Feb 05, 2006

剣と魔法の国 その6 特別編(絵画のなかの楽器)

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今回は、中世の楽器の描かれた絵を集めてアップしてみる。。。


p1

リュートににた楽器。
ジョン・メリッシュ・ストラドウィックの1906年頃の絵で、
「林檎は黄金色にして歌声甘美なれど夏すでに過ぎ」という長いタイトルがついている。


p2

フレデリック・レイトンの「音楽のおけいこ」(1877)
「ラファエル前派とその時代」展カタログに解説によると、
絵画の人物の着ている布地など、レイトンのダマスカス旅行(1873)と
関係が深いらしく、この楽器は「トルコのサス」とある(^^)。


p3

バーン・ジョーンズの「狂気のトリストラム卿」(1862)。
題材はアーサー王伝説のなかの「トリストラムとイズールト(「トリスタンとイゾルデ」)」からとられていて、
イズールドが他の騎士を愛しているという噂に気がふれたトリストラム卿は、
野人のように森でくらし、牧人や百姓たちに世話されてハープを弾くばかりだったという。
(「ヴィクトリア朝の絵画」展カタログ参考)。


p4

ロセッティの「あずまやのある牧場」(1871−72)。
ロセッティがたったいちど試みた野外写生が、
この絵の背景に取り入れられているという。


p5

バーン=ジョーンズの「オーロラ(曙の女神)」(1896年)。
シンバルをたたいてスキップでもしているのだろうか。
弾むように歩く感じがよくでている。


p6

バーン=ジョーンズの「聖チェチィーリア」(1875年頃)
複数の人物像のひとつで、ステンドガラスの下絵のうえに
直接水彩で描かれたものと推定されるらしい。
チェチィーリアは音楽の守護聖人。


p7

ロセッティの「海の呪文」(1875−77)
これはセイレーンを描いたもので、舞台は中世ではないのだが面白いのでアップ。
なんとつま弾いているのが日本の琴なのだった。


解説)
 喜ばしいことに中世の音楽のCDコレクションを貸してくださった方がいて、さっそくパソコンの iTunesでBGMにして聞きながら、手元にある展覧会のカタログや画集をひもといて、中世の楽器のでてくる絵を撮影してアップしてみた。冬の寒い日曜日をこうして絵画と音楽三昧で過ごすのもわるくない(^^)。
 ふりかえってみると、意識したわけではないけれど、私の好きな英国のラファエル前派の画家たちの絵がほとんどであることに気がつく。彼らは19世紀に活躍した画家たちで中世そのものを生きたわけではないけれど、もともとラファエル以前に帰ろう、というグループのスローガンにもみられるように、「中世趣味」を共有していたといわれる(^^;。そこで描かれるのは一種美化された中世の世界なのだった。
Posted at 18:34 in n/a | WriteBacks (2) | Edit
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藤村(^^)。。。

樹の枝に琴は懸けねど
朝風の来て弾くごとく
面影に君はうつりて
吾胸を静かに渡る

(胸より胸に・・・より抜粋)

Posted by 昭 at 2006/02/07 (Tue) 00:04:34

ふむ。そういえばロセッティの「海の呪文」でも、琴が木に架けられてますね。

「海神ネプトゥヌスに仕える海の精セイレンは、美しい歌声で船乗りを誘惑し、殺してしまう。この油彩画で、セイレンは、林檎の木に結わえた楽器を爪弾き、水夫を誘う。楽器には日本の琴が用いられている。琴の背後に海が見える。楽器の音に誘われて海鳥が飛来している。この鳥は、誘惑されて命を落とした男の魂を表し、その男の運命を物語るように、セイレンの赤い髪には「愛の危険」の花言葉をもつキャロライン・ローズの花冠がつけられている。琴の下には赤い金魚草が咲き、画面右下には、ギリシャ神話でアドニスに死を嘆いてウェヌスが流した涙が花となったものとして知られるアネモネが描かれる。このような花々が匂い立たせるセイレンの妖しさと誘惑の力を、画面上部左右の赤い林檎の実がさらに強調する。」(カタログ解説より)

藤村の詩が空想の琴の音にたくして恋にとらわれた気分をうたったものだとすると、「海の呪文」の琴は男を誘惑し破滅させる美の妖しさ。ふむ。なんだか同じことのような気もしますが(^^;。。



Posted by 桐田真輔 at 2006/02/07 (Tue) 18:43:52
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