Feb 05, 2026

マルテ

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世界は真っ白な状態になった。
ピピは眠っているようだ。


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サラはポケットから、持っていた
チョコレートを取り出して、
ピピの鼻先にかざしてみた。


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ピピは飛び起きた。
いい匂い。
と言っている。

あれ、ここは?

ここはあなたの夢の中よ。
夢の中でも寝てたみたいだけど。


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3人はとりあえず前方に歩いてみた。
方角も遠近感も全く掴めない。


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これは本当に僕の夢の中なの?

これじゃ、起きてから
何も思い出せないのも無理ないわね。

僕たちは夢って滅多に見ないんだ。
それに、こんな夢初めて。

あら、あそこの
タコのようなものは何?


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タコのようなものは
そろそろと近づいてきた。

やはり来ましたね。
君たちは、夢食いですか。
それとも宇宙ステーションの乗員かな。
おや、ピピも目覚めているのか。

夢食いでも乗員でもないわ。
この人は魔族のシモーヌ、
私はサラサラのサラよ。

地球人でしたか。
なるほど魔族が鏡の扉を使ったのか。

あなたこそ、夢食いなんでしょう。
ピピの夢の中に入り込んで
何をしているの?


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私の名はマルテ。
確かに夢食いと同じように
ピピの夢に入り込んではいるが、
これは臨時の緊急避難なんだ。
私たちの住んでいた世界は、
失われてしまってね。
安住の地を探している。

それはお気の毒だけど、
ここはピピの夢の中でしょう。
ピピはずっと眠っているのよ。

夢を持続することが大事だったのだよ。
持続する夢にはやがて夢くいが来るだろう。
あるいは君たちのように、
異変に気がついて様子を見に来るものがいる。
宇宙ステーションには、
宇宙連合に加盟している様々な惑星から来た
地球オタクの宇宙人が乗っているから、
誰か夢に入り込める能力を持った宇宙人が、
来ると思っていたんだが、
船に乗っていないはずの
地球の人間や魔族が来るとは意外だったよ。

それで、来たけど、どうするつもりなの。

こうして話してるじゃないか。
どこか住みやすい世界を知らないか?

その言い方、
とても緊急避難で助けを求めてるように
見えないけど。


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しばらく考えてシモーヌが言った。

わかったわ。
あなたの住みたい世界には何か条件があるの?

持続可能で平和な世界がいいな。

こんなに真っ白な、
手抜き画像のような世界がお望みなの?

それも手軽でいいな。
あ、今のは冗談だよ。
ただしこの宇宙を構成する現実世界はだめなんだ。
私たちは進化した結果、
もう夢のような異世界でないと、
長時間は体がもたない。
風邪もひきやすいし。

わかったわ。
あなたを常春の国に送ってあげます。
とシモーヌはいうと呪文を唱えた。


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なんと薄い煙がたちのぼり、
マルテの体は煙に紛れて消えていった。

シモーヌ。
あの人送っちゃって大丈夫なの?

話していて害意はないことが
感じ取れたの。
まだわからないことは多いけど、
とりあえず、みんな心配してるだろうから
急いで帰りましょう。


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シモーヌが呪文を唱えると、
鏡の扉が現れた。

ちょっと安易すぎる展開じゃない?

この世界、
ちょっと気に入ったなあ。
なんだか天国に続いているようで。
こんな夢、また見られるかなあ。
とピピが言っている。

あなたが望めばね。
とシモーヌが言った。



解説)
続きます。
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