May 03, 2026
広場の風景 そのに

広場には
歌声が流れている。
屋根よ~り た~か~い
こいの~ぼ~り~🎵
気が早いなあ
とルビーが言っている。

ドルフィンのマスターが
鯉のぼりの支柱を補強しているのだった。
子供たちは真剣に見守っている。

これで完成だよ。
貫禄だけど
破れてないから大丈夫ね。

風がないので、
吹き流しの鯉は
垂れ下がっている。

鯉のぼりって
あんなに大きいのね。
感動しちゃった。
とピリカは言っている。
大きさは色々なんだよ。
ルイちゃんは?
どこだろ。

ルイがドルフィンの2階から降りてきた。

ルイちゃん、その紙の兜
どうしたの?
魔子さんが作ってくれたの。

子供たちは
さっそくドルフィンの2階に
走って行った。
魔子さん。
僕にも兜作って。
私にも。
折り方教えてあげるから
やってみる?
解説)
続きます。
May 02, 2026
広場の風景

今日は薄曇りで
過ごしやすい午後。

ルビー、革ジャン脱いだの?
流石にもう5月だからね。

舞は洗濯物を干している。

子供たちはオセロに
バナナをあげて遊んでいる。

こんな平穏な日が
続くと楽でいいなあ。

ドルフィンの倉庫から、
ナオミとたまきが出てきた。
たまきは和服を着替えて
来たようだ。

私たちも森林公園の桜を
見に行きたいんだけど、
倉庫に乗り物ある?
ペスパがあるわよ。
キサラに修理を頼まれてたんだけど、
もう直したの。
試運転に使ってみて。

これから七夕まで
広場のイベントはないわね。
そういえばそうだね。
暇になりそうでありがたい。

そこに子供達がやってきた。
マスターさん。
もうすぐ子供の日でしょ。
ピリカちゃんに鯉のぼりの
説明したんだけど、
今まで見たことないんだって。
それで。

ドルフィンのマスターは
広場に鯉のぼりを立てることにした。
スタッフのリタが倉庫から出してきた
鯉の吹き流しを確認している。
この鯉も随分貫禄になったわね。
使うの4年ぶりぐらいじゃないかしら。

たまきとナオミは
ペスパで森林公園に出発した。
解説)
続きます
May 01, 2026
コンテストの結果発表

あっという間に
5月になった。

もうコンテストの優勝者の
発表日になったけど、
なかなか決まらないわね。
4月はみんなお花見に出かけたり、
住民以外の新規の登録者もいなかったから、
難しいなあ。
最近は最後まで決まらなくて
ルビーが目についた人に決めてたでしょう。
たまには説得力がある人を選びたいわね。

それもそうなんだけどね。
みんな慣れちゃってて、
参加賞目当てに
普段着で登録に来るからなあ。

そうじゃない人もいたよ。
ほら。
とボニーが言った。

ルビーはマイクを持って
立ち上がってアナウンスを始めた。
みなさん。
4月のコスプレコンテストの
優勝者を発表します。
優勝したのは、
ライダースーツ姿の
エリスさんです。

エリスは、喫茶ペンギン前のテーブルで、
アイスコーヒーを飲んでいた。
拡声器からルビーのアナウンスが
流れてきた。

エリスさん。
優勝おめでとうございます。
とはるなが言っている。
えー。信じられないわ。

エリスはローラと二人で、
広場に出向いた。
いつも通り万雷の拍手と歓声に迎えられ、
トロフィを授与されている。

まさか私がトロフィもらえるとはね。
あのライダースーツは着るのが大変だから
普段着で駆けつけたのよ。

全然OK。
授与式は形だけだから。
エリスのハーレーを整備した
ドルフィンのマスターも喜んでいる。

優勝はエリスさんなのね。
ライダースーツは格好いいからなあ。
オートバイって音うるさい。
そこがいいんだよ。
チョコもらいに行こう。
などと言っている。
解説)
続きます
Apr 30, 2026
カマキリを探す そのさん

すごいところね。
この斜面を登ると
トロンの住む小屋があるのよ。
また登るのね。

ここは「常春の国」とは違うのね。
ええ。
私の祖母のみた「忘れられた夢の世界」なの。
祖母は夢を見ながら亡くなったけど、
最後に見ていたその夢だけは残っているのよ。
ふーん。シモーヌのお婆さまって、
さぞかしすごい魔族だったんでしょうね。
すると風が吹いてきて
あたりの粉雪が煌めいた。

トロンの家が見えると、
サラは走って行った。
家からトロンが出てきて挨拶している。

3人はトロンの小屋で
休憩している。
あなた、洞窟を抜けて
「常春の国」に出かけたでしょう。
はい。
マルテが洞窟の入り口を溶かしたから、
一人で散歩に行ってみたんです。
お城には知り合いのフクロウもいるし。
でもお城に行く途中で。
途中で?
お花畑でカマキリに出会って。
意気投合して二人で戻ってきたんです。
そのカマキリを探しているのよ。
カマキリなら、
雪原で遊んでいますよ。

サラたちが雪原に行くと、
カマキリの姿が見えた。
ゆ~きやこんこ🎵
と歌っている。

カマキリはサラたちに気がついて
飛んできた。
これはこれは、
シモーヌ様にサラさん。
シモーヌさんたちは、
君を探しにきたんだって。
とトロンが言った。
えー。そーなんですか。

僕は、毎日お花畑にいるのに
飽きちゃったんです。
平和で天国みたいなところですけど、
昆虫の友達もいないし。
それでトロンと出会って、
話が盛り上がって彼の家に遊びに来たんですよ。
あなたの行動はもちろん全然自由だけど、
急にいなくなったので、オウルが心配してるのよ。
オウルは、ディアナの代役の王様をやってるから、
常春の国の治安にすごく責任を感じてるみたいなの。
それは気がつきませんでした。
お花畑には毎日エドが散歩に来たり、
フクロウたちも通りますから、
誰かに出かけることを言えばよかったんですね。
そういうことね。
随分前にディアナが失踪したこともあったから、
みんなも気にしてた。
私も夢食いに攫われたりしたんじゃないかって、
ちょっと心配してたの。
それはどうも。
わざわざこんな遠くまで探しに来られたなんて
恐れ入ります。
大したことじゃないのよ。
私たちは一瞬で移動できるから。

シモーヌは鏡の扉に向かって
呪文を唱えている。
カマキリはいいなあ。
僕なんて誰も心配してくれないよ。
とトロンが言っている。
あなたは夢食いでしょ。
神出鬼没なんだから当たり前じゃなの。

一行は鏡の扉を抜けて
お城の部屋に移動してきた。
これ便利ですねー
とカマキリが言っている。

昼寝から覚めたら
カマキリが戻ってきていたなんて
私の心配事も短い夢のようでした。
これもシモーヌ様のおかげです。
オウル。
ちょっと相談があるの。
あの雪山の洞窟は
マルテっていう火星人の家にしたんだけど、
マルテはしばらく不在なの。
洞窟は今も別世界との通路になってて不用心だから、
誰か留守番を頼めない?
もちろん向こうの世界に遊びに行くのは自由だけど、
留守番がいれば出入りをチェックできるわ。
わかりました。
それじゃ、この世界に来たばかりで
仕事を探している福郎に頼みましょう。
解説)
続きます。
Apr 29, 2026
カマキリを探す そのに

3人は森の小道に分け入っていった。

大きなセコイヤの木の根元に
大きなトカゲが寝ていた。
こんにちわ。
ちょっと起きてくれる?
ああ。サラさん。
シモーヌ様も。
二ヶ月ぶりですね。
あのタコは元気ですか。
マルテにはしばらく会ってないけど
元気だと思うわ。
ところで、いつもお花畑にいる
カマキリを見かけなかった?
いなくなったので
オウルが心配して行方を探しているの。
どこか散歩してるんじゃないですか。
お花畑はあいつのテリトリーだけど、
さすがにずっと同じ場所にいるのは飽きるでしょうから。
私も森を出て歩き回りたくなることがあるんですよ。
そう思いつつ、ここで寝てしまうんですが。

じゃあ見かけなかったのね。
ええ、カマキリは見ませんでしたよ。
最近では、丸っこい緑色の亀みたいなのが、
通り過ぎるのをちらっと見ましたが。
あれには、前にも会ったことがある。
確か去年の6月頃のことだったか、
3人連れの女性たちと一緒にきて、
お城に行く道を聞かれたんです。
その3人連れって、アイスたちが、
最初にこの国に来た時のことね。
丸っこい緑の亀みたいな、、、。
ありがとう。他を探してみるわ。
とシモーヌが言った。
どういたしまして。
カマキリを見かけたら、
シモーヌ様たちが心配して
探していたと伝えておきますよ。

丸っこい緑の亀みたいなのって。
きっとトロンのことよ。
トロンって?
とリリスが尋ねた。
「忘れられた夢の世界」に
住んでいる夢くい。
こっちまで来たんだわ。

ここを登るの?
確かめたいことがあるの。
雪景色も楽しめるから、
観光気分でついてきて。

3人は雪山の洞窟前に
たどりついた。
この洞窟は、火星人のマルテの家。
もとは「忘れられた夢の世界」との
通路になっていたから、
トロンはそこを通ってきたのよ。
とシモーヌが言った。
マルテって、
さっきトカゲが言ってたタコのことね?
そうよ。

入って行ってもいいの?
マルテは、みすずの家で
自伝みたいな本を執筆中で留守のはず。
出かける時に、
向こうの世界に通じる出口を
開けたままにしてたのを思い出したの。
だからそこを通って
トロンに会いにいくのよ。

3人は洞窟を進んでいった。
全く何も見えないわ。
これはマルテの仕業よ。
実際には洞窟の中だから、
壁の手触りを伝っていけば向こうに抜けられる。
どうしてこんなことを。
マルテは、このほうが天国にいるみたいで
落ち着くって言ってたわ。

3人は
忘れられた夢の世界の
西の外れの洞窟に抜け出てきた。
解説)
続きます
Apr 28, 2026
カマキリを探す

オウルたちに見送られて
サラたちはお城を出た。

ここは庭園になってるのね。
乗り心地はどうですか。
いい感じよ。
一度乗ってみたかったの。
ところで、アーキスって。
怪鳥みたいな姿の夢食いよ。
事情があって、
この国の番人をしてくれてるの。

アーキス。
こんにちわ。
おお、シモーヌにサラか、
それに新顔だな。
リリスっていうのよ。
そうか、俺はアーキス。
それで何か用事かい。

お花畑のカマキリが
いなくなってオウルが心配してるんだけど、
どこかで見かけなかった?
そういえば見かけないな。
もっとも俺は毎日この国を巡回してるんだが、
上空から見渡すだけだから、
森陰や草むらの中までは見通せないんだよ。
花畑の中で昼寝したりされたら、
まず見分けられない。

あのカマキリって、
どうせフィギアの精霊だろう。
現実世界のフィギアの本体が壊れて
精霊もこの世界から消えちゃったんじゃないか。
まあ、これから巡回に行くところだから、
注意してみてみるよ。

なんか怖いこと言ってたわね。
とリリスが言った。
確かに僕たちフィギアの精霊は、
本体のフィギアが壊れたら
拠り所が無くなっておしまいですからね。
とエドが言った。
そういうことも考えられるけど、
あのカマキリのフィギアは、
私のパリのお店で安全に保管してあるはずよ。

とりあえず、
お城を出て探してみましょう。

一行はお花畑に到着した。
僕はこの辺りの草原を
探してみます。
アーキスが言ってたみたいに、
草陰に寝てるのかもしれない。
とエドが言った。
了解。
私たちは別の場所を探してみるわ。

素敵な風景ね。
いいところでしょう。カマキリ探しが、
リリスにこの国を案内する
道ゆきになるなんておかしな展開。
森の中も上空からは見えない場所。
森の方に行ってみましょう。
大きなトカゲが住んでいるから、
何か知っているかも。
解説)
続きます。
Apr 27, 2026
常春の国で

お城の客間での会話は
続いていた。
オウル。それで、
心配事ってなんなの?
いえね。いつもお花畑にいる
カマキリの姿を、
最近見かけないというんですよ。
これからみんなに集まってもらって、
情報を聞こうと思っていたところなんです。
あのカマキリはフクロウ仲間ではないですが、
彼もこの国の立派な住人ですから
心配しているんです。
この前私が、ディアナに
鹿せんべいを届けに来たのは、
そんなに前じゃないわよね。
ディアナはまだいるの?
ディアナ様はエドがこの国に
慣れたからといって、
「忘れられた夢の世界」とかに
お戻りになられましたよ。
エドならお部屋にいるはずです。
エドとディアナは
毎日野原を走り回っていたはず。
カマキリを見かけてないのかしら。
私たちが聞いてみるわ。
では私は広間にみんなを
集めてお待ちしています。

3人はエドの部屋に向かった。
広いから迷いそうだけど、
確かこっちだったはず。
とサラが言っている。
エドっていうのも
何かのフィギアの精霊?
とリリスが尋ねている。
エドは馬のフィギアの精霊よ。

これはこれは、
シモーヌ様に、サラ。
それにあなたは!
リリスではないですか。
エドワードね。
さっき馬って聞いて、
そうじゃないかって一瞬思った。
二人は知り合いなの?
ジャンの倉庫で一緒だったのよ。
短い間だったけどね。
ジャンが連れて行ったまま
帰ってこなかったから
誰かにあげたんだと思ってた。
シモーヌ様がこの世界に
送ってくれたんですよ。
その「さま」ってつけるのやめてよ。
シモーヌでいいから。
はい。ついフクロウたちの口調と、
一緒になっちゃって。

この前いただいた
鹿せんべい美味しかったですよ。
それは良かったわね。
でも馬があんまり鹿せんべい食べすぎると、
馬鹿になるっていうわよ。
そうなんですか。
もちろん冗談よ。
またお土産に持ってくるわ。
ところで最近お花畑で、
カマキリの姿を見た?
オウルが心配してたんだけど。
毎日散歩してますが、
そういえばこのところ見かけないですね。
いつも走る時は、
踏み潰さないように注意してるんです。
やっぱりね。
いなくなったのは事実みたい。
オウルがみんなに集まってもらうって
言ってたから、広間に行ってみましょう。

3人が広間に行くと、
サラたちはオウルの横に
並ぶように言われた。
シモーヌ様、またお目にかかれて
光栄です。などと叫ぶフクロウもいる。
サラは、エドも
カマキリを見かけていないと言っていると、
オウルに伝えた。

オウルは、みんなにリリスを
シモーヌの客人として、
また自分の古い友人としても紹介してから
おもむろに話し始めた。
さてみんな、
集まってもらったのは
お花畑からカマキリがいなくなったようなんだ。
だれか見かけたものはいないかな。
遊覧船を運転してますが、
湖付近では見かけませんでした。
毎日森に木の実を拾いに行きますが、
途中で通るお花畑で
確かにこのところ見かけませんね。
そうかそうか。
見かけたら報告してくれたまえ。
では散会。

みんなそれぞれ
広間から去っていった。
カマキリがいなくなったのは確かで、
そのごの目撃者ゼロみたいね。
あのー、シモーヌ様。
あら、あなたはグーフォ、
頭に乗ってるのは、
この間マンスフィールドさんの倉庫から
ここに送ってあげた
カラフルな置物のフクロウね。
元気で暮らしてる?
おかげさまで。
でも、僕にはまだ名前がないので、
自己紹介できないんです。
そうだったのね。
急いでて名付けるのを忘れてたわ。
じゃあ、ここで名付けてあげましょう。
あなたの名前は福郎。

福郎ですか。おめでたそうで、
いい名前ですね。
とても気に入りました。
でもどうして。
オウルは、マンスフィールドさんが
つけた名前だけど、
ここにいるフクロウたちの名前は、
精霊としてこの国に送るときに、
私がいろんな国の言葉で、
フクロウの名称を呼び変えて
そのまま名付けたの。
あなたの名前はそのまま、日本語よ。
体に福って書いてあるでしょ。
その文字を生かしたの。
そうだったんですね。

オウル。
私とサラは、今回は
リリスにこの国を案内するために来たんだけど、
カマキリの行方を探すのを
手伝ってあげる。
おお。ありがとうございます。
さすがお優しい創造主さま。
夜型のあなたはお昼寝するといいわ。
まずはアーキスに聞いてみる。
解説)
続きます。
Apr 26, 2026
常春の国へ

サラたちの部屋では、
朝食が続いていた。

シモーヌ。その常春の国って、
どんな精霊たちが住んでいるの?
主にフクロウの置物の精霊たちがいるわ。
町外れのマンスフィールドさんの倉庫に
収納されていた置物たちよ。
あ、たぶん、
その倉庫にはリリスがいたっていう人形の家から
マンスフィールドさんが引っ越しの時に
持って行った置物もあったはずね。
何か覚えてる?

フクロウの置物か。
マンスフィールドさんは、
ここに残りたいって言い張った私だけ残して、
コレクションをみんな持って行ったの。
引っ越しだから当然なんだけど。
そういえば、その中にフクロウのぬいぐるみ
みたいなのがあったのは覚えてるわ。
ぬいぐるみって言っても、
中に機械が仕込んであって、
話しかけると同じ言葉で返事をするの。
子供向けの向けの玩具ね。
マンスフィールドさんは、オウルって呼んでた。
とても精霊が宿ってるようには
思えなかったけど。
オウルなら、
常春の国で、ディアナの代理の王様をやってるわ。
とサラがいった。

シモーヌ、
またクロスワードパズルなんだけど、
フクロウのこと、フランス語で何ていうの?
シュエットよ。
耳のある木兎のようなフクロウは、
イブっていうわ。
常春の国に、そんな名前のフクロウも
いた気がする。
とサラが言った。

さて、そろそろ出かけましょう。
と言ってシモーヌは呪文を唱えている。
サラもまた出かけるの?
ええ
それはもう。

3人が鏡の扉を抜けると、
そこは常春の国の
お城の中の一室だった。

素敵なお部屋ね。

おお。
これはこれはシモーヌ様。
それに、サラさん。
お連れの方も。
この人はリリス。
私のお友達よ。
このフクロウは
ミネルバって言って、
執事をしてくれているの。
オウルはお昼寝中?
オウル様は
起きていらっしゃいますよ。
客間の方にお呼びいたします。

シモーヌ様。
ようこそ。
まだ日が高いのに、
起きてたなんて珍しいわね。
それがちょっと
心配事がありまして。
あ、そちらの方は?
リリスよ。
人形の家で暮らしていた時、
あなたのことを知っていたって。
何と。
私も見覚えがありますぞ。
そのお名前も。
思い出したわ。
でもまだあなたに精霊が宿る前のことでしょ。
とリリスが言った。
そうでしたな。
私に仕込まれた録音再生装置を使って、
あなたが面白がって、
何度も自分の名前を吹き込んだので、
うっすらと覚えているのです。
あの悪戯なピエロ人形のリリスでしたか。
でもあの反復のおかげで
私に精霊が宿ったのかもしれません。
一人きりで寂しかったので、
話し相手が欲しかったのよ。
あなたは引っ越しでいなくなっちゃたけど。
なんか運命的な別れと出会いを
感じる話ね。
解説)
続きます。
Apr 25, 2026
お花見の翌朝

翌朝の広場。

ルビーがハーレーの運転するバイクに乗って
帰ってきた。
朝帰りなのね。
と佳奈に言われている。

ハーレーは、すぐに
境界警備隊本部に帰っていた。
また飲みましょう。
ハレーは、
わたし出番が少ないとつぶやいている。

昨日は帰りに警備隊本部まで送ってもらったら、
CGの仲間に引き止められちゃってね。
結局本部に泊まってきたの。
朝まで飲んでたんですか。
まあそんなところね。

今度はキューベルワーゲンが
広場に走り込んできた。

ギルダさん。
どういう風の吹き回しで。
昨日ビストロで食事してたら、
ジャンさんやアルと
この方たちと一緒になって、
ジャンさんのお宅に泊まるっていうから
ジャンさん宅の倉庫でパーティをしたの。
それで送ってきたわけ。
なるほど。
それで朝まで飲んでたんですか。
そんなところね。

その頃、サラたちの家では、
朝食を食べていた。

ピーナツバターにジャム。
朝から甘いもの食べてるんですか。
とリリスが言った。
イタリアではドルチェって言って、
朝から甘いパンを食べるのが普通よ。
フランスに住んでる
シモーヌはよくご存知ね。

お父さん、
昨日は楽しかったね。
そうだなあ。
メメもメーメーと言っている。

そこにケイたちが帰ってきた。
広場で肉まん買ってきたよ。
と言っている。
解説)
続きます。
Apr 24, 2026
お花見は続く そのろく

サラも加わって
リリスたちの話は続いていた。
自分が人形に宿っている精霊だと
気がついたのはいつ頃?
とシモーヌが尋ねた。
随分昔のことよ。
ピエロ人形のコレクターがいて、
私もピエロの服を着た人形だったの。
一緒に精霊であることに目覚めた
もう一体の私とよく似た人形がいて、
彼女と二人で色々悪戯したものだから、
持ち主が怖がって手放すことになったの。
私をもらってくれたのが。
マンスフィールドさんなんでしょう。
とサラが言った。
そうなのよ。
マンスフィールドさんは
私を専用の倉庫に保管したんだけど。
そこは人形の家って呼ばれていて、
居心地が良かったから、
彼女が引っ越す時にそこに居残ることにしたの。
この話前にサラにしたっけ?
誰かから聞いたような気がする。
それでマンスフィールドさんから、
倉庫付きのバービーハウスを買った、
ジャンがその倉庫の持ち主になったわけね。
もう一体の精霊の宿った人形は
どうなったの?
とシモーヌが尋ねた。

夜な夜なピエロ人形が騒ぐっていうんで、
呼ばれた超常現象の研究家がいて、
その人に貰われていったわ。
そこで彼女とは離れ離れになったんだけど、
その研究家っていう人が。
ハリーさんだったんでしょ。
とサラが言った。
そうなのよ。
ハリーに貰われた彼女は
エヴァって言うんだけど、
今でも魔術劇場の宣伝とか、
入り口の管理をしてるわ。
広場で再会して驚いた。

エヴァは今でも
ピエロの格好してるのよね。
とサラが言った。
そうなの。
私の着ていたピエロ服は
床下の小人たちに盗まれちゃった。
それはまた別の話だけど。
人間の姿をした精霊が
大勢いるなんて素晴らしいわね。
でもそんなケースばかりじゃない。
私は人形や置物に宿る精霊を見つけたら、
望みを聞いて別世界に送ってあげてるのよ。
とシモーヌが言った。
そうなんですか?
とリリスが言った。
ええ。そこでなら、
人間の姿にならなくても
自由に暮らしていけるから。
ふーん。
私も行って見たいなあ。

さてと。
ピザも食べ終わったし、
うちのビストロに行って一杯やろうか。
ジェット、君たちもくるかい?
郊外には滅多に来ないから、
伺いたいですが、
帰りが遠いですからねー。
良かったら
みんなうちに泊まればいいよ。
普通のバービーハウスだけど、
倉庫のスペースもあるし。
ナタリーも喜ぶと思うよ。
とジャンが言った。

警備隊も帰り支度をしていた。
ルビー歩いて帰るなら
乗っけてこうか。
そうねー。
バギーのドライブは久しぶり。
レイブンやハーレーにも会いたいし
じゃあ警備隊本部まで。

ルビーがバギーに乗り込んで、
バギーはエンジンを始動した。
サラ、先に帰ってるわ。
もっとも、帰りつくのはそっちの方が
早いかもしれないけど。
それどういうジョーク?
とイメルダに言われている。

バギーが去った後、
後片付けをしていると、
公園散歩からケイたちが戻ってきた。

管理人のソローも一緒だった。
途中で出会って、
みなさんを案内してたんです。
人工の滝や遊具コーナー、花壇や
お茶運び人形の像など、
見どころがたくさんですよ。
サラさんたちもいかがです。
とソローが言った。
もうすぐ夕暮れになるし、
また今度にするわ。
夜は公園は閉園になるんでしょう。
一応そういう決まりですが、
申請してもらえれば、
キャンプもできますよ。
いいこと教えてもらったわ。

サラはみんなと相談した結果、
ケイとジェットとメアリーは、
アルとジャンと一緒にビストロに行って、
今晩は近くのジャンの家に泊まることになった。
サラとシモーヌとリリスは、
ジェイソンとお父さんとメメと一緒に
鏡の扉でサラたちの部屋に戻ることにした。
シモーヌがリリスを、精霊の国に
案内すると言う話になったのだ。

サラたちは、
鏡の扉に向かった。
これを使えば、
一瞬の移動なのにね。
これは便利だけど、
魔族だけの秘密。
使いようによっては
悪いことができちゃうからね。
移動したら扉の痕跡も消しておくわ。
解説)
続きます。
Apr 23, 2026
お花見は続く そのご

お花見は続いていた。
さっきまでバービーたちも
来てたのよ。
みんな新しもの好きだからなあ。
僕もだけど。
でも飽きちゃうのも早いわね。

シモーヌとリリスは
二人で話し込んでいた。
あなたは人形の精霊ね。
ひと目でわかるっていうことは、
あなたは魔族?
ええ。
それに骨董品の売買や
鑑定の仕事をしてるから、
見分けるのは得意なの。
人形のあなたをハリーさんが
人間の姿にしてくれたのかしら。
いいえ。
自分の力で変身したのよ。
もっとも、魔子さんっていう狐の精霊に
変身の呪文を教えてもらったんだけど。
「寝つきのいい野狐」っていうの。

狐の回文呪文か。
それにしてもすごいわね。
人間たちの世界で、そうやって
変身して暮らしてるの?
いいえ。
私は普段は別世界で暮らしているの。
そこはフィギアの精霊たちが暮らす村。
ジャンとは特別な友人で、
今日はジャンの家でお茶を飲んでたら、
やって来たアルに誘われてお花見にきたのよ。
フィギアの精霊たちが暮らす世界か。
やっぱり彼らにとってはその方が幸福ね。
その世界はハリーが作ったのかしら。
創造主はわからない。
特定の魔族じゃないと思う。
私は人形コレクターが、人形の家って呼んでいた
彼女の倉庫に置かれていたんだけど、
その世界が生まれたのは、
倉庫の持ち主がジャンに変わってからのこと。
倉庫にはジャンのコレクションしていた
ミリタリーフィギアが収納されるようになった。
最初の記憶では私の住む古い小屋があって、
その外にぼんやりと世界が広がっていた。
やがて家が建って兵士姿の住人を見かけるようになった。
家がだんだん増えて小さな村になったの。
その村が、ジャンが庭に作っていた
ジオラマの村そっくりだということは後で知ったのよ。
それから、なぜか私の住む小屋のドアが、
現実世界の倉庫の入り口のドアと繋がって、
行き来できるようになったの。
面白いけど、
すごく長くなりそうな話ね。
まだ全然途中よ。

リリスとシモーヌが
あれこれ話している時、
境界警備隊のバギーが走って来て、
停車した。

ルビーが走りよって
話している。
何かあったの?
特に何もないわよ。

いつも通り、フェンス際の道を
巡回パトロールしてたんだけど、
新聞に載ってたこの場所にも
行ってみようってことになってね。
一応森林公園は
フェンス沿いに迷いの森に隣接してるから、
ここもパトロール対象区域といえば
いえないこともないし。

とか言いながら、
お花見に来たっていうわけね。
一応パトロールは済ませたから、
サボってるわけじゃなく、もう勤務外なのよ。
まさか、ここにルビーがいるとはね。
報告はしないから
安心して。

あのー、ピザは。
食べちゃった。
バナナあるわよ。
解説)
続きます。
Apr 22, 2026
お花見は続く そのよん

やがて歓談のひとときが過ぎ。

バービーたちは
記念写真を撮影して。

帰って行った。
いつかこんなのに乗ってみたいなあ。
アルのビストロで
ピザでも食べましょう。
などと言っている。

エリスとローラも
帰ることになった。
お花見は充分楽しんだから、
堤防の方をツーリングして帰るわ。
この時期、新緑も綺麗よ。
エリスはそっちの方が
目的だったんでしょ。

みんな帰っちゃったわね。
あれ、ケイたちは?
ケイとメアリーと
ジェイソンとお父さんは
メメを連れて、
公園を散歩するって言って
出かけたよ。
みんな森林公園は初めてなので、
見て回りたいらしい。

そこに3人連れがやってきた。
アルとジャンとリリスだった。

お花見ができる場所の記事を読んで、
ジャンたちを誘って来たんだ。
ビストロもジャンの家も
ここから近いからね。
とアルが言っている。
お店はどうしてるの?
普通にやってるよ。
キサラやシオンがいるし。
オーナーは気楽でいいわね。
お店から
ピザを持って来たんだけど、
食べる?

ワインやビールもあるわよ。
とリリスが言った。
あら、あなたは。

あ、シモーヌは
初対面だったかしら。
ビストロを経営してるアルと
ジオラマの庭で有名なジャン。
それと。
私はリリス。
ジャンの友達よ。
あなたがシモーヌさんね。
どうぞよろしく。
とリリスが言った。
解説)
続きます。
Apr 21, 2026
お花見は続く そのさん

お花見の場所にいたのは、
公園の管理人のソローとバービーたちだった。

こんにちわ。
私たち、郊外のバービーハウスに
住んでiいるから、ここから近いのよ。
この場所のこと新聞記事で知って、
公園の入り口から
ソローさんに案内してもらったの。

その時、オートバイの
小気味よいエンジン音が聞こえて、
エリスとローラを乗せた
ハーレーが走り込んできて停車した。
これは千客万来ね。
とエリスが言っている。

みんながなんとなく集まって、
歓談の時が始まった。

来る時公園で
車を見かけなかったけど、
大勢で歩いてきたの?
広場で出かける時、
確かジェットを見かけたけど、
先に着いてるんで驚いちゃった。
もしかして。
実はね。
そのもしかしてなのよ。
エリスは鏡の扉のことは
噂でしか知らないのだった。

ルビーさん。
この前の銀色の子供はどうなりました?
ああ、ピピのことね。
子供たちと仲良くなって遊んでたけど、
無事に帰ったみたい。
あの子は、あれなんですか。
そうなのよ。

それでね、
クロスワードパズルの、
この言葉がわからないの。
それはサイギョウじゃない?
有名な歌人よ。

あ、この子、
いつもサラたちの部屋で、
隅っこの机の下でじっとしてる子ね。
連れてきたの?
メメって言うんですよ。
メメはメーメーと言っている。

外出したのは何年ぶりだろう。
公園に来て桜が見られるとは
思わなかったなあ。
お父さんと外出したのは、
たしか5年前の11月だよ。
二人でメメの頭蓋骨を探しに、
ジャンさんの家に行ったんだ。
もうそんなになるか。
花見ができるなんて嬉しいなあ。
作り物の桜の花だけど、
大きくて綺麗だね。

バービーたちがやってきた。
今誰かと話してたみたいだけど。
その置物、話ができるの?
あ、いえ。
僕、腹話術の練習してたんです。
解説)
続きます。
Apr 20, 2026
お花見は続く そのに

エリスのハーレーは、
森林公園に向かっていた。

フェンス沿いの道は
通らないの?

あの道は落葉が
ひどくてね。
ちょっと遠回りだけど、
こっちの方が気持ちいいでしょう。

Born to Be Wild🎵

もうすぐ着くわよ。

その頃、サラたちの部屋では、
到着したルビーに、
サラとシモーヌが事情を説明していた。
そういうわけで、
あなたたちがピピを見つけた場所の
近くに行きたいの。
その場所のことを
思い浮かべてもらえるかな?
いいわよ。

ルビーが公園の記憶の風景を
思い浮かべると、
シモーヌの背後に幻影が浮かび上がった。
シモーヌはその風景を見つめてから、
思いついた呪文を唱えている。

さあ行ってみましょう。
僕たちが留守番してますよ。
とジェイソンが言った。
部屋は留守にしても大丈夫よ。
せっかくだから、
みんなでお花見にいきましょう。
とサラが言った。
おお。
それなら、わしも一緒に。
と頭蓋骨のお父さんが言っている。

鏡の扉を通り抜けて、
サラたちは森林公園に出てきた。
これすごく便利ね。
なんとかいうゲームに出てくる
旅の扉みたい。
桜が咲いてるのは
この近くのはずよ。

サラたちが桜が設置された場所を見つけると、
すでに先客が来ていた。
解説)
続きます。
Apr 19, 2026
お花見は続く

サラたちの部屋では
会話が続いていた。
それはすごく便利だけど、
鏡の扉のことは、
一般人には秘密なのよ。
この扉を使えばいいのよ。

でも、一度行ったことのある
場所にしか行けないんでしょう。
私たちは行ったことがないの。
それが問題ね。
その公園の桜のある場所に
行ったことのある人に、
その場所をイメージしてもらうの。
私がそのイメージを透視して、
心に浮かぶ呪文を唱えるだけ。
だったらお花見に行った誰かに
頼めばいいんじゃない?
もう何人も行っているはずよね。
普通の人はまずいの。
鏡の扉のことを知っていて、
信頼できる人。

だったらルビーね。
その場所ってピピの円盤が
見つかった場所でしょ。
ルビーは子供連れで行ってるはず。
とメアリーが言った。

僕が広場に行って、
ルビーを呼んでくるよ。
とジェットが言った。

ジェットはさっそく
広場に出かけた。

ドルフィンのマスターと
エリスが話している。
エリスがこれに乗るの久しぶりだね。
急な話だったけど、
倉庫の奥から出してきて、
メンテは済ませたよ。
ありがと。
本当にそうね。
何年ぶりかしら。

ローラはおやつ用に
バナナを買っていた。

ルビー。サラが頼みたいことがあるから
きてほしいって言ってるんだけど。
いいわよ。
頼み事って何かしら。

ルビーはサラたちの家に
出かけて行った。
エンジン始動。
しっかりつかまっててね。

エリスとローラを乗せた
ハーレーは広場を出発していった。
解説)
続きます。