今シェルに乗せてもらってるの。

どうぞよろしく、
とシノの胴体の中からシェルの声が聞こえた。


a7

我が家が見えたわ。


a8

いい感じの侘び住まいですね。

屋根が気に入っているのよ。


a9

シェルの胴体の前部が開いて、
シノが中から降りると、
シェルの頭部のハッチから
カプセルが迫り出してきた。

驚きの連続です。

ここでシエルと二人で暮らしているの。
気に入ったら蜘蛛の巣はってもいいわよ。



解説)
続きます。
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May 30, 2026

蜘蛛の受難

a1

夢食い蜘蛛は不思議な力によって
「忘れられた夢の世界」に飛ばされていった。


a2

夢食い蜘蛛が現れたのは、
深いジャングルの中の草の葉の上だった。


a3

どうやらここが
「忘れられた夢の世界」らしいな。
しかし、いるのかいないのか
わからない人を探すなんて、
今度も無茶な話だなあ。


a4

白いトカゲが現れた。

お、まずいぞ。
俺は夢食いで、普通の蜘蛛じゃないんだぞ。
といっても、通じそうもないな。


a5

白いトカゲは襲いかかってきた。

ああ、また食べられて
消されちゃうのか。


a6

その時、アロサウルスが現れて
俊敏にトカゲに飛びかかり、
おいしそうに食べ始めた。

おお、今のうちに逃げよう。


a7

蜘蛛は一目散に逃げていく。

全く攻撃能力のない俺に
エリーゼの探索を命じるなんて
アスラーダ様は全く何考えているんだろう。


a8

方角もわからず蜘蛛が当てもなく歩いていくと。
縞柄のいかにも毒蛇らしい蛇がにじり寄ってきた。


a9

蜘蛛は急いで近くの樹木に這い登った。
蛇はとぐろを巻いて見上げている。

木に巻き付いて登ってくるのかなあ。



解説)
続きます。
Posted at 20:19 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 29, 2026

異世界で

a1

ここは迷いの森の中から通じている
数ある異世界の一つ。
ある種の夢食いたちの原郷のような所で、
彼らはここから夢の中に運ばれる。


a2

夢の中で消えた夢食いたちは
双六の振り出しのように、
多くはここに戻ってくることになる。
現実世界に行った蜘蛛もここで蘇っていた。

おや、戻ってきたのね。

はい。


a3

それで迷いの森の湧き水の流れを下っていけば、
現実世界に抜けられるって本当だったの?

はい。
でも現実世界は私たち夢食い蜘蛛にとっては、
とても征服なんてできそうもない、
厳しいところでしたよ。
運よく夢食いのサルバドールに出会って、
親切な魔族のマリアに案内してもらい、
アスラーダ様に命じられた目的を
なんとか果たせたんですが、
夢食いのドラゴンに食べられてしまいました。
アスラーダ様に報告しなくちゃ。


a4

雷鳴が轟き、稲光に乗って
死者の魂の住む異世界から
アスラーダがやってきた。


a5

あのエリーゼと二人の女の居処はわかったかい。

シモーヌとサラの家は突き止めましたが、
二人ともエリーゼと一緒に「常春の国」か
「忘れられた夢の世界」と言うところに
出かけたのではないかと聞きました。

夢の中に逃げるつもりなのか。
しかしシモーヌというのは相当な力を持つ魔族。
そこが魔族が作り出した世界なら好都合だぞ。
魔族は醒めない夢を作り出すことができるらしい。
そんな世界を乗っ取ることができれば、
お前たちはそこにずっと住んでいられるんだ。
俺の関心はエリーゼだけだ。
また協力して動こうと人面蜘蛛のボスに伝えてくれ。
それから、お前はその二つの世界の
どちらにエリーゼがいるのか調べて報告してくれ。


a6

また無茶なことを。
どうやってその世界に行けばいいんです?

それは任せるよ。

そう言い残すと、
アスラーダは雲の中に消えていった。


a7

耳障りな雷鳴を聞きつけた夢食いたちが
集まってきた。
ローゴスとその仲間たちだった。

なんだ人面蜘蛛、お前は、
あんな奴と仲間になっているのか。

強いものと組む方が楽だからね。
アスラーダの放つ死骸線を受けて
消えない夢食いはいないわ。

ふむ。しかしあいつは死霊だろう。
生者の夢にまで出てきて夢を
支配したいわけじゃないだろうに。

彼は特別なのよ。彼はエリーゼという
死者の魂と合体したいだけなの。
だからその目的を遂げた後は、
その夢の世界は私たちのものになる。


a8

随分美味しい話じゃないか。
俺たちにも参加させてくれないか。

それはいいけど、
最後は夢の領土の取り合いになるわね。

弱肉強食は原理原則じゃないか。


a9

その時、アスラーダと話していた蜘蛛が
戻ってきた。

ボス、またエリーゼの居場所を探す
役目を与えられました。
とりあえず「忘れられた夢の世界」と言うところに
行ってみたいんですが、
どうやっていけばいいんですか?

ほー。あそこにいきたいのか。
と側で聞いていたローゴスが言った。

あそこは、巨大な恐竜が住む広大な世界だぞ。
先住の夢食いもいるし、人間の魔族もやってくる。
だがいつまでも消えない夢というのが魅力で、
俺たちは征服しに行って酷い目にあったんだ。
一度征服に行って消し去られた場所に
再挑戦するためには待機時間が必要だが、
諦めたわけじゃない。
行く方法は覚えている。
お前は初めてだろうから、運が良ければ、
すぐに行けるよ。
ただ、どこに飛ばされるかはわからないがね。

「忘れられた夢の世界」の噂は
私も聞いているけど、
住みやすそうなところのようね。
ローゴス、アスラーダにさっきの話、
取り継いであげるから、この蜘蛛のことお願い。
と蜘蛛のボスが言った。

よし、わかった。
「忘れられた夢の世界」に行きたいと念じてみろ。
とローゴスは言うと、
蜘蛛に向かって呪文を唱えた。



解説)
続きます。
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May 28, 2026

蜘蛛とマリア そのに

a1

マリアは人間の姿に戻って、
サラたちの部屋を訪問した。

あらマリア。
珍しいじゃない?
と言われている。


a2

ピーナツクリームサンド食べる?

サラはいないの?

最近ずっといないわ。
1週間ほど前にシモーヌと
赤い人形をぶら下げた女の子と一緒に、
マンスフィールドさんの倉庫に行くって出かけたきり。
多分そこから、「精霊たちの暮らす常春の国」とか、
「忘れられた夢の世界」にでも行ったんじゃない?
シモーヌが魔法の扉を使うから、
とてもついていけないのよ。
とメアリーが言った。


a3

そうだったのね。
じゃあ、また出直してくるわ。
そういうとマリアは
ひっそりと棚に潜んでいた蜘蛛と相談している。


a4

部屋を出たマリアは猫の姿になって、
再び部屋に忍び込んできた。
蜘蛛は部屋のテーブルの下で
蜘蛛の巣を張っていた。

あなた本当にこの部屋で
サラの帰りを待つつもり?

居場所が確認できたから
もう役目は終わったんですが、
迷いの森に帰る前に
一目本人を確認したいと思いまして。

役目ってどういうこと?


a5

しかしその時、
オセロがやってきた。
オセロはマリアと蜘蛛を
興味深そうに眺めている。

ここは危険よ。
退散しましょう。


a6

マリアと蜘蛛は高台の休憩所まで逃げてきた。
しかし子供達に見つかってしまった。

わわ。黒猫と大きな蜘蛛だ。

この赤いリボンの猫、きっとマリアさんだよ。
私、変身してるの見たことがある。
とすずが言った。

この蜘蛛はなんだろう。
家来なのかな。

珍しい蜘蛛ね。


a7

マリアと蜘蛛は、なんとか
広場のドルフィンの2階にある
ベランダまで逃げ延びてきた。

ここまで来れば一安心ね。
ところでさっき役目って言ってたけど、
あなたがこの現実世界にきた目的はなんなの?

はい。お世話になっていて
言いにくいんですが、
エリーゼという幽霊の女の子を
追いかけているアスラーダ様に頼まれて、
居場所を突き止めることだったんです。
彼女と行動を共にしていたのが、
シモーヌとサラで、
エリーゼも一緒にいるのだろうと。

見つけてどうするつもり?

死霊のアスラーダ様がエリーゼを襲うのです。

そんなことのために。
私が手伝わされたわけ?

そこはもう。
なんとも申し訳なく。
私はそういう習性の夢食いですから。


a8

その時広場から
ドラコが羽ばたいて飛んできた。
マリアは身を翻して
椅子の上に飛び退いた。

蜘蛛は後退りしている。


a9

ドラコはテーブルに飛び移り、
一瞬のうちに蜘蛛を咥えると、
激しく噛みついた。
蜘蛛の姿が次第に薄れていく。


a10

ドラコはダーダーと雄叫びをあげている。

マリアは人間の姿に戻った。

そうだった。
あなたはこの現実世界の財宝を守るために
迷いの森からきた夢食いドラゴンだったわね。
侵略者の蜘蛛は排除される定めか。


a11

広場から舞がベランダにやってきた。

ドラコが歌の途中で急に
ベランダに飛んでいったから
驚いて様子を見にきたの。
何があったの?

短い間だけど友達だった蜘蛛が消えちゃったのよ。
ドラコが食べちゃった。
ドラコはまた下に舞降りていったわ。

あのドラコが。
やっぱりドラゴンって結構凶暴なのね。
その蜘蛛って美味しいのかしら。

その蜘蛛はね、夢食いの蜘蛛だったの。
だから食べられても死んだわけじゃなくて、
今頃は、迷いの森の別世界で蘇ってる。
それでアスラーダっていう死霊に
サラたちの居場所を報告してるのよ。

そうなの?
なんだかわからないけど
すごそうな話なんですね。



解説)
続きます。
Posted at 19:34 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 27, 2026

蜘蛛とマリア

b1

サルバドールとデュアンは、夢食いの蜘蛛を連れて、
郊外のジルの別荘の敷地にある魔術劇場に帰って来た。

あら、戻ったのね。
公園のお花見はどうだった?
とマリアに聞かれている。


b2

造花の桜とはいえ、大きいので、
なかなか見応えがありましたよ。

蜘蛛がテーブルの上に
ぴょんと飛び移った。

あら、その蜘蛛は、
まさか夢食い?

そうなんです。
実は公園で出会ったんですが、
住む家がないようなので、
ここで暮らしたらどうかと提案して、
連れて来たんですが。
ハリーさんは?


b3

そうだったの。
どうぞよろしく。
私はマリア。
私はハリーの妹ジャンヌの娘で、
ハリーは私の叔父よ。
ハリーはカーミラと一緒に
アフリカのホテルに逗留してて、
このところずっと留守なの。
でも、私が留守を預かってるから、
この魔術劇場に泊まりたいならOKよ。
デュアン。お部屋を用意してあげて。


b4

おお、ありがとうございます。
お世話になります。
と蜘蛛が言った。


b5

寝場所ができてよかったな。
どんな事情で現実世界に来たのか
知りませんが、
同じ夢食い同士なので、
何か助けてやれればと思いまして。
とサルバドールが言った。

人を探しているんです。
名前を思い出せないんですが。
一人は魔族の女性でもう一人は人間の女性です。
と蜘蛛が言った。


b6

ふーん。
ここは魔族の館で、魔族ならハリー夫妻に私に、
私の母、それに今はいないけど、
ハリーの娘のヴィヴィアンも住んでいる。
町で人探しをするなら、その姿では不便でしょう。
ハリーかヴィヴィアンか
フミコかシモーヌがいれば、
人間の姿に変身させてあげられるけど、
あいにくそんなすごい魔法が使える人は今はいないわね。

あ、今おっしゃった名前で思い出しました。
探している魔族の人は確かシモーヌで、
人間の女性はサラです。
と蜘蛛が言った。

シモーヌはパリに家があるらしいけど、
いつも飛び回っているから居場所はわからない。
サラも最近はシモーヌと一緒に
行動してるみたいで不在がちよ。
でも彼女の家ならわかる。


b7

私が案内してあげる。
というとマリアは呪文を唱えて、
黒猫の姿に変身した。

すごいですね。
と蜘蛛が感心している。

私ができる魔法は
この変身の魔法と、
箒にまたがって空を飛ぶことくらいなの。
この姿なら、あなたを守ってあげられるわ。
さあ、いきましょう。


b8

鏡の扉を使って、
バー・デジャの店の奥に抜けてきたマリアと蜘蛛は、
店内を入り口に向けて進んでいる。
店内の常連客は、
赤いリボンをつけた黒猫が
マリアだと知っているので、
誰も気にしないようだ。


b9

マリアと蜘蛛は広場に出てきた。

このあたりの野良猫は
みんな私の手下みたいなものだから安全よ。
でも子供達に見つかると、
面白がって何されるかわからない。
とマリアが言った。

あ、あのドラゴンも
夢食いじゃないですか。
とドラコを見て蜘蛛が言った。

そうだったわ。
見つからないうちに
行きましょう。



解説)
続きます
Posted at 19:52 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 26, 2026

常春の国で そのに

a1

サラたちは城の庭園から
外に出かけた。

この国を案内するついでに
住人を紹介するわ。
とシモーヌが言った。


a2

お花畑に着いた一行は、
カマキリに出会った。

こちらエリーゼとエトナよ。
ここで暮らすことなったの。

嬉しいなあ。
ぜひ仲良くしてください。
エドは水を飲んでますよ。


a3

あなたちはフィギアの精霊なのね。
リアルな造形でうらやましい。
とケイトが言っている。

毛糸人形も
おしゃれじゃないですか。

そうね。


a4

一行は湖の風景を眺めている。

あっちの山々が境界になっているの。
行ってみましょう。


a5

森に入ってしばらく行くと、
大きなトカゲに出会った。

これはこれは
可愛いチビちゃんだね。

ケイトよ。

ふーん毛糸か。
覚えやすい名前だなあ。


a6

森はかなり続いていた。


a7

ここ登るの?

いつかきた道ね。
とサラが言っている。


a8

見晴らしがいいでしょう。


a9

あの洞窟は火星人マルテの家。
今は福郎が留守番してくれてるの。
とシモーヌが言った。

ケイトは福郎の姿を見つけて
走って行っている。


a10

洞窟の中で話をしている。

これで常春の国の住人の紹介が終わったわ。
あとはここに住んでいるマルテだけだけど、
彼はまだ戻ってきていないみたい。

マルテさんなら、
たまに戻ってこられますよ。
今はたぶんトロンさんの家においでです。

そうなの?
執筆は完成したのかしら。

まだ途中のようですよ。
ここに帰ってきて、
真っ白な環境で瞑想しているんです。
昔を思い出すためだとか言ってました。



解説)
続きます
Posted at 19:44 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 25, 2026

常春の国で

a1

シモーヌたちは鏡の扉を抜けて
常春の国にやってきた。

これはこれはシモーヌ様。
皆さんもご無事だったのですね。
先に戻られたオウル様から
事情をお聞きして、
みんなで心配しておりました。
とミネルバが言った。

オウルは起きてるの?

はい。
心配で昼も眠れないと
おっしゃられて。


a2

一行は応接間に行った。

シモーヌ様。
私があの赤いマントの怪人の放った
奇妙な光線で消されてしまった後、
何が起きたのですか。

あれはアスラーダっていう死霊。
エリーゼが目覚めたのを知って、
井戸の中に退散していったわ。
アスラーダはずっとエリーゼに
つきまとっているらしいの。
諦めたわけじゃなさそうだから、
みんなで別世界に避難してきたのよ。

死霊っていうのは
最初にいた蜘蛛たちとは違うんですか。

仲間みたいだったけど蜘蛛たちは夢食いよ。
あの世界は死者の魂がとどまる
夢のような世界みたいで、
蜘蛛たちの目的はその夢を独占すること。
蜘蛛たちには死者の魂を消すことができないから
エリーゼを繭に閉じ込めて眠らせた。
アスラーダの目的は
眠っているエリーゼの魂と合体することだから、
夢食い蜘蛛たちを利用したのかもしれない。
彼らの関係はよくわからないんだけど。


a3

そういえばオウルには
私が夢食い蜘蛛のボスに
食いつかれそうになった時
助けてもらったわね。
私は生身の体だから
別世界に本体があるわけじゃないの。
危ういところだった。
お礼を言わせてちょうだい。

なんのなんの。
その後もシモーヌ様を
お守りできなかったのが、
心苦しいです。


a4

エリーゼとケイトは
城内を見てまわっていて、
ソヴァとイブーに出会った。

わあ。このお城にいるのは、
みんなフクロウの置物の精霊なのね。
私とよく似たもの同士。
とケイトが言った。

お友達になれそうで、
よかったわね。
あら、その曲は?

「エリーゼのために」ですよ。
とソヴァが言った。


a5

大広間に行くと、
オイレとブンディとグーフォに出会った。

私ここに住みたいな。
とケイトが言っている。

ここは私が精霊たちのために作った世界。
ここならアスラーダにも
見つからないかもしれないわね。
しばらくそうしてみる?
とシモーヌが言った。

どおりで現実世界とは空気感が違う。
そうさせてもらおうかな。
とエリーゼが言った。

エドはどこかしら?

野原を駆け回ってますよ。


a6

一行はお城の外に出た。

ここで暮らすのなら
アーキスには最初に紹介しておかなくちゃ。
彼には聞きたいこともあるし。
とシモーヌが言っている。


a7

これはシモーヌ様とサラさんお揃いで。
なんだか新人もいますな。

エリーゼと毛糸人形のケイトよ。
しばらくここで暮らすことになったの。
それでちょっと尋ねたいことが。

なんでしょう。

エリーゼは夢食いの蜘蛛や
アスラーダっていう死霊に
追われているの。
あなたも元は世界を支配したがる
タイプの夢食いだったでしょう。
彼らのことを何か知らない?


a8

死霊のことはよく知りませんな。
夢食い蜘蛛の連中ならよく知ってます。
あいつらは、よく他の夢食いと
一緒になって行動するんですよ。
まあ俺も同じようなもので、
前にはローゴスと組んで動いたんだが、
悪魔に捕まっちまった。
それはともかく、
一緒に行動しても最後は戦いになるんです。
お互い自分がボスだと思ってるからですな。
わはは。

ボスみたいな人面蜘蛛がいたけど、
あれは名前はなんていうの?

名前なんてないですよ。
夢に出てくる奇妙な怪物に
名前なんてつけないでしょう。
俺にも名前がなかった。
ローゴスってつけてくれたのは
悪魔のヴィヴィアンです。
まあ、もし夢食い蜘蛛や
そのなんとかいう死霊がやってきたら、
見つけ次第俺が追い払ってやりますから。


a9

ケイトとフクロウのオイレが話している。

お花畑があるんですよ。

わあ、行ってみたい。


シモーヌとサラも話している。

アーキス、
随分頼もしそうなこと言ってたわね。

蜘蛛に名前がないなんて可哀想。

あの人面蜘蛛に何かつけてあげましょうよ。
クモコなんてどうかしら。



解説)
昨日は、急にネットにアクセスできなくなり
更新できませんでした。
先ほどなんとか復旧しました。
Posted at 19:28 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 23, 2026

シビルの訪問など

a1

シモーヌが常春の国に行くための
呪文を唱えようとしていた時、
鏡の扉が開いてシビルがやってきた。

あら。


a2

シビル、久しぶりにお目にかかるわね。

ここに、人形を連れた幽霊が来ているでしょう。
会って見たいなと思って来たの。

さすがにシビルね。
エリーゼっていう子のことね。
どうしてわかったのかしら。


a3

サラたちはシビルに
エリーゼとケイトを紹介した。

シビルは、眠る人の夢に働きかけて、
夢見るひとに精霊や死者のメッセージを伝えて、
巫女や予言者にさせる特殊な夢食いなの。

今はこの世界の北の孤島で休養中なんだけどね。
私の役目は人間と異世界をつなぐ仲介人のようなもの。
実はね。私はあなたのことを覚えている。
あなたは忘れているでしょうけど、
ずっと昔、赤い人形に精霊を宿らせた少女の噂を聞いて、
あなたの夢に入り込んだことがあったの。

そ、そうなんですか。

そういう霊媒気質の人は滅多にいないからね。
あなたは優しさと繊細な感受性を持っていて、
将来あなたなら偉大な巫女になれると思った。


a4

そ、そうなんですね。
もしかして、それで私は突然、
幽霊が見えたり声が聞こえたりするようになったのね。

私はそのお手伝いをしただけ。
孤独だったあなたはそのことですごく喜んだでしょう。
でも残念ながらあなたは
若くして病気で亡くなってしまった。

その病気も、もしかしてシビルが関係していたの?
とサラが尋ねた。

私にそんな力はない。
ただ死者たちの魂とあまり親しくなりすぎたあなたが、
死者たちの魂の世界に招かれるきっかけに
なったかもしれないけれど。


a5

そこにフミコがやって来た。

ケイト、ちょっと来て助けてくれない?
ミミコがケイトと遊びたいってむずかっているの。

わかった。
とケイトが言った。


a6

ケイトの顔を見てミミコは喜んでいる。

こらこら、泣いちゃダメよ。
とケイトが言っている。

よっぽど気に入ったのね。


a7

フミコはエリーゼに腕を組むように言って、
呪文を唱えると、ケイトの精霊を
エリーゼの腕の中に出現させた。
抜け殻になった人形の本体は
ベッドの上に倒れ込んでいる。

なんかちょっと軽くなった気がする。
とエリーゼが言っている。

でもこれじゃ、
私の本体は?
とケイトが言った。


a8

本体は私がしっかり保管するから大丈夫よ。
とフミコが言った。

フミコが呪文を唱えると、
人形の本体は立ち上がり踊りはじめた。

何だか不思議な気分。
と精霊のケイトが言っている。


a9

結局、エリーゼとケイトも
常春の国に一緒に行くことになり、
シモーヌが呪文を唱えている。

エリーゼから
今の出来事を聞いたサラが、
フミコは物品を操作する魔法を使ったのよ。
魔族は何でもありだからね。
と言っている。



解説)
続きます、
Posted at 19:49 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
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