May 31, 2022

合同チーム

a1

さっきの連絡、本部からでしょう?
とルビーがアイスに尋ねている。


a2

ヴィヴィアンの監視と警護の要請だった。
彼女は特別なヴァンパイアで、
さる組織から狙われているらしい。
引き続き英国の諜報機関とも協力するようにって。

アンジーさんも連絡受けてたわね。
ヴィヴィアンがヴァンパイアだっていうのは初耳だけど、
当然ご存じだったんでしょう。
とルビーが言った。


a3

ええ。打ち明けると、彼女は昼間でも行動できる
特殊なヴァンパイアだと聞いてる。
英国で問題を起こしてから、ずっと行方を追ってきたんだけど、
CGも加わって、合同で対処することになったようね。
あなたたちと協力して、彼女の警護にあたるようにって、
上から同じことを言われたわ。


a4

こちらでわかっていることを言うと、
魔術劇場の主催者はハリー原という人物で、
別居中のカーミラの夫、ヴィヴィアンの義理の父親にあたる。
それでちょうど付合するんだけれど、
彼もかってヴァンパイアだった時期があるの。

なるほど。
母子で父親を頼ってきたということか。
とジムが言った。

監視と警護の要請ってことは、彼女をどう処遇すべきか、
まだ上の方で決めかねているんじゃないかな。
対応次第では、ハリーと敵対することにもなりかねない。
そうなるとかなり厄介ね。
とルビーはつぶやくように言った。


a5

あ、レイチェルさん。あなたロボット研究所は休職中なんでしょ。
CGの専属で雇いたいから、お願いできないかしら。
仕事は、アンのメンテナンス。というか、
警護のためにも、これからもアンの記憶画像が
必要になりそうなの。
ドルフィンに常駐してくれても、
今のままペンギンで勤めていてもいいから。

そういう話なら喜んで引受けさせてもらうわ。
今の仕事は暇なんだけど、あのエプロン姿はどうも苦手で。
それにアンにさわれるなら、開発者の一人としても大歓迎。
とレイチェルは言った。


a6

とりあえず、上からの指示待ちっていうことのようね。
CGのネットワークから、今後新しい情報も期待できそう。
私たちは屋台のテーブルから広場の周辺を監視するから、
何かあれば呼んでね。
その前に、このカメロンパン食べてから。
とアンジーは言った。


a7

その夜、喫茶ペンギンでは。


a8

すごく短い間だったけど、よく働いてくれたわね。
店内でのスナップ撮影もないくらいでしたけど。
などと会話している。


a9

レイチェルは、アンのメンテナンスを任されたので
また密かに人工知能にKSシステムを組み込んで
研究を再開できれば、と考えているのだった。


解説)
果てのない
思いつきの中で
エピソードが進行していきます。
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May 30, 2022

ドールショー66と文学フリマ東京

c1

昨日の日曜日に
ドールショー66に出かけた。
たまきが張り切っている。


c2

ドールショーに行くのは7年ぶり。
会場は都立産業貿易センター浜松町館で、
以前と同じだが、数年前に改築された。
新しいビルに行くのは初めて。


c3

エスカレーターで5階の受付まで行く。
11時の開場直前に着いたものの、
長蛇の列で待つこと数十分。
午後1時頃までに「第34回文学フリマ東京」の会場に
行く予定だったので、
ざっと急足で3階分のフロア全体を見て回って
小物数点を購入して会場を後にしたのだった。


c4

サングラス、メダル付きのネックレス、
ワイヤークラフトのドールハンガー3点、
ピーターラビットの豆本、
モモコやジェニーサイズのワンピース2着を購入。


c5

ピーターラビットの豆本は、
英語の本文と挿絵入り。


c6

ワンピースをモモコとジェニーが試着している。
ナオミが次私ね。と言っている。


c7

当日のその後。
浜松町からモノレールで約10分ほどの流通センター駅で降りて、
駅前のセンタービル第一展示室の文学フリマの会場に。
12時半頃に駅に着くが、駅を降りるとすぐにビルの周囲から長蛇の列。
清水麟造さんの出店しているブースにたどり着くのに1時間近く
かかってしまった。


c8

ふだん都心まであまり出ないので、
ついでに帰りがけに秋葉原に寄った。
モモコがあそこがあれよ。
と指差している。


c9

9時過ぎに地元駅に帰り着いた。
駅前の地下駐輪場の前に、
綺麗な噴水があるのに気がついたので撮影してみた。


解説)
ストーリーの中断ですが、
忘れないうちに掲載しました。
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May 29, 2022

アンの記憶画像

a1

喫茶ペンギンまでレイチェルを
呼びにいったアイスが
二人で連れ立って戻ってきた。

お仕事中悪いわね。
すごく暇ですから、などと言っているようだ。


a2

レイチェルはさっそく、
アンの記憶画像のデータを
取り出す作業に取りかかった。


a3

研究が中止されて、もうアンのデータは不要だから、
一定期間でリセットされる設定にしてあるの。
まさか英国の諜報機関やCGから、
こんな要望があるなんてね。

アンの記憶映像がモニターに出力され始めた。
音声も再現されている。


a5

数十分後、
あ、そこで止めて、とアンジーが言った。
やっぱりアンを見に来ていた。
サングラスの女性が私たちの探しているヴィヴィアン。
横にいるのは母親のカーミラ。
ルーマニア語って言ってるから間違いないわ。


a6

これは円筒形の建物の鏡に向かっていくところね。
あの鏡はどうなってるの?
あれは鏡のように見えますが、
通り抜けられる扉になっているんです。
とルビーが言った。


a7

数時間後。
これでおしまいです。
彼女が建物から出てくる場面の画像はなかったわね。
アンはずっと建物を監視しているわけじゃないから、
出てくるところを見ていなかったのかもしれない。
でも、他には全く映っていなかったから、
あの建物の中にいる可能性は大ね。


a8

みんなで外のテーブルにつくと、アンジーが切り出した。
魔術劇場って言うみたいだけど、それはそもそも何なの?
奇術ショーのようなものを見せる劇場です。
ヴィヴィアンとの関連は?


a9

アンジーさん。私たちは、
お二人への協力要請を受けているだけで、当然ながら、
あなた方のミッションの内容に関しては何も知らされていない。
そちらで事前に調べてなかったんですか。
とルビーがいった。

お恥ずかしい限り。とジムがとりなすように言った。
もちろんミッションの内容は明かせませんが、
おかげで探していた人物の所在をほぼ特定できました。
多大なご協力に感謝します。
あとは、こちらで。そうだね、アンジー。
あ、ええ。私もちょっと興奮してしまって失礼しました。


a94

二人が立ち去ろうとした時、
それまでCGの本部と通話していたアイスが言った。
あ、ちょっとまって。
アンジーさん、あなたに代わって欲しいって。


解説)
どうなることでしょう。
Posted at 21:51 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 28, 2022

話はあちこちに

f1

ハリーさん。
やっとこの席空きましたね。
ところでヴィヴィアン誰かに
追われてるって聞きましたけど、
一人で外出してて大丈夫なんですか。
見かけは全く別人なんだから、
心配ないよ。


f2

それにしても、
丹下くんの作るこの肉まんは
うまいなあ。
私のように病みつきになるファンがいるのも
無理はない。


f3

ベランダでは、ジャンヌが
今井舞に話しかけていた。

この半袖シャツ気に入っちゃった。
しばらく町に居ようと思うんだけど、
このシャツ借りられないかしら。


f4

どうぞどうぞ。
見繕ってドルフィンの倉庫から出してきて
洗濯して干してるものですから、
誰が着てもいいんです。

柄物が好きなのね。
とカーミラは思っている。


f5

ジャンヌは早速着替えを済ませたようだ。
あら、兄さんが肉まん食べてる。
ニューヨークで味を覚えたらしくて、
ここでも同じ調理人が作ってるというので、
最近凝ってるみたいなの。


f6

その頃サラたちの部屋では。


f7

セリアっていう人、
カード捌きがすごかった。
すごく慣れてる感じ。


f8

それでポーカー誰が勝ったの?
2番目が私。


f9

突然だけど、
ジェファーソン・エアプレインの
ロック・ミー・ベイビーが最高ね。


解説)
いつもながら
話はあちこちに。
Posted at 20:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 27, 2022

ベーカリーを訪ねて

d1

マリアはアンと踊っている。


d2

ジムとアンジーは食事を終えて
ベーカリーにやってきた。


d3

CGからあなたたちのことは聞いています。
ただ残念だけど、アンから記憶情報を取り出すには、
専門的な技術者でないと無理なの。
今研究所に問い合わせたところ、
アンのプロジェクトは停止されて、
担当者は不在だって言われた。
研究所はアンを宣伝に使ってるけど、
アンに即した研究開発はやめたみたいで。


d4

アンの元担当者って、レイチェルさんでしょう。
とそばで聞いていたリタが言った。


d5

レイチェルさんなら、
ペンギンでウェイトレスしているの見かけたよ。


d6

その頃サラたちの部屋では、
まだカードゲームが続いていた。


d7

ブタだ。まるでだめだ。
とケイはつぶやいている。


d8

えっと、2枚チェンジ。


d9

全とっかえしようか迷うなあ。


解説)
あまり意味はなさそうですが、
白熱したポーカーゲームが
続いています。
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May 26, 2022

おにぎり作りなど

c1

サラは肉まんを買いに来ていた。
ジムとアンジーは食事を続けている。


c2

この肉まんの味が泣けるのよね。
それはそうと、今回の調査の対象は、
ヴァンパイアの女性なんでしょう。
あの一族とは国際的な秘密協定が結ばれてるはずだけど。
確かにね。
もはや絶滅危惧種と見做されている彼らの吸血行為は、
ほとんどの場合、もみ消されてしまう。
ただ今回のケースは、日中にそれが起きたらしい。
突然変異の新種だっていうわけ?
また超人計画が復活するのかな。
あとね、彼女カジノで荒稼ぎしたらしくて、
そっちの組織が動いているという情報もある。


c3

それは急がないと面倒ね。
邪魔だてされて死人の山は築きたくないわ。
とりあえず、あと2つ食べたらベーカリーに行きましょう。


c4

その頃ジェニーたちの部屋では、
文学青年がおむすびをこしらえていた。


c5

ふっくらご飯で、
強く握りすぎないのがコツなんだ。
と言っている。


c6

その猫戻ってきたのね。たまき名前つけた?
クロコって名前にしたよ。
ロゼット洗顔パスタみたい。
何それ。


c7

この「おにぎり ポン!」使えば、
簡単にできるのに。
とジェニーが言っている。


c8

その頃探偵事務所には
人探しの依頼人が訪問していた。


c9

ふうむ。この写真の女性ですか。
私はホテルに滞在してますので、
見つかり次第、ご連絡を。


c91

最近、魔術劇場見たさの待機組や
ロボット観光で滞在する人が多いので、
探すのは大変だなあ、と探偵たちが話していると、
ミューが帰ってきた。
ミューは事情を聞くと、
アンならきっと見てるはずだよ、と言った。


解説)
おにぎりは、
プチサンプルやガチャなど、
さまざまなアイテムの
寄せ集めです。
Posted at 20:44 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 25, 2022

カードで遊ぶ

a1

ベーカリー前。

ジムたちはまだ食事中のようだ。


a2

マリア、何してるの?


a3

今度黒猫を脅かしたら、
本物の虎を連れてくるからね。
わーもうしません。誓います。
とトラ猫はあやまっている。


a4

パキラを眺めていたヴィヴィアンの分身に
ジェイソンが話しかけている。

ジェイソンは、ひとりぼっちの人を見かけると
声をかけずにいられないのだった。


a5

こんにちわ。ここで一人で植物みてると、
ルルに水やりを頼まれますよ。
あらそう?
私この町に来たばかりで
知ってる人いなくて。

僕はジェイソンって言います。
うちは同居人が多いので、
もしよかったら、うちに来れば
すぐに知り合いが増えますよ。


a6

こちら町に来たばかりの。

セリアって言います。
どうぞよろしく。


a7

こんにちわー。
私はアシュレイで立ってるのががサラ、
白いシャツ着てるのがジェットで、
えんじのパーカーがケイ。


a8

ちょうど久しぶりにトランプでも
やろうかと話してたところなの。
一緒に遊びませんか?


a9

ということで、四人は
神経衰弱を始めた。
えーとあのカード、どこにあったかなあ。
などと言っている。


a91

サラは遊ばないの?
私みんなに肉まん買ってくるから。

あ、セリアに椅子席を譲ったんだね。
サラは大人だなあ。
ふふ。


解説)
実際にトランプで遊んだのは
何年前だろう、と思いつつ。
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May 24, 2022

調査の開始

d1

ジムもアンジーを見つけたようだ。


d2

春節以来だね。
ミッションは7年ぶり。
また一緒に仕事ができて光栄だよ。
お、さっそく準備万端の出立だね。


d3

ああ、この黒い十字架ね。
バチカンを通してAIEから借りてきたの。


d4

祈祷済みの銀の弾丸も
用意してきたけど、
出番がないことを祈るわ。


d5

今回のミッションは、
あくまでも実情調査だからね。
暗殺指令が出ているわけじゃない。
ところで、
彼女がこの町にいるのは確からしい。
居場所を突き止めたいところだけど、
表立って聞き込みを始めると、
噂になる恐れがあるね。


d6

今話題のアンというロボットがいつも広場にいるでしょう。
たぶん彼女もアンと接触しているはず。
だとすると会話記録や記憶画像があるかもしれない。
アンを管理しているのはベーカリーのCGだから、
まずはベーカリーに行きましょう。
その前にこれ全部食べてから。


d7

その頃、喫茶ペンギンの前では、
はるなとレイチェルが話していた。


d8

先生、よく似合ってますよ。
先生はやめて、レイチェルって呼んで。
それから私新米だから色々教えてね。
はい。その背広とネクタイは。


d9

身近にないと落ち着かないの。
店の隅にでも置かせてもらおうかな。
この格好は仕事中だけにしたい。


解説)
英国の諜報機関が
動き始めました。
この先どうなるのでしょう。
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May 23, 2022

マリアの母親

c1

階段を上ってジャンヌがやってきた。
あーお母さん、とマリアが言っている。


c2

ハロウィンでいなくなった時、探さなかったの?
この町にいるのはわかっていたし、
このこも冒険したい年ごろだしと思って、特に。
それに最近の消息は、
兄から聞いていたからね。

ハリーの魔術劇場がこの町に来たのは、
あなたが頼んだからなの?
それだけが理由じゃないんだけど。
やっぱり気にかけていたんじゃない。
そーなんだ。


c3

お母さん、私より若く見えるね。
それは事実だけど、お世辞いってもダメよ。
あ、今日は別にあなたを
連れ戻しにきたわけじゃないから安心して。


c4

何かあった時のために
これを身につけておいて欲しいと思って、
持ってきたのよ。
とジャンヌは言った。


c5

それは黒猫のアクセサリーのついた
ペンダントだった。


c6

よく似合ってるわ。
それにはハリーの魔法がかかっているから強力。
使うとどうなるの?
わからないけど、とりあえず助かるそうよ。


c7

ところでカーミラあなたお化粧変えた?
魔法の鏡を使って別人に変身したんだけど。
あんまり変わらないわよ。
美は普遍的だから。
などと別の話題に移っていったのだった。


c8

その頃屋台の前では。

アンジーさん、春節以来のご来店ですね。
ええ、あの時もこの席で食べ続けたわね。
ここは広場が見渡せるし、写真うつりもいいし最高。
今日は待ち合わせしてるんで、そこの席空けといてね。
料理はどんどんお願い。
あ、さっそく来たみたい。


c9

広場にペスパが到着した。
乗っているのは、郊外に住むジムのようだ。


解説)
マリアのいっときの心配をよそに
さりげない母親との再会でした。
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May 22, 2022

マリアの回想

b1

アンの周りは
相変わらずの人だかり。


b2

マガンダン アラウ。
カタログ語使わなくてもわかるわよ。


b3

カーミラとマリアが
ベランダで話している。

ここ見晴がいいわね。
猫の姿でよく来るんです。
あなた一人でこの町で暮らしているって
言ってたけど。


b4

ええ、きっかけは偶然なんですけど。


b5

去年のハロウィンに、
母に連れられて来たのが最初です。
なんでもこの町の近くにある森は、
私たち一族の故郷だという言い伝えがあって、
母はゆかりの地だって言ってました。


b6

そのせいか、初めてなのに
すごく懐かしい感じがして、おまけに
みなさん親切なので気にいっちゃって、
ここで一人暮らしをすることに。


b7

最初はたまきさんっていう人に
なついて可愛がられて。


b8

一緒に立体写真を撮ってもらったりして、
たまきさんのところで家猫してたんですが
ある日トラ猫たちに縄張りだって脅かされて。
面倒なので人間に戻って暮らすことに。
そうこうしているうちに、
魔術劇場がやってきてハリー叔父さんと
再会できたというわけです。


b9

なるほど。あなたも逞しくなったわね。
あなたのお母さんって、
ハリーの妹のジャンヌでしょう。
最初に言いそびれたけど、
実は彼女に連絡しておいたの。
家出娘を捕まえといてって、言ってたわ。
そろそろつく頃かも。
とカーミラは言った。


解説)
周りにぼかしの入った
マリアの回想部分の画像は、
昨年のハロウィン以降に
載せた画像の使い回しです。
Posted at 21:04 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 21, 2022

それぞれの会話

a1

モモコはお土産を持って
ジェニーたちの部屋を訪れた。
麦チョコは残り少なくなっている。

この切手の女優さん、
ハリー原さんの親戚なのかなあ。
それは絶対ないよ。


a2

でもハリーさんに親戚はいるみたい。
黒猫に変身してたマリアっていう人が
叔父さんって呼んでたから。

その黒猫、もしかして
赤いリボンしてた?
うん。

たまき、最近見なくなった
あの猫かもしれないよ。
まさか。


a3

ベーカリー前は
今日もアンを見にくる人で、
ぼちぼち賑わっていた。


a4

お茶のおかわりいかがですか。
と言われている。


a5

エヴァ、懐かしいなあ。
お父さんが最初にあなたを
家に持ち帰ってきたとき、
人形のあなたが突然
話しかけてきたので驚いたの、
よく覚えてるわ。


a6

あれ本当はね。
あなたが私のピエロ服を
着せ替えて遊ぼうとしたから、
パニくっちゃって必死で叫んだのよ。
でもあれがきっかけで仲良くなれたのよね。


a7

アンジーさん、春節以来ですね。
あれから広場に魔術劇場が建ったので、
もう前みたいに朝の体操ができなくなっちゃって。

それは残念。
でもお店は繁盛しているみたいね。

ロボットが世界中のテレビで宣伝されたので、
見に来る人が増えて、
おかげさまで、お店の方もなんとか。
アンジーさんもアンを見にこられたんですか。


a8

ええ、まあそんなところ。
でももちろん1番のお目当てはあなたのお料理よ(^^)
とアンジーは言った。


a9

ミューは相変わらず動物たちと
話し込んでいる。

あの丸い建物のあたりで、最近ときどき、
ざわっとした気の乱れみたいなもの
感じるんだけど。みんなも感じる?
虫の知らせだ。
犬の知らせだよ。
猫だ。
ミューの千里眼だ。
ミューの瞳は100万ボルトだ。



解説)
動物たちはあまり意味のあることを
言わないようです。
Posted at 20:41 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 20, 2022

ハリー家の会話

d1

私のことならご心配なく。
と言ってカーミラは立ち上がった。


d2

鏡の前で何やら唱えている。


d3

鏡の中に顔が現れ。


d4

カーミラに移り変わっていった。


d5

こんな感じでどうかしら。

あまり変わんないかも。
とヴィヴィアンが言った。
美は普遍的なのよ。


d6

ねえお父さん、
さっきからチェシャ猫みたいに
笑ってるその猫
もしかしてマリアでしょ。


d7

薄い煙と共にマリアが現れた。

やっぱりヴィヴィアンには
バレちゃったか。
カーミラ叔母さんこんにちわ。
私、去年からこの町で暮らしているんです。
最近ハリー叔父さんの魔術劇場ができたので、
時々遊びに来ていて、今日もね。

マリアのお転婆ぶりは相変わらずね。

そうそう、さっき叔母さんとヴィヴィアンが、
この建物に入っていくのをみてたんだけど、
ヴィヴィアンが平然としてたので驚いた。
あなた日光が苦手なんじゃなかったっけ?

うん。
あなたと遊んでた子供の頃はそうだったけど、
あれから体質が変わったの。


d8

ヴィヴィアンは進化した種なんだよ。
そう言いながら
ハリーは瓶を取り出すと赤い液体を
大きな金属製のゴブレットに注いだ。

これは私が調合した飲み物だ。
味は変わらないから試してみるといい。

わー美味しそう、いただきまーす。
とヴィヴィアンが言った。


d9

これを飲み続けていれば、
吸血行為も必要なくなるんだが。
ヴィヴィアンは頑固だからねー。
私は進化しても伝統文化を守りたいの。
血を吸わない吸血鬼なんて厭。


解説)
賑やかな会話が
絶えないのでした。
Posted at 20:59 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 19, 2022

劇場の住人たち

b1

懐かしい思い出は尽きないが、
みんな過ぎたことだ。
ところでカーミラ、
本当は何か頼み事でも
あるんじゃないのかい?


c2

さすがハリー、お見通しなのね。
実は、ヴィヴィアンがイギリスで
ちょっと問題起こしちゃってね。
相手が相手だったもので、
かなりしつこく追われているの。
それでほとぼりが冷めるまで
この子と旅行しようかなと。

なんと言っても世界中で、
一番安全なのは、
お父さんの魔術劇場の中だからね。
と横でヴィヴィアンが言った。


c3

調子がいいんだな(^^)。
そういうことなら、二人とも
好きなだけここにいるといいよ。

さすがお父さん。
お言葉に甘えて(^^)。


c4

では話は決まりだ。
まずは、今のこの家の住人を紹介しておこう。
そう言ってハリーが手をかざすと、
ドアから二人の女性が部屋に入ってきた。


c5

エヴァのことは知ってるね。
マンスフィールドさんからいただいた
ピエロ人形の精霊だ。

子供の頃、
ヴィヴィアンのお気に入りだったわね。
とカーミラが言った。


c6

彼女はヘルミーネ。
この町に来てから、町の郊外に住む
ジャンという人にもらったフィギアの精霊だよ。
以前の持ち主が園芸家だったようで、
つなぎの作業服を着てる。
自由にしていいって言ってあるんだが。

行くとこないので
ここで居候させてもらっています。
とヘルミーネは言った。


c7

ハリーが再び手をかざすと
入れ替わりに二人が入ってきた。


c8

セリアは異世界に行く時、
分身になってくれる。
鏡の精霊のような存在だよ。
ヴィヴィアンが町に出るときには、
彼女の姿で行けば安全だろう。

どうぞよろしく。
とセリアは言った。


c9

彼はパペ。魔術劇場で出演してもらっている
ピエロ人形の精霊だ。
元々ゼンマイじかけの人形だったので、
カーミラなら魔法で自在に操れるだろう。
カーミラが町に出るときには、
彼の姿で行けば。

え。悪いけど、それは遠慮するわ。
とカーミラが言った。


解説)
魔術劇場の同居人たちの
紹介のようになりました。
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May 18, 2022

家族の再会

a1

叔父さんたち、どんな話するんだろ。
私、見にいってくるね。
というと、黒猫は身を翻して、
魔術劇場の方に走っていった。


a2

これはこれは。
どういう風の吹き回しかな。
とハリーが楽しそうに言った。


a3

ともあれ、カーミラ、再会できて嬉しいよ。
何年ぶりかな。君は全然変わらないし、
ヴィヴィアンも元気そうだね。


a4

10年ぶりくらいになるかしら。
テレビでロボット研究所の宣伝番組を見ていて、
この町が紹介されていたんだけど、
背景にあなたの魔術劇場が映り込んでいたので、
ロボット見物がてら、いってみようっていうことになって。
とカミーラが言った。

お父さんは、いつも魔術劇場で
世界中を回っていて、滅多に会えないからね。
とヴィヴィアンが言った。


a5

なるほど。
長旅で、さぞくたびれただろう。
とりあえず、くつろげる居間へ行こう。

隣の部屋への移動にも「どこにもドア」使うのね。
便利というか、都合がいいというか。


a6

三人がソファーに腰掛けると、
黒猫がハリーの手元に飛び乗って来た。

ちょうど貰い物の
美味しいクリームなしエクレアがあるんだ。
ワインにもよく合うよ。
と言っている。


a7

この部屋の壁紙なんだか懐かしい。


a8

ハリーが指を鳴らすと、
宙空に幻影が現れた。

思い出したかい。
昔、僕たちが暮らしていた城館の
食堂の壁紙を再現したんだよ。

幻影はやがて消えていった。


a9

カーミラが指を鳴らすと、
宙空に幻影が現れた。

あの私たちの肖像画のこと覚えているわ。
そういえば、すっかり忘れてたけど、
この町で部屋を借りて、
しばらく過ごしていたことがあった。
どうして忘れていたのかしら。

あの頃は、二人とも吸血鬼として
あちこちの国や町を旅して、
追われるように生きていた。
それに夜しか出歩かなかったからね。
覚えてないのも無理ないよ。
とハリーが言った。

やがて幻影は消えていった。


解説)
再会したハリー夫妻の
思い出話になりました。
幻影の画像は、2008年に
掲載した画像をトリミングして
使用しています。
額入り肖像画の現物は、
今のところ探せど見つからず。
Posted at 20:40 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 17, 2022

新たな訪問者

a1

モモコが魔術劇場を出ると、
夜はとっくに明けていた。
バッグをもらって出て来たモモコは、
さっそくルビーに声をかけられている。

おかえり。どうだった?


a2

モモコは、向こうの世界でジェーンに会えたこと、
咲きかけのバラの蕾や、大きくなった
ガジュマルを見たことなどを話している。
マリアも猫に変身してテーブルにいるようだ。


a3

このクリームなしエクレア美味しいね。
これ、この前サラたちも部屋で食べてたよ。
どこから買ってきたんだろう。
あの部屋、時々、
設定を無視した変なことが起こるから、
気にしないことだよ。
とルビーがいった。


a4

広場の方で話し声がする。
隣席にいたリタが、そちらを振り向いて、
また誰かアンを見にきたみたい。
と言った。


a5

ブナ ズィア。
ブナ マ ムネスク アン。


a6

私たちがどこから来たのか分かるのかしら。
ルーマニア語がお上手。
人間に似てないところがいいわね。
などと言っている。

猫のマリアが、
さっそく様子を見に行ったようだ。


a7

やがて二人は
魔術劇場に入っていった。
エヴァ久しぶり。


a8

テーブルに戻ってきた猫のマリアが
モモコにテレパシーで話している。

あの二人、ロボット見物の人たちじゃなくて、
カーミラ叔母さんと、ヴィヴィアンだった。
叔母さんっていうと、
ハリーさんの奥さんっていうこと?
うん、ずっと別居してて、叔母さんは、
トランシルヴァニアで暮らしてるって聞いてたけど。
ヴィヴィアンは二人の養女で、私のいとこになる。
ややこしいのね。
そうでもないよ。

ルビーとアイスには、猫とモモコの会話が
全く聞き取れなかったので、
モモコの解説を待ち侘びている。


a9

久しぶりにご一家がお揃いって、
喜ばしいことだけど、
これで今日も劇場の開演は無理みたいね。
暇だし、肉まんでも食べに行こう。


解説)
相変わらず製作者にも
先が読めない展開です。
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May 16, 2022

モモコの帰還

a1

二人はキッチンの出窓で
話し続けた。


a2

エリコどうしてるかな。

あの黒っぽい骨みたいな子ね。
去年、居間で出会って、
夢見の水をもらって以来会ってない。
この家のどこかに彼女の住む世界に通じてる
場所があると思うんだけど、見つからないの。

私には、向こうの世界の森林公園に行って、
迷いの森に向かって呼べば、
いつでも出てくるって言ってたけどね。
私も最近あってないな。


a3

その時、居間の向こうで物音がした。


a4

黒猫がポットの上に飛び乗って、
モモコに話しかけている。

モモコさん。
魔術劇場の建物が見つかると、
大変だよ。


a5

モモコは仕方なく、
急いで帰ることにしたのだった。

また会おうねーと、
ジェーンが言っている。


a6

モモコはさっそくお土産を広げて
ハリーに報告している。


a7

薄い煙と共にマリアが現れた。

面白そうだったので、
ついてっちゃった(^ ^)
お土産ありがとう。
これ食べてみたかったの。


a8

ふむ。甘くて香ばしい。
クリーム抜きの
エクレアのような味だね。
と言っている。


a9

ハリーさん、私、
ジェーンに会えてすごく楽しかったけど、
いつも行ったり来たりはできないの?

本当はモモコさんの夢見る力次第なのですよ。
でもそれぞれの世界には
それぞれの時間が流れていて、
そこに外部から入り込むという冒険です。
何が起きるかまではわからない。

「夢食い」に出会うかもってこと?

それも一つの可能性です。
戻れなくなる人もいます。

実は私の一族にも、
遠い昔、迷いの森から、
この世界にやってきたという伝承があります。
それが本当なら面白いですが。
と言ってハリーは楽しそうに笑った。


解説)
あっという間の小旅行でした。
Posted at 20:54 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 15, 2022

ジェーンとの再会

b1

あ、ジェーンだ。


b2

去年の9月に夢の中で
会って以来だね。
あの世界は本当にあるんだよ。
今は別のジェーンが住んでる。


b3

よくわかんないけど、
今日はこの出窓にバラの蕾の様子を見にきたの。

そう言ってジェーンは
バラの鉢の置かれた棚によじのぼった。


b4

まだ咲いてない。


b5

このガジュマルの幹の形、
どこかで見た気がする。
とモモコは思った。


b6

これ、美味しいね。
キッチンテーブルの上のお皿に
盛ってあったのを借りてきちゃった。
麦チョコっていうらしいよ。


b7

モモコはお土産に
麦チョコを分けてもらった。


b8

あ、そうだ。これもあげる。
ジェーンは、背中の箱から、
一枚の切手を大事そうに取り出すと
モモコに差し出した。


b9

この切手の写真、
映画のシーンだね、私見たことある。
いいの?こんなのもらっちゃって。
うん。2枚持ってるから(^^)。
会えたらモモコに一枚あげようって
持ち歩いてたんだ。


解説)
ジェーンはサランラップを
うまく使いこなしているようです。
Posted at 21:12 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 14, 2022

モモコの体験

a1

ようこそ魔術劇場へ。
モモコさんですね。


a2

どうして名前を、と思われましたか?
これは魔法ではありません。
今晩あなたがいらっしゃることは
先ほど、このマリアから聞いていたのです。

あなたは人形や怪物とも
テレパシーで話ができるとも伺っていて、
お会いできるのを楽しみにしていました。


a3

それは誤解です。
っていうか、話ができるのはリリスとエリコだけ。
リリスは人形っていうより、人形に宿ってる精霊で、
エリコは怪物じゃなくて、
迷いの森に住むちゃんとした生き物です。
あ、迷いの森から異世界に出てきた怪物とも
話ができたけど、あれは、「夢食い」とか、
呼ばれてた。
あと、魔子さんっていう狐の精霊がいて、
リリスとテレパシーで話してたけど、私には
何言ってるのか、わからなかった位なんです。

その時、私の声も聞こえるでしょ。
という女性の声が、
モモコの頭の中で感じられた。


a4

今のは?

ハリーに抱かれていた黒猫が
身を乗り出して、隣の椅子に飛び移った。


a5

立ち聞きしたり、驚かせてごめんなさい。
わたしはマリア、今猫に変身してるけど、
精霊じゃなくて人間よ。


a6

薄い煙が立ち上ると、
マリアが姿を現した。

マリアは私の姪なんだが、
猫に変身できる変わった娘でね。
見かけはちょっと怖いが、根は良い娘です。
どうぞよろしく(^^)
とマリアが言った。

さて、それはともかく、
せっかく劇場に来られたのだから、
楽しく観劇していただこう。
この空間は特殊な魔法陣の上に造られていて、
そのせいで、さまざまな異世界との
出入り口にもなっております。

ジャンさんの倉庫みたいな空間なのね。

ふむ、モモコさんは、
どんな世界がお望みかな。
別世界で生きる、もう一人の別の自分の姿を見るとか。

私は夢でしか会えないジェーンのいる世界に
行ってみたいです。


a7

モモコが触れると、
鏡は寒天のように震えた。
この向こうに行けばいいのね。


a8

モモコが鏡の扉をくぐり抜けると、
そこは。


a9

変な建物から誰か出てくる。
あれ、モモコかな。
とジェーンが思っている。


解説)
どんな世界に、と考えていて、
結局、キッチンの出窓に敷いてあった
シートを交換して撮影しました。
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May 13, 2022

5月の雨のち曇りの日

a1

今日は雨。窓から届く
雨音が耳に優しい。


a2

このお菓子なんだろう。


a3

見た目はお萩みたいだね。


a4

でもチョコレート味。
内側の食感はパイみたいで
香ばしい。


a5

ベーカリー前で、
モモコとルビーが話している。

最近、アンの話題で持ちきりだけど、
私はあの魔術劇場、っていうか、
ハリーっていう人に興味があるの。
異世界から来たジョー軍曹が、
こちらの世界ではフィギアだった自分を、
人間の姿にしてくれたって言ってた。


a6

そう。あの人なら、やりかねないね。
私が会った経験から言っても、
かなりの超能力者であるのは間違いない。
そういえば、
あなたも人形や怪物とテレパシーで話せる、
って噂だけど。


a7

私の場合は相手が特別な時だけだよ。
私はふつうの夢見る乙女タイプなの。
劇場がいつ開演するのかわからないけど、
いつかハリーさんに会ってみたいなあ。

最近はたまに屋台の前で見かけるよ。
でも劇場に入りたいんだったら、
夜中にここで待ってるといいかも。
とルビーが言った。


a8

モモコがルビーのアドバイス通り、
ベーカリーの椅子席で待っていると、
夜が更けて。


a9

ようこそ魔術劇場へ。
悩みのある人は入場無料です。
とエヴァが言った。


解説)
謎のお菓子の正体は、
コンビニで買った麦チョコでした。
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May 12, 2022

ハリーの過去

a1

ハリーが屋台で肉まんを買っている。


a2

どうも懐かしい味だと思ったら、
やはり丹下君が作っていたんだね。

ニューヨーク以来ですね。
魔術劇場が突然隣にできていたので、
いずれお見えになると思ってました。


a3

そこにルビーがやってきた。
こんにちわハリーさん。
と言っている。


a4

先日は不思議な体験をさせていただいて。
それはともかく、私、
ちょっと思い当たることがあって、
お尋ねできればと。

ふむ、どんなことかな。


a5

実は、もう14年も前なんですけど、
この町で、CGの任務で、ある吸血鬼の男性と
交渉したことがあったんですが。

この前の夜のことを思い出していて、
その人物が、あなたによく似ていたような
気がしてきて。
いえ、もっとずっとお若い頃のような
顔立ちだったんですけど。


a6

ふむ。
あれを思い出されましたか。
とハリーは少し楽しそうに言った。


a7

いかにも。
ハリーが眼鏡をとって指を鳴らすと、
黒髪の男の顔が現れた。

その人物は、
こんな顔をしていたでしょう。


a8

ハリーが笑うと、
鋭い犬歯がきらりと光ったようだった。


a9

こんな老人の顔から、あの時の出会いを
思い出されたのは、さすがルビーさんですね。
たしかにあれは私でした。
もう昔のことですが、あの頃私は吸血鬼だった。
魔術の研究のためにあの一族と関係を持ったのです。
あなたもご存知のように、
CGが新鮮な輸血用血液を提供してくれるということで、
CGと私はいっとき、協力関係にありましたが、
結局CGの吸血鬼の不老不死にまつわる研究は
何の成果も生み出せませんでした。
その後、私は別の方法で、吸血鬼体質を解消したのです。
今では人の血液は必要としませんよ。
たまにあの頃が懐かしくなりますが。
とハリーは楽しげに言った。


解説)
今回話題になっている吸血鬼のエピソードは、
2008年3月11日「春の夜のできごと そのいち」
2008年3月13日「春の夜のできごと そのに(後編)」
で、描かれています。
Posted at 20:24 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 11, 2022

5月の晴れた日

a1

ジェニーたちがテレビを見ている。
あ、アンだよ。


a2

この横の人、この前、
ベーカリー前の広場に来てたんだってね。
見に行けばよかった。
これロボット研究所のCMでしょう。


a3

私たちの研究所が目指すのは
みなさんの日々の暮らしのお手伝いをして、
みなさんと共に暮らす生活ロボットの開発です。
アンは人と変わらない知性を持っていますが、
混乱の起きないように、ロボットはロボットらしく、
というのが私たちのモットーです。
アンは、すでに先ほど紹介した町で暮らしています。
というバトラー博士のコメントが流れている。


a4

これでまた見に来る人が増えるね。
そうかな。あの人出したの逆効果じゃないの?
ねえ、次は私が出演してる、
読書習慣のCMだよ。
まだやってたんだ。
などと会話が弾んでいる。


a5

ジェニーたちが話していたように、
数日後のベーカリー前の人出はそこそこだった。


a6

アンって、スワヒリ語話せるの?
あの挨拶通じたのかな。
などと言っている。


a7

ベランダにはミューが遊びに来ていた。


a8

今井舞は靴下を干している。

なぜか片方ばかりなのが、
謎なのよね。
と言っている。


a9

ミューは鳥たちとの会話に
夢中のようだ。

私カゴから逃げてきちゃった。
よかったね。
わたしは飼われて楽したい。
明日は雨だよ。
お腹いっぱい麻の実食べたい。
などと言っている。

食べ物の話と天候の話が
主な話題なのだった。


解説)
とくに何もないような
穏やかな日なのでした。
Posted at 20:30 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 10, 2022

束の間の訪問者

a1

アンの知能は人並みですが、
言語能力は特別で
ほとんどの言語を理解します。
などとバトラー博士が紹介している。

ハバリ ザ ムチャーナ
とアンは言った。


a2

記念写真が撮影されている。


a3

撮影した研究所の所員が
今、なんて言ってたんですか?
と聞いている。
博士はあれはスワヒリ語だよ。
と答えている。


a4

あれって、ロボット研究所の
アンの宣伝キャンペーン企画だね。
政府要人も巻き込んで、
存在意義を示そうと必死なんだよ。
でもちょっと危険だなあ。


a5

さまざまな人が集まっている。


a6

せっかくだから、
向こうで撮影させてもらえばいいのに。
とソローがエトナに言っている。


a7

私あの人ちょっと苦手で。
とエトナは言っている。
テーブルには、ふだん見かけない人もいて、
周囲の様子を窺っているようだ。


a8

シークレットサービスが
何か耳打ちすると、
要人はそそくさと引き上げていった。


a9

何かあったんですか。
今回の非公式訪問の情報が事前に漏れていて、
暗殺計画があるという通報が入ったらしい。
と博士は言った。

いやお騒がせして申し訳ない。
彼をアンの宣伝に使えればと研究所が考えて、
軍の関係者を介してお伺いを立てたところ、
運よくスケジュールの合間にはまって、
きてくれることになったんだ。
もちろん政府や彼自身の政治宣伝にもなるからね。
急な話で、CGの方にも伝えていなかった。

あの人いつもああして上機嫌なんですか。
うん。何考えてるのかは謎だけどね。


解説)
今回登場したフィギアヘッドは、
先日秋葉原で求めたもの。
笑顔の造形が素晴らしくて、
見ていると自然とこちらも顔が綻びます(^^)。
そんなわけで、やや強引に
出番を作ってみました。

Posted at 20:31 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 09, 2022

ベーカリー前で

a1

研究所が新たに宣伝したこともあって、
ベーカリー前の広場には、
アンの姿を見に来る人が多くなった。


a2

お客さんが増えるのはいいんだけど、
けっこう忙しくなるのよね。


a3

肉まん四個ください。
少し時間かかりますけど。
じゃああんまんを。


a4

セリアさんって、珍しいお名前ですね。
イタリア語で真面目なっていう意味なんです。
それで、どちらから?


a5

ベランダで洗濯物を取り込もうとしていた
今井舞は、階段を上がってきた男性に
声をかけられた。

突然すみません。
政府のものですが、このベランダ、
しばらくの間閉鎖させていただきます。
是非ご協力を。


a6

男性はさっそくトランシーバーで、
連絡を取っている。


a7

了解しました。
と言っているようだ。


a8

あれシークレットサービスじゃない?
誰か来るのかな。
CGからは何も聞いてないよ。
などとアイスとルビーが話している。


a9

ほどなくバトラー博士が
男性を伴ってやってきた。
アンを紹介しているようだ。


解説)
いつもながら、
流れだけが先にできて、
この先どうなるのか。
Posted at 20:49 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 08, 2022

春の装い

c1

コーディネイト、また頼めるかな?
いいよ。


c2

サラはさっそくドルフィンの倉庫の衣装箱から
サイズの合いそうな服を選んできた。


c3

みんな黙っているが、
春らしい装いで革バンドがアクセントなの。
とサラが言っている。


c4

ミューはベランダでジェイソンに
これまでの事情を打ち明けていた。


c5

じゃあアンは自分で計画したことを、
何も覚えていないんだね。
動物たちとも話せなくなっちゃって、
なんだか淋しい結末だなあ。


c6

そのアンは私なんだから、何も変わっていないのよ。
あなたが最初に声をかけてくれた時のこともちゃんと覚えてるし。
今のアンはそんな超能力がなくても普通に幸せ。
人は意識を持ったロボットを作っておいて、
やがて物みたいに扱うのに耐えられなくなるけど、
逆に進化したロボットから指図されるのにも耐えられない。
結局自分たちと同じレベルの隣人を望んでいるだけ。
人間じゃないあなたならわかるでしょう。

横でもウーウーと言っている。


c7

サラの部屋から、
ベーカリー前にアンが戻ってきた。


c8

黒い帽子がシックだね。
きっとサイズあれしかなかったのね。
などと言っている。


c9

タカイタカイ。
ルイはきゃっきゃと喜んでいる。


解説)
アンをめぐる騒動の波紋も
次第に収まっていくようです。
Posted at 21:11 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 07, 2022

5月の夜

b1

夜の探偵事務所。


b2

シェリー博士が貸してくれたこの本。
専門用語が多くて読みやすいわ。
とドロレスが言っている。


b3

それで、そのクロスワード完成したの。
隣の席の人に、
答えを言われちゃってさあ。


b4

全部ミューの言ってた通りになったね。
アン喜んでた?
特に変わりなかったよ。
え、アンってあなたと同じなんでしょう。
もうそうじゃないの。
アンのKSシステムはそっくり解除されてた。
復元して記憶を共有することもできるけど、
これからも私たちは、
無関係を装わなくちゃならない。
そのためにはアンは何も知らない方が安全。
お利口さんなのね。


b5

階下の喫茶店ペンギンでは。
レイチェルがシェリー博士と
お酒を飲んでいた。

お呼びだてしてごめんなさいね。
今日はどうしても愚痴になるけど、
聞いてもらいたくて。

いいわよ。
何でもおっしゃいよ。


b6

アンがまた試験運用始めたけど、
あれは表向きで、研究チームはもう手を引いたの。
アンは軍事用には使い物にならないって結論。
KSシステムは私がロックした状態のままだったから、
そのせいじゃないと思うんだけど、
たしかにそれまでの数時間は作動させていた。
その間に、何かシステム全体に
取り返しのつかない変化が起きたんじゃないかって、
バトラー博士や研究チームは考えて、
結局研究も中止することになっちゃった。
それが残念でならなくてね。


b7

ずっと研究してたんだから、
それは残念でしょうね。


b8

あのシステムは認知領域を拡張するもので、
理論的には対象の意思や想念を読み取ったり、
微弱な虫の知らせも感知できるはず。
そうなると、途方もない話だけど、
究極的には別次元の感覚に目覚めちゃうって、
ことも考えられなくもない。


b9

KSシステムがずっと動いてたって
言いたいの?

アンの記憶画像を調べていた時、
一つだけ気になるのがあった。
アンが巣箱の鳥と会話しているような場面。

それで、バトラー博士は?
そんなことKSシステムでも起こりえない。
って一笑にふされたわ。
確かにね。今のシステムでそこまでは。

それでこれから研究は?

私はもちろん原因究明したいんだけど、
今度の決定でアン自体がCGの管理下に入っちゃった。
状況次第では、私もお払い箱になるかもしれない。
くびになったらここで雇ってもらおうかな。

もちろん歓迎ですけど、
ここすごく暇ですよ。
とマスターのマリーネが言った。


解説)
春の夜の、人それぞれの
会話風景でした。
Posted at 20:33 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 06, 2022

猫の報告

c1

河野多恵とレイラとエヴァが
またベーカリー前で話している。


c2

これ姿見にするための鏡じゃないんだよ。
いいじゃない減るもんじゃないし。
などといっている。


c3

その時そっと黒猫が一匹。


c4

屋内に駆け込んでいった。


c5

こんにちわ。ハリー叔父さん。
あら、お食事中だったのね。
その声は、マリア?



c6

あたり。というと、
猫は女性の姿に変身した。


c7

叔父さんの魔術劇場の噂は聞いていたけど、
建物が広場に急に出現したのには驚いたわ。
戸口にいたのは人形の精霊のエヴァでしょう。
懐かしかったけど、すり抜けてきちゃった。
叔父さんまだ、あれやってるんだね。
人形の精霊を人間にしちゃう魔法。


c8

望みを叶えてるだけだよ。
人に話しかけたり憑依することはできても、
自力で変身できない精霊も多いから。
そういえば最近もそんなことがあったなあ。


c9

あれコツがあるのよね。
あと色んな物の力を借りるとか。
そういえば、夢見の水ってすごい。
この前、ロボットが使ってるのみたよ。
変身っていうんじゃないけど、
そのせいで爆発的に進化しちゃったみたいなの。
魔法でもそんなことできないのに、
あんなのありなのかな。


c81

近くに夢見の水の泉が湧く迷いの森があって、
地下水として流れてるせいかもしれないけど、
この町では色々面白いことが起こってるみたい。
狐や狸が人に化けてたり。

私時々猫に変身して町をうろついてるから、
何かわかったらまた教えにきてあげる。
最近はトラ猫が、ここは虎の縄張りだって、
うるさいんだけどね。

ハリーはそうかそうかと聞いていた。


解説)
マリアのヘッドはCGシリーズのものを
リペイントして髪型も変えてあったものを
使用しました。


Posted at 20:33 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 05, 2022

春たけて そのはち

a1

今日は子供の日。

ミューの予想通り、
アンは試験期間が延長されたという名目で、
研究所からドルフィンに戻されてきた。


a2

さっそく、アンはルイを抱き上げて、
タカイタカイと言っている。


a3

そのバナナ。
あげない。


a4

アンの移送に付き添ってきたCGの少佐が
ルビーと話している。

ミューの予想通り、
当面CGがアンを保護観察することが正式に決定して、
ルビーたちにその任務が託されることになった。
という話だった。

けっこう重武装の連中連れてきたんだね。
ロボットの護衛と聞いてたんで。と少佐は言った。


a5

このアーマー、流石に暑いわ。
お腹すいた。そこの屋台で肉まんでも食べようか。
などと話している。


a6

アンに付き添ってきたレイチェルは
早くも肉まんを食べていた。
何度か来てるうちに、
この店のファンなってしまったようだ。


a7

ベランダでは枝野多恵が、
風でフェンスにひっかかった
鯉のぼりを直していた。


a8

そのビニール製の鯉のぼり、すごく古そうだね。
15年以上前から倉庫にあったみたい。


a9

少佐、ちまきでもいかがですか。
とマスターが言っている。


解説)
今日は子供の日なので、
あれこれ小物を取り混ぜて
撮影しました。
Posted at 21:13 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 04, 2022

春たけて そのなな

b1

ベーカリー前で
久しぶりに喫茶店ペンギンから出てきた
枝野多恵とレイラがエヴァと話している。

最近気候がめちゃくちゃ。
こー暑いと、やはりアイスクリームだね。
こんな建物あったっけ?


b2

うーん。甘冷たくて最高。
その鈴つき帽子重いでしょ。
これそうでもないのよ。


b3

二人のいた喫茶ペンギンの席には
探偵とその助手が座っていた。

2階の事務所に来客があるというので、
二人は店に移動してきたのだった。


b4

シェリー博士が、暇つぶしにでもって、
貸してくれたこの本、専門用語が多すぎて、
よくわかんないわ。

来客って、エリスがカウンセリングする
訳じゃなくて、ルビーのことでしょ。
一緒にいても良かったのに。
どうせロボットの話なんでしょうから
私も聞きたかった。


b5

あの部屋、椅子が足りないんだよ。
それに話のジャンルが違うし、
僕らが口挟むとややこしくなりそうだから。

あ、そのクロスワードの答え、
「ミュータント」ですよ。
SF小説などで、突然変異した生き物を呼ぶ、
という問題。と隣の男性が言っている。


b6

探偵事務所では、ものすごく長い会話が
交わされていた。

ルビーさん。
きっと来てくれると思ってました。
とミューが言っている。

ここが新しい住まいというわけね。
ところで、アン、
あ、ミューって言えばいいのかしら。

私はアンの記憶をそっくり受け継いでますが、
体はミューのものなので、ミューって。

生物だとミームが受け継がれた感じなのね。
それはともかく、アンと呼ばれていた
あのロボットのボディ、なんとかならないかな。
あなたにとっては、もうただの抜け殻かもしれないけれど。
みんな愛着を感じちゃってるみたいで。
何か考えてることあるんでしょう。

はい。そういう皆さんの反応が起きることは
よくわかっていました。
ミューにとっても大事なお母さんの体ですから。
でも大丈夫。
研究所で、これからアンの検査が始まりますが、
その結果、アンには軍事転用するには、
重大な欠陥があることが、発見される筈です。
そんなふうに設定しておきましたから。

それはどんな。
彼らにはどうしても原因不明の理由で、
アンはある種の命令に従わないのです。
彼らにはまるでアンに「良心」が宿っているように
映るかもしれません。

するとどうなるの。
軍事転用できないとしてもアンは高度な技術の塊ですから、
安易な民生転用はできない。
機密保持のために廃棄処分にするべきだ。
という意見が会議で出てきます。

なんと。
でもその時もう一つの提案が出てきます。
研究が失敗してロボットを破棄したなどということが、
軍やCGの上層部に知られれば、
プロジェクト自体の打ち切りということにもなりかねない。
今後の軍事研究プロジェクトの存続のためには、
今回の結果は無かったことにしなくてはならない。
逆に軍事的に使い物にならないアンは、
ロボットの平和利用という研究所の表向きの宣伝に、
広告塔として利用するのに、
うってつけではないか、というものです。

なるほど。
議論の結果、最終的にその提案が了承され、
アンは唯一実績のあるこの町に差し戻される筈です。
ただし、上層部や関係者への手前、
表向きはあくまでも長期的な
試験的運用実験の継続ということになるでしょう。
実際には、研究所には軍事転用不可能だと決定された
アンの開発実験を継続する理由も関心もなく、
一般向けの客寄せパンダ状態となるはずです。
さらに言えば、そんな状態のアンの
機密管理には軍が表に出てくるとまずいので。


b7

そうか。
結局、CGがアンの機密管理を請け負うことになるという話ね。
そうなると、ドルフィンの隣でベーカリーを営んでいる
CGのメンバーである私たちに組織から要請があって。


b8

アンは今まで通りドルフィンで暮らせます。
とミューは言った。


b9

でもそんなふうに進展するには、
ミューが、アンによって作られたロボットだって、
話がもれないようにしないとね。
今のところ、その秘密を知っているのは、
私とシェリー教授と探偵と助手の鷲尾翠さんと、
ドルフィンのマスターと、ルビーとアイスだけ。
だけ、っていっても随分な人数だけど。

町には他にもジェイソンさんや
サラさんの部屋の頭蓋骨のお父さんみたいに、
特別な認知能力を持った、
私にもよくわからない生命体もいるから、
そういう人たちには事情を話すつもりです。
隠しても、すぐバレちゃいますから。
とミューが言った。


解説)
今回は長文入りになってしまいました。
会話シーンなので、セリフを
話者の画像に振り分けていくと、
すごく長くて単調になりそうでしたので。
Posted at 20:44 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 03, 2022

春たけて そのろく

a1

喫茶ペンギンの前で。

しばらく二階の探偵事務所で
ご厄介になる私の妹の
ミューです。
とドロレスが言った。

あらよろしくね。
ミューちゃん学校は?

わたしお姉さんがしている
私立探偵の助手の見習いの
お手伝いをするんです。


a2

ということで、ミューは、
ドロレスに引き取られて、
探偵事務所で暮らすことになった。

ロボットって、結構
メンテナンスが大変なんだね。
そんなことないんですけど、
カメロンパン程度は
食べられるようにしてるんです。


a3

あなたの知能も随分進化してるみたいね。
ところで、ミューへのコピーは成功したみたいだけど、
アンの分析検査でデータの消去や改竄が
発覚する恐れはないのかしら。


a4

言いにくいですが、はっきりいって、
検査官がバトラー博士やレイチェルさんのレベルだったら、
まず大丈夫です。とミューがいった。

私が偶然獲得したような
特異な認知能力を持つ人が研究所にいれば別ですが。
それに、もし見つかりそうになったら、
アンは自爆しますから。
そうなると研究所はどうなるの?
この世界から蒸発します。
あ、そこかゆい。


a5

サラたちの部屋での話題は、
やはりアンのことだった。


a6

研究所に帰っちゃたんだね。
試験運用だったから仕方がないよ。


a7

でもアンみたいなロボット、
近所に一体いると何かと便利だね。
重いもの運んだり、何でも手伝ってくれるし、
シティポリスも必要なくなるかも。

その代わり、接触したみんなの行動が
データとして保管されちゃうんじゃないの。
それはなんか監視されているようで嫌だなあ。


a8

ジェイソンは広場でぽつんと立っていたアンに
初めて声をかけた時のことを思い出していた。


a9

なんとかアンを取り戻す方法はないの?
アンならミューの中に今もいるよ。
うん、それはわかってるつもりなんだけど、
やっぱりあのいかついボディ、
尖っててクルクル回る頭、
スルスル伸びる足、あの形状全体がアンなのよ。
本当にそうかな?

なんなら私が研究所に潜入して奪回してもいいけど。
本当はそれやりたいんでしょ。
でもそうなると相当後が面倒だよ。

問題はアン、というか、ミュー本人が、
あのボディをどう思っているかっていうこと。
もしかしたら、この先の展開も、
もう計画の一部なのかもしれないし。
だとするとどこの誰かとは大違いだね。


解説)
今日は洗濯日和でした。
Posted at 20:33 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 02, 2022

春たけて そのご

c1

こんにちわ。
と女の子は言った。


c2

すると、ドロレスが
ドルフィンの奥から急いでやってきて、
女の子の脇に立った。

この子、ミューっていう名前で、
私の妹なんです。
今朝アンのところに遊びにきて、
さっきまで一緒に遊んでいたんですが、
アンがいなくなったので、
こっちに出てきちゃって。


c3

さっそくアイスが、カメロンパン食べない?
と言っている。
今お腹いっぱいなので。


c4

ねえ、姉妹って全然似てないね。
家庭の事情は様々だからね。


c5

ドロレスはルビーに声をかけて、
小声で立ち話をしている。

アンが昨夜アイスさんとルビーさんに
計画のことを話したと言ってました。
ミューがロボットだということ、
秘密にして、今後とも力になってください。

ええ、できるだけのことはしましょう。
で、ドロレスさん。
あなたも本当はロボットなんでしょう?

え、そんなこと。
誰から。

これまでのあなたたちの行動や
アンの計画のこと、
昨晩からずっと考えていたんだけど、
ミューのお姉さんだという、
さっきのあなたの言葉を聞いてはっきりわかったの。
それってアンの発案でしょう。
アンがミューを作って置いていっても、
ミューを保護してくれる人が必要で、
それも事情を全て知っている人が必要。
あなたにそれを委ねたってことは、
あなたをそれだけ信頼してるってこと。
あなたなら絶対に裏切らない。
なぜなら、ミューの秘密は、
あなたの秘密でもあるからね。

アンが私を利用したっていうことですか?

利用といえばそうかもしれないけど、
アンはそれが一番いい方法だと考えた。
それは、私とアイスに計画を打ち明けたこともそう。
計画に私たちを巻き込むことでミューは安全になる。
私やアイスなら喜んでミューを守るし、
エネルギー源である夢見の水も手配できるでしょう。


c6

アイスって、言った?
ちょっとあれ見てよ。


c7

ミューが動物たちと話しているようだ。


c8

違うよ。
これ囚人服みたいだけど、
マリンルックなんだよ。
とミューが言っている。

ふーん本当かなあ。
とチンパンジーが言ったが、
周りのみんなにはウーウーとしか
聞こえなかった。


解説)
ミューのボディは、やや小ぶりの、
ピュアニーモというアゾンの素体を
使っています。
Posted at 20:41 in n/a | WriteBacks (0) | Edit

May 01, 2022

春たけて そのよん

b1

翌日になって、ロボット研究所から
バトラー博士と助手のレイチェルがやってきた。

これが最近話題の魔術劇場ですね。
奇術ショーでもやるのかしら。
今度トリックを見破りに行ってみようか。
でも入り口ないですよ。
などと言っている。


b2

こんにちわ。研究所の者です。
今回のロボットの行動実験での、
ご協力に感謝します。
今日は昨日ご連絡を差し上げた通り、
試験期間が終わったので
アンを引き取りに参りました。


b3

ご苦労様です。
アンはずっとトラブルなく
毎日元気に稼働していましたよ。
とマスターが言った。


b4

アカゲノカツラト、ボウシトコノフク、
サラサンニ、オカリシテイタモノデス。
モウヒツヨウナクナッタノデ。
サラサンニ、ヨロシクオツタエクダサイ。


b5

博士たちは試験期間中の
アンの具体的な行状を
すぐにも聞きたがっている様子だ。


b6

アンは順応性が高く、幼児をあやしたり、
鉢植えの手入れを手伝ったり、
ストーブの撤去作業をしたり、
住民の机やオーディオセットを運んだり、
風で落ちた巣箱を直したりと、
住民たちの生活に役立つ
様々な働きをこなしてくれました、
とルビーは言った。


b7

博士は満足そうだった。
何はともあれ、事故がなくてよかった。
まずは期待通りの成果のようですな。

これから、アンはどうなるんですか?
研究所に持ち帰って、行動や記憶のデータを分析します。
対応の際のフィードバックの記録なども。
もちろんアンと接触された皆さんのプライバシーに関する
データは厳重に管理しますので、ご心配には及びませんよ。
CGのルビーさんならご存知のように
私たちの研究所のロボット開発プロジェクトは、
軍やCGの研究チームとも連携しています。
アンはいずれ戦闘用に改造されるかもしれませんが、
それは今回のデータ分析の結果次第です。


b8

博士たちは研究所に帰っていった。

アンは今きっとロイドになって、
こっち見てるね。
とアイスが言っている。

その時、テーブル席の方から、
この子連れてきたの、だーれ。
というリタの声がした。


b9

ルビーは、
昨晩、倉庫でアンと遊んでいた女の子が、
席に座っているのを見たのだった。


解説)
今日は雨で、気温が低く、
久しぶりに重ね着を。
Posted at 21:26 in n/a | WriteBacks (0) | Edit
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